無限戦争に終止符を   作:Firefly1122

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五章.戦いは終わり、新たな朝は来る
帰還


 いつもの空間。そしていつものもう一人の俺。

 

「いい加減教えてくれ。お前は俺の何なんだ。そしてエンド、シュバルツは一体何者なんだ」

 

 もう一人の俺は静かに俺の後ろを指さす。振り向きそれを見ると、ぽっかりと人型の穴が開いていた。

 

「これは一体……」

「お前の精神の抜け落ちた部分だ」

「精神?」

「もう一人のお前。いや、エンドと呼ばれる者。それがお前の抜け落ちた精神。そいつを倒し、自分の中に戻すことですべてわかるだろう」

「待て!じゃあお前は一体なんだ!」

「お前の記憶そのものだ。お前の抜け落ちた記憶。精神が抜けたことにより維持できなくなった記憶。悪魔だったころの記憶」

「悪魔だったころの?」

「……」

「俺は悪魔だってことか!?エンドは悪魔であるときの俺だということか!?」

 

 俺は問いかけるも、もう一人の俺は何も語らなかった。俺は肩を落とす。

 

「そう。何も言わないんだな。俺に知られたくないことがあるのか。ならいいさ。お前が言った通り、俺がエンドを倒す。その時に教えてもらう」

 

 俺は剣を抜き、自分の喉に向け構える。夢から覚める一番の方法は、死ぬこと。夢の中では絶対に死なない。それは死んだことがないからだ。

 

「最後に一つ言っておこう」

「?」

「お前は七つの大罪すべてを犯した最強の悪魔だということを」

「!?」

 

 俺は剣を喉に構えるのを止め、もう一人の俺を見る。だが、奴は暗闇に溶けるように消えていく。

 

「ま、待て!最強の悪魔ってどういうことだ!」

 

 俺の声が届く前に奴は消えてしまった。俺はそれを唖然として見ていた。次の瞬間一気に眠気が俺に襲い掛かり、俺はその場に崩れ落ちた。

 

 目を覚ますとそこはあの基地だった。隣で看病してくれるスロウス。看病と言っても回復の能力で俺の腕を治す程度のことだが。

 

「気が付いたかい?」

「どうして……ここに……」

「ぼくが運んで来たんだ。大変だったんだから」

「運んで来た?っ!日本は!?」

「ああ、あの国は落ちたよ。エンドが指揮するハルト連合国の兵士によって」

「はっ?俺の国の兵士がエンドに従っているっていうのか!?」

「ああ、人間って脆いよね。少し力を与えるだけで簡単に忠誠を誓うようになってしまう」

 

 ラストの話ではこうだ。エンドは俺を倒した後、こう言った。「お前らの英雄は死んだ。私に従うのならば英雄を超える力を与えよう」と。だが、最初は当然信じる者はいなかった。だが、一人の兵士がそれを信じ、エンド側についたのだ。そしてその兵士は不死の力を手に入れた。いくらダメージを食らっても死ぬことはない。そして本来持つ能力の力も上げられていた。それを見た他の兵士も続々とエンド側につく。

 それからハルト連合国を落すなんてことはたやすかった。従わないというものは次々と捕らえられ、反乱するものは誰一人といなくなった。さらにエンドは無能力者も能力者に変え、戦力を増やしていく。そして周りの国はすべてエンド率いるハルト連合国に落とされていったのだった。

 

「いまでは君以上の力を持つ兵士がハルト連合国にうようよいる。それでも君はエンドを倒しに行くのかい?」

「……ああ。絶対に許さない。俺の故郷をそんな風に変えたエンドだけは!」

「それじゃあ、ぼくは止めない。止めたところで無意味だろうし。協力しようと言ってもぼくたちは君の力に及ばない。むしろ足で纏えになる」

「……」

「それから、君の腕が見つかった。スロウスにくっつけてもらいなよ」

 

 エンドが包帯で巻かれた俺の腕を差し出す。すでに腐っており、異臭を放っていた。

 

「臭いな」

「臭いね。冷凍庫に入れていたけどさすがに腐ったあとじゃ意味なかったか」

「おい、俺の腕を食べ物みたいに扱ってんじゃねぇよ……」

 

 

 腐った腕はスロウスの能力で何とか回復し、元通りになった。一度ふさがった傷口を切り、そこに腕をくっつけてスロウスの能力で傷口を塞ぐ。驚いたのは神経までしっかり回復し、腕が普通に使えるようになったことだ。

 

「スロウス。お前こんなことまでできたんだな」

「まあね。面倒だから説明はしない。私はもう寝るね」

「ああ」

 

 腕が治った俺は剣と銃を腰に掛け、外に出る。ラストがお出迎えにきた。

 

「それじゃ、頑張ってきてね」

「言われなくても」

 

 俺は走りだした。ハルト連合国に向けて。

 

 ハルト連合国の門にはいつものように兵士がいた。俺は透明化の能力で抜ける。国の中心にある大きな建物。まるで屋敷のようだ。この国にはそんなものはなかった。エンドが造らせたものだろう。俺は透明化で潜入し、地下に潜る。地下は牢のようだった。何人もの兵士が捕まえられ、おとなしくしていた。奥から2番目の牢にカルマ大佐がいた。周りに兵士がいないことを確認し、俺は姿を現す。

 カルマはそれに驚いたようで目を見開いていた。

 

「冬樹?」

「カルマ大佐。無事でしたか」

「お前、どうして」

「エンドを倒しに来ました。ところでカルマ大佐はどうしてここに?」

「ここは反乱するものを閉じ込める牢だ。逃げようと思えば逃げられるが、相手が相手だから迂闊に動けないでいた」

「そう……それじゃあエンドを倒すまでここにいてください」

「ああ。そうさせてもらう。あ、あとすぐそこの牢に秋人がいる。会ってやってくれ」

 

 カルマは牢から腕を出し、その牢を指さす。カルマの牢の斜め前の牢だ。俺はその牢に近づく。そこにはダルマの姿になった秋人がいた。腕も足もなく。あるのは頭と体だけという姿だった。

 

「あ、秋人……」

「ん?その声は冬樹か……」

「……すまなかったな。お前の頑張りをものにできなくて」

「冬樹のせいじゃない。エンドの力が異常だったんだ。まあ、間一髪命だけは助かったんだ。ぜひ喜んでくれ」

「お前はエンドに服従しなかったんだな」

「どうして?」

「そうしたらエンドは腕も足も治してくれただろう。奴の力であればそれはたやすいことのはずだ」

「ああそんなことか。そんなの、奴に服従するくらいならこの状態の方がましだからだよ」

「そうか……待ってろ。いまエンドを倒してお前を助け出して見せる」

「うん」

「そうだ春姉は?」

「……」

「春姉はどうしたんだ……」

「春姉の行方は誰も知らないんだ」

 

 俺は階段を上る。屋敷の一番上にエンドはいるはずだ。春姉の行方は知らない。俺はうまく逃げだしていることを祈りながらエンドのいるであろう部屋に向かった。

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