これで今年分は納めです。次の更新は年明けになります。皆様、良いお年をm(__)m
あの激戦から六日ばかり経った頃。
「それじゃ、三人の昇級とアルトリアちゃんの旅立ちを祝ってかんぱーい!」
集会所から離れたいつもの食事処。
そこで、ささやかながらも記念となる宴をイリヤ主催で開いていた。
「豪山龍を相手にした狩り、みんなどうだった?」
「そうだな。とりあえず言われた通りのセオリー守ってやってたよ。あいつハンターの事を狙うときもあるけど基本船狙いなんだな」
「あたし、なんだか大活躍できました!ガンナーとしての位置取りを再確認する良い機会になれたと思います!」
「この三人の中だと僕が一番苦戦した方ですかね。迎撃設備が上手く扱えなくて、最後は普通に腹を殴ってました」
「ふむふむ、三者三様、各々が達成できたのは良かったね。ちょっとずつヴォルグ君達は貴方のところに進んでるよ?英雄さん」
「そうね。私から見ても貴方達は将来、最前線で戦っていける実力を持つと思う。慢心とか、そういうのが無ければね」
ヴォルグがいるから、という理由で招かれたリリーの三人に対する評価は良いものだ。いくらヴォルグに執着しているとはいえ彼女はこと公平性においてそれらを蔑ろにする事は無い。色眼鏡無しで三人を見てこの評価なのである。大長老がアルトリアにお目付け役を頼むのも頷ける事だろう。
「アルトリアは…まだギルドマスターと?」
「らしいね。ただメゼポルタに行くだけじゃなくてアルトリアちゃんの色々経験したいっていう要望も兼ねてるから道中様々なところを巡りながらメゼポルタに行くみたいなんだ。そこで話の付くところと日程とか諸々、最終調整の真っ最中だよ」
「お姉様、あれで若輩者のつもりなんですか?凄い向上心ですね…」
「間に合うのか?主賓の一人がいないんじゃ締まるものも締まらねぇだろ」
「アルトリア女史は約束事をきっちり履行されるお方ですしこちらに来るのは確実でしょう。素朴ながらも舌を打つ食事も待っていますしね」
「んー、それだとアルトリアちゃんが食べ物に釣られる馬鹿って意味合いに聞こえてくるんだけど…」
「ま、まぁ、お姉様は実際食べるのが大好きですよね!」
「花より団子って言葉があるもんな。少し意味ずれてるけど」
皆が思い思いに話をする。やはり話題となるのはアルトリアの事だろう。本来なら主賓として同席しているはずのアルトリアだがイリヤの読み通り、メゼポルタギルドから出向くようにとの通達が来たのだ。そこに大長老やアルトリア自身の要望も加わり結果としてそれらの道筋や旅の日程などを大掛かりに調整している。
「お…。噂をすればだねえ。アルトリアちゃーん!こっちこっち!」
「遅くなってすみません。せっかくの祝いの席だというのに…」
「そーいうのはいいからいいから。そーら、今日は無礼講、みんなどんどん食べちゃって!」
「おお、選り取り見取りとはまさにこの事…!ではいただきます」
ようやくの主役の登場である。既に日が落ちた時間帯、昼間から今まで打合せに終始していたらしい。
「めんどくさかったでしょー。大長老の御墨付きってだけで色んなところからお呼びがかかるだろうからね」
「ええ。各地から派遣された人員達より是非うちにとそれはそれは熱い勧誘を受けました。最終的には大長老からの文にあったロックラックに行く事で合意を得ましたが」
「ロックラックかぁ~。あっちにはダレンの親戚のジエン・モーランっていうやつがいたりするよ。他にもあっちにしかいないモンスターもいっぱいいるし色々と良い経験になるんじゃないかな。あ、そうすると英雄さん達とは別行動になるんだね。同じメゼポルタに行くんだったらてっきり、英雄さんのキャラバンに同乗するものだと思ってたけど」
「リリーとは確かに別行動になりますがメゼポルタに着いた際は合流しろとも言われています。随分と先の話になりますが」
「…あなたは強い。それこそ、いつもオトモやワンマンでやってた私が明確に協力してもらいたいと思うくらいに。あなたの働きは常人の千や万に匹敵する。是非組んで仕事がしたい」
「へぇ、リリーが直々に指名するレベルなのか。ホント凄いんだな。…欲を言えばリリーの隣に俺が立つべきなんだろうが」
「…ヴォルグ?」
「あ、いや、何でもねぇよ。さっさと食っちまうか」
夜は更けていく。各々がまだ見ぬ先にそれぞれの思いを乗せ夢想する。
アルトリアにまた、新たなる旅路が開かれようとしていた。
「いよーっし。快晴!」
翌日の朝。
すぐに出発する事が決まっていたアルトリアは砂上船ではなく気球船の乗り場にいた。
「最初はまぁあれな態度とっちまったけど世話になった。ありがとうな」
「アルトリア女史。どうか新天地でも壮健であられるように。食べ過ぎには気をつけてください」
「お姉様の活躍、どこかで聞くのを楽しみにしてます!どとーんとやっちゃってください!」
三人の教え子から激励を受ける。最初はどうなる事かと思ったが今ではこの世界で得たかけがえのない大切な仲間となった。香奈はアルトリアの活躍を噂か何かで聞く事を楽しみにしているようだがそれはアルトリアとて同じだ。彼らの実力なら上位に入ってすぐ頭角を現すだろう。
「アルトリアちゃん、またお別れだね」
「イリヤ。また会えますよ。今度は私から会いに行きます。どうかそれまで、お元気で」
アルトリアの旅立ちを祝福するかのように空は晴れ、向かう先と同じ方向に追い風が吹いてくれている。
新たな新天地へと向かってアルトリアはまた一歩世界への旅路に歩を進めたのであった。
アルトリア編第一部 了 第二部へと続く
「お嬢様ー!」
「よう。久しぶりだな」
「久しぶりも何もありませんよ!お嬢様が勝手に私の目から離れてたと思ったらなんか色々と物騒な事を仕事にしちゃってますし」
「だってそのくらいしないとこの"目"の使い道、無いだろ?」
「…ハァ。もう少し御身を大切になさってください。私とか幹也さんとか、貴方を大切に思う方はちゃんといるんですからね。無茶や無理は禁物ですよ、
今回後書きにおいては多くを語りません。既に行くとこまである程度行ったような感じだからです
ただあえて言っておくと次からは私の大本命な話になります
それでは今年はこれで見納め、皆様良いお年をお過ごしくださいませ~