もしも、カルナさんが家族に恵まれていたら   作:半月

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断章をUPできて、そこそこ小出しにしてきた情報をまとめる必要があるかなと思いまして。
物語の語り部たるアディティナンダ【俺/ワタシ】に関する設定をまとめました。
以前UPしていた文に加筆修正を行ったものです。


Character material①

■アディティナンダ(ロティカ/タパティー)

 

 …カルナの父方の血族(本人自称)。

 カルナの兄にあたり、本来ならば天上界にいるべき存在であると本人は己を定義している。

 

 カルナが川に流されて暫くもしない内に、境遇を哀れんだ太陽神であるスーリヤの手で地上へと送り込まれ、影でその成長を見守っていた*1

 

 かなり高位の神格を所持しているが、様々な事情で地上に堕ちた際に、人間の器に無理に押し込まれたため*2、様々な能力及びスキルがランクダウン。カルナさんの能力が戦闘力に全振りされているのであれば、この人はガッチガチの非戦闘民。身体能力は高くとも、戦う術を身に付けていない。基本、正面切っては戦えないし、英雄クラスの実力者相手なら人間相手にも負ける。が、太陽神の影響で戦車の運転だけは上手。

 

 カルナさんを探すための放浪中に天女(アプサラス)に惚れられたものの一蹴した事で*3、「(異性を)誰も誘惑できないように」という理由で呪いを受けてしまった。*4

 

 諸事情より末の息子たるカルナさんのために用意された存在であるため、行動の第一義は弟。

 自らへ向けられる悪意や攻撃は基本的にどうでもいいし、その瞬間こそ怒ってもすぐ忘れる。

 弟へと向けられる暴言にも腹立たしさこそあっても、まあ半分くらいはカルナの自業自得なところもあるので報復には走らない。ただ、その意思を誰よりも尊重しているので、それを無理くり捻じ曲げるような真似だけはやめてほしい。最近*5、そこにドゥリーヨダナが加わった。

 

 因みにアディティナンダというのはサンスクリット語で『太陽の息子』、ロティカは『太陽』。タパティーは神話に語られるスーリヤの娘である女神の名前*6を借用したものである。なお、そのいずれも()()()()()()

 

 本性は形持たぬ神。質量を得るほどの光と熱の集合体であるため、意思持つ宝具であるウルクの泥人形よろしく性別を持たぬ存在……の表層意識が、語り部たる俺:アディティナンダ。そのため、雌雄どちらの性別を模したところで生殖機能はない。異性に対する魅了特攻を誇る天女の誘惑を一蹴できたのも、本人が肉欲とは無縁の存在であったことが大きい。そんな彼がカルナの兄を名乗るのは、男の方が古代の人間社会において都合がいいから、その一点に尽きる。

 

 天敵はヴィシュヌの化身たるクリシュナ。共に人間を愛し、地上を愛し、その中でも特に唯一無二の存在としてカルナ(アルジュナ)を大切にしているが、致命的なところで考え方に差異がある。いわゆる同族嫌悪*7

 神格という点なら、純粋な神霊である分、アディティナンダの方が上。しかし、正面から戦えば秒殺されるレベルで力の差がある。かといって、下手にトドメを刺すと、小規模でも国の二つか三つが焦土と化すだけの被害が予期されるので、暗黙のうちに不戦協定を結んでいる。

 

 ――両手両足につけた金環は、四つで一つの神宝。

 形持たぬ神であるアディティナンダを、人の形に押し込める枷としての役割を担っている。

 同じ材料で造られたカルナの鎧の対になるような性能をもち、あちらが物理攻撃への防御特化であれば、こちらは非物理攻撃(呪いや災難)に対する鉄壁の防御を誇る。怪我を自然治癒する機能も付いているが、あくまでも副次的な機能に過ぎない。

 

