4/10 Sunday ☀
【午後】
稲羽市の地に来た青年が一人。名は「
親の都合により一年間のみの引っ越しとなる。母の弟だという堂島の家にお世話になる予定らしい。電車での長旅はかなり疲れたが、自然豊かな風景を見た途端少し疲れがなくなった気がした。
悠は周りを見渡す。堂島の姿は見えない。もう少しで待ち合わせの時間のはずだ。
「こっちだ」
声をかけられた方を見ると男性と少女がいた。
「お前が鳴上悠だな? 写真より男前じゃないか。俺が「
「よろしくお願いします」
堂島と悠は握手をする。悠はチラッと少女の方を見た。人見知りなのか、堂島の足にしがみつき隠れている。
「ん、ああ。娘の
「……よ、よろしくお願いします」
「よろしく」
恥ずかしいのか堂島の足から離れる気配がしない。堂島は苦笑いし車に乗るよう促す。悠も歩きだす。
「ねぇ、これキミの?」
後ろを振り向くとここに来るまでのメモを持ってこちらに渡す少女がいた。
「ポケットから落ちた」
「あぁ。ありがとう」
「別に。拾っただけだから。じゃ」
悠はメモを受けとる。少女はスタスタと歩いていった。悠はその少女を見ていると堂島に「早く乗れ」と声をかけられた。
途中菜々子がトイレに行きたいと言うのでガソリンスタンドに寄ることになった。
【夜】
そして堂島宅。今晩の夕食は小さなお寿司弁当だった。全員お茶で乾杯する。
「お前の家だと思ってのんびりしてけ。乾杯っ」
「乾杯」
「かんぱーい!」
今夜は何事もなく、平和な夕食だった。
悠は二階の自分の部屋で荷物整理をしていた。
「明日から新しい学校での生活か……。正直、不安だ」
呟く悠。期待と不安が混ざっていた。
いきなり遅刻する訳にはいかないので、今日は早めに寝ることにした。
一方、ベルベットルーム。マーガレットは静かに呟く。
「“ある世界”の客人は見事“真実”を見つけられた。そしてまた、事件に出会った。……でも、“この世界”の客人は、平和な日のみ訪れ、過ぎ去っていく。まったく、“あの人”は“こんな世界”を作ってなにが目的なのかしら。
でも……それもまた、一興というものかもしれないわね」
堂島宅前。一人立っていた。
「鳴上君。向こうの君は今大変忙しいと思う。でも、僕はしばらくこの世界でのんびりしてから向かうとするよ。……ま、頑張ってね」
その人物はそう呟くとスタスタと去っていった。