無限戦争に終止符を   作:Firefly1122

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怠惰の悪魔、クロノス

 俺たちは次の目的地に向かっていた。

 

「おいラスト。怠惰の悪魔の居場所ってわかるのか?」

「うん。彼は面倒くさがりでね。人となれ合うのが嫌だからという理由で森の中にいるくせに、歩いて15分で城門に着くことができるくらい近いところに住んでるんだ」

「なんでそんなところに……」

「買い物行くときに近いほうがいいからじゃないかな」

 

 その目的の森に着く。道が整備されており、たどり着くのに苦労はしなさそうだ。歩いて10分。そこに家が一軒あった。

 ラストは何の躊躇いもなくノックをする。

 

「もしもーし」

「……」

 

 数分待っても出てこない。

 

「おい、本当にいるのか?その悪魔」

「うん」

 

 再びノックする。しかし、その後数分待ってもやはり出てこない。痺れを切らしたラースがドアを乱暴にたたく。

 

「おい!出てこい悪魔!!倒しに来てやったぞ!!」

 

 それでも出てこない。ラースはキレ、ドアを爆破させた。

 家の中に入るとそいつはソファーの上で本を顔にかぶせ寝ていた。

 

「んあ?」

 

 本を退かし、俺たちの方を一瞥。そしてまた本を顔にかぶせる。

 

「客?面倒だから用が済んだら帰ってくれ」

 

 ラースは瞬間移動を使い、悪魔の上に移動する。悪魔の頭を鷲掴みし、爆破させた。

 

「ラースいきなりだね」

「感心してる場合か!扉を破壊したときの爆発と今の爆発で家が持たないぞ!逃げるぞ!」

 

 俺たちは家から飛び出す。家はゴゴゴゴと音を立て、崩れた。ラースも、少し遅れて脱出してきた。

 

「あちゃあ……」

「あの距離で爆発食らったんだ。たとえ悪魔だろうと助からないんじゃ……」

 

 俺がそんな心配をしていると、瓦礫の中からむくりと体を起こす。

 

「痛い」

 

 髪を切るのも面倒くさかったのか、長くなった髪。その隙間から見える顔に血が流れる。

 

「はぁ……これからぼくはどこに住めばいいんだ?」

「スロウスの中だよ」

「スロウス……ふうん……器か。封印されるって嫌なものだよ」

「いやでも封印されてもらうけどね」

 

 ラースとスロウスは一気に距離を詰め、悪魔を殺しにかかる。

 

「ラスト、あいつの名前は?」

「クロノス。趣味は寝ることだったかな」

 

 ラースとスロウスが殺気を剥き出しにして襲い掛かるが、クロノスはその場に横たわり、大きなあくびをしてそのまま眠る。

 

「えっ?」

「おい!」

 

 その行動に呆気に取られ、立ちすくむラースとスロウス。

 

「おい。あいつ本当に悪魔なのか?」

「……たぶん」

 

 ラースはクロノスの胸倉を掴み、激しく揺する。

 

「起きろバカ!戦えよ!!」

「あのさラース。戦う気がないし逃げる気もないならこのまま殺して封印しちゃえばいいんじゃない?」

「そうだな!クロノスと言ったな!覚悟!!」

 

 ラースはクロノスに無数の光の剣を向ける。それでも起きる気配はない。

 

「あ、そうだ。一つ思い出した」

 

 光の剣はクロノスに次々と突き刺さる。

 

「クロノスの能力は……」

 

 光の剣が集合し、一つの巨大な剣を作り上げたラース。

 

「アンコンシャスネス(無意識)。眠っている間が特に力を増す能力だね。そして、もう一つの能力は……」

 

 巨大な剣はクロノスにたたきつけられた。キンッという金属と金属がぶつかり合ったような音が響くと、周囲に衝撃波が起こる。

 

「何ッ!?」

「リフレクター(反射)だ」

 

 巨大な剣は、無意識に発動したリフレクターにより、クロノスに触れる前に弾かれる。

 

「チッ!!」

 

 ラースは距離を取る。クロノスの体をよく見てみると、光の剣が刺さり、ダメージを負ったはずの体に傷一つなかった。すべてリフレクターによって弾かれていたのだ。

 

「おい、あれあいつらにどうこうできるような相手じゃないと思うのだが……」

「大丈夫。リフレクターと無意識はともに能力。能力を使うとそれだけ体力を使う」

 

