小猫を抱き抱えながら思う。
小猫ちゃんは覚えていないだろうけど、実は昔にあっているんだ。
あの時とは、デパートの屋上で仮面ライダーショーがやっているので、それを見に行っていた。
その時はやはり、オーフィスの姿で行くのは不味いので、自分の子供の頃の姿で見に行っていた。
そのショーの帰りに、グレートレッドへのお土産を探していると、目の前に女の子が突っ立っていた。
不思議に思い近づくと、その目に見覚えがある。
その目を見たら遂言葉をこぼしてしまう。
「その目...世界に失望してるの?いや、違う......自分に失望してる?」
その目は知っている。
拾った時のヴァーリの目だ。
自分の力のなさに絶望してる時の......
「べっ...別に......」
その場から離れようと、早歩きをする。
あんな目の人をこのまま返しちゃ行けない。
どうにか止めようとして、遂手を掴んでしまう。
「自分に自信を持たなきゃ!」
手を掴むと自然にその言葉が出てしまう。
一瞬顔が歪むがすぐに元に戻る。
「離し」
「離さない!」
逃げようとするので、大声をあげる。
「絶対に離さない。俺には君の悩みなんて分からない、けど今離したら絶対に後悔する。それだけは分かる」
その時ばかりは、真剣な表情をして言い詰める。
「だから、今から楽しもう」
「えっ?」
さっきまでとは裏腹に、飛び切りの笑顔を見せる。
これで、後は気晴らしが必要だな......
「意味は分からないと思うけど今は、ただ着いてきて」
逃げないように手をさらに強く掴み、引っ張りながらデパートを巡る。
最初は、玩具売り場から始まり、次は映画館、さらに次はゲームセンター、と言った具合にデパートにあるものを、手当たり次第に遊んでいく。
出店のアイスクリーム屋さんがあったので、買って食べると、たまたま鼻にアイスがつきそのまま小猫の方へ向くと、突然笑い出す。
「やっと笑った」
「えっ?」
「やっぱり君は笑った方が可愛いよ」
やっと緊張が解けたのか、笑顔が見える。
けど、何で下を俯くのだろうか?
何か顔も赤いし。
「可愛いなんて」
「君は可愛いよ。笑顔がとってもね」
当たり前の事を言っただけなのに、さらに顔が赤くなった?
最近の若いものは分からんな......
女心が分からないだけだ。
「そうだ、いい事思いついた」
やはりこういう時は何かの記念品に限るだろ。
そう言いアクセサリーショップへと向かう。
中に入ると色々な品物を見回る。
「何か、ピンと来ないな......」
これだ!というものが見つからず、辺りを見渡していると、ある物が目に入る。
「これは......」
目に入ったのは、黒猫の髪飾りだ。
「あの子の銀髪に、この黒は合うな...これにしよ」
レジに持っていき、この品物を買う。
ちなみにいい素材を使っているので、2万3000円した。
子供からしたら高いが、財布には100万入っているので余裕で買える。
買った髪飾り大切に握りしめ、あの女の子の所に向かうと、少し騒がしくなる。
「ねぇ、あの子大丈夫かな?」「大丈夫だろ」「可哀想...誰か助けてあげなよ」「面倒事は御免だぜ」
そんな言葉が飛び交うが、関わりはないだろうと辺りを見渡すが、あの子はいない。
?どこにいるんだろ?
その時人波から、銀髪の女の子が地面にうずくまっているのが目に飛び込む。
急いで駆け寄り、肩を掴み抱きつく。
「ごめん。少し目を離した隙に、誰に何をされたのか言っていいよ。そいつ殺るから」
ヴァーリの時もこれで、泣き止んだからこれで大丈夫だろ。
それと、後で見てただけのヤツ殺す。
頭を撫でながら、周りの人間の顔を頭に叩き込む。
「いいの......いいから...もう」
「だめだよ。僕の気が収まらないから」
突然女の子から涙が滴る。
涙が流れほどの事をしたヤツには、死にたくても死ねない地獄をくれやる。
覚悟しろよ犯人。(自分のせいだと気づいてない)
だがそんな事よりも、泣いてる女の子を人目につけるなんて不味い。
とりあえず公園に向かおう。
小猫をおんぶし、ダッシュで公園に向かう。
公園に着くと、涙は収まっていたが、鼻をすすっていたので、とりあえず割れ目から缶ジュースを取り出し、渡す。
「ごめん僕が目を離した隙に、泣くほどの事をされたなんて」
「違うの...優しくされたのが久しぶりで、涙が出ただけだから、大丈夫」
その言葉を聞き、安堵のため息を吐き出す。
「良かった......何かをされた訳じゃなかったのか...」
「うん......」
さて、これで今後の予定が決まった。
まず、あそこにいた人間には悪夢を見てもらおう。
そんな事を考えていると、ふと時計が目に入る。
不味い!怒られる!
