【19日・放課後】
「鳴上ーっ! そんなんで全国行けると思ってんのか!」
「すみませんっ!」
「花村ーっ! それじゃあ全国大会すら行けないぞ!」
「行く気ねぇしっ!!」
「里中さんっ。……頑張れっ!」
「おーっ!」
「天城さんも頑張れっ!」
「おー」
「何で俺しかツッコミしてねぇんだよぉぉ!!」
バスケ部に入部出来るようになった19日。さっそく悠は入部し、一条にバスケを教わっていた。なのに、今ではコントとなっていた。
「コーチっ! “クマ”は……。クマはバスケがしたいですっ!!」
「流石熊田だっ! ……で、その“着ぐるみ”は脱げないのか?」
「えーっと、一条。残念だけど無理なんだよ……あはは」
「そっか」
一条は納得したのか休憩と言うと校舎の方へと歩いていった。その瞬間、四人は一斉にクマの方を向いて叫んだ。
「「「「何でここにいるのっ!!?」」」」
「センセイ達に会いに来ちゃったクマ」
謎多きクマ。彼との出会いは3日前に遡る。
【16日・午前】
登校中。後ろから悠を呼ぶ声が聞こえたので振り向いてみると、走ってこちらに来る陽介がいた。
「はよっす」
「おはよう、花村」
「なぁ鳴上。……昨日さ、夜ご飯食べれたか?」
「無理だった」
「だよな……」
二人は昨日食べた雨の日スペシャル肉丼を思いだしたのか、若干落ち込んでいた。
教室に入ると二人は衝撃の光景を見た。千枝が雪子に必死に何かを訴えていたのだ。こちらに気づいたのか、千枝が悠と陽介の元にやってきた。
「あ、あたしね! 見たのよ!」
「お、落ち着け里中」
「何を見たんだ?」
千枝の言葉を聞いた二人は、信じられない表情をしていた。理由は“現実で起こることはない”ことだったからだ。
「ホントなの! 見たのよあたし! ジュネスのテレビ売り場で大きいテレビから“出てくる”“クマの着ぐるみ”をっ!!」
【放課後】
「ったく、何で俺まで……」
「お願い花村。ジュネスの店長息子でしょ」
「それ俺にとっては嬉しくないんだけど……」
「もしクマだったら?」
「一撃でしとめる」
「天城……殺る気だ」
四人は話をしながらテレビ売り場に来ていた。すると千枝がクマの着ぐるみが出てきたというテレビの前に店員が二人話していた。
「そう言えばこのテレビ売り場、人気あんまねぇから店員はそんなにいなかったはずだ。……ちょっと待っててくれ」
陽介は店員の方に歩いていき事情を聞いてきた。
「何かマッサージチェアの方にクマの着ぐるみを着た“熊田さん”って奴がいるんだと」
「絶対そいつだ!」
「熊の肉って意外と美味しいらしいよ」
「流石旅館の娘」
一同はその“熊田”がいるというマッサージチェアの売り場に向かった。
「ああぁ~ 良い気持ちクマ~」
「クマだ」
「クマ、だな」
「クマ、だね」
「クマだ……“熊田”」
「「「「あぁ~」」」」
「ご自由にお試しください」と書かれた紙があるマッサージチェアに座り心地良さそうにしているクマがいた。悠が声をかけるとクマは気づき、マッサージチェアからおりた。
「クマに何か用クマか?」
「あ、あんた! 昨日……“テレビの中”から出てこなかった?」
それを聞いた途端、クマの目が真剣(?)な目になった。
「見てしまったクマね……」
「じゃ、じゃあ……」
「そうクマ。クマはね、“テレビの中”から来たクマ」
正直信じられない。だけどクマがテレビに触れたら画面が波の様にゆらゆらとした。一同は信じざるをえなかった。
フードコートにて話を聞くことになった。ちなみにクマの中身を見てみると空だった。かなりの恐怖だった。
「クマはさっきも言った通り、テレビの中から来たクマ。今までは、テレビから出るって発想がなかっただけで、さっき出ようとしたら出れたクマ」
「それが昨日のことで里中に見られた……と」
「でも店員はいなかったのか? 里中がクマ見たっていう時間帯は確か一応テレビ売り場、担当いたハズ」
陽介は「誰だったかな」と呟き思い出そうとする。10秒程経ったあと、思い出して何故か頭をかかえ悩んでいた。
「そうだ……。あそこの担当、昨日はあのセンパイ達だ……」
陽介によると面倒だとよくサボるセンパイ達が昨日の担当らしい。
「どうりで誰もいなかった訳ねぇ」
千枝が呟く。
クマはテレビの外に出るのは今日だけにするつもりの様だ。
「クマ、ジュネスのあのテレビからいつでも出れるから、暇な時にでもまた遊んでほしいクマ」
「あぁ、もちろん」
これが、クマとの出会いだった。
【19日・放課後】
呼ばれてもないのに何故か学校に来ているクマ。四人はとにかくクマに質問した。
「何で来たんだ?」
「センセイ達に会いたかったからクマ」
「呼んでもないのにか?」
「そうクマ」
「よく学校わかったね」
「ジュネスではヨースケが有名人だからすぐわかったクマ」
「バス乗れたんだ」
「何度か捨てられそうになりました」
質問は終わり、四人とも納得したようだ。
「学校バレたの花村のせいじゃん」
「しょうがねぇだろ」
「センセイー! クマ寂しかったクマよー」
「よく来たな、クマ」
四人はクマと休憩時間の間色々話した。流石にクマがこっちにいすぎるのは不味いかと思い、クマは帰ることにした。
「んじゃ、バイバイクマーっ!!」
クマが帰り、練習時間も終わって四人も帰ることにした。
「なぁ、鳴上」
千枝と雪子は先に帰り、悠と陽介は遅れて帰った時、悠は河川敷で陽介に呼び止められた。
「どうよ、
「あぁ。とてもいい所だ」
陽介は「そうか」と言って、少しうつむいた。
「どうかしたのか?」
「いや、何でもねぇ。……じゃあな、“相棒”」
「“相棒”か……。いいな、それ。じゃあ、また明日」
最後に二人で握手してから、別れて帰った。
【夜】
「悠。何かいいことあったのか?」
「花村から相棒って。何かいい感じでした」
「ーー? そうか」
堂島によると、その日の夜悠はずっとご機嫌だったらしい。
クマを無理矢理登場させました。そして無理矢理陽介に相棒と言わせました。
一応私なりに理由はございますので、物語的に「あ、仲良いなこの二人」とゲーム通り伝わりましたら大丈夫です。