 ラースは再び無数に光の矢を作り出す。限りなく小さな光の矢だ。体力を温存するためだ。

 

「そのうち体力が尽き、能力が使えなくなるさ。それからがチャンスだよ。自分で動くことを面倒くさがり、能力に頼りっきりの代償にクロノスがいつ気づくかだね」

 

 次々と矢はクロノスにぶつかり、そのたびに反射する。

 それから何時間経っただろうか。一向に能力が尽きる気配がない。それどころかラースの体力がどんどん削られている。

 

「どういうことだ?体力が減ってる気配がしない」

「そうか!眠ることで体力を回復してるんだ!無意識は能力だが、寝ることで増減をゼロにする!使われる体力はリフレクターのみだ!それだと消費する体力は同じ!」

「くっ……それならやはり俺が手伝わなければ……!」

 

 俺が行こうとすると、スロウスはジェスチャーのみで来るなと言っていた。

 

「くそっ……!らちが明かない!」

「ラース、そのまま続けて」

「え?おいスロウス!」

 

 スロウスは剣を持ち、クロノスに近づく。

 

「私の力は回復とスピード。攻撃手段はない。でも、手数は誰よりも多くできる!」

 

 スロウスの俊足は誰よりも早い。ラースの光の矢をすべて躱しながら、クロノスを剣で切りつける。それを見たラースはスロウスに当たらないように、手数を減らす。

 

「ラース!なんで手数を減らすの!」

「だって……スロウスに当たるから……!」

「減らさないで!私なら大丈夫だから!」

「っ!……わかった!」

 

 ラースは再び手数を戻す。スロウスが躱しきれなかった矢がいくつか当たる。しかし、スロウス自身の回復能力で回復する。

 

「もっと!もっともっともっと!!」

 

 いつもののんびり屋なスロウスから想像できないほどの速度で移動し、切りつける。すると、スロウスの振るった剣がクロノスに当たり、血が飛び散る。能力が追い付かず、反射できなかったのだ。

 

「っ!?」

 

 さすがのクロノスもこれには驚き、目を覚ます。直後、意識が痛みに向き、無意識の能力が消える。無意識が発動せずリフレクターも発動しない。すべての光の矢はクロノスに突き刺さる。

 

「ぐあああああっ!!!」

「っ!いまだ!スロウス!!」

 

 スロウスはその声に応え、剣を振るう。

 

「はああああ!!!」

 

 スロウスの振るった剣はクロノスの胸に深々と突き刺さる。クロノスは声すら出せなかった。

 

「……勝った」

「やった!」

 

 ラースがスロウスに駆け寄ろうとした瞬間、黒いオーラが立ち込める。

 

「スロウス!!」

 

 スロウスが背後を振り返ると同時に、クロノスのリフレクターの能力でスロウスが吹き飛ぶ。スロウスがラースにぶつかり、共に吹き飛ぶ。

 

「おい、俺はなぁ……寝てるのを起こされるのが一番むかつくんだよ」

 

 悪魔化したクロノスの口調は先ほどと全く違った。

 

「どうして……!もう能力を使えるほどの体力は残ってないはず……!」

「ふん。俺の体力の回復速度、舐めるなよ。この姿になった今、さらに回復速度が上がっている。お前らは俺が寝ている間に散々体力使ったようだな」

 

 ラースは体力をほぼ使い切り、息が上がっている。

 

(これ以上ラースは戦えない……!私が何とかしないと……)

 

 スロウスは俊足でクロノスに切りかかるが、リフレクターに弾かれる。そのうえ、バネにでも弾かれたように飛ばされる。

 

「無意識で発動したリフレクターに弾き返す力はない。だが、俺が意識して発動させたリフレクターは攻撃をすべてそのままはじき返す」

「スロウス!はああああっ!!」

 

 ラースは力を振り絞り、能力を発動させる。光の槍を作り、クロノスに向かって飛ばす。しかし、そんなものが当たるわけがない。リフレクターにはじき返され、ラースの腕を貫く。

 

「っ!」

「ラース!!」

 

 素早くラースの元に行き、回復能力を使う。

 

「はははっ!お前らその程度か?俺の眠りを妨げたのだからそれなりの罰は受けてもらわないとなぁ!!」

「ちくしょう……!勝ち目がない!」

 

 ラースはすでに体力を使い果し、跳ね返された光の矢を躱すことができないほどだ。スロウスにはクロノスに対抗できる攻撃手段がない。もはや勝ち目などなかった。

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