時計は6時を回ろうとしており、6時までに帰らないと、グレートレッドの拳骨が炸裂することになる。
帰ろう思いベンチをから、立ち上がる。
「さて、僕はそろそろ帰るね」
「え?」
そう言うと、また苦しみ出す。
これは不味い、相当誰かがいなくなることにトラウマがあるみたいだ。
すぐに、近づき語りかける。
「大丈夫!僕は離れたりしないよ」
髪飾りを思い出し、髪飾りをつける。
「かみ...飾り?...」
「そうだよ。君に似合うと思って」
少し離れてみると、やはり似合う。
頷きながら、そう思う。
「やっぱり似合うね、僕の目に狂いはなし」
「似合う?」
渡した髪飾りを触り、確認してくるので、大きく頷き抱きつく。
「君が絶望するなら、僕が君の最後の希望になるよ」
耳元でこのセリフ語りかける。
ウィザードのセリフはかっくぃぃな。こんな時に便利だ。
朝見たショーのセリフを少し変え言ったが、それに少女は気づくことは無かった。
「けど、僕は帰らなくちゃいけない。だから、その髪飾りは僕の代わりだと思って、大事に扱ってね。また会うかもしれないから」
こういう子は、何か心の支えがあれば生きてける。なら、僕が支えになって、見届けなきゃ。
そのために、髪飾りを送った。
ずっと一緒にいることは出来ないので、その代わりとして。
髪飾りを渡してすぐに、走ってその場から離れる。
流石に人目の中割れ目に入るなんてことは出来ないので、裏通りへと向かう。
後ろから何か声が聞こえた気がしたが、無視し先を急ぐ。
結局家に帰ると、拳骨が落ち、お土産を忘れた事でもう1発落ちてきた。
時は過ぎ、高校に入学することになる。
今回は原作の確認のために学園へと入ることにした。
まぁ、殆ど原作など覚えていないのだが。
この日は本屋に寄った後に学校へと行こうとしていたが、何を買うか迷ったあげく、学校には遅刻寸前となっていた。
力を隠すためには、学園に行く場合力を何も使うことが出来ず、今は走って向かっていた。
やばい、遅刻する!
人間急ぐと安全確認を忘れる。
いつもならコーナーを曲がる時、反対側に誰かいないか確認するが、この時は見落とし、誰かと衝突し尻餅をつく。
「すみません、私が前を......」
この声は?あの時の子かな?
当たった相手の顔を確認すると、やはりあの時の子だった。
当たったのは自分が悪いので、素直に頭を下げる。
「ごめんね、こちらこそ前を見てなかったよ」
「いえ、大丈夫です」
やっぱり覚えていないみたいだね。まぁ子供の頃だし仕方ないかな......
「あの、名前は?」
そう思っていると、顔を少し俯かせ聞いてくる。
そう言えばあの時はまだ、名前が決まってなくて、名前教えてなかったな。
「あぁ、そうだね自己紹介をしようか。僕の名前は大宮フィス。こんな顔だけどれっきとしたハーフだよ。よろしくね。君は?」
彼女の名前も聞いていないことを思い出し、聞く。
塔城小猫か......なんかどっかで聞いたような...まぁ、覚えていないってことは大事な事じゃないんだろうな。
そう思い、思い出すのをやめた。
「私は塔城小猫です。よろしくお願いします」
この日から、楽しい学園生活が始まる。