いじめられることが嫌だ。しかし反論も抵抗もできない。そんな生活に奏太は嫌気が差していた。
週末のある日、家でふとテレビを見ているといじめに耐えきれず自殺した女子高校生のことが報じられていた。奏太が何度しようと思ってもできなかったこと。それが「死」。死ぬことでいじめから逃げようとしたが彼にはそんな勇気はどこにもなかった。
奏太は自分と同じようにいじめられたその少女のことが気になりインターネットで調べていた。彼女は4人から酷いいじめを受けており、学校はそれを把握できていなかった。プライドが強かったため周囲にいじめを受けていることを知られたくなかった。そのため1人で苦しみついには命を絶ってしまったのだ。調べていけばどんどん自分と似ている環境にいることが分かっていく。奏太は強く同情した。しかし自分が可哀想だとクラスメートから言われたときに同情されるだけでも嫌だったことを思い出し罪悪感を覚えた。
ふと気になったのはいじめていた4人はどうなったかということだ。人を殺したにも等しいことをして同じように学校に通えるはずがない。周りからも白い目で見られるはずだ。被害者の家族はどうなのだろう。彼女の友達の思いは?次々と湧いてくる疑問に奏太は混乱していた。
奏太は気になったことはとことん納得するまで調べる性格だ。まずいじめていた4人について調べた。
被害者の女子生徒の名前は朱莉という。朱莉は友達が少ないわけではなかった。彼女の周りが変わったのは両親が離婚し父親が変わって苗字が変わったことにあった。離婚で子供の苗字が変わることなんて今時珍しいことではないが子供にとっては大きな変化には違いない。ましてや思春期の女子生徒にとっては心に大きな何かがあったのだろう。
苗字が変わったことでいじめにあうなんてそんな理不尽な話はない。そもそも「いじめ」自体理不尽なのだから理由など関係ない。
いじめていた4人はインターネット調べると名前まで載っていた。名前まで載せていいのだろうか。(今のネット情報網にはいつも驚かされる)主犯の河口美香は高校を辞め東京から家族全員引っ越したそうだ。(ネットには四国か九州のどこかと記載されていた)他の3人も全員学校を辞めており引っ越したか児童施設に入ったという情報が載せらていた。裁判も行われ賠償金が請求されるとのことだった。いじめた4人は少なくともいい目にはあっていないということだった。奏太にはこの事実が朱莉の復讐のように見えていた。