バカと恋と何気ない日常   作:バンっち

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第6問 FFF団と作戦とモテる方法(前編)

「最近、他のクラスでは次々とカップルが成立していると聞く」

「何故だっ!?俺は彼女ができる気配が一向にないというのに!」

「ちくしょう、羨ま……じゃなかった、けしからんな」

 

Fクラスの教室の中は、いつものように騒がしかった。

 

須川君たちが集まって、何やら話し合いをしている。

 

 

「あいつらまたやってるな」

「こればかりは嘆いてもどうにもならないじゃろう」

「…………やかましい」

 

雄二たちが僕のところにやってきた。

 

確かに須川君たちの悩みは絶対に解決しないだろう。

Fクラスといえばテストの点数は当然最下位層であり、Eクラスのように部活で際立った成績を残している訳でもない。

女の子からモテる要素などまったく見当たらない。

FFF団のメンバーたちも僕みたいに誰かと付き合うとか、その手のことを半ば諦めている状態であれば気楽になれるだろうにね。

 

 

「おい、吉井たちも話し合いに参加しろ。どうやったらモテるようになるのか、知恵を出し合うのだ」

「いや、僕は別にいいよ……」

「俺らが話し合ったところで、良い案が浮かぶ訳ないだろ」

「…………時間の無駄」

 

雄二たちもどうやら僕と同じ意見のようだ。

 

「まあ、そうだな。お前らはFクラスの中でも、モテない男代表格のような存在だからな」

「確かにこの手のことは何もわからなさそうだな」

「こいつらに彼女ができるなんて、10月の文月学園に雪が降ることよりありえないからな」

 

むっ、何て酷い言われ様だ。

しかも、よりにもよってFFF団に言われているから、無性に腹が立ってくる。

 

「てめぇら、言ってくれるじゃねぇか」

「…………引き下がったら、男が廃る」

 

それを聞いた須川君は、ニヤリと不敵な笑みを浮かべた。

 

「我が同士よ、最初から素直になっていればよかったのだ」

「お主ら、それで良いのかのう……」

 

 

こうして、僕たちは話し合いに参加することになった。

上手く口車に乗せられた感じがするけど、気にしないでおこう。

 

 

 

「で、吉井たちは何か良い案は思いつくか?」

「うーん……」

 

勢いで参加はしたものの、女の子にモテる方法など検討もつかない。

そんな方法をしっていたら、とっくの昔に実践しているだろうし。

 

 

「坂本は思いつかないのか?試召戦争のときは頭がキレるというのに」

「うるせぇな。ああいうのは理詰めでなんとかなるが、今回の問題はそうもいかねえだろ」

 

いつもはどんなに不利な状況でもその頭脳で覆してしまう雄二であったが、さすがにモテる方法はわからないか。

 

 

「……雄二はモテる必要はない」

「翔子!?一体どこから湧いてきた!?」

 

いつの間にか雄二の隣に霧島さんが座っていた。

もはや神出鬼没というレベルを超えていて、最近不気味にさえ思えてくる。

 

 

「……雄二には私がいるから」

「おい、訳のわからんことを言うな!あと、ここでは控えてくれないと困るんだよ!」

 

顔をほのかに赤く染めている霧島さんの姿を見て、雄二は困惑している。

何故なら、FFF団の目の前でこのような状況を作り出すことは、全身に牛肉をぶら下げてライオンのいる檻に飛び込むぐらい危険なことであるからだ。

嫉妬で怒り狂った挙句に雄二を磔にするに違いない。

 

 

「坂本、貴様この場でイチャイチャするとはいい度胸だな」

「しかも相手はあの霧島さんだとは……」

「羨ま……じゃなかった、けしからんな」

 

「お、落ち着け!俺と翔子はお前らが考えているような関係では……」

「……雄二、酷い。あんなに愛し合ったのに」

「翔子はこの期に及んで大嘘ついてるんじゃねぇ!」

「「「裏切り者には死を!!!」」」

 

やっぱりこうなったか。

まあ、この状況で一人イチャついてたらどうなるかは予想がつく。

 

 

「お前ら落ち着け!!」

「す、須川会長!どうかしたんですか!?」

「一刻も早く坂本を八つ裂きにせねば……」

 

相変わらずさらっと恐ろしいことを口に出す連中だなぁ。

 

それにしても須川君はこういうときに真っ先に処刑に取り掛かるのに、一体どうしたんだろう。

 

「いいか、俺らは今異性にモテる方法を模索している。そして、不本意ながら坂本は霧島に好かれていることは明白だ」

「だからこそ裏切り者を処罰しないと」

「そうじゃない、ここは一旦坂本が好かれている理由を探るのだ。何故高嶺の花の霧島が、野蛮人・坂本に惹かれているのかを」

「そうか、坂本のどこが好きなのかを聞き出して、俺らも実践すれば良いということだな。あのゴリラでさえ成功しているのだから、俺らにできないはずはないっ!」

「そういうことだ」

「てめぇら、言いたい放題か。後で覚えておけよ」

 

須川君たちは張り切っているけれど、雄二の真似なんかして大丈夫なのかな。

あの二人に関しては関係が特殊そうで、僕たちが実践しても上手くいくとは思えないけど。

 

 

「という訳で霧島、坂本のことが好きなんだよな?」

「……うん。結婚したいぐらい、好き」

 

霧島さんは幸せそうな表情をして、少し俯いている。

ここまで想われているだなんて、何だか僕も発狂しそうになってきた。

 

「くそう、坂本め……」

「横溝、落ち着け。今は坂本が霧島をたぶらかした方法を探るのだ」

「おい須川、人聞きの悪いこと言うな」

 

「霧島は坂本のどこが好きなんだ?」

「……たくさんありすぎて、聞かれると困る」

「何だこれ!!新手の拷問か!?」

 

大勢の前でこんな質問されたら、恥ずかしいに決まっているよね。

雄二が少しだけ可哀想になってきた。

 

「……顔も体つきも、声だって大好き」

「もう嫌だ……」

 

いろんな意味で公開処刑を受けている雄二は、既に憔悴しきっている様子だ。

 

 

「なるほど、坂本死ね……と」

「呪呪呪呪呪呪呪」

 

そんなことをメモして、一体何のためになるんだろう。

 

 

「先天的な要素だと、俺らにはどうしようもないな。他にはどういうところが好きなんだ?」

「……あとは、優しいところ」

 

雄二が優しいだって?

普段の様子を見ていると、血も涙もなくて冷徹の集合体のような存在だと思うけど……。

 

「……雄二はあのときから、私をいつも助けてくれる。頼りになって、本当に格好良い」

 

あの霧島さんにここまで言わせるだなんて、雄二はどんな手法を使ったんだろう。

 

 

「そうか、優しい男は良い男なんだな」

「よし、俺は早速女子に優しさを見せてくるぜ」

 

 

 

「んしょ……よいしょ……」

 

ふと廊下を見てみると、姫路さんがたくさんのノートを両手に抱えて歩いていた。

今日の宿題を職員室にでも運んでいるのだろう。

 

「おっ、姫路が重いものを持っているな。よし、手伝って優しさを見せてくるぜ」

 

 

横溝君はやる気満々だ。

大丈夫かなぁ……。

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