モンハン世界にINしたアルトリアさん   作:エドレア

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act-3 煌々と燃え盛る(2)

 火竜のブレスと鎧竜の熱線も合わさって更に広がる大火災。

 アルトリアを含め、火の脅威から逃れられた者はまだいない。

 

 

 

 とにかく逃走を続けるアルトリアだが状況は芳しくない。偶然か、はたまた頭の良い固体が群れの先頭にいるのか最悪な事に群れは彼女と同じく南東へ向かって直進していた。このまま火災から脱け出せたとしても、アプトノスの群れとそれに付随する動乱を相手にしなくてはならない。火竜さえどうにか出来れば離脱できるのだが、ままならないのが世の常である。仮に攻撃するために火竜のところまで跳び上がったとしてもそれこそ彼の者の領域。アルトリアの一撃が火竜の頭蓋を呆気なく割る物でも、飛べる者とそうでない者では空中の動きに差がありすぎた。

 

「……っ!」

 

 アルトリアが息を飲む。火竜のブレスとはまた違う何かが横を掠めたからだ。過ぎ去った方を見ると、アルトリアの知識の中にある基準で言えば馬程の大きさもある巨大な虫が超高速で彼方へと飛び去っていた。カマキリのような前足に発達した鋭角的な角。徹甲虫アルセルタスも他のモンスター同様火の脅威から逃げていた。そして徹甲虫は一匹だけではない。数こそは多くないが後ろから次々と飛来してきた。彼女を狙った者ではないため、先に聞こえてくる羽音に注意していればぶつかる事は無いが火竜のブレスに加えてこれにも気を付けなければならない。彼女を取り巻く状況はますます悪くなっていった。

 

 地上でも若干の変化が生じていた。アプトノスの群れとそれ狙う捕食者の図は変わらないがそこに桃毛獣ババコンガとコンガの群れも合流したのだ。捕食者達にとっては厄介な相手である。彼らの悪臭ガスと糞攻撃は平時ならいざ知らず、こういう動乱の最中に発揮されると場を更に狂わせかねない。彼らからすればただ逃げているだけなので捕食者達は彼らを刺激しない事に決めた。最も、ボスである桃毛獣は火災とは別に逃げている理由があったりするのだが。

 

 日は既に西へと傾きかけている頃合いだが風が広範囲に吹いたのか未だ火災の領域からは脱け出せない。ここにきてようやく、足の早い一匹のイーオスが群れの先頭に辿り着いた。先頭にいる体格の大きいアプトノスを仕留めに動こうとしたその瞬間、黄金の斬撃がけたたましい鳴き声と共に空から降ってくる。松かさを思わせる鋭利な鱗。猛禽類に良く似た鳴き声。

 千刃竜セルレギオス。

 数少ない、火竜と空中戦において同格に張り合える獰猛なモンスター。縄張り意識が特に強いモンスターで滅多に縄張りから出てくる事は無いがこの騒ぎをどこからか聞き付けたのだろう。群れの前方から現れそのまま先頭を急襲したのだ。イーオスは間一髪助かったが狙っていた獲物は千刃竜に取られてしまった。

 獲物を捕らえた千刃竜は悠々とその場から去ろうとして、突如千刃竜に火球が直撃する。驚いた千刃竜は獲物を落としてしまった。千刃竜が火球が来た方向を確認すると、怒りの吐息を口から漏らした火竜がそこにいた。火竜からすれば自身が追いたてていた獲物を横取りされた形である。二頭は揃って咆哮し目が回るような空中戦を展開した。

 地上では全く別の脅威が群れを襲っていた。先程までお互いを牽制しあっていた雌火竜とドスイーオスだが後ろから鳴り響く爆発音を恐れて必死の形相で逃げている。飛んで逃げられるはずの雌火竜だが間抜けなのかそこまで焦ってしまっているのか。二頭の後ろには桃毛獣も焦った表情で逃走している。イーオス達も散り散りに撤退しだした。獲物の事すら忘れさせるような脅威が桃毛獣の更に後方にいる。黒曜石のような甲殻を粘菌で染め上げ、その殴りつけるために特化した前足で爆発を起こしながら迫ってくる影。

 砕竜ブラキディオス。

 体に付着した粘菌と共生しその力を借りて爆発攻撃を行うモンスター。獣竜種の中でもとりわけ独特な進化を遂げておりその性質は他に類を見ない。例え敵が倒れたとしても執念深く攻撃し続ける凶悪さを誇る。砕竜もまた肉食性であるがこの日群れに迫ったのは捕食するためではなかった。砕竜の頭部をよく見ると茶色い何かが付着し悪臭を放っている。言わずもがな、桃毛獣の仕業だ。火災が起きる前、桃毛獣はその好奇心旺盛な性質から砕竜にちょっかいを出してしまったのだ。よりにもよってこの桃毛獣、自身が撒いた不幸の種を引き連れる形で合流してきていたのである。他のモンスター達からすれば完全にとばっちり。巻き込まれる形になった雌火竜とドスイーオスは、自分達が捕食者の立場であった疾走を災厄からの逃走に変えて走り続ける。傍らに元凶である桃毛獣もいるのがまた何とも皮肉が効いている。更に荒れ狂う逃走現場だがアプトノスの群れが一番被害を被っている事に気付く者はいなかった。

 

 やっと火竜から逃れられたアルトリアは災厄の大移動から外れて身を休めていた。元いた拠点である遺跡から大分東に行ったところだが、ここまで来れば火災の脅威はもう無い。直に日が落ちるが暗くなるような事は無かった。いや確かに夜闇が徐々に世界を包み始めているが、西を見渡せば紅く煌々と燃え盛る森の姿がある。ここからでも確認できる拠点の遺跡だがそこで火災の光は燃え尽きていた。遺跡がその巨大さで以て風を阻みそれより南へは火が届かないでいるようだ。

(何とかして、早く遺跡に帰還しなければなりませんね)

 夜はまた違う世界になりどのような危険があるか分からない。急ぎ拠点へ戻る必要がある。彼女はちゃっかり入手していた燃える枝を松明代わりに暗くなりかけた森を進むのであった。

 

 

 

 群れの大移動を一時的に阻んだ鎧竜は森のずっと北、山脈が連なる麓にいた。ここは良質な鉱石が産出する場所であり鎧竜はこれを求めて北上していたのだ。手頃な鉱脈を見付けた鎧竜は食事のため近寄ろうとしたが突如感じた不穏な気配に危険を察知し本能的に逃走する。

 山脈が連なる中で最も高い峰にいたそれは頂上から下界を睥睨していた。火の出所こそ知らぬが森の火災は自身が原因だと理解している。それも特段に気にする事ではない。自分はただいるだけなのだ。それだけによって起きる事象など興味の欠片も無い。それよりも気になる事が彼にはあった。人間のようではあるがまた違う存在がこの森に紛れている。時折この森に人間が入ってくる事はあるが深奥にまで侵入してくる人間はまずいない。長く悠久の時を生きてきた身だがこんな事は初めてだった。

 やがて彼はその場から飛び立ち雲の中に消えていった。心に残る蟠り。それが後に彼の命運を決める事になるのを知る事は無かった。




実は火災の原因は他にいましたっていうオチ。じゃなかったら他にも火属性扱うモンスターいるのにガルルガ一人で火災になるのはおかしいからね。
この場でぶっちゃけると今回の火災の真の原因が未知の樹海におけるアルトリアのラスボスです。でももうちょっと先の話になります。
次回はちょっと時間飛ぶ事になると思います
あとtwitter垢これね→@MHFedorea
よろしくお願いしますm(__)m
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