モンハン世界にINしたアルトリアさん   作:エドレア

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与太話
ババコンガ「うーん…」
ドスイーオス「珍しいな、アンタが考え込んでるなんて。なんかあったのか?」
ババコンガ「大したことじゃないよ。ただキノコが見付かんなくてねぇ。あれ雨降った後じゃないとあんまり見付からないからさ、最近見付けられなくて困ってるんだよ。前は探すつもり無くてもその辺歩いてるだけで手に入ったんだけど今じゃ根気よく探さないと見付からなくてね。その割りにあんま採れないから労力と報酬が釣り合わないんだよ…」
レイア「あらちょうど良かったわね。これ持ってきて正解みたい」
ババコンガ「これは…!あのピリッとくる黄色いやつ…!え、なんで君が持ってるの!?」
レイア「うちの巣にたまたま生えてたのよ。おっきくて邪魔だしこういうの貴方が好んで食べてたの思い出したから持ってきたの」
ババコンガ「ありがたい!これだけ量があれば子分にもお裾分けできるよ!いや、ホント助かった!」
ドスイーオス「良かったじゃねぇか。しっかし雨が降らねぇのはどうにもなんねぇなぁ。これぱっかりはお天道様のお恵みに期待するしかねぇか」

平和な三人だけど今回は伏線回…というよりは準備回かな。いろいろな。なのでちょっと短いです。


act-9 嵐の前の静けさ

「アルトリアさん、顔色が優れないのニャ。やっぱり気にしてるのかニャ?」

「…確かに気にならないと言えば嘘になります。ただ私が気にしてるのはもう少し別の事です」

「救えなかった事とは別の事…?」

「貴方達が気にする事ではありませんよ。極めて個人的な物です」

 

 恐暴竜を討伐し生き残りのアイルー達を集落に連れ帰った後。アルトリアはあの謎の矢について考えていた。

 

(英霊が放つような神秘の篭った矢ではなかった…。だとすると、この世界の人間が放った物…?)

 

 あの弓撃は『アーチャー』と呼ぶに相応しい一撃だった。自分で無ければ、いや自分のように高い戦士としての技量を持つ者で無ければあれを防ぐ事は叶わない。少なくともただの人間ではあれに射ぬかれるだけだろう。だがアルトリアの疑念が一つ、神秘の気配が何も感じられなかった事だ。とするならば考えられるのはあれを放った人間はただの技量だけであれほどの弓技を放った事になる。正しい形ではないものの英霊である自身を危険と判断させる矢を放てる人間がいるという事にアルトリアは戦慄した。

 

(よく考えてみれば私はこの世界に降りたってまだ他の人間に会った事がありませんね…。仮に敵対するのなら一筋縄ではいかないかもしれません)

 

 弓兵が矢を弾かれて黙っているはずが無い。アルトリアは近いうちに、矢の主が姿を現す事を予感していた。

 

「アルトリアさん。角竜はボクらの味方になってくれるのかニャ?」

「それは無いでしょう。あくまで、彼の行動原理の根底にあるのは私と戦う事です。事実、私が帰ってきた後すぐ集落から出ていきましたがその際私に目を向ける事を忘れていませんでした。明日にまた死合おう、という視線でしたよ、あれは」

「相変わらずの脳筋っぷりだニャ…」

「私は分かりやすくて好ましいのですがね」

 

 既に日は落ちている。

 まだ起こってもいない未来に思いを馳せるのはいいがそれまでだ。未来の事など、その時になってみないと分からない。

 アルトリアはその予感が悪くないものである事を祈り眠りについた。

 

 

 

 

 

「ふむ…。俄には信じられんが確かに見たのだな?ムウロメツよ」

「ええ。私も見た時は目疑いましたがね。弓使いが自分の目を疑うなんてあっちゃならない事ですし?これぞっていう証拠があるわけでもありませんが確かにいたんですよ」

「長く街を取り仕切り、幾多のモンスターと死線を交わしてきた身だが流石の儂でも初耳じゃ」

「ですよねー。大長老様でも初耳な事態かぁ。で、動かそうとするハンターって他にいたりします?極めて個人的な話、私一人で調査したいんですが」

 

