モンハン世界にINしたアルトリアさん   作:エドレア

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…間の空いた投稿ですみません。ただ言い訳させて貰えるなら

PSO2始めてしまいました(゜゜;)

それでは本編どうぞっ!


act-15 三者三様

 アルトリアに渇を入れられた三人。

 あまりにもちぐはぐな三人の実力を見るためにアルトリアはほぼ強制的に集会所へと連れて行く。

 

「ペンドラゴンさんってHRいくつなんですか?」

「アルトリアで構いませんよ、コウナ。私もとある事情がありましてHRは1なのです。だから貴方よりもまだランクは低いですね」

「おい、ちょっと待て。指導する立場の人間がランク1ってどういう事だ。つーかなんでこの弱そうな女が俺らよりランク高いんだよ」

「口を慎みたまえと言ったはずだろう、平民君。女性に対して失礼な物言いではないか。君はコンガより知能が低いのかね?」

「んだとこらぁ…!」

「そうやってすぐいきり立つから程度の低さを露呈する事になるのだよ、平民君」

「二人共、先程のような醜態を人の多いこの往来で晒したくなければ黙っていてくれませんか?」

「………」

「………」

「ほわぁ…。二人を一睨みで大人しくさせちゃいました…」

 

 相変わらず犬猿の仲を見せるヴォルグとプレテオ。睨み合うその度にアルトリアが大人しくさせるという図が道中に繰り広げられる。

 

「さっきも言った通り私がランク1なのは事情があるからです。貴方達三人の実力を上げる事が私の実績にも繋がります。上位に上がるまではやむを得ない場合を除いてこのパーティでクエストをこなす事になりますね」

「…そこのミササギってやつは?」

「つい二週間程前にハンターになった二人と違って彼女は二ヶ月前からハンターとして活動しています。装備を見れば分かる通りウルクススやテツカブラを狩ったりしています」

「なるほど…。ミス・ミササギは僕達よりも二ヶ月先輩になるわけですか…」

「え、えっと、先輩と言っても大した事無いですよ?」

「まぁそのあたりはクエストを受けて確認してみましょう。コウナはともかく、貴方達二人の方が気になるところですので」

 

 言外に香奈の方が実力はあると言うアルトリアに不満げな様子のヴォルグと神妙な顔のプレテオ。しかしここで反抗心を見せてもまた先程の二の舞になるだけなので渋々と黙って後を追う。

 ギルドに入ればそこは独特な雰囲気が漂う場所だった。酒場と一体化したここは常に人で溢れ活気付いている。

 

「…ギルドマスターは貴方でよろしいですか?」

「ほっほほ。よく来たね。君が例の特殊な派遣人員だろう。話は聞いているとも。後ろの三人の面倒を見てくれるのはありがたい。その二人は何度注意しても面倒事を起こすので辟易してたんだよ。どうやら早速、尻に敷いてるようだね」

「…コウナの事についてなのですが」

「彼女自身は問題無いんだよね。駆け出しとしてはかなりの実力を持ってる。君の思う通り彼女一人なら別に誰かのお目付けが必要なわけでもない」

「しかし早急に高い実力を付ける必要があると」

「彼女の取り巻く環境というかなんというかねぇ…。要は彼女に何か危ない事があってはならないんだよ。もし何かあったらある御方の機嫌を激しく損ねる事になる。だから万が一という事もあって君という実力者の庇護下で確実に強くなって貰いたいんだ。実力があるとは言え駆け出しの中でという注釈が付くからね」

「あー、おっさんとアルトリア…さん。俺ら話についていけないんだけど」

「まずは僕達の実力を見るという話ではありませんでした?」

「うん。丁度、遺跡平原にイャンクックのクエストがあるからそれを受けてくると良い。アルトリアさんは三人をよろしく頼むよ」

「お任せを。後顧の憂い無く、育て上げてみせます」

「はわぁ…緊張してきた…。人と一緒に狩りに行くのできるかな…」

「ミス・ミササギ、それはどういう意味かな?HR2になるまでずっとソロで?」

「あ、はい。仲間と連携とか難しいですしそういうの考えるよりも一人でやった方が早いので」

「ほら、惚けてないで行きますよ。早く支度して下さい」

 

