モンハン世界にINしたアルトリアさん   作:エドレア

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徒然に式のユクモな日常を書いていきます
遅れるも何もないなこれ。ゲームもそうだけど普通にリアルが忙しくて書く時間がとれない…
あ、久しぶりに三人称視点が途中から出ます


不動如山

───おい、そこの。起きろよ

 

───………………

 

(完全に寝てるなこりゃ…。また面倒なのと遭遇したもんだ)

 

 今、私の目の前には山の如き大きな威容を持った二つのコブが横になって鎮座している。これが滝の裏側にある洞窟への入口を塞いでしまっているせいで通れないのだ。

 私が何故こんなのを相手にする羽目になったかというと───。

 

 

 

 

 

「おい、頼むぜ、嬢ちゃん。うちに寄ってくれなきゃ加工屋としての面子が丸潰れだよ」

「そう言ってもな…。オレは防具なんて着ないし呼ばれればどこにでも行くからあんまり多く武器は持っていても嵩張るだけなんだ。オレの相棒は、この兼定だけだよ」

「せっかく村付きのハンターが来てくれたっつうのに仕事がねぇとはよう。ホントに武具を作るつもりはねぇのかい?」

「無い。悪いけど、こればかりは譲れないな」

 

 この村に来てもう二週間余り。蜥蜴狩りや熊退治、採集などをこなしちょっとずつ村に馴染んできた頃。私は村の加工屋に軽いいちゃもんを付けられていた。

 当然だろう。せっかく仕事の種になるような客が常駐してくれるという話だったのに蓋を開けてみればその客が全く利用しないときた。加工屋からすれば堪ったものじゃない。

 

「ならよう。後で話がギルドの方に行くとは思うがうちの依頼、受けてくれねぇか?」

「別にいいけど…それでなんかあるのか?」

「一先ずはそれでチャラにしてやるってことよう。優先的に受けてくれりゃこっちは何も言わねぇさ」

「ふぅん…。どんな依頼なの?」

「渓流の大きな滝の裏側に洞窟あるの分かるだろ?あそこは飛竜が住処にしてたりで危ねぇ場所ではあるんだが良質な鉱脈もあるんだよ。こっそり中に入って採掘してくるのをたまにやるんだけどよ、こないだあそこ行ったらなんか小山が入口塞いでて入れねぇんだ。うちからすりゃあ軽く死活問題なんで何とかしてくれって話さ」

「祠の方からはいけ…ああ、そうか。あいつ(・・・)の塒だもんな」

 

 そういう訳で、私はこのデカブツと遭遇する事となった。

 特徴で誰なのか分かった。こいつは以前、稲妻の獣が話してくれた"蠢く山"というやつだろう。あまり動き回らないという話だったけど何故こんなところにいるのか。そんな事気にしても仕方が無いのでさっさと実力行使に移る。

 

───起きないんだな。分かった。おまえのその背中のコブ、斬り刻んでやるよ

 

 抜刀してゆっくりコブに近付く。斬り刻むといってもコブをちょんとつついてやるだけだ。

 

プスッ

 

───な、なんじゃあ!?

 

 驚いた巨体が滝から受ける水を撒き散らしながら跳ね起きる。苔むしたその体はこの渓流に生きる大自然を最も良く表しているような気がした。

 

───あぁ…?儂の眠りを妨げるとはのぉ。何もんじゃあ、お主

 

───何者か、ね…

 

 …同じ事を前にも聞かれたよ。それ。

 いつだったか。霧煙る夜の沼地で───

 

 

 

 

『───だぁれ?』

 

 

 

 

 ああ、そう返したんだっけ。

 あの時(・・・)聞いてきたやつらが知らないやつらだったから。問いに問いで返してしまったんだ。

 物凄く、高揚してた。

 きっと人が近くにいたら、殺人を犯しかねない程に。

 

───お主、その"目"は…

 

───ん?ああ、ごめん、驚かせたな

 

 知らずのうちに"目"を使っていたみたいだ。死を視ようしたんじゃないんだけど、あの夜の沼地を思い出すとどうにも昂ってしまう。

 

───なるほどな、お主が最近ここに来た"斬り人"か

 

───"斬り人"?

