初期に考えていたさいに、初めに思いついたことをやっと出来た。これが1番やりたかった。
アーシアさんはやはり強い。
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ソーナの戦闘が始まる少し前、駒王学園でも事件は起きていた。
アーシアと治療魔術が使える悪魔が大勢の怪我人を、大急ぎで治療している。なにせ、治療できる人の数と怪我人数が違いすぎて、大多数が放置されている。
治療できる悪魔が一人しかおらず、アーシアを含めると2人。それなのに、怪我人は500を超えている。
「アーシアさん休んだ方が」
「大丈夫です。皆さんをいち早く治すこと、それが私の役目ですから。カルスさんの方こそ」
「結構。私はまだまだ余裕がありますから」
2人は見合って言うと、ふふふと笑ってしまう。辛いのは相手も同じなのに見栄を2人ともはる。そこがおかしかったのだろう。
そんな2人を守るためにディオドラは侵入者が来ないように警戒していた、はずだったのだが突然体育館を囲むように3体の強大な力を放つ龍が現れる。
まず体育館と校舎を繋ぐ場所を陣取っているのが、王道の龍の形をした漆黒の龍。
その名を『
次に体育館からグラウンドに行ける場所を陣取っているのが、龍の首を三つ持っていてその首一つ一つが別々の意思を持って、翼を持っている黒い龍。
その名を『
最後に校門が目の前にある扉を場所を陣取っているのが、銀色の三つの目を持ち100mを超える黒い大蛇。
その名を『
邪龍の中でも天龍に届いていると言われる、最高峰の邪龍が聖杯の力で蘇りアーシア達を強襲しに来た。
この三龍とも昔オーフィスにぽっくり殺されています。そこを皇が聖杯を使い復活させている。
「わんわんさん、わんわんちゃん、わんわんくん、お願い!!」
「「「ワオォォォン!!」」」
アーシアの護衛として敬語をしていたフェンリル一家が、その身体を大きくしてアジ・ダカーハへと向かう。それに援軍としてアザゼルも光の槍を持って突撃する。
ディオドラは須佐之呼を呼び出す。その姿は前の上半身のみではなく、下半身も出来上がっていてアジ・ダカーハより少し大きい。そんな巨体で拳をだし、アジ・ダカーハを殴りに行く。
「さて誰が俺の相手を?」
「私です」
そこには既に禁手をしたアーシアがいた。
アポプスは正直に言ってつまらないその一言だった。彼女は弱すぎるそれが一目見て思った事だった。
確かに鎧の能力は凶悪だ。擬似的不死身。だが、それは強者がなって意味をなす。ただの人間が不死身になった程度では強くなるわけが無い。
そんな事も分かっていないのかと、ため息を吐く。
「どうしたんですか?ため息を吐いて」
「俺はハズレを引かされたと思ってな」
「ハズレ...ですか?」
「あぁ、人間が俺に勝てると思ってる...馬鹿な事だ。他の奴が終わるまで待ってるから、少女は治療に戻りなさい。はぁ......最悪だ」
その一言にアーシアは肩を震わせる。
それを聞いたディオドラがアーシアの方を見た瞬間、顔を青くして大声を上げる。
「皆ァァ!離れてぇぇ!!危険だぁぁ!急げぇぇ!!!」
体育館にいた皆は頭を傾ける。
邪龍がそこら辺にいて危険なのは知ってる。それを今更逃げる?遅くない?
全員がそう思い動こうとしない。
そんな人達の中心に経ち、ディオドラは須佐之呼を展開する。全員が何故?と首を傾げていると突然巨大な黄金の龍が現れる。
その龍はアザゼルが持っていた『
彼はアザゼルが総督を引退する際に、誰に渡そうか迷っていたらたまたま見つけたアーシアに一目惚れして、アーシアの神器の中に入っていたのだ。
そんな彼が出てきたのは嫌な顔せずに、住まわせてくれていたアーシアに恩返しするために、アポプスへと飛びかかる。
ファーブニルが現れた事で戦闘意欲が急上昇した。
見ただけで理解出来たのだ、彼は強いと。暇つぶし程度に丁度いい。そんな軽い思いでアーシアから目線を逸らしてしまった。アーシアの今の顔を見ていたら、決して視線を離していなかっだろう。
「前言撤回だ。殺ろうかファーブニル」
「こちらのセリ」
ファーブニルは攻撃を仕掛けようとして地面を踏み込もとした時、突然の浮遊感に襲われる。
おかしいさっきまで地面にぃぃ!!