 香奈の衝撃発言に驚く二人をアルトリアが急かす。見た目に反してこのパーティの女性陣はかなり強かなようだった。

 

 

 

 

 

 遺跡平原。

 北に山が連なり南は平原が広がる温暖なフィールド。所々に過去の遺跡群が残っており現在ではモンスターの棲み家の一つとしてその面影を残している。飛竜種や鳥竜種、牙獣種など多彩なモンスターの生息地であり新人や玄人まで幅広い層のハンターが通う場所としても知られる。

 

「では、貴方達がどれだけできるのか。まず私は一切手出ししないのでモンスターを見付けるところから狩猟するところまで全てやってみせて下さい」

「はいはい、やりますよ。手分けして探しゃ見付かるだろ。ペイント当てりゃそれでいいわけだし」

「うむ。僕はエリア2の方へ進むとするよ。ミス・ミササギは僕と来るといい」

「は、はい!頑張ります!」

「…俺は3の方へ進むけどアルトリア、さんはどうすんですか」

「敬語が苦手ならわざわざ使わなくても構いません。敬称も不要です。私は途中までヴォルグについて行きますが見付かり次第そちらに急行します。その上で遠くから貴方達の様子を見守る事にします」

「敬語不要は助かるぜ。そこの優男の言葉を借りるわけじゃねぇがあんま良い育ちじゃねぇんだ。それじゃパパッと終わらせるか」

 

 アルトリアの命を受けて動く三人。アルトリアの脅しが効いているのかここまでで大きな問題行動は起こしていない。だがこのまま何事も無く終わるわけが無いと気を引き締めるアルトリア。取り合えずヴォルグの方へとついて行く。

 

「…あのさ、ちょっと質問あるんだけど良いか?」

「なんでしょう?」

「普通に話してたから盗み聞きとは違うけどよ、さっきギルドマスターのおっさんと話してたあれ、あの女何かヤバいのか?」

「…確かに孕むのはありますが貴方には関係ありません。勿論プレテオにも。貴方とプレテオは他者との付き合い方が問題なだけで狩猟そのものに問題があるとは聞かされていないのでそこについては深く考える事はありません。コウナはもっと違う、それだけです」

「…関わるなって事か?」

「より正確に言うなら踏み込むな、というところでしょうか。少なくとも現時点で貴方に話せる事は何もありませんよ」

「俺はよ、ギルドのそういうとこが嫌なんだ。何かに付けて秘密にしてきやがる」

「私も多くの事は知りません。ただ、貴方は貴方でギルドの秘密主義に思うところがあるようですが」

 

 ヴォルグがアルトリアに質問しつつ索敵を続ける。

 もう一方は───。

 

「すみません、色々と採取手伝っていただいちゃって…」

「いやいや、ガンナーはカラの実などの弾調合素材が必須というだろう。これくらいレディのためなら幾らでも構わないさ」

「ありがとうございます~」

「ほら、いつまでも採取ばかりじゃなくてモンスターも見付けないとね。君はもう既にイャンクックを狩っているのだろう?」

「耳の大きい鳥さんですね。動きが変わってて可愛かったです」

「僕はまだモンスターリストくらいでしか把握していなくてね。狩りの際はよろしく頼むよ」

 

 香奈の採取をプレテオが手伝う。その中でプレテオは香奈の身辺について考えていた。貴族である身、そういうお忍びの誰かという情報は少し耳を澄ませば聞こえてくるものだ。しかし香奈のような情報は聞いた事が無い。女性に対しては紳士である事を心掛けるプレテオは香奈に直接問いただす事をしなかった。

 

「あ~、えっと、その、ロッツェルさん」

「プレテオで構わないよ、ミス・ミササギ。何かな?」

「あたしの事も香奈って呼んでくれても良いですよ。あまり堅苦しいのは苦手なので。えっとですね、さっきギルドマスターが話してた内容なんですけど」

「ふむ?」

「ちょっと、過保護な方がいるというか私の事を大切に思ってくれてる人がいるんです。私は普通にハンターやってたいんですけどその人は私がハンターになるのをあんまり良く思ってなくて」