 

───他の狩人共と違ってただ斬るだけの人間だから皆、お主の事をそう呼んどる。最も、お主が相手にしとるのは雑魚ばかりじゃがのぉ

 

───請け負うものがそれくらいしかなくて。お前達はあまりこっちとは関わろうとしないだろ

 

───人間と関わっても碌の事はありゃあせん。面倒なだけじゃ

 

───違い無い。オレだって面倒に思ってるんだ

 

───そのくせあの暗殺者め、気に入らんとばかりに人を斬り付ける。今は鳴りを潜めておるが近いうちにまたやらかすぞ

 

 へぇ。

 こいつが言うには、暗殺者には周期があるんだと。人間を殺したくなる時とそうでない時。その時になると積極的に街道など人のいるところに降りてこれ見よがしにと人の首を持っていくらしい。

 

───普通ならそんなやつ、もう他の狩人に狩られてそうだけど

 

───やつは隠遁に長けておる。一度事を成せば徹底して人前に姿を晒す事はせんのだ。全く、いらん事をしよって。その度に狩人が森を探しに来るのだから面倒な事この上無い。どうせ人では見付からんというのにな

 

───ふぅん。暗殺者っていうのは伊達じゃないのな。それじゃあそいつがやらかしそうな場所とかって分かる?

 

───心当たりが無い事も無いが…それを知ってどうするつもりじゃ。行くなら行くで、止めはせんが

 

───オレにとってちょうどいい相手になりそうだからな。退屈はしないだろ

 

 ああ、楽しみだ。

 思うに、そいつが人を殺しているのは縄張りがどうのとかじゃない。人を殺したいから殺してるんだ。

 殺したいから殺す。殺人鬼は人を殺したから殺人鬼なんじゃなくて、殺人鬼だから人を殺すんだ。殺戮に意義はいらないから、そんなのはただの災害と一緒だ。

 それを体現してる相手が近くにいる。そんな相手に心惹かれないと言えば───嘘になる。

 

───ああ、それとそこ、退いておけよ。お前大きすぎて邪魔なんだからな

 

───おっと、それはすまん事をした。ここの水を浴びるのが好きでの

 

 上手い具合に話は聞き出せた。あとは奴が動くまで待てば良い。

 無理に探す必要はない。会えば───気配で分かる。

 退くと言っておきながら未だ滝の水を浴びる爺を尻目に私はその時を待っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 木々をすり抜ける影がある。紅い残光を残すそれは渓流に流れる人の噂に苛立ちを募らせていた。

 彼が人を殺すのにこれといった理由は無い。が、今まで人の噂が無かった渓流に突如として流れ始めた人の情報は彼の不興を買うのに十分なものだった。

 

───よもや我らの領域で悠々と己を誇示するか。その愚行、この身に対する挑発と受け取ろう

 

 木から木へ、飛び移るごとに紅い輝きを増したその目の視界に異常が現れる。自身の視界を遮るこの泡は───。

 

───何用だ、狐の。邪魔をするのならば貴様とて容赦はせんぞ

 

───邪魔と言うより忠告だねぇ、忍び君。彼女とは、関わらない方が賢明だと建前として言いに来たんだ

 

───相も変わらず腹に隠し持つか。何が狙いだ?

 

───そりゃ勿論彼女のことさ。君を相手にして機嫌を損ねられると困るからね。彼女は私の興味対象なんだ。ここからいなくなってしまうのは困るよ

 

───…止めに来たのではないと言ったな。方便か?

 

───だから、こう言ったの。君じゃ彼女を楽しませる事は出来ても満足はさせられないだろうから消化不良になって気落ちしてしまうのは困るって事

 

 言外に、おまえが式に挑むのは不相応だと言われた暗殺者の次の行動は早かった。一撃で首を落とそうと最適な位置に飛び移り刃翼を構えて飛びかかる。だが───。

 

───むぅ…!仕留め損ねたか。いつにも増して厄介な…!

