「そんなことがあったとはな。その、話に出て来たゼレフってのはもしやあの黒魔道士か?」
「ああ、魔法史上最凶最悪の伝説の黒魔道士で間違いない」
ゼレフはガルナ島でグレイの師であるウルが命と引き換えに倒した化け物『デリオラ』やナツたちと初めてチームを組んだ時に倒した呪歌『ララバイ』のような悪魔を多く生み出した厄災と言っても過言ではない男だ。そんな男を生き返らせる動機が楽園へと進むためだと昔の仲間がエルザに語ったそうだ。
「それにしてもなんでその仲間たちがお前を目の敵にしてるんだ?」
「私は彼らを裏切ったといってもおかしくないことをしたし、8年も離れていたからな、その間にジェラールに何かを吹き込まれたんだろう」
「裏切ったって、それはエルザがここに近づけなかったからじゃない!それなのに」
「もういいんだ、ルーシィ。ジェラールを倒せば全て解決する」
自分で全てを背負い込もうとしているように見えたグレイにとっては胸のつかえが取れず、もやがかかったままでいた。
全てを話し終えたところでエルザを姉さんと慕うショウがやってきた。彼の口からは、エルザの言うことは全て嘘で魔法を体得したために自分たちを裏切り1人だけ逃げたこと、ジェラールのみが希望であり彼のためにこの塔を完成させたと吐き出すように叫んだ。その時に信じられるのはジェラールの言葉だけでそれが全てであり救いでもあったと続けた。
「だから俺たちは塔を完成させたんだ、ジェラールの言葉を信じて!」
「ジェラールの言葉を信じてエルザを疑うのか?こいつがそんなことするとは思えねえがな」
「逆になんでそこまで信じられるんだ。間違ってたのは俺たちだったって言うのか!」
「そうだ」
後ろから話しかけてきたのは一際大きな体をしたシモンだった。
「あの時のジェラールの言葉は嘘だったんだよ」
「お前はあの時の!」
「待ってくださいグレイ様!彼は敵じゃありません!」
アカネで襲撃してきたシモンに対して突っかかろうとするグレイを抑えたのはジュビアだった。闇の術者が身代わりと知りながら攻撃をして、自分たちを見逃したからだ。つまり、彼は最初から敵対するつもりがなかったのだ。
「さすが、ファントムのエレメント4だな。よく観ている。…俺は強力な戦士たちが集まるこの機を待っていた、それまでは騙されたフリをしながらな」
「戦士?俺たちのことか?」
「ああ。ジェラールを止められるのはお前たちしかいないからな。エルザの仲間なら大丈夫だろう」
「シモン、お前」
「エルザ、俺はお前を信じてたんだ。8年間ずっとな」
何年も待たせてしまった仲間との再会がこの一言によって報われたエルザとシモン、ショウは久方振りに抱擁を交わした。
「…ジェラールを潰すなら今しかない。敵同士ではあったがここは一つ力を合わせようじゃねえか。この腐った計画を潰しにな」
ジンヤの提案で一致団結することになった。
「そうだな。まずはサラマンダーのナツと合流する。ミリアーナ達と衝突する前に」