FAIRY BEAST   作:ぽおくそてえ

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どうもお久しぶりです、ぽおくそてえでございやす。

1週間ほど空きまして申し訳ないです。
それでは本編どうぞです!


第72話 悪魔の侵略

「マスターは試験内容に闇ギルドを置いてんのか?」

「そんな訳ないでしょ。こいつらどっかから勝手に入ってきたんだよ」

「多少のトラブルくらいは対処できなきゃな。S級となれば尚更だ。ぶっ飛ばすぞ」

「でも闇ギルド相手に勝手に戦ったら…」

 

ガジルの提案にも反応は鈍い。違法の存在とはいえ闇ギルドもギルドの内、勝手に戦ってはこっちが法に触れかねない。

 

「ぬはははは、これだから正規ギルドは!規則、規則で息がつまりそうじゃのう!」

「戦争にルールなんてないペロン」

「戦争だぁ?」

「あんたたち何しに来たのよ!何が目的!?」

「簡単なこと…ここにいる妖精を狩りつくすことなり!」

 

そう言い切ると、『轟』という字から耳をつんざくような爆音があたりに鳴り響く。

 

「なんだあれ、お前と同じ魔法か!」

「あれは東洋の『固体文字(ソリッド・スクリプト)』!?」

「だぁー、うるせぇ!」

 

耳を塞いでも聞こえる音に聴覚の優れるガジルは思わず顔を顰める。

 

「ガジル、来てるよ!ガジルってば!」

 

後ろから来るカワズの接近を知らせるが、轟音の影響で注意しても全く聞こえていない。このままではやられると感じた彼女は耳から手を離し、襟元を思いっきり引いて間一髪攻撃を躱す。

 

「ペペペッ!」

「卵?」

「エッグバスター!」

 

振り向きざまに吐き出した卵を拳に変えて、次々にガジルたちに追い打ちをかけてきた。

なんとか抜け出したガジルをヨマズの刀が連携して攻め立ててくる。

 

「(くそっ、あの魔法のせいで足音さえ聞こえやしねえ!)」

固体文字(ソリッドスクリプト)静寂(サイレント)!」

 

苦しい状況を打開したのはレビィだ。音を出す魔法に静寂の魔法をぶつけ、元の状態に戻した。

 

「我が魔法を打ち消しただと!?」

「そこか…鉄竜棍!」

「ぬぉっ!」

「ファイア!」

「ぺぺッ!?」

 

邪魔な音が消え、まともに動ける様になった2人は少しずつ反撃する。しかし、その反撃も虚しく、逆にまた押し返される。

 

「くそ…俺の鉄の鱗が…」

「死にゆけ、暗黒剣・鳴咬!」

「(くそっ、ここまでか)」

 

必殺の一太刀を浴びせようとした刃は鉄竜に届くことなく阻まれた。エルザの金剛の鎧が2人を守ったのだ。

 

「そこまでだ、侵入者ども」

「エルザ…どうしてここに居る?」

「ガジルくん、レビィさん、この薬を飲んでください」

「うん、ありがとう」

 

一度距離をとって剣を構え直す。

 

「この、もう一度!」

「おい」

「貴様いつの間に…ガハッ!」

「寝ていろ」

 

後ろに回り込んでいたジンヤの眠りの能力で意識を持っていかれ、ヨマズはそのまま地面に倒れ伏した。

 

「グリモアハートが入り込んでいたとは…」

「私たちはテントに戻ってるね」

「そうしてな。それよりテメェらの目的、そして構成メンバーを吐いてもらおうか」

「そんな簡単には吐かないペロン」

 

そう易々と言ってたまるかと頑なに断るが、エルザの繰り出した頭突き一発にひれ伏すハメになった。

 

「話せ、さもなくばもう一発だぞ?」

「わ、分かったペロン。話せるだけ話すペロン」

「(人の頭がぶつかる音じゃなかったぞ、今の)」

「(ドカンって…凄まじいですね)」

 

味方の恐ろしい一撃に冷や汗を流す2人を余所にカワズはポツポツと目的を話し始める。

 