 

───戦いに来たのなら今のでこちらから仕掛けてるところだけどね。足元くらいよく見なよ。もうここら一帯は空中のみならず大地だって私の空間だ。どこもかしこも泡でいっぱいだよ

 

 最適な位置に飛んだはずの暗殺者だったがそこは既に狐の出す滑液でまともに跳躍出来る場ではなくなっていた。首を狙った斬撃は不恰好な形になり簡単によけられてしまう。雰囲気こそ軽い狐だが暗殺者に対して何の考えも無しに来たのではないようだ。

 

───貴様…

 

───もう一度だけ忠告しよう。死ぬよ。そのまま挑みに行けば君は彼女に殺されて死ぬ。今まで通りに過ごしたいのなら彼女が去るまで大人しくしておくべきだよ

 

 暗殺者は狐を一瞥し、その場から飛び退いて離脱する。向かう先はやはり渓流だ。狐の忠告は意味を成していない。

 

───荒れるような事は無いとは思うけどね。さっさと仕留めておくれよ

 

 一人、狐は祈るようにそう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夜。

 今夜はあまり気が乗らないから祠に行く気にもなれない私はごく普通に与えられた家の寝台で横になっていた。

 気が乗らない理由は簡単だ。今行ったところで例のあいつの話題になるだけだしそうなると稲妻の獣に止められかねない。あいつの小言は一々響く。香奈や秋隆と一緒にいた時も随分五月蝿く言われたものだけど、正直言ってまだ二人の方が気楽に聞き流せるものだった。

 それに、殺り合うんなら万全の状態であるはずが良い。睡眠は誰だって分かるように生物には必要不可欠な休息だ。今は奴に備えておくのが良い。

 そうやって、血生臭い事を考えつつ私は眠りについた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゆき、と、くろ

 はじめてあった、ふゆのよる

 

 こんばんは

 

 久しぶりね、■■君

 

 ひさしぶり…ひさしぶり?

 いつの、はなし、だったっけ?

 かれ、は───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ…?」

 

 朝起きたら、何だか違和感があった。何故か私は泣いている。

 懐かしいような、悲しい何かを見たような。

 深く思考するところだったけどその私を呼ぶ者がいる。

 

「おはようございますニャ、式様。寝起きのところ、急な話ですがギルドの方より緊急の連絡が。急ぎ集会浴場へ向かわれて下さいニャ」

 

 ルームサービスの猫…いや、それよりも仕事か。急ぎの連絡という事は随分と物騒な内容らしい。ま、どういう内容か、だなんて察するまでもないけど。

 ようやくか、と私は期待に胸を踊らせて手早く身支度を整えて集会浴場へと向かった。

 

 

 

 

 

「お?来るのが早いね。既に聞いているとは思うけど緊急クエストだよ。相手は───」

「いい。そういうのいらない。依頼の説明とかも面倒。誰が相手かなんて分かってるから」

 

 酒呑み爺が呆気にとられている。こいつだけじゃなくて受付嬢の二人もだけど。

 

「えっと、式様…?一応、依頼という形式ですので契約金など手続きを…」

「そっちで適当にやっといてくれ。オレは早く出向きたいんだ。面倒事はそっちに任せるよ」

「は、はぁ…。かしこまりました…」

 

 

 

 

 

 

 ああ、やっとだ。

 随分と待たされた。久方ぶりに楽しめそうじゃないか。

 さぁ、殺し合おうか、暗殺者。




次回、式編でようやくの戦闘となります。次回更新もやはり亀更新です(今さら)
あと最近になってからですがRWBYっていうアニメも見始めました。ルビーちゃん妹にほしい
今回短めなのは次回への前準備っていう事で納得して下さい
途中にある夢のシーンは完全に自己満足です。だって「彼女」が一番好きなんですもの
ではいつになるか分からない次回までまた~ノシ
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