ロキ・ファミリアに雄狐様を!   作:長月の辺

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5~7話と言ったな。あれは嘘だ。今日はここまで。


第四話

視線の先には泉水の採取に行っていたフィン達がいた。魔法で風を纏ったアイズに続いて皆一枚岩に向かい、芋虫たちを屠っている。手際の良さと服がボロボロのラウルを見るに、おそらくフィン達もこのモンスターに襲われたのだろう。

ティオナは大双刃(ウルガ)を手にしていないから、どうせフィンか誰かの制止も聞かずに攻撃して溶かしてしまったのだろう。

 

「フィン達が帰ってきた!魔導師達は私の下に集まれ!一斉に魔法を放つぞ!」

「よし、余ってる矢を放て!」

「これが最後です!?」

「構わん!わっちが保証する!」

 

運よく弓兵の放ったなけなしの矢は数匹の芋虫を落下させた。

その時、芋虫の群れに変化が生じる。一枚岩に向かっていた芋虫たちがアイズの方を向いて襲いかかる。しかし、ベート達がそこに入り込み、レフィーヤの魔法が炸裂すれば、案外簡単に列が崩れた。

 

「ねぇ、まだ武器あるー!?」

 

下から聞こえてきたのはティオナの声。二本の槍を注文してきた。サポーターが落としてやると、ティオナは笑みを浮かべながらそれらを掴み取る。

それからちょこまかと動いて、腐食液の同士討ちをさせた。そして生き残った奴の魔石を一突き。核を失ったモンスターは灰となる。

ティオナはそのまま溶けた槍をポイ捨て。守ろう、ダンジョンの自然環境。

 

少し離れたところにいるのはティオネなのだが……アイツ、ヤヴァい。

直接芋虫に手ェ突っ込んで全身に腐食液浴びながら魔石引きずり出してる。それを三回くらい続けてやってた。レフィーヤから万能薬(エリクサー)全身にぶっかけられて大丈夫みたいだけど、あれは痛そう。

耳と尻尾がゾクゾクしちゃう。これが恋?いいえ、恐怖です。

 

……あ、フィンが自分の腰巻をほぼ丸裸のティオネに差し出した。何だあれ?甘々じゃないか?くそっ、オチビの奴め……!わっちだって女の子にカッコイイことしてあげたい。

 

ベートやガレスも獅子奮迅というような働きをしている。ベートはあの面白ブーツでアイズの風を借りて芋虫を蹴り殺し、ガレスは戦斧で地面を抉って岩塊の散弾を放っている。

 

「【終末の前触れよ、白き雪よ。黄昏を前に(うず)を巻け】」

 

アイズ達が戦闘しているうちに、魔法を紡ぐリヴェリア率いる魔導師達。幾つもの魔力が連なり、魔法円(マジックサークル)が重なり合う。

 

「【閉ざされる光、凍てつく大地。吹雪け、三度の厳冬――我が名はアールヴ】!」

「みんな~、そろそろ退避して~!」

 

分かっているとは思うがアイズ達に警告する。アイズ達が戦闘を離脱したのを確認。

 

「よっし!皆さんドカンといっちゃって!!」

「【ウィン・フィンブルヴェトル】!!」

 

瞬間、氷雪、爆炎、轟雷の嵐が巻き起こる。芋虫たちは体液を飛び散らせて消滅していく。残党は半分もいないくらいか。これならアイズ達がすぐに殲滅してくれるだろう。

 

あれ、わっち最後何もしてなくない?見てただけじゃない?まあいいか、拠点に大きな被害はないし。

 

とはいえ、この拠点防衛戦で使った物資はかなりのものだ。遠征を続けることは不可能だろう。

 

「ふぅ……」

「お疲れ様です、副団長殿?」

「朱華か……お前も団員たちのためによくやってくれたな。おかげで最初の時以外の負傷者はあまりいないようだ」

「最後の方何もしてなかったけどねー」

「何を言うか。魔法を使いすぎたのではないか?数十人規模の支援魔法、範囲は狭いが高威力の攻撃魔法、そして付与魔法(エンチャント)と立て続けに使ったのだからな」

 

実際体に疼痛は走っているけれど、多分アイズの方がもっと体を酷使していると思う。高い【ステイタス】と若さに任せて無理をしているのだろう。

 

「いやいや、おじさんもまだ若い衆には負けられんよ」

「おじさんといった見た目ではないだろう?」

「お互いにな」

「それもそうか」

 

HAHAHAと二人で笑い合う。すんごいホンワカしてる。

そうこうしているうちにアイズ達は残りのモンスターの殲滅を終えたようだ。

 

「取り敢えず、面倒事はもうフィンに任せてしまおう。指揮ばかりしているのは疲れた」

「そうだな……」

 

それにしても、あのモンスターは一体何なんだ?下の階層から上がってきたのか、それともダンジョンが生んだ新種なのか……

 

物資の整理でも手伝うことにして歓喜しているサポーター達の方を向き、そちらに歩き出そうとすると。

 

「何だ、あれは……」

 

リヴェリアの思わず零れたような呟きが聞こえた。何かと思ってその翡翠色の瞳が見ている先へ視線を向ける。

 

その先には、先程の芋虫より悍ましいナニカがいた。

 

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