 ドンドルマ。

 険しい山あいを切り開き発展してきた大陸屈指の城塞都市。ハンターが活動する拠点としても最大規模を誇る。

 そのドンドルマの中で最も大きい建物。大老殿にてドンドルマの全てを統括する大長老と部下であるギルドナイトのイリヤ・ムウロメツは未知の樹海で起きた恐暴竜の顛末を大長老に報告していた。

 

「先日の鋼龍襲撃で多くの人員が出払っておる。『我らの団』の専属ハンターがいれば話は違うが…」

「あの人ですかー。凄いですよねー。ゴア・マガラから続く狂竜症に関連した事件を全部解決してみせてバルバレで超巨大古龍ダラ・アマデュラを征して筆頭ハンター達と共にクシャルダオラから街守ってくれてあまつさえ街を襲うゴクマジオスを討伐してくれたんですからね。今何やってるんでしたっけ?」

「原生林で極限化した鎧竜の討伐だ。早く見積もってもこちらに帰参するのに六日ばかりはかかるぞ」

「あの人、前は極限化したディアブロス狩ってたのに次から次へとまぁよくやりますわ。そういや今回襲撃してきたクシャルダオラって前のクシャルダオラとは違う動きをしてきたって聞きますけど」

「うむ。本来なら真っ直ぐ狩人達と戦うはずなのだがな。聞けばまともにやりあわず、じっと狩人達を観察するような行動が多かったという。すぐに街から離れていったらしいしな。襲撃してきたのではなく単にこちらの様子を見に来ただけのようだと出向いた狩人は首を傾げていた。で、お主は単騎でそのキリンを駆る者の調査をしたいと」

「ちょうど人手が足りてないのなら私が行くしかないでしょう?」

 

 悪戯を思い付いた子供のような笑みを大長老に向けるイリヤ。大長老は嘆息するしかない。ギルドナイトととして密猟や違法な行為を行うハンターを取り締まり、時に新種のモンスターが出現した際真っ先に調査するのがギルドナイトであるイリヤの仕事だが───。

 

「………」

「こう言っては失礼かもしれませんが何か、こう、とても残念な者を見るような目で見られるのは大長老と言えど流石に不愉快なんですけど」

「その、だな。お主は確かに仕事をこなしているし儂に対して軽口でいられる程の立場にある者だ。そこは信頼できるのだがな。お主のその享楽家な性格が今回の調査の動機だろう。遊びに走るとは思わんがそれが懸念事項でな」

「別にモンスターを狩りに行くわけじゃないんだからある意味いつもの任務よりずっと安全ですよ?」

 

 そういう事ではないという目を向ける大長老。癖のある部下を持った宿命かイリヤの扱いに辟易してるようだ。

 

「まぁ会議などで議題に出さず儂一人に話を持ってきた事は評価できる。まさか人が古龍を手懐けるなどどれだけの人間が信じるか分かったものじゃないがお主は嘘を吐く事はせんからな」

「どうやってキリンを手懐けたとか聞き出そうとするお馬鹿さんはいそうですからねー。その先にあるものが分かりやすくて」

 

 普通イリヤが見た事をそのまま余人に語ったところでどこの妄想だと笑われるのが落ちだがイリヤはギルドナイトだ。それも大長老とこうして世間話でもするような気安さで会話できる程の立場にいる。聡い者はそのイリヤが語る事を妄想だと一蹴しないだろう。腹に一物抱えた者もいる。ハンターズギルドは巨大な組織だ。一枚岩で済む組織ではない。

 キリンを駆る騎士の調査について話していた二人だったがそこに割り込む影がある。古龍観測所の学者だ。

 

「失礼します、大長老。先日街に飛来してきた鋼龍ですが飛び去った先が分かりました」

「氷海か?旧砂漠か?」

「いえ。それが未知の樹海の未調査区域、ハンターが探索する際そこで探索を終了するように決めた大河の向こう岸です。その北にある山脈へ飛び去ったと気球からの連絡がありました」

「むぅ…」

 

