「冬樹。作戦会議だ。いくぞ」
いつものように時間停止の能力を完璧に使えるように訓練をしていると、カルマがそう声をかけてくる。
「はい」
作戦会議は復讐作戦の会議をしたときと同じ場所だ。今回の作戦を指揮するのはトマホーク中佐。トマホーク中佐は国の北を仕切るケイロン大佐の部下だ。
「今回の作戦は前回スパイ作戦で集めてきた情報をもとに奇襲を仕掛け、ゴーデンテイ王国を壊滅させる作戦です。奇襲の方法は正面からは行かず、重要施設の下に大型の爆弾を設置し、爆破。その後一気に攻め込む作戦です。指揮はケイロン大佐の代理であるこのわたし、トマホークが指揮をします。何か質問はありますか?」
「ケイロンはどこに行ったんだ!ケイロンを出せ!」
そう怒鳴るのは国の南を仕切るタイラント大佐だ。
「ケイロン大佐は今回、北に侵入した不審人物を捉えるべく指揮をしています」
「不審人物?」
国の西を仕切るトワイライト大佐が尋ねる。
「はい。目撃情報によりますと、長い髪で深く帽子をかぶり、マントを羽織ってギターを持っているようです。巡回していた兵士がそのものに身元質問をすると答えられないと言ったそうです」
「なら捕まえればよかったじゃないか!どうしてケイロンが指揮をする必要がある!?」
「その不審者に質問をした兵士の話では、捕まえようとした瞬間、突然気を失い、気が付くと不審者は消えていたそうです」
俺はその話がどうもひっかかった。どこかで聞いたことあるような、どこかで実際にあったような。そんな感じだ。俺は小声でカルマに聞く。
「もしかして、俺たちが倒れていたのはその男を捕まえようとしていた時でしたか?」
「すまない。おれも覚えていない」
気を失った。その事実は覚えているが、その前後、何があったのか俺たちは覚えていなかった。
「それより、今度の奇襲作戦を詳しく説明します。スタイルチェンジのサイコパスが重要施設の地下に潜り込み、大型爆弾を設置します。これはリモートコントロールで、作戦開始時に爆破させます。その瞬間、敵兵が少ない東から一気に攻めます。そこから南に戦績のいい兵士が突撃し、敵を殲滅します。北に戦績がそこそこの兵士が向かい、国王を捕らえます。そこから西に向かい敵兵を全滅させ、最後花火を上げたら終了です」
「そうか。ならば俺の兵士が南だな。俺の部下を舐めてもらっては困るぞ!」
「いえ、待ってください。ここはわたしに任せてもらえないでしょうか」
自分の腕を自慢するタイラントにカルマが言い放つ。
「お前の軍!?お前の軍は甘々ばかりじゃないか!俺の軍の方が圧倒的に強い!」
「いえ、あなたの軍は脳筋ばかりです。わたしの能力によると、そのまま行かせると全滅し、作戦は失敗します。わたしの部下にはかなり有力な兵士がいます」
そういうとカルマは俺の肩に手を置く。
「そのガキが有力だっていうのか!?舐めやがって!そいつの能力は何だ!?」
「能力は未来過去、現代の時間停止。時間を操る能力。命名すると、タイムオペレーション(時間操作の能力)です」
「時間操作だぁ!?そんなの聞いたこともねぇよ!それができるってのなら……」
タイラントはのっそりと立ち上がる。
「証明してもらおうか!」
タイラントは自分の剣を抜いて俺の方に投げてくる。
俺は時間停止を使う。そして、飛んできた剣の柄を握る。そして能力を解く。
「な!?」
タイラントは剣をタイラントに向け立っている俺の姿をみて驚きの声を上げる。
「どうですか?これが彼の力です」
「う、うむ……」
俺は剣の柄をタイラントに向ける。タイラントは柄を握り、奪い取るように剣を取る。
「彼の能力はわかった。だが、彼一人で敵主力が集まっているであろう場所に行かせるのか?」
「まさか。そんなわけあるわけがないでしょう。こちらの主力を何人か彼と一緒に向かわせます」
「そうか。それでは彼に託すとしよう」
「正気か!?トワイライト!」
「彼の能力を侮ってはいけない。未来を見ることができる彼の指示は的確だ」
「言いにくいのですが、私は指示こそはしますが、彼に任せます」
「は!?」
先ほどまで冷静に作戦の提案をしていたトワイライトが取り乱す。
「彼はわたしの能力では測れない可能性を秘めています。わたしは進軍の指示のみです。どう戦うかは彼に任せます」
「それはわたしも賛成しかねるぞ。君の未来を見る能力は今どうなっているんだ」
「彼の戦いの様子が見えます。その先の結果が見えません」
「結果が見えない……北の代理はそれでよいのか?」
「わたしはそれでいいと思います。彼の情報はこちらにも来ています。復讐作戦で敵を1人倒し、スパイ作戦でもピンチの仲間を助け、その上に追っ手を全滅させたという情報があります。彼の実力は本物です」
「うむ……」
タイラントとトワイライトは黙り込んだ。
「では南にはカルマ軍、北はトワイライト軍。中央はタイラント軍でよろしいでしょうか」
「わたしは問題ありません」
「気に食わんが、仕方ない。戦えるのならばどこでもよい!」
「うむ……新人が戦の指示は納得いかないが、カルマが言うならば間違えないだろう」
「ではこの作戦で行きます。みなさんはそれぞれ内容をしっかり伝え、作戦に備えてください。作戦は1週間後です。では解散」
それぞれ思い思いに会議室を出た。