宿題のペースは計画的に。
と、まあ話はこれくらいに本編どうぞです。
二次試験は『6時間以内に島にある初代マスター・メイビスの墓を探すこと』という比較的単純な内容だ。単純な内容だが、かなりシビアだ。何故ならー
「何この島ー!!」
「急げルーシィ!」
「いやぁー!」
この島には巨大な魔獣や凶暴な鳥などが数多く生息する魔境のような場所だ。そんな中で時間以内に探すことなど至難の技だ。
「なんつー島だ。厳しいってこれのことか」
「私死んじゃうかも…」
この二次試験で脱落した者は数多くいる。魔獣に襲われて大怪我をした者、疲労によるダウンで脱落した者、時間以内に見つけだせずに折れた者など数え始めたらきりがない。
「S級になるにはこれくらい乗り越えねえとな!」
「たいした強がりだ」
6時間も猛獣に追われ続け、精神も体力も消耗し、思考力も纏まらないことも多々ある。
「あっち行くぞエバーグリーン!」
「うっさい!少しは静かにしなさい!」
この二次試験は極限下での知力、持続力、そして冷静な判断力を見ているのだ。
「俺の邪魔を…するなぁー!」
「あーあ、ナツの前に出るからだよ」
一名だけやりたい放題だが。二次試験が始まって早々にゴールである初代マスターの墓にジンヤがやってきた。
「…誰かと思えばお主か、ジンヤ」
「墓参りだよ。初代と仲が良かったっていうご先祖様と話したくてよ」
「ルミナ殿か…あの人にはワシも色々と世話になったな」
初代の墓とその隣にある小さな祠に用があって来たのだ。ジンヤ自身は話でしか知らないが、そこには曽祖母が眠っている。
「ルミナ殿は優しいお方じゃった。小さい頃に親を亡くしたワシの母親代りになってくださってな、ギルドを引退なさるまで色々と世話になったもんじゃ」
「そんなことがあったのか」
「懐かしいもんだ、今でもよく憶えておる」
「そうか。これも縁なのかもな」
数分ほど静寂が包んだ後、気が済んだのかお供え物を置いて立ち上がる。
「それじゃあ島の巡回に行ってくる」
「頼むぞい。ここの魔獣もお主の言うことしか聞かぬからな」
「の、ようだな。また後でな」
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「漢はいかなる時も逃げるべからずー!!」
「黙って走りなさいよー!」
イノシシのような大きい猛獣から逃げようと全速力だ、突っ込む余裕もほとんどない。
「ブモォーー!!!」
「危ねぇ!」
「えっ…きゃあ!」
巨体から繰り出された攻撃をギリギリで躱すが、エバを庇った時に勢いのあまり近くの穴に落ちてしまった。
「うおお!」
「きゃああ!」
ゴロゴロと転がり落ち、気づけば先程とは違う森に出ていた。
「た、助かったわ。でも抱きつくなんてどういうことかしら?」
「仕方ねぇだろ。それにしても見つからないな、初代の墓」
「落ち着いて考えましょ…っ!誰!?」
「人がいたんだ?誰もいないと思ったのに」
今後の事を話し合っていると茂みの方から1人の青年が姿を見せた。受験生でもなければ関係者でもなく、2人にとって初めて見る顔である。
「あんた何者?ここはギルド関係者以外立ち入り禁止よ」
「そうか…ギルドの管理する島だったんだね。知らなかったよ」
「テメェ、ナメてんのか!」
「来るな!来ない方がいい…死の捕食が、始まってしまう」
苦しそうに頭を抑えたと思えば黒い波動が体から溢れて広がっていく。周りの草木を枯らしながら2人へと近づく。
「伏せろぉ!」
「うおっ!」「んあっ!」
ギリギリのところで2人を押さえつけたナツのおかげで事なきを得た。顔を上げてみると周りの木々が枯れ、地獄と化していた。
「おい、お前ら大丈夫か!?」
「ナツー!急にどうしたの!?」
「いきなりドス黒いもん感じたんだ」
見廻中に異変に気付いたジンヤとナツのペアのハッピーが追いつき、事の発端を起こした青年を見る。
「凄まじい力ね。周りの植物が一瞬で…」
「どうするよ。迂闊には近づけばさっきのやつの餌食だぞ」
『( …こやつは!)また来るぞ、離れて伏せろぉ!』
魔力の急上昇を感じ、大声で叫んだ。全員離れた直後に再び黒い波動が大地を覆った。煙が消えて晴れ渡った頃にはもう既に先ほどの青年の姿は消えていた。
「何だったんだ…あいつ…」
「あんな危険な奴が紛れ込んでいたとは…俺はすぐにキャンプに向かう。お前らもなるべく固まって行動してくれ、さっきみたいな奴がいたら困る」
「気をつけてよ。嫌な予感がするわ」
妖精の住むと言われる天狼島。その近くには黒き魔導師を狙う悪魔が密かに近づいていた。
はい、というわけで本格的に天狼島編入ります。次はまたしばらく先になりそうです。
画力欲しい…。あと今回名前だけ出てきたご先祖様ですが、本編では出ない可能性の方が高いです。