「まぁ確かにこう言ってはなんだが女性にはきつい職業ではあるね。その人がギルドにとっては無視できない相手だと?」

「あたし、元々はその人のお目付け役というか付き人として一緒にいたんですけどその人がちょっと前に問題を起こしちゃいまして。色々あって話せないんですけどその人と離れなくちゃいけない事になっちゃったんです。あたしは仕事が無くなっちゃったのでそれでハンターにというか…」

「他に選択肢は無かったのかい?」

「そこは個人的な趣味です。元々故郷でも狩猟を嗜んでいた事があってこっちの狩人ってどんなのかな~って」

「人は見かけに由らないと言うが君は中々に波乱万丈な道を歩んできたんだね…」

 

 香奈が核心をぼかしつつ自らの経歴を明かす。不快に思われたくはないからだろう。

 採取を終わらせつつ次のエリアに向かう。するとペイントボールの臭いが別の場所から漂ってきた。どうやらヴォルグ達が見付けたようである。二人は急ぎ臭いの場所へと向かった。

 

(攻撃の精度は悪くない…。二人が来るまで倒すのではなく気を惹き付ける…。実力としては悪くないようですね)

 

 段差上の形になったエリア8の最下層でヴォルグは怪鳥イャンクックを見付け二人が来るまでの間時間稼ぎをしていた。アルトリアは離れたエリア7に繋がる高台の上で見守っている。怪鳥は目の前を彷徨くヴォルグに苛立って火炎液を辺りに飛び散らすが回避に専念するヴォルグに当たる事は無かった。攻撃を躱し懐に一閃、そしてすぐに納刀して離脱。大剣における基本行動をマスターしている。動きだけで見るなら一朝一夕では身に付かないベテランの動きだ。ヴォルグもまた新人にしては大きな実力を秘めているらしい。

 エリア4方面から遅れて二人も到着する。香奈はすぐに荒縄鼓砲を構えプレテオは抜刀しながらジャンプ攻撃。ヴォルグに気を取られていた怪鳥に横合いから痛烈な一撃を与える。怒る怪鳥は二人を凪ぎ払おうと体をその場で回転させながら尻尾で凪ぎ払う。二人は即座に離脱し怪鳥は攻撃を叩き込もうとヴォルグの方を追いかけるが遠方から聞こえてくる独特の発射音がそれを邪魔する。香奈はLv.2通常弾で正確に怪鳥の耳を狙撃していた。

 

(仲が悪い割りにあの二人は連携が上手いですね。邪魔にならないようお互いに攻撃する場所を譲り合っている。コウナも二人に当たらないように気を付けて撃っていて誤射の一つも起こらない)

 

 正直言って駆け出しのハンターでできる動きではなかった。かといって完璧なわけでもない。ヴォルグとプレテオはお互いの動きを確認するためか時折止まる事があるし香奈は二人に誤射しないよう気を付けている関係かたまに攻撃を止める。射線上に重ならないよう動いているからだろう。またプレテオは香奈に怪鳥の注意が向くとそれを止めるためか無理矢理な攻撃を怪鳥の頭にぶつけ自分に向けさせるような動きをする。一瞬ひやりとさせられる動きもあり少し危なっかしいようにも見受けられた。

 程無くして怪鳥が巣で回復しようと逃走を図る。怪鳥の方は満身創痍だが三人に攻撃を喰らった者はいなかった。怪鳥の動きが比較的読みやすいというのもあるがそれでも新人が無傷であるというのはそれぞれの才能の豊かさを感じさせられる事である。プレテオに至っては初見であったはずだ。大長老から聞かされていた通り問題児ではあるが実力はあるらしい。どうやらアルトリアが指導すべきは主に対人関係のようだ。逃げようとする怪鳥を香奈が閃光玉を投げて阻止している。視界が塞がれパニックになった怪鳥の頭にプレテオが溜め攻撃。呆気なく怪鳥は地に沈んだ。

 

