「提督さん!演習終わったっぽい!」
「終わったか。結果はどうだった?まぁ聞くまでもないか」
「もちろん、全員潰してきたっぽい〜!」
「分かった。とりあえず補給してこい」
「分かったっぽい!」
とある場所にある鎮守府。そこには一人の提督と一人の艦娘しかいなかった。二人だけで鎮守府内のあらゆる作業を平行運用し、周辺の深海棲艦の殲滅や、補給線の確保、更には遠征など物資の輸送も全て二人だけで行っていた。
「次は何をするっぽい?」
「しばらくは休みだ。飯作ってあるからそれ食べておけ。午後からはまた戦闘があるだろ?」
「提督さんのご飯は美味しいっぽい!」
「……また面倒なこと押し付けやがって。一回向こうに行くか?」
「何かあったっぽい?」
「まーた深海棲艦うんたらで『敵勢力を撃滅せよ』だ。今月入って何度目だ?上は無能しか揃ってねえのか」
「毎日二回出撃してたからこれで40回位っぽい」
「他の連中に聞いてみろ、週に二、三回出撃できれば良い方って言うぞ」
「やっぱり仕事押し付けられてるっぽい?」
「あぁ、大本営に殴り込みかけた方がいいな」
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「さっさと起きろ馬鹿犬」
「ぽいぃ?!」
いつまでも惰眠を貪ってる夕立の頭を掴み激しく揺らす。当然そんな状態で寝られるわけもなく、一気に眠りから覚醒した夕立が悲鳴をあげた。
「目ぇ醒めたか?」
「醒めたから離してっぽいぃぃぃ!」
ふんっ、と投げるように離すと目を回した夕立がベッドに倒れこんだ。ここでは人数が極端に少なすぎるためほとんどの物を共有しなければならなかった。勿論ベッドもそうだった。夕立が起きたことを確認し、部屋を出て多目的室に向かう。ここにおおよそ日常生活で使う物の大半があった。奥に設置されたキッチンで朝食を作る。今日は簡単にフルーツサンドにしておく。
「おはよーっぽい……」
「さっさと顔洗ってこい」
目を擦りながら入ってきた夕立に指示を飛ばしつつテーブルに配膳する。顔を洗って戻ってきた夕立と席に着き朝食を食べ始めた。
「今日はどうするっぽい?」
「今日も今日とてやることは同じだ。深海棲艦をぶっ殺して、書類まとめて、飯食って寝る。以上」
「もう何ヶ月も同じこと聞いてるっぽい」
「仕方ねぇだろ、上の指示だ。近いうち殴り込むが今は黙って言うこと聞いておけ」
「分かったっぽい」
「先行ってるぞ、飯食ったらこっち来い」
食器洗浄機に皿を入れて執務室に戻る。書類はあらかた纏めておいたのできょうは特にここでやることはないだろう。しばらく椅子に座って待っていると夕立が入って来た。
「到着っぽい」
「そんじゃ、ミーティングだ」
そう言って夕立が対面に座ると真面目な表情になり言った。
「深海棲艦は」
「ぶっ殺すっぽい!」
「味方艦娘からの援護は」
「受けずとも任務完遂っぽい!」
「俺の言うことは」
「絶対っぽい!」
「死にそうになったら」
「敵を殺して生き残るっぽい!」
「おっけ、そんじゃ作戦だ。敵を見つけたら撃て。撃たれたら避けて撃ちかえせ」
「了解っぽい!」
ずいぶん殺伐とした空気が執務室内に流れていたがこれがいつものこの二人の認識だった。自分たち以外にはとことん容赦のない二人であった。