実はらっきょ感を出すためにあることに挑戦しながら書いてます。色々と考えた結果それが一番らっきょ感出るかなと。何に挑戦してるかは明かしませんがまだ序盤のこのうちで分かった方いたら凄いです
「ふぅ…」
およそ、常人とは異なる嗜好を持った私だけど温泉は素直に気持ちが良いと思える。
あれから村に戻った私は、朝風呂という事でユクモ名物の温泉を集会浴場で堪能していた。どうせ疲れを癒すのなら寝るよりも名物の一つくらい味わっておくのも良い。渓流の雄大の景色と共に心身癒されながらお湯に浸かる。
「ひょ~っひょっひょ。チミが、昨日うちに来たっていう派遣ハンターさんかい?」
気が緩み過ぎたのか。気付かぬ内に酒臭い竜人族の爺がそばまで寄ってきていた。煩わしい事この上ない。
「絡みにきたのなら他を当たれ。あんたみたいな酔っぱらい、相手にするほど酔狂じゃないんでね」
「おうおう、これは手厳しい。これでもここのギルドマネージャーを務めていてね、一応顔合わせぐらいしとこうかと思って」
「あんたがギルドマネージャー?ふ、冗談はよしてくれ。あんたがギルドマネージャーだったら半日もせずに潰れるだろ、ここ。それとも見目に似合わず真面目に仕事してるっていうのか?」
「えっと…一応お仕事はしてらっしゃいますね。それよりもお酒を飲んだり温泉に浸かってる頻度の方が多いですがれっきとしたここのギルドマネージャーさんですよ」
ふりかえれば、二人の女が立っていた。顔が同じなあたり、姉妹なのか。
「初めまして、おはようございます!この集会浴場で下位の方の受付を担当してます!コノハです!」
「同じく受付嬢、上位の方を担当しております。姉のササユです。ギルドマネージャー共々、挨拶に伺った次第です」
村長といい、昨日の厚遇といい、どうやらこの村の連中は律儀であるのが当たり前らしい。本の僅かしかいるつもりのない相手にここまでするんだから。名前なんて言われてもこっちが困る。そんなもの、知ったところで面倒なだけだ。
「…ただの挨拶じゃないんだろ。持ってるその紙束。早速依頼が数件あるみたいじゃないか」
そりゃそうだろう。ギルドの職員が狩人相手に挨拶してはいおわりなんて事があるはずもない。聞けば特産タケノコの採取と蜥蜴の群れの退治、熊の退治が依頼としてあげられているようだった。
「どうされますか?本来ですと一つずつ受けるのが定則ですが他にハンターがいない今なら三つの依頼を重複して受けられます。一度に複数の依頼をこなすという比較的難度の高いものになりますがその分こちらでの手続きの手間を大幅に緩和できます」
「ならそれでいい。タケノコも蜥蜴も熊も、渓流に出掛ければ全部同じだ。事はさっさと済ませるに限る」
キノコじゃなくてタケノコね。この地域ならではの特産品なんだろう。土地柄というのがよく出ている。まぁどっちみち渓流に行けるのなら依頼は何でも構わない。あんまり人の多いところに長居したくないんだ。
ただどうしても気になる事があった。今まではそれが原因で下らないやつに突っかかられたりもしたけどこの村に来てからはそれが無い。
「おまえら、オレが気にならないのか?普通の狩人ってのは防具とか身に付けるものなんだろ。オレ、そういうのは無いけど」
「ひょっひょっひょ。チミの事はねぇ、知る人にとってはそういうものだとちゃんと認識されているよ。なにせその筋の人間にとってチミは無視できない存在だからねぇ。彼女達にも、表面上は教えてあるよ」
「…ふーん」
面倒が無いのならそれでいい。ギルドにどう扱われようが知ったところではないし。ただ、酒飲み爺が何かを含んだような顔してたのは気に食わなかった。
昼の渓流。
夜とはまた違う活気がここにある。昨日は月下の楽しんでいたけど今は晴天だ。昨日とは違って仕事で来ているからあんまりブラブラしていられない。あわよくば、また稲妻の獣と会いたいとこだけど今はいないようだ。気配が感じられない。
「タケノコ…か。普通に美味そうだな。気が向いたら料理でもしてみるか」
蜥蜴共を程々に斬り捨ててさっさとタケノコ採集に勤しむ。十個あればそれでいいって話だからそんなに時間はかからない。あの大木の橋の近く、野生の猫達が巣を作ってるあたりの小さな竹林ですぐに集まった。あとは熊だ。探してみれば渓流のほぼ中央、大きな切り株がある場所で蜂蜜を貪っていた。随分とお気に入りなのか悦に入った表情で腕に付いた蜂蜜を舐め回している。
今なら首に一太刀入れられる好機だ。まぁそんな好機が無くても一つ線に沿って斬撃を放てば生き物なんて簡単に死ぬが。気配をなるべく殺して後ろからそっと近付き首を一閃───。
「………っ!」
───おおっと、危ないじゃないか!狙っていたのは私じゃなくてそこの蜂蜜野郎だろう!?というか直前でよく私に気付いたね!?
