ロキ・ファミリアに雄狐様を!   作:長月の辺

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第九話

「フィン、明日は何時頃会議すんの?」

「そうだね。夜は遠征の後の宴だろうし、朝食を食べてからにしようか」

「りょーかい」

 

風呂場から出た後、フィンと今後について話しながら食堂で飯を食っていた。昔からの決まり事で、朝食と夕食はホームにいる奴全員で食べることになっている。

 

「しゅ~か~、極東の酒飲ませてくれ~」

「わしもそろそろ飲みたいのう」

「はいはい。ちょっと待っててくだしゃんせ」

 

飯を食べ終わってからロキとガレスに催促されて、酒を取りに部屋へ向かう。

わっちの部屋には、特にこれといったものはない。アイズたんの1/8サイズの人形(手製)とかアイズたんの肖像画とかアイズたんの成長記録とかそんなもんだ。

 

さっさと酒を持って食堂に戻ると、大体の奴らが飯を食い終えて部屋に帰っていた。ロキとガレスに加わってフィンも席にいた。

 

「やあ、お邪魔させてもらうよ」

「それが極東の酒か?どこから手に入れてくるんや?」

「それはロキには教えらんないな」

「美味い酒が飲めれば何でもいいわい。早う注いでくれ」

「ちょっとだけよ~」

 

ロキにこの酒の出所を教えるとわっちが怒られるからダメだ。別に独占してるわけじゃないけど、秘密にしておきたいというのもある。頑張れば見つけられないこともないしね。

4つのグラスにそれぞれ酒を注いでいき、軽くグラスを打ち合わせてから一口。

 

「ン……ああ~、コレだよコレ!数日ぶりの酒が美味い……」

「なんや果実酒みたいで美味いなあ」

「そうだね。香りもとても良くて味わい深い」

「うむ。これは銘酒じゃな」

「でしょでしょ?」

 

それから4人で美酒に舌鼓を打った。酒豪のガレスに大の酒好きのロキがいることもあり、酒の瓶は暫くして空になった。また買って来ようっと。

 

「ご馳走さん。そうや、朱華にはまだ伝えとらんかったな。今晩先着10人限定で【ステイタス】更新するでー。更新したかったら後でうちの部屋まで来てな」

「どうするんだい、朱華?」

「ん~……久しくやってないし更新してもらおうかなぁ」

「ならここいらでお開きとするかの」

 

そう言ってみんな席を立ち、それぞれの部屋に戻る。最初はお嬢なのは確定的に明らかだろうな。もう少し時間が経ってから行くことにした。

部屋に戻ってから寝巻用の浴衣に着替えてベッドでゴロゴロする。こうやってダラダラするのも久しぶりだ。寝転がりながら、今まで8年間続けていたアイズの成長記録を捲る。

 

「やっぱり成長早いねぇ」

 

昔を懐かしむ。アイズの教育係を頼まれてやっていた頃がつい最近のようにも、遙かに前のことのようにも思える。

 

「歳は取りたくないもんだ……って同じことばっかり言うのも年寄りの証拠だよなぁ」

 

物思いに耽っていたら意外と時間が経っていた。そろそろロキの部屋に向かわないと締切になってしまうかも。

部屋を出てから中央の塔へ繋がる渡り廊下を歩くと、向こうにアイズが女性専用の塔へ歩いているのがちらっと見えた。アイズが終わったばかりなら大丈夫だろう。

ロキの部屋は中央塔の最上階。随分面倒な場所にしたもんだと言っても仕方なし。黙って螺旋階段を上り、程なくして最上階に着く。ロキの部屋の前に立つ。

 

「ノックしてもしもお~~~し」

「入ってええよ~」

 

ノックをすると扉の向こうから声がかかったので扉を開けて中に入る。

ロキの部屋は物が多く、ひどく散らかっている。何とか【ステイタス】の更新を出来るくらいに空いたスペースには一脚の椅子が置いてある。

 

「いくら神でもお片付けしましょうね~」

「片付けは苦手なんや。それに、自分のモンは手の届くところに置いておきたいねん」

「モノグサ駄女神ここにあり、ってね」

「やかましいわ。はよ更新するで」

 

おっかさんに怒られて泣く泣く片付けをするロキの姿が目に浮かぶようだ。

わっちは浴衣を肌けて椅子に座る。アイズにも更新していたおかげで準備だけはバッチリのご様子。

 

「それにしても、男とは思えん程の柔肌やなぁ……久々に蹂躙しとうなるわ」

「もうおじさんは女の子の格好するのイヤイヤよ?」

「昔のアレは可愛かったな~!リヴェリアもじっくり見てた程やったんやで」

「記憶にございませ~ん」

 

昔話はさておき、座ったままロキに背を向ける。

 

「ほないくで」

「はいよ」

 

ロキがそう言ってから間も無く、背筋に濡れた指の感触。これは【ステイタス】にかけられた(ロック)を解くためのものだ。ロキが自身の血を使うことで背中の【ステイタス】が隠蔽できる。万が一の為に大体の冒険者が自らの主神にやってもらってるはず。

 

「【神聖文字(ヒエログリフ)】読める奴なんかそうはいないんだけどね」

「大方数字だけ分かるって感じやな」

 

それから、再び血に濡れたロキの指がわっちの背中に触れると、背中に血が染み込むような感覚。それから少しして、ロキが背中から指を離す。

 

「はいおしまい。今羊皮紙に写したるわ」

「ありがとさん。とりあえず【ステイタス】だけでいいよ」

 

神聖文字(ヒエログリフ)】は読めないこともないけど、はっきり読めるのは共通語(コイネー)なので訳して書いてもらう。浴衣を着直してる内にロキが作業を終えて羊皮紙を渡してくる。

 

「ほい」

 

渡された羊皮紙を見る。【ステイタス】は半年前からどれくらい伸びたかな?

 

 

クズハ・朱華

Lv.6

力:C687→691

耐久:D526→D527

器用:B735→B742

敏捷:A850→A858

魔力:A848→A855

狩人:C

耐異常:E

精癒:D

魔導:E

 

 

「半年やってこれくらいなら上等かな」

「自分も頭打ちって感じやね」

「ってことはアイズも?」

「せや。もうランクアップを考え始めとるやろなあ」

 

アイズももうLv.6になろうっていうのか。

わっちは気長にやるつもりだけど、正直アイズが何処で無茶をするか分からない。わっちがちゃんと見守ってなきゃだな。

 

「アイズのこと、よろしゅうな」

「言われなくとも」

 

少しだけ微笑んで頼み事をするロキに返事をしてロキの部屋を後にした。

螺旋階段を下りて男性用の塔の自室に向かった。途中で誰とも会うことはなく、すぐに部屋に着いた。

ベッドにダイブして目を閉じる。今日は明日に備えてゆっくり寝よう。

海底に沈むように、ゆっくりと意識が落ちていった。

 

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