 大長老がイリヤに目を向ける。そこいらの男を一瞬で虜にしてしまうような笑顔をイリヤは顔に浮かべていた。口に出さずとも分かる。面白くなってきたという表情だ。

 鋼龍がまた飛来する事も考えられる。だが未調査区域に一般のハンターが出入りする事はまだ許可を出していないため必然的に特殊な立場にいるハンターが鋼龍討伐に出向く事になるだろう。

 

「…よかろう。ギルドナイト、イリヤ・ムウロメツにこの儂から勅を下す。樹海の未調査区域に出向きその区域に住んでいると思われる謎の人物の調査、加えて北の山脈に去った鋼龍を討伐せよ」

「御意」

 

 厳かに命を受けすぐに出発するイリヤ。これから起こるであろう争乱をイリヤは楽しみに思いながら未知の樹海へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 遥か上空を飛ぶ影がある。鋼の光沢に身を包み風を纏うその姿。

 鋼龍クシャルダオラは人間の街から得た情報を不可思議な気配のするあの青い人間と比較していた。

 あの森の天候は全て鋼龍の制御下にある。あの日より前に山に雨を降らし続け湿気が抜けたあとの乾いた風が森を覆った。そこに黒狼鳥が火を起こした事であの火災が起きたのだが湿気の抜けた空気を山から送り込んだ他ならぬ元凶がこの鋼龍なのである。鋼龍とっては何の思惑の無いただやってみただけの事だがそれが意図せず特異な気配を察した。

 あの青い人間が発する気配。いや、最早人間と呼ぶのは正しくない。街の人間と比較して分かった。あれはもっと身近な物。自身そのものであること。あれは人の形をした龍だ。人の姿で誤魔化されていたが人間が放つ気配ではない。

 怒りを覚える鋼龍。何故人の姿に身を窶すのかは知らないが自身の領域で欺こうとするなど不届き者にも程がある。元より龍というのは馴れ合わず単独で生きる者だ。であれば自身の領域を侵し新たな領域を広げているやつは鋼龍にとって敵でしかない。

 すぐに天誅を下すつもりはない。もっと分かりやすい形であちらから挑ませてやる。支配者が自ら出向くなど格を下げるだけだ。

 鋼龍は山脈を目指し豪雨を降らしながら空を翔る。まだ顔も見た事がない気配だけしか知り得ない存在に怒りの念を募らせながら。

 

 

 

 

 

 恐暴竜襲来より七日ばかり経った頃。

 アルトリアはこの世界に来てようやく雨の訪れを肌で実感していた。

 

「雲行きが怪しいニャ。久しぶりの雨だニャ」

「そのようですね」

 

 北の山から伸びる暗雲。それにアルトリアは警戒を隠せない。セレット達は久しぶりの雨に喜んでいる様子だがあれは恵みの雨ではない事をアルトリアは直感していた。

 

「アルトリアさんなんか険しい顔だニャ。どうかしたのかニャ?」

「いえ、根拠はありませんがその…」

 

───嵐が来る。

 

 そう言ったアルトリアに首を傾げるしかないセレットだった。




与太話
ドスイーオス「最近アンタここにいること多いよな。子供さんは大丈夫なのかい?」
レイア「夫に任せてるから大丈夫。最近うちの夫巣にいる事が多いのよ。どうも空の調子が悪いみたいで迂闊に飛べないんですって」
ババコンガ「目に見えて分かる雨雲!そっちは嫌みたいだけどこっちはキノコが増えるからねぇ。なんだったら前のお返しって事でお肉集めてきてもいいよ」
レイア「心配には及ばないわ。空がダメなら普通に地上で狩ればいいのよ。今じゃ夫と役割が反転してるよのね」
ドスイーオス「育児に頑張る夫さんねぇ。夫婦円満で大変よろしい事じゃないか。なぁ?」
ババコンガ「オイラも良い嫁さん欲しいんだけど群れのみんなオイラを避けるんだよ…親分なのに何故か。そっちみたいな良い家族築きたいなぁ~」
レイア「もうやぁねぇ。そんなあからさまに誉められたら恥ずかしくなっちゃうわよぉ」

いつもより少し早い投稿。展開が走りだしてきましたね。
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