エンドは机の肘を突きながら何かを考えこんでいた。
「……」
何かを考えこんでいるというより、耳を澄ませ、奴の気配を感じていた。階段を1段1段上ってくる奴の気配を。
「……まだ生きていたのですか」
エンドは素早く机を乗り越えると、背後で剣が振るわれる音が聞こえた。
「チッ!」
剣が振るわれた方を見ると、冬樹がいた。
「力をつけたようですね……空間が一瞬揺らいだと思ったら後ろに移動している。あなたの時間停止の能力です」
冬樹はまるで躱されるとは思っていなかったようだ。驚きと不意打ちに失敗した屈辱に体を震わす。
「さあ、来なさい!相手になって上げます!」
エンドは手を前にかざすとその手から炎を放つ。エンドのブレイズの能力だ。冬樹は瞬間移動で躱した。外れたエンドの炎は窓を吹き飛ばす。
「な、なんだ!?」
「敵襲!?」
建物の下にいる兵士が騒ぐ。
「増援が来たら厄介だ……速攻で終わらせてもらう!」
空間が揺らぐ。エンドは素早くしゃがみ込む。頭すれすれを通る剣は浮いた髪の毛を切る。エンドはそのまま地面に手を突く。すると、地面から火柱が立つ。
「なっ!?」
「燃え尽きなさい!!」
炎は的確に冬樹を捕らえる。が、時間停止により回避する。炎はカーテンや本に燃え移り、瞬く間に燃え広がる。
「ここは暑いな……エンド」
「そうですね。それでは、外に移動しますか?」
「ああ、そうしようか」
冬樹は瞬間移動で目の前まで移動していた。手をエンドに触れると触れた場所から爆発が起こる。
「カウンターエクスプロージョン!?いつの間にダメージを!?」
爆風によりエンドの体は外に投げ出される。すかさず冬樹はエンドの背後に移動し、剣を切りつける。エンドは体をねじり、剣で冬樹の剣を受け止める。剣をはじき返し、体勢を整え、着地する。
「さっきのカウンターエクスプロージョンの爆発は、お前の火柱によるダメージだ」
「回避する前にダメージを受けてたのですか。当たるとわかったらあなたに勝つ自信しかないですよ」
「それはこっちのセリフだな」
冬樹は瞬間移動で目の前に移動し剣を振る。エンドはそれを受け止め、もう片方の手でブレイズを発動させる。冬樹は素早く避け、エンドの横腹に蹴りを叩き込む。
「ぐっ!?ま、まだです!!」
エンドは冬樹の足を掴み、持ち上げる。冬樹の体をぐるぐると回し、投げ飛ばす。
「くらいなさい!!」
エクスプロージョンを冬樹に向かって放つ。
「舐めるな!!」
冬樹は瞬間移動でエンドの背後に回ると、剣を振るう。エンドはそれを腕で受け止めた。
「ぐっ!腕を切られた程度でどうということはない!!」
エンドはビルドアップの能力を使い剣を筋肉で挟む。そのまま腕を振り、剣をへし折った。
「ふっ、これで冬樹には近接はできなくなりましたね」
「……」
「くらいなさい!」
無造作に振るわれたパンチを冬樹は後ろに飛ぶことで回避した。が、パンチの速度が速く、ものすごい風圧が発生し、冬樹はバランスを崩してしまった。
地面に座り込んだ冬樹に向かってエンドは強力なパンチを再び繰り出す。
「これでとどめです!」
「……」
エンドが振るったパンチは冬樹の目の前で止まった。
「何ッ!?」
「俺はなぁ、仲間から意思を受け継いだんだ。そう簡単に負けるわけにはいかないんだよ!!」
冬樹は風に守られていた。
「この能力は!」
「お前がボロボロにした秋人の能力だ!」
冬樹は秋人と別れる際に能力授与により、風の能力を受け取っていた。それにより、強力なガードと遠距離の攻撃を手に入れた。
「くらえ!お前が傷つけた秋人の攻撃だ!!」
強力な風圧はエンドを軽々と空へ吹き飛ばす。エンドは空中で体勢を整えた。
「くっ……仕方ない……ならばあの能力を……!?」
エンドが体勢を整え終わったときにはすでに冬樹はエンドを捉えていた。手の上に置かれた石。それはエンドに向けられている。
「日本で習った能力の使い方……いまこそ実践できる時だ!!」
石に風を宿す。雷電がやっていたレールガンだ。ゴウッというものすごい音を発し石はエンドに向かって一直線に飛ぶ。
「舐めるなああ!!」
エンドは炎で壁を作り、レールガンを受け止めた。だが、炎の壁は破られ、石はエンドの腹部に深く入り込む。
「グッ!!っまだだ!まだやれる!!」
冬樹は静かにこうつぶやいた。
「もう、決着はついている」
エンドが悪魔と化し、冬樹に向かって突進してくる。が、エンドの腹部にめり込んだ石が爆発した。
「なん……だと……」
腹部に大きな穴が開き、エンドはそのまま地面に倒れた。
「俺は能力を二つまで同時に使える。石に風とリベンジエクスプロージョンの能力を宿していた。お前の炎の壁のダメージが石に入り、リベンジエクスプロージョンが発動したんだ」
「はぁ……はぁ……」
「俺の、勝ちだ」
エンドは体が少しずつ煙に変わっていった。そんななか、エンドはこうつぶやく。
「また……お前の中に……封じられる……のですね……。残念……です……」
その言葉を最後に体はすべて煙となった。煙は突如冬樹の体の中に入り込む。
「!?」
冬樹はあの空間に来る。
「ここは……」
「冬樹。よくも私をまたここに閉じ込めてくれましたね」
「……どういうことだ」
「とぼけないでください。……あなたの記憶は今にも戻ってるでしょう?」
その言葉を聞いた瞬間、俺の頭の中に記憶が戻る。