直前で察知し体を反転させて抜刀。けれどそれは相手を斬るのに少しばかり距離が足りなかったようだ。後ろに跳んで躱されてしまう。
私の後ろには泡を滴らせながらこちらを見る一体の狐がいた。
───人の後ろに立つとかさ、なに?喧嘩でも売ってるの?
───いや、そんなんじゃないさ。ただ君、昨日あの雷野郎と一緒にいたろう?人間と一緒にいるだなんてまず無い事だからなぁ。気になってしまったんだ
───おまえはいい。気に食わない。さっさと去ね、散ざれ、消えろ
───なんだかあたりがきつくないかな。後ろをとられたのがそこまで嫌だったのかい?
ああ、面倒だ。
何が悲しくてこんな胡散臭そうな狐を相手にしなくちゃいけないんだ。ギルドの連中はちゃんと仕事してるのか。いたらいたでこういうの、ちゃんと報告して貰いたい。そうすりゃ邂逅一番からちゃんと殺せたのに。
───ああ、待った待った。そう刀の柄に手をかけないの。こっちはただお話がしたいだけなんだから
───…?
こいつの言い回しに違和感を覚えた。こいつらにとって、人の扱う武器というのは爪や牙に表現されるはずだ。それなのにこいつは刀をそうだと知っていた。知能があるとかそんなのじゃなくて人間というのをよく知ってるような。
───おまえのせいで熊を逃したじゃないか。やっぱおまえをたたっ斬る
───蜂蜜野郎なら私が後で仕留めておくよ。君の邪魔をしてしまったんだ。そのくらいの埋め合わせはする。で、君はいったいなんなんだい?人間にしては少々気配が違いすぎるよ?
「………はぁ…」
もう、ため息しか出ない。
本当にお話がしたいだけらしい。邪魔をされたこっちは堪ったものじゃないが。
目をきらきらさせて話しかけてくるものだから余計にタチが悪い。これがただの敵なら遠慮無く斬り捨てられるのに。
───初対面の人間の内情とか調べたがるんだ、おまえ
───なんかこう、きな臭い感が半端無くてね。私達と話が通じてるだけでも凄いだろう?おそらくは、人間に興味があるかないかで通じているかどうか変わってくるのだと思うけどね。さっきの蜂蜜野郎とは話せたかい?
───いや。その前におまえが来たし、来なかったら来なかったで首、はねてたし
───ふぅむ。私の推測は当たっているものだとは思うが…肝心の本人がその手の話題に興味が無いとはね。もっとこう、自分を知ろうとは思わないのかい?
───そんなのはいいよ。結局、分かりきっている事だし
───分かりきっている?興味が無いのに…いや知っているからこそ興味が無いのか。
知ったところで何かが変わるわけでもない。だというのに私の事を一心不乱に思考するこいつは昨日の稲妻の獣とまた変わって人間のように厄介なやつだ。
私がどうして話せているかだなんてそれこそ"両儀式"であるからに他ならない。理由なんてそれで片がつく。
こいつに
私は両儀の人間が万能を求めた道の彼方にある具現のようなもの。それは人の業だ。故に、自然に生きる貴方達とは相容れる事は無く。
───もういいだろ。元々おまえに用は無いんだ。熊もオレが殺る。分かったらとっとと失せろ
───むむむ…。もうすこし長く話していたかったのだけど、あまり機嫌を損ねるのはよろしくないだろうしなぁ。仕方無い。私はこれで退散するよ。次はもうすこし良い出会いをしたいものだね
───おまえと出会わない事を祈っているよ
───それは無理な相談だ。どうしたって私は君の事を嗅ぎ当てるからね
すごすごと私の前から去っていく
また面倒なやつと縁を結んでしまった。どうせ私がユクモ村にいる間の縁だとは思うけどこれから先出かけるなら夜が良いだろう。
逃げて行った熊を探しに、また渓流を歩き回る羽目になった。
───って事があったんだよ
───左様か。狐め、いらぬ事をしよる。分かっているだろうが極力関わるなよ。やつの放蕩っぷりには俺も手を焼かされたからな
夜。
あの後熊を仕留め、問題無く依頼を完遂した後また私は一人で村を抜け出し祠へと来ていた。傍らには昨日と同じく稲妻の獣の姿がある。
───あいつ、前からここにいたの?
