猛龍過江 WAY OF THE DRAGON 作:宝蔵院 胤舜
今見れば、内容的に不充分だったり、少々情報不足の感は否めませんが、あえてほぼ1998年当時のまま掲載する事にしました。
今の私には、ここまでバッサリとまとめられない(笑)。
特別付録
『猛龍過江』武術用語解説集
この中で解説されている用語は、全て実際の名称であり、これらの用語を正しく他人に説明出来れば、格闘技通だと思ってもらえるかも知れない。
『猛龍過江』本文中の武術用語解説
<ジャッキー=ブライアントの技術用語>
●截拳道 ― ジークンドー。日本語読みはせっけんどう。武術家であり、俳優でもあったブルース=リーが創始した格闘理念。ブルース=リーは、南拳の一派である詠春拳をベースに、ボクシング、ムエタイ、テコンドー等を研究して現在の形に作り上げた。「V.F」のゲーム攻略本の説明も参照の事。
●ジークンドーテクニック
○タンサオ ― 掌を上に向けて相手の攻撃を外へ払う防御。
○ビルサオ ― 掌を下に向けて相手の攻撃を外へ払う防御。
○ジャッサオ ― 中段攻撃を下へ押さえる防御。
○ワンパクサオ ― 相手の攻撃を自分の肩ごしに払い流す防御。
○ラプサオ ― 相手の腕を引っ掛けて引き込む動作。
○チュンチョイ ― 拳を縦にして放つストレート・パンチ。
○ピンチョイ ― 拳を横にして放つストレート・パンチ。
○ノウチョイ ― 横打。ボクシングでいうフック。
○ジャン・ダ ― 肘打ち。→Pで出る技。
○ジクテック ― 前蹴り。↓K。ゲームではトーキック
○ジャクテック ― 横蹴り。↘K
○ノウテック ― 回し蹴り。Kで出る。
○ジュンソーテック ― 後ろ回し蹴り。ダブルスピニングの二発目。
○ジクダムテック ― 斧刃脚。踏みつけ蹴り。
○ジー・ジャクテック ― 横蹴りで相手の蹴り足を押えるテクニック。
●ヌンチャク テクニック
○羅通掃北 ― 体を回転させつつヌンチャクで水平に薙ぎ払う打ち方。
○蘇泰背剣 ― 肩に担ぐ様な構えから振り降ろす、一般的にも良く知られる技。
○雪花盖頂 ― 顔の高さで水平に振ってから、斜め下に切り降ろす技。
<結城 晶の技術解説>
●八極拳 ― 滄州回族の呉鐘を開祖とする、接近単打を得意とする一派。『拳児』で一躍有名になった。日本にも各派の八極が伝えられているが、晶の使う八極は、李書文系と呉氏の技術がミックスされて使われている様だ。ゲーム攻略本に「八極には投げが無い」と解説されていたが、それは全くの誤解。
●八極各派のごく簡単な説明
○呉氏 ― 正式には呉氏開門。六大八招(六大開・八大招)を中核とした柔らかい動きが特徴。
○李書文系 ― その名の通り。『拳児』の八極はこれ。李書文晩年の技術で、劉雲樵が台湾で伝承を守っていた。台湾系とも。動きは硬い。
○東北系 ― 長春系とも。李書文の初期の弟子、霍殿閣が伝えた系統。動作は比較的呉氏に近い。
●晶の八極テクニック
○上歩掌 ― 中段(主に)への順足(例えば右足前の右手)の突き。ゲームでは「猛虎」と呼ばれているものと同じ。衝拳も同じこと。
○向捶 ― 肘ブロックと同時に逆突きをする技。ブロックの肘で攻撃にも行ける。
○降龍 ― 中国式アッパー。ゲームの「揚砲」のモーションは、この技に近い。
○冲天衝 ― 俗に言う「揚砲」。発力は順足。
○劈掌・掛掌 ― 劈は振り降ろす、掛は振り上げる技。セットで使う事が多い。
○抱提 ― 八極式膝蹴り。独歩頂膝の様に飛び上がる事は無い。
○両儀頂 ― ゲームでいう裡門頂肘。
○跪膝 ― 下段を狙う突き。片膝を地面に着けるほど低く行う(套路の上では)。
○雲手 ― 化勁を用いるさばき技。太極拳にも同様の技がある。
○鷂子穿林 ― ゲームの通りの技。
○上歩衝靠 ― ゲームの外門技の一つ。呉氏の動きに似ている。
○心意把 ― 嵩山少林寺に伝わる秘伝技法。呉氏には羊低頭という、多少似た技がある。
○斜胯 ― 足と腕とで相手を崩す技。腕で打ったり、靠したり、と応用の幅が広い。
○抽別子 ― 足を刈りながら、背中を打ち、地面に打ち倒す投げ技。
○翻胯 ― 胯関節を閉じる動作を用いて相手を崩す投げ技。体の急激なひねりを使う。
○大鵬展翅 ― 鷂子穿林の要領ですれ違いつつ足を払い、同時に背を打つ、崩し技。
○獅子小張口 ― 肘関節を極める技。