 ただし、鎧同様に一定レベル以上の呪詛の場合、金環の力では遮断できない。

 とはいえ、アディティナンダ自体が人形(=呪詛の形代)としての性能を持っているため、自分以外の誰か(=主にカルナ)にかけられた呪いを自身に転写し、金環の力でそれを封じ込めることが可能。ただし、これはアディティナンダの性能と金環の力で封じ込めているだけなので、封じた呪いが消失するわけではないので要注意。

 

 封印具として用いるには、四つ全てが必要となるが、単一でも効力を発揮。神の血を引く者、あるいはそれに準ずるだけの神秘(=魔物など)が持てば、全ステータスの向上、幸運値アップ、呪詛の遮断、自動治癒効果を。そうでは無い者(=ただの人間)が所有した場合、最初は幸運を運んでくれる呪いのホープダイヤ的な事故物件と化し、最終的には、死に至らしめる。とはいえ、抜け道はあり、身に付けるのではなく側に置く程度であれば、魔除けや災難よけになったりする点では鎧よりも汎用が効くアイテムである。

 

これまでに発覚したスキル

 

・蠱惑の魔声

 …『魅惑の美声』の上位互換。同性・異性、人外問わずに効く。意志が強ければ遮断は可能。

 というより、人間の持つ意志を本人が尊重しているため、無意識にセーブを掛けている感じ。

 

・神変万化

 …男から女に、女から男に。神から人に、人から神に。定まらぬ形故に何者にもなれる。

 これの応用で、体の一部を他の形(例:髪で造った使い魔としての小鳥)にすることも可能。

 

・魔力放出(炎)

 …非戦闘民故に戦闘よりも日常生活に使用する。火種がない時に超便利とは本人談。

 因みに、アルジュナの最初の修行は、魔力放出(雷)で薪に火をつけることだった。

 

・炎神の眼(疑)

 …目に見える形での偽り、幻術や幻惑、変装を見破る。審判神としてのスーリヤ所以の能力。

 ただし、カルナさんとは違い、言葉による偽りや虚実の類は見破れない。

 

・神の形代

 …自分以外(主にカルナ)にかけられたあらゆる呪い(デバフ)を自分に封じ込める能力。

 金環で遮断できないレベルの呪いに対して用いられる最終手段。

 

■ワタシ:アディティナンダ

 …物語の語り部たる俺:アディティナンダの奥底で揺蕩う深層意識。俺:アディティナンダが、ワタシの動向を把握できないのは、ワタシ:アディティナンダの方が上位人格であるため。例えるのであれば、アディティナンダはお菓子の包装紙。神としての本性=ワタシ:アディティナンダは包み紙の中のお菓子である。

 

 ――本来、捨て子たるカルナを拾いに最初に地上に降臨したのは、こっちの人格*8。ただ、人々を翻弄する者、荒ぶる天災としての自然神の性質上、幼少カルナと接触することには成功したものの、色々あって幼少カルナのことを傷つけてしまう。

 

 神霊としては吃驚する程に良心的な為、その反省と後悔から、己の有する神としての資質の大部分を封じ込めてもう一つの人格を生み出した。それこそが俺:アディティナンダである。ワタシが神としての性質をほぼ封じ込め、自らを意識の奥底に閉じ込めたため、多少人外的な要素を残しつつも、俺:アディティナンダという矛盾した神霊(クリシュナ曰く事故物件)が誕生してしまった。

 

 因みに、俺:アディティナンダが全ての金環を失えば、全ての楔から解放されたワタシが完全な神霊として覚醒する=覚醒の余波で一国に値する領土が消し飛ぶ=俺:アディティナンダはついでに消滅する、という太陽の熱に耐えられるだけの防御力を誇る鎧を纏ったカルナくらいしか生き残れない惨状が生まれる。もちろん、任意で引き起こすことも可能。

 

