【午前】
八十神高校。悠が新しく通う高校だ。
2年2組の教室。担任の
「鳴上悠です」
諸岡先生が何か言おうとしたが嫌な予感を察知したらしい、緑のジャージを着た女子に助けられた。
「センセー、転校生の席ってここですか?」
「あぁそうだ。ほら、さっさと座れ」
若干不機嫌そうな諸岡先生をよそに助け船を出してくれた女子が悠に話しかけてきた。
「あの先生皆からモロキンって呼ばれてるんだけど、平気で停学とかにしようとするんだって。運がないね」
「そうなのか」
しばらくすると朝のHRは終わり、諸岡先生は教室から出ていった。その途端、他の生徒達が喋りだした。
「何でモロキンのクラスになっちゃったのかなぁ」
「運ないねー」
【放課後】
帰りのHRも終わり、悠は一人帰ろうとした。すると先程助け船を出してくれた女子に呼び止められた。
「鳴上君も帰るの? あたしも一緒にいい? あたし、
「あぁ。よろしく」
千枝は横にいた赤色の制服の女子に帰ろうと言ったが、手伝いがあるらしく一人帰ってしまった。
「あの子は
「そうなのか」
二人で帰ろうと教室を出ると次は千枝が呼び止められた。ヘッドフォンを首にかけた男子だった。
「えーっと、里中サン。……これ面白かったデス! それじゃっ!」
「ちょっと待てい!」
「うわっ!?」
あわただしく逃げようとしたが千枝が足をひっかけ転んでしまった。千枝は男子から受け取ったDVDを確認する。
「あーっ! あたしの『成龍伝説』がぁ! 何してんの花村ぁ!」
「自転車で転んでしまい……。ホントすんません!」
「許さない! 肉奢れ肉! ……
「え」
何気に巻き込まれてしまった悠。流れに逆らえずジュネスのフードコートへと行くことになった。
ジュネスのフードコートへとやってきた三人。彼が用意したのは肉ではなくたこ焼きだった。
「肉は!?」
「三人分なんて金もってねーよ! たこ焼きで我慢しろ」
「肉の腹だったのにぃ」
「肉の腹って何だよ……」
そんな会話のあと、奢ってくれた彼と自己紹介をした。
「俺は
「花村はね、このジュネスの店長の息子なの」
「そうなのか。よろしく」
二人の自己紹介が終わると千枝がたこ焼きをすぐさま食べ始めた。冷めない内に食べたいから早食い、らしい。陽介は「里中らしいぜ」と苦笑いしている。悠も彼らに慣れたのか色々な話が出来るようになった。
「……もうこんな時間か」
「そろそろ帰ろっか」
「そうだな。花村、今日はごちそうさま。お金、平気か?」
悠は財布の中を見て若干不安そうな顔をしてる陽介を心配し、訊いた。陽介は笑って「平気」と言った。
「花村は平気平気! それにぃ、「成龍伝説」のお詫びも兼ねてるから心配なさるなっ」
「そうか」
「何で納得した表情してんだよっ。いやまぁ、そうだけど」
「今度は俺が奢ってやる」
「何故上から目線?」
悠は二人と別れ帰ることにした。途中商店街に行くと本屋があり、買いたくなったがこっそり財布を見ると先程の陽介みたいになっていたから止めておくことにした。
「何かバイトって、出来ないかな……?」
今度商店街北側の掲示板でも見よう、そう決めておいた。
【夜】
今日は堂島が仕事から早く帰ってきた。
「お父さん、最近早いね。平和?」
菜々子がそう訊くと堂島はソファーでくつろぎながら「平和だ」と答えた。
「平和過ぎて、本庁から来た新人の足立って奴がすぐ寝る。ま、いいことだが」
「そうですね。平和なのはいいことです」
悠はそう堂島の発言に同意の発言をした。
今日は唐揚げ弁当。悠がジュネスでついでに買ってきた。菜々子は堂島に「唐揚げ美味しいね」と言いながら元気に食べている。
すると堂島が悠に話しかけてきた。
「そう言えば。悠、お前学校で友達出来たか?」
「はい。里中に花村、あと挨拶しただけですが天城も」
「天城……。あの天城屋旅館か?」
悠は今日の出来事を堂島に話した。食べていた菜々子もいつの間にか悠の話に聞き入っていた。
話終わると堂島は財布の中から三千円取りだし、悠に渡した。
「これでその三人に奢ってやれ。今日奢ってくれた坊主には特にちゃんとな」
「はい。ありがとうございます」
「いいなー ジュネス。お父さん、菜々子も行きたい」
「そうだな……。今週土日はどちらか休みとれそうだから、行くか」
「わーい!」
かなり嬉しいのだろう。菜々子はとても喜んだ。
明日三人を誘ってみよう。そう思った悠だった。
この世界では「マヨナカテレビ? 何それ」状態です。つまりフツーの世界です。
三千円渡す堂島さん。堂島さんってとてもカッコいいですよね。菜々子ちゃん、羨ましいな。
ちなみにこの世界にベルベットルーム。つまりイゴールやマーガレット、マリーなどはいます。ただ訳ありでまだ関わらないだけです。
マーガレットは悠のこと知ってます。