今度は突然背中が誰かに殴られる感覚に襲われる。
辛うじて動く首で見ると、アーシアが我武者羅に殴り続けていた。
「何をしている!」
「アーシアたんがァァ!俺をぉぉぉ!!」
ファーブニルは興奮していて、呂律が回っていなく要領を得ない。
一体何がと思って見ると、やはり先程の少女アーシアが殴っていた。
何をしているこの者は!
人間が龍を退治するには大体何かしらの武器を使う。かのヘラクレスださえ毒を用いていたのだ。なのに、少女は拳で殴っているのだ。味方であるファーブニルを。
さらに、最初あった時より何故か表情が嬉々としている。
アポプスは段々とその攻撃?に押され始める。
ファーブニルが意外と頑丈で、それがどんどん自らを押しつぶすように身体を当てて来るのだ。
「離れろ!」
「やはあはあはあひあはあはああはあはいはあはあ」
だめだこの龍。もう喋れてない
何とか離そうとするが離れない。そして遂にアーシアは最後に右手に力を貯め、究極の拳を放つ。
「逃げ場は無い!!鉄拳制裁!!!!」
その一撃はファーブニルの硬い鱗を貫通し、アポプスを強打する。その一撃は身体中に走り、身体の自由を奪いその場に倒れる。
「さて他の邪龍さんにもお話があります。そこに座ってください」
「この俺を人げ」
「座ってください」
「調子に」
「おい、座れ」
あまりの剣幕に2人は静かにその場に正座する。その姿は過去に戦ったオーフィスと同党の物だった。
それから3人に対しお話もとい、お説教は20分にも及んだ。そのお説教は3人とも泣かせるには充分な物だ。
目からは大粒の涙を流してグラウンドに、3人で湖を作っている。
「分かりましたか?もう、こんな事しませんね?」
「ばぁい」
「ごめんざい」
「もうじめぜん」
1人の人間に最強格の邪龍が頭を下ろす様は、全員絶句する程の物だった。
3人ともが反省しているのが分かると、手を出せと言う。3人とも殺される事を覚悟して、両手を前に出す。
3人の手を重ねそこにアーシアは手を添え、治療の光をかける。
「「「え?」」」
「?...どうかしましたか?」
「何故治療を?殺さないのか?」
3人ともまさか治療されるなんて思ってもみなかった。そもそも敵を癒すこと自体初めて見たのだ。
そんな事をしているアーシアに批難の声が上がる。
なぜ治療するのか。そんな奴助ける義理はない。こちらを治せ。と、それは3人とも同じだった。それを疑問に思っていると、アーシアが理由を話す。
「だって、もう悪さはしませんよね。なら、もう私が助けるべく患者です。私はここにいる怪我人を治すのが仕事です。だから、貴方達もその1人です」
アーシアはそう微笑む。その微笑みは3人の混沌としていた心に一筋の光を指す。
先程説教された時より涙を流し、アーシアよ胸へと飛び込む。
「「「おがあざん!!」」」
「はーい。よしよし、いい子ですね。」
頭だけで押しつぶされそうな状態だが、それでも3人の頭を交互に撫で続ける。それはまさに、母親が子を撫でるような暖かい物だった。
落ちたな。それがディオドラの思った事だ。
アーシアは動物に関しては天然のジゴロウの節がある。フェンリルしかり、ファーブニルしかり。
そんな光景になる前に、ディオドラが危ないと叫んだのには訳がある。
過去に1度だけアーシアが本気でキレた事があった。それは、ディオドラが浮気をしたと勘違いされ、アーシアが拳で語る。そう言ってディオドラを殴り続けたのだ。
それを止めようとしたサーゼクスも巻き込まれ、一緒にボコボコにされたのだ。その事がトラウマにあり、先程逃げろと言ていてた。
「アーシア、そろそろこちらに戻って」
「はいそうですね。ごめんね、今は治療しなくちゃいけないから。また今度...ね?」
涙と鼻水まみれの顔をアーシアの渡した、ちいさなハンカチでそれぞれ1枚ずつで拭くと、アーシアの役にたとうと行動する。
「俺が覚えてる魔術の中に、治療系統のがあるから、手伝う」
「俺は護衛をしよう」
「私もだな」
「分かりました。一緒に頑張りましょうね」
「「「はい、お母さん」」」
ふふふと少し笑いアーシアは、治療に戻るがあまりの衝撃的な事に開いた口が塞がらない。
「あはあはあはかはあはいはあはあ」
ファーブニルは未だにその気持ちよさから戻っていない。