───気付けばいたようなものだ。一応、俺がここの古参だと分かっているようではある。頂きを住み処としていた頃は見かけなかったな
───なんかさ、オレと話せる事に興味があるんだって。そんなこと、気にしたところでしょうがないのにな
───そのような事に気をやるのがあやつの常だ。知的好奇心に溢れていると言えば聞こえはいいが、縄張りをチョロチョロと彷徨かれるのは煩い事この上ない
───人間の言葉にさ、好奇心は猫を殺すっていうのがあるんだ。どうして狐も殺してくれないのかね
───人の表現は愉快だな。あんなのでも俺と同等に死合ってくる実力を持つ。下手に相手をしていられん
───へぇ…
胡散臭さ満載の狐だけどこいつが言うにはこの渓流でも屈指の猛者らしい。あれと同等に死合えるのは自身以外だと蠢く山に暗殺者くらいなものだと。
───まだ他にも強いのがいるんだ
───ああ、いる。と言っても会う事はまずない。お互いの縄張りに入らないよう気をつけているからな。たまに境界ですれ違うくらいだ。あの狐だけは例外だが
───あいつ、他のやつの縄張りも侵してるの?
───単に縄張りを荒らすだけであれば殺し合いで済むのだがあやつの場合、縄張りを侵しつつも荒らす事はせんのだ。何やら人の遺跡とやらに興味があるらしくてな。ここにも朽ちた人の巣があるだろう。そういったものなどを調べ回っているらしい。
───邪魔をしにきたわけじゃないから下手に邪険にできないのか。ホント、面倒なやつだな
───もう少し、大人しくしてくれればありがたいものだが
人間について調べ回る狐とはまた酔狂だな。本来なら持ち得ないはずの衝動だろうに、どこの世界にも外れ者というのはいるらしい。あの様子だと、調べ回っている理由が気になるからで済みそうだ。原因を取り除いてやれば簡単だがそれが無さそうなあたり、タチの悪さに拍車をかけてる。
───ああ、そうだ。暗殺者には気をつけろよ。あやつは特に人嫌いが激しい。知らずに縄張りに入れば問答無用に暗がりから首を一閃されるぞ
───へぇ、そりゃ面白い。オレの首も狙うっていうのなら上等だ。逆にオレが殺してやるよ
───………………
───なんだよ?
───ここまで"やってしまった"と思う事は今までに無くてな。己の愚かさを嘆いていたところだ
───悪い悪い。でも面白そうなのは確かだからな。ああ、でも無暗やたらと殺しには行かないぜ?こっちじゃ勝手におまえらを殺すのはご法度なんだ。殺るとしたら依頼が出てからだな
───全く。程々にしておけよ。その依頼とやらが出ない事を祈っている
まさか稲妻の獣に諌められるとは。しかし暗がりから首を狙うとかこちらとしては是非斬ってみたい相手ではある。殺すのは私も得意だし。競い合ってみたい。
───蠢く山ってのは?
───あれは…まぁ、手を出さなければ基本無害だ。いつももしゃもしゃと木を食べている。かなりの巨躯なせいかあまり動き回ったりすることはない。ただ尻尾の槌の一撃は喰らっていいものではないな
───んー…なんかつまんない感じ?
───おまえにしてみれば、そうだな。あまり満足する相手ではないだろう
こうして、また夜は更けていく。稲妻の獣と話すのは何かと癒される。
どうやらここには、私にとって多少の暇潰しにはなってくれそうな輩がいてくれているようで、私としては良い事だ。まずは暗殺者ってのと会えるよう己に祈ろう。
狐の事なんてとうに忘れた私は暗殺者と出会える事を楽しみにしていた。
ちくせう。また投稿時間が伸びた…
言い訳すると風邪でダウンしてました。これじゃあ期日とか守れませんね。今回は閑話みたいな話です。なるべく式を戦わせたくないのですが戦闘描写はちゃんと入れます。まだ序盤なのですよ()
ぶっちゃけ式がその気になったらみんな直死!敵は死ぬ!で終了しちゃいますのでw
なるべく戦闘よりの描写は避けたいのが本音です
あと式が"両儀式"について分かってるような描写入れましたがメルブラでもそれっぽい描写あったのでそれを基準にしてみました。知覚できないだけで分かってはいる感じなんですよね、式って
次回も投稿伸びます(白目)