「お疲れ様です。正直言って予想以上、という感想なのですが…貴方達はどうですか?」

「別に。まぁ誰もいないよりはマシだろ。それくらいだ」

「なんだね、その評価は。スタンが取れなかった僕への嫌味かな?」

「イャンクックは頭小さくて狙いにくいのでスタン取れなくても仕方無いと思いますよ」

「そうやってフォローしてるそいつが一番頭に攻撃叩きこんでるあたり皮肉だよな」

「そ、そういう意味じゃないですよ!」

「ともかく、今ので貴方達の実力は把握しました。次は私の番ですね」

「あんたの番って言ったってイャンクックしかここいねぇだろ」

「…貴方達は高台の方へ待機していて下さい。直にここへ来ると思いますので」

「アルトリアさん、それはどういう意味ですかね?」

「ほら、来ましたよ」

 

 そう言いつつアルトリアが見上げると黄色と青のストライプが印象的な飛竜が降ってきた。慌てて三人は高台に避難する。リオス種のように二足歩行をするのではなく翼である前足を使った四足歩行。獰猛なアギトがトレードマークのモンスター。

 轟竜ティガレックス。

 今の三人では厳しい相手だ。特殊な能力こそ持たないが叫べば声に圧を伴うようになり、その策も何もない荒々しい狩り方から絶対強者の異名で知られる。特定の縄張りを持たず餌を求めて常に徘徊しており今回のような乱入も度々起こすモンスターである。

 実はアルトリア、既にこのクエストを受けた時点で轟竜が怪鳥の縄張り付近を彷徨いているという情報を聞いていた。三人に教えなかったのはわざとである。下手に轟竜の事を教えるより怪鳥に集中させて憂う事無く存分に動いて貰った方が三人の実力を把握出来ると思ったからだ。

 

「おいアルトリア!あんたもさっさと動けよ!いくらなんでもティガレックスは不味いだろ!」

「私の実力を見せる番だと言ったはずですが…まぁ、言うより行うが易し、ですか」

「お、おい!」

 

 ヴォルグが焦った声で呼び掛ける。他二人も緊迫した表情だ。アルトリアは降りてきた轟竜に散歩するかのような足取りで近付いていく。轟竜は遠くにいる三人よりも近付いて来るアルトリアに注意を向けた。そして絶対強者の異名の通りに猛進する。ただの突進はそれだけで並のハンターを容易に轢死させてしまうだろう。或いはそのアギトに喰われるか。アルトリアにその猛威が襲いかかる───。

 

「え…?」

 

 声を上げたのは誰だったか。

 血飛沫が上がったかと思えば轟竜がアルトリアの前で静止していた。否、頭から血を撒き散らしながら沈んでいる。アルトリアの手には見えない武器と思しき何かに血が滴りついていた。

 

「瞬殺…!?」

「嘘だろ…!?」

「何なんですかあの武器…」

 

 所詮はお目付け役だと思っていた三人に驚愕が走る。単に実力を見るためだと称していたため武器を持っていない事に深く疑問を感じなかった三人だったがそうではなく常に見えない武器を携えていたのだと思い知らされた。仮に三人が危険に襲われる事があればすぐに対処出来るようにと。守られていたという事実にヴォルグは歯噛みしプレテオは武器が如何なる物なのか考察する。暗器として不可視の武器が無いわけではないからだ。ある古龍の素材で作られた武器は見えなくなる効果を併せ持つとプレテオは小耳に挟んでいた。香奈は香奈で憧れの眼差しをアルトリアに向けている。

 

「アルトリア…あんたは一体…?」

 

 ヴォルグが二人の声を代弁する。ヴォルグ自身の質問を兼ねたそれにアルトリアは笑顔で答えた。

 

「別に。ただの名も無き下位ハンターですよ」

 

 後はもう帰るだけ。クエストを無傷で達成したというのに気の晴れないヴォルグとプレテオ。香奈は明確な目標を見付け奮起する。

 先は長いのだと実感させられるクエストだった。




…冒頭にもありました通りちょっと手を出したら存外にハマってしまったのです。まだ序盤の序盤ですけども。

次回もまた空く事になりそうですがエタるつもりはございません。書きたい事一杯あるのです。伏線もばらまきましたしね。
プレテオと香奈のアルトリアに対する口調が若干同じで区別しにくいかもしれません。書いてて思ってた…。

次回あたりで新たな与太話が出せそうです。
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