○打開 ― ゲームの崩拳に当る技。
○六肘頭 ― 突きと受けの練習をする対練套路(二人で行う形)。
○斧刃脚 ― ジャッキーに同じ。
○猛虎爬山 ― 相手の突きを払い落とす技。
●ガタイのいい白人の台湾系の八極テクニック
○冲捶 ― 順足の中段突き。
○寸捶 ― 冲捶を寸勁で連打する技。
○欄捶 ― 斜め前に踏み込みつつの順突き。
○崩捶 ― 裏拳。
○通天炮 ― 揚砲と同じ。
○鉄山靠 ― 御存知ですね。
○猛虎硬爬山 ― 説明不要ですね。
○閻王三点手 ― 三連続の目突き。八大招式の一つ。
○トン捶 ― 腕を一本の棒の様にして用いる寸勁。
●黒人の跆拳道(テコンドー)のテクニック
○アプチャギ ― 前蹴り。ジャッキーのジクテックに同じ。
○ヨプチャギ ― 横蹴り。ジャッキーのジャクテックに同じ。
○トルリョチャギ ― 回し蹴り。ジャッキーのノウテックに同じ。
○ヨプフリギ ― かけ蹴り。足を一度前に蹴り上げてから、後ろ回し蹴りの要領で蹴る。
○ティッチャギ ― 後ろ蹴り。サラのドラゴンキックに似る。
○ティフリギ ― 後ろ回し蹴り。ジャッキーのジュンソーテックと同じ。
●黒人のカポエィラのテクニック
○メイアルーア ― 後ろ回し蹴り。
○ハスティーラ ― 足払い。中国武術の後掃腿に似る。
○エスドブラード ― カポエィラ独特の蹴り技。一度地面すれすれに低い突き蹴りを出し、そこから足を返してバク転をしつつ上段の蹴りを放つ。足の動きがSの字を描くように動くところから、エス・ドブラード(ダブル)と言われる。左右の足で蹴りを放つので、ダブル。
●背の高い白人の蟷螂拳のテクニック
○蟷螂捕蝉式 ― リオンの立ちポーズ。あの腰の低さは基本的に表演用武術のもの。なおこの姿勢の時の手の形は蟷螂勾手。以前これを「七手」と言っていた人がいたが、これは間違い。
○箭疾歩 ― この技は、松田隆智氏が著書で「蘇昱彰が実戦で使用した」と書いたものと、最近の『武術』誌で松田氏が実演したもの以外に資料が無く、その実態は極めてあいまいである。
○三才歩 ― 本文中では晶が使っていた、中国武術では一般的なさばきの歩法。
○連三捶 ― 弓歩で、順突き、逆突き、順突きの三連打を放つ技。
○八翻錘 ― 半歩前進しつつ左右連打を放つ技。
○圓捶穿心捶 ― 左右のフックと崩捶のコンビネーション。
○流星趕月 ― 右突き―左突き―膝蹴り―中段右―裏拳左―裏拳右―右前蹴りという上下に揺さぶるコンビネーション。
○五打連環劈 ― 右手で上下左右に打ち分ける技。
○三錘 ― 弓歩で左右上段―決めは真帆中段。この技を、武田鉄矢が『刑事物語2』で見せた。
○破刀手揪腿 ― リオンのPG投げ。
○大展拍 ― 相手の懐に入り込んで、腕と脚で相手を挟み込むようにして投げる技。
○蟷螂勾手 ― 既出。リオンの手の形。これで相手の攻撃を引っ掛け封じたりする。
ちなみに、蟷螂拳の技は、秘門、太極各派の蟷螂拳から抜粋している。
●その他流派等の説明
○洪家拳 ― 福建の洪煕官が創始したとの伝説がある。腕を大きく長く使う技が多く、足技は比較的少ない。よく香港カンフー物で見る、人差し指を立てた掌を突き出し力む姿は、この拳法から来ている。虎鶴双形拳は、洪家拳の套路の一つ。
○秘宗拳 ― 滄州の著名な流派で、別名を迷踪芸、または燕青拳とも言う。独特の歩法を持ち、上下の転身も素早い。精武館の霍元甲の武術としても有名。『ドラゴン怒りの鉄拳』(ブルース=リー)も参照の事。
○蟷螂拳 ― 王郎が、カマキリがセミを捕える様を見て編み出した、と伝説に謳われる拳法。リオンの蟷螂拳の動きはいまいち流派の特徴を出し切れていないようである。『少林寺』『少林寺2』『阿羅漢』でリー=リンチェイの先生役で出ている于海の蟷螂拳は一見の価値あり。
○跆拳道 ― テコンドー。韓国の古来の格闘技、ファランドウ(花郎道)等をベースに、空手の技術を研究してまとめ上げた近代格闘技。その蹴り技の多彩さは様々な格闘技の中でも群を抜いている。その動きは『鉄拳3』のファランを参照の事。
○カポエィラ ― ブラジルがポルトガルの植民地だった時代に、黒人奴隷が手枷を着けられたままでも闘える様に編み出された、という伝説を持つ。蹴り技中心で、逆立ちをして行う技も多い。その動きは『鉄拳3』のエディ=ゴールドを参照の事。