「自分たちの目的はゼレフ、黒魔導士ゼレフペロン」

「バカな!ゼレフは何百年も前の人間、生きているはずがない(だって、あの時ジェラールは…)」

『それがおるんじゃよ、今でも。先ほど見かけた奴がそうじゃ』

「あいつか。厄介な話になって来やがったな」

 

400年間ずっと生きてきたゼレフが完全に復活した時には世界が闇に包まれる。その世界を目指し、ゼレフを狙っている。

 

「ここはフェアリーテイルの聖地。その神聖な島で狼藉を働くつもりか!」

「関係ないペロン。マスターハデス直属の『煉獄の八眷属』がいる限り負けはないペロン。しかも既に1人はこの島に…」

「(いつの間に!)」

「くっ、試験は中止だ!総員戦闘配備、コンディション・レッド!迎撃態勢に入れ!」

 

====

 

その頃、島の一角では一次試験に脱落していたメストとウェンディが探索に来ていた。

 

「メストさん、あの信号弾って何の合図でしたっけ?」

「ん、あれ?うーん、何だったっけ?」

「ええ!?メストさんも覚えてないんですか?」

「(マズイな…本隊が来る前に動かねば…)」

 

メストは島で起こっている何かに内心焦りを感じる。すぐに行動を起こすべきと判断したが、そこにやって来たリリーとシャルルに止められる。

 

「ウェンディー!すぐにそいつから離れなさい!」

「シャルル、リリー!何でここに?」

「そんなことはどうでもいいわ。メスト、あなた何者?」

「え…何者って、俺はミストガンの弟子で…」

 

その言葉を遮るようにリリーの拳が真後ろにある岩を砕く。

 

「お前は何者だ、ギルドの人間ではあるまい」

「な、何のことだ」

王子(ミストガン)が弟子を取らないのはギルドの全員が知っている。お前と接点を持つ者の名も挙がらぬし緊急信号を知らないとなると尚更怪しい…」

 

リリーの詰問に徐々に顔を伏せていくメストは次の瞬間、姿を消した。

 

「消えた!?」

「(いや…これは、瞬間移動か!)しまった!」

「ウェンディー!」

「あっ…」

 

気付いた時には既に2人の後ろ、ウェンディの目の前に来て驚く彼女の腕を掴んでいた。

 

「危ない!」

 

リリーが駆けつけようとした瞬間、突如起こった爆発から守るように彼女を引っ張った。

 

「攻撃!?何事だ!」

「(ウェンディを守った?)」

「誰だ、出てこい!」

『ほう、今のを避けるか?流石だね』

 

声のする方を見ると、木から人の顔が現れ、徐々に全身を現して行く。

 

「木から人が!?」

「な、何者なんだ!?」

『俺の名はアズマ。グリモアハート、煉獄の八眷属が1人』

 

ここに来てさっきの信号弾が敵の出現を知らせるものと気づいた。しかも闇ギルド最強の一角グリモアハートの襲撃だ。

 

『ふむ、いま気づいたところで遅いとでも言っておこうか』

「一体何がどうなっているんだ!」

「黒魔導士ゼレフにグリモアハート…フェアリーテイルの聖地ならきな臭い話の1つや2つあると踏んでいたが、まさかこんなヤマに当たるたぁ俺ももついてるぜ」

「あんた…一体!」

 

シャルルの言葉に冷や汗を流しながら振り返って答えるメストから衝撃的な言葉が飛び出した。

 

「まだ気づかねえのか?俺は評議会の人間だ、フェアリーテイルを潰すためのネタを探しに来たんだよ。本拠地不明のグリモアハートまで釣れるとは思わなかったけどな、今日こそ我らの軍艦で一網打尽にしてやる」

『ほう、それはそれは。だが、無駄な努力というものだね、あの軍艦は役に立つまい』

「なっ!?」

 

いつの間に仕掛けたのか、沖合数百メートルは離れている評議会の軍艦が木っ端微塵に爆散していた。

 

「それじゃあ仕事を始めていいかね?」

「全員下がってろ…」

 

悪魔の進行は本格的に進み始めていた。

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