 俺:アディティナンダがカルナやドゥリーヨダナとの交流を通じて人間的な情緒を育んだ事はワタシ:アディティナンダにも影響しているが、それでも、本来『■・■■■■』と呼ばれる存在の持つ神としての性質を一手に担っているため、思考はより人外的。カルナやドゥリーヨダナへの情を語ったその口で二人の死を招くことを平然と提案し、魂さえ残っていれば問題ないと断言するところはまさに神々の屁理屈。それでも本人が語っているように、よほどのことがない限りは彼らの意思を尊重する分、他のインド神霊に比べるとまだマシ。

 

 神々の大いなる陰謀への邪魔立てはその必要性を理解している故に邪魔はしないが、その勝者は何もパーンダヴァ側でなくても良いと考えている時点で十分に異端。それ故に『出来損ないの人形』と罵倒されても致し方のない暴挙をしでかしている。とはいえ、彼あるいは彼女の目的は神々のそれとはまた別にあるため、それもまた致し方のないことである。

 

 俺:アディティナンダ以上に一歩どころか百万歩ほど離れた位置から人間社会を傍観しているが、それでもカルナやドゥリーヨダナを特別視している。二人が望めばどんな願いだって叶えてやるつもりだが、肝心のカルナが無欲にすぎ、その主君であるドゥリーヨダナは神を嫌っているので、そう意味で頼られることは(ワタシ:アディティナンダにとっては心持ち残念なことに)ない。そして、この度断章に於いて、他の神々共々、自らにも誓約という名の枷を課しており、そういう意味での助力は今後一切発生しないことが決定した。

 

 

これまでに発覚したスキル

 

・絶佳の魔声

 …『魅惑の美声』の上位互換である『蠱惑の魔声』のセーブが外された状態。

 その気にならずとも、囁き一つで脆弱な人間の精神を崩壊させることのできる神の言霊。

 後述する『炎神の眼』と組み合わせれば、半神の精神も崩壊させられる(第五特異点ネタでユディシュティラに使用)。

 

・魔力放出(太陽)

…四肢の金環の封印を解除することで我が身を依代に太陽をその場に降臨させる(自爆)技。

 原初の女神ですら耐えれない高熱故に、巻き込まれた物・場所、神問わずに一切が焼却する。

 正直、攻撃対象よりも、巻き込まれる周囲の被害が甚大なことになるので、インドラ/クリシュナも下手に手出しできないという点で、傍迷惑な特攻である。

 

・炎神の眼(真)

…目に見える形での偽り、幻術や幻惑、変装を見破り、対象の犯した罪を見抜く。審判神としてのスーリヤ所以の能力。

視認した者が過去に犯した罪を暴くことができるので、上述の魔声スキルを併用すれば半神相手でも精神崩壊を引き起こす。

 

・日輪の祝福

…万物の庇護者としての太陽神の性質を体現するスキル。本編ではドゥリーヨダナに使用。

状況に応じてご利益の内容は使い分けることが可能だが、一度に一つしか祝福を与えられない。その儚くも強靭なその精神が誰にも歪められることのないように、という祝福を授けたが、その分、以降のドゥリーヨダナは誰にも自らの責任を押し付けることはできなくなった。

*1
と、本人は認識しているが、実際のところは少々異なる。カルナと暮らすようになるまでの彼の記憶はところどころ改竄されている

*2
神々により様々な制約が設けられている

*3
とはいえ、インドラの命令で送り込まれた天女であったため、彼女が真実、惚れていたかは不明

*4
因みに、この呪いの意図するところはアディティナンダの弱体化であったと本人は推測しており、インドラもそれを否定しない

*5
といっても第三章以降だが

*6
因みに、クル王国の御先祖様

*7
表現方法が異なるだけで根底は同じなので、断章①でアディティナンダが口にした通り「お互いの中身の腐り具合なら、団栗の背比べもいいところ」。

*8
現在未掲載のIFルートのシムランがワタシよりな性格なのはそのためだったりする




いやあ、設定考えるのって楽しいね!(本編進めなきゃ……!)

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