稲羽市のペルソナ使い達の平和な世界   作:雨扇

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4/12 Tuesday ☁

【午前】

 

 登校するのは四人(悠、陽介、千枝、雪子)の中で悠が一番早かった。それから雪子が登校してきて、陽介と千枝が来たのはほぼ同時だった。ただ、二人とも若干息切れしてた。

 

 

「何で花村君と千枝、息切れしているの?」

 

「はぁ、はぁ……。ちょうど下駄箱でバッタリ会ってな。教室一緒に行くかってなったんだけど」

 

「階段上がってる時、雰囲気的に競争みたいになって……えへへ」

 

「それで、どっちが勝ったんだ? 俺には同時に見えたけど」

 

「雪子はわかった?」

 

 

 雪子は表情は悩んでいたがきっぱりとすぐ言った。

 

 

「もちろん千枝。花村君が勝つと調子のるから」

 

「やったー!」

 

「はぁ!? いやいや、天城サン!? 俺調子にのりませんよ? だよな、鳴上?」

 

「いや、昨日会ったばかりの俺に訊かないでくれ」

 

「正論だよ……」

 

 

 陽介は千枝に負けたのが悔しかったのか落ち込んでいた。ちょうどいい頃だ、悠は昨日堂島から貰った三千円で三人に奢ることを伝えた。

 

 

「えっ、マジ? いいのか鳴上」

 

「あぁ。特に花村にはちゃんと奢ってやれって」

 

「サンキュー鳴上!んじゃ、今日放課後ジュネスな!」

 

 

 今日雪子は手伝いは多少遅くても大丈夫らしい。なので今日は雪子も加え、改めて「鳴上悠歓迎会」的なことをすることにした。

 

 まぁ、経費は全て堂島が出してくれた三千円なのだが。

 

 

 

 

【放課後】

 

 ジュネスのフードコート。四人が座る席のテーブルには肉やら昨日食べたばっかりのたこ焼きやらいろいろ乗っていた。

 

 

「誰だよたこ焼き頼んだの」

 

 

 陽介がツッコミをいれる。犯人は悠と雪子だった。ちなみに千枝はまっさきに肉を頼んだ。とにかく肉好きらしい。

 

 

「何で鳴上も?」

 

「天城がたこ焼きを花村の口にうっ……! ……あっちぃ!」

 

「鳴上君。サブライズって、内緒にやって相手が驚くからサブライズって言うんだよ」

 

「鳴上ーっ! 無事かー! ほら、水」

 

 

 悠が何か言おうとしたが雪子によって阻止された。いきなり口にたこ焼きを入れたのだ。たこ焼きは熱々だった為、ものすごく悠は唸った。

 

 かなり辛そうだったが、ポジティブに考えるのならば『雪子からあーん』みたいな状態だ。むしろ得だと考えるのが吉。……そう思いたい。

 

 

「花村君。こっち口開けて」

 

「鳴上の遺言(死んでない)に天城が何かたくらんでるという発言が……」

 

「それはね、鳴上君の被害妄想だよ。うん」

 

「お、おい里中! 黙ってないで助けて!」

 

「いやぁ肉最高じゃなぁ~」

 

「ダメだぁぁ! もうこの肉食獣は聞く耳もたねぇ!」

 

「誰が肉食獣だコラァ!!」

 

「ふげぇっ!!」

 

 

 千枝に蹴られお腹を抱えうずくまる陽介。悠はたこ焼きの熱さからやっと解放されたようだ。

 

 すると雪子が陽介に近づく。悠は雪子の両手を見る。

 

 武器だ。たこ焼きと言う名の武器を構えていた。

 

 悠は面白半分、「花村にも同じ目に合わせてやる」半分だった。

 

 

「花村、さっきグミこっそり買ってきたけどいるか?」

 

「おう……」

 

「口、放り込んでやるから開けてくれ」

 

 

 騙されやすい陽介。馬鹿正直に口を開けた。

 

 

「今だ天城っ」

 

「えいっ」

 

「ふごっ。……あっちぃぃぃ!!」

 

 

 雪子が見事陽介の口にたこ焼きを入れた。陽介は落とさないよう急いで食べながら水を口にガボガボ入れていた。

 

 その横で千枝と雪子は爆笑。悠は作戦成功を喜ぶガッツポーズを小さくしていた。

 

 

「鳴上騙したなっ」

 

「俺だってやられたんだ。お互い様だ」

 

「アハハハ!! 花村顔面白い、ハハハ!」

 

「里中笑うんじゃねぇ! 恥ずかしい!」

 

「アハハハハハハハハハ!! 花村君、スゴい面白いヒヒヒ!!」

 

「逆に怖い!」

 

 普段物静かな雪子は爆笑に少し驚く悠。千枝が教えてくれた。

 

 

「雪子は学校では基本大人しい感じだけどね、普段はこうなんだ。ホント、雪子のツボだけは今だわからずじまい」

 

 

 悠は新たな友達と楽しい放課後を過ごした。

 

 そろそろ帰る時間になったのでそれぞれ連絡先交換して帰ることにした。

 

 

 

 

 

【夜】

 

 今日は既に菜々子がお弁当を買ってきたと連絡があったので真っ直ぐ帰ってきた。

 

 悠に慣れたのかたまに話しかけてくる。

 

 

「菜々子、叔父さんは?」

 

「今日は出張なの」

 

「そっか」

 

 

 すると悠の電話が鳴った。陽介からだ。

 

 

「もしもし」

 

『よう! 遅くに悪いな』

 

「いや、どうかしたか?」

 

『大したことじゃないんだ。明日の放課後、電車で沖奈市行かね?』

 

「まぁ、いいけど」

 

『よっし、じゃあ決まりな』

 

 

 互いに「おやすみ」と言い合い電話を切った。

 

 ご飯を食べ終わったあと菜々子としばらくテレビを見て、風呂に入ったあと、今日はすぐ寝ることにした。

 

 

 

 

 

 

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