それでは本編どうぞデス!
「何、この光……うあっ!」
墓の真ん中に空いた穴に触れようとしたが、それを拒むように強い衝撃に弾かれてしまう。
「妖精三大魔法の一つ、
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「
「あれは、お前のような奴に使えるもんじゃねぇ!あの魔法は素質がなきゃあ到底…!」
「そんなもん、後でどうにでもなる」
「お前のような何処ぞの馬の骨とも知れねぇ奴に渡せるか!仙法青竜の咆哮!」
重力から抜け出し、目前まで迫ったジンヤの一撃を無慈悲にも吹き飛ばし、逆に重力で押し飛ばした。
「ぐあぁ!!」
「ジンヤァ!!」
「テメェに聞けばと思ったんだがな……お、そこでヨレてんのマカロフ?じゃあそっちに聞くとするか」
「てめぇ、じっちゃんに手ェ出したら許さねえぞ!」
「よせ、ナツ…こいつはお前では…」
ナツが叫び、立ち向かうが同じように吹き飛ばされる。実力差が大きいのは火を見るよりも明らかで、圧倒的な力を前に心が折れかける者もいた。
「ガハッ!」
「ナツゥ!」
「(こいつ、強すぎる)」
「(どうしよう…どうしよう…)」
「(誰か…来て!)」
その頃1人でメイビスの墓に来ていたカナだったが、誰もいないこと、そして墓の前に現れた謎の魔法に苛立ちを覚えていた。
「私はこんなのが欲しいんじゃない!試験はどうなってるのよ!マスターはどこ!?」
この12年、父親に会うためにこの試験に全てを注いできた彼女は必死だ。最後のチャンスだと思って臨んでいるのだ、このまま合格せずに終わるなんてことはできない。
「やっと、やっとS級になれると思ったのに!!私はこんなところで諦めたくない!」
カナの頭にはこの12年の思い出がよぎった。
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12年前、母の病没時に自分に父親がいることを手紙で知り、その父を探すうちにフェアリーテイルにたどり着いた。父の名はギルダーツ、フェアリーテイル1の実力者であり、当時のS級の中でジンヤと双璧を成していた。
「こんなところで何してんだお嬢ちゃん」
「迷子か?」
「(お父…)」
「こんな所にいたら服が酒臭くなるぜ」
「お嬢ちゃん、ここに居たら危ねぇから早く帰りな。じゃあな」
「(なんで、気づいてくれないの?……言いそびれちゃった)」
言いそびれた言葉を伝えようと父の帰りを待つうちにギルドを出入りし、そのうちギルドに入るようになった。そんなある日に、ギルダーツと共に仕事に行った男が帰って来た。S級の1人でジンヤと言い、当時は2人しか居ないS級の1人としてよく仕事を共にしていた。
「おっ、確かギルド前に居たな。名前は?」
「カナ。このギルドに入ったの」
「そうか、結局ウチに来ちゃったのか。俺はS級の獣人、ジンヤだ。よろしく」
「…ねえ、ギルダーツは一緒じゃないの?」
「途中まで一緒だったけど、あいつは別の仕事に行っちゃったな。なんか用事でもあったのかい?」
「別に…」
ギルダーツは忙しく、偶にしか帰ってこない。しかもまたすぐに仕事に出かけてしまう。ギルドに帰っても人気者の彼の周りには常に誰かが居て、自分が話しかけることなんて出来なかった。
「ギルダーツ、偶には一緒に飲もうぜ!」
「おう、いいぞ」
「仕事先の話、聞かせてくれ!」
「もちろんだ。今回は……」
「(あっ…チャンス逃しちゃった…)」
ギルダーツの仕事にはジンヤがよく一緒に出かけていたし、ギルドにいる時は他の子達と遊んでいる姿が見られた。
「ギルダーツ、今度はこれに行こう」
「そうだな…って痛え!髪引っ張るな!」
「お兄ちゃんも遊ぼーよー!」
「俺もかよ」
「(良いなぁ…)」
勇気を持って話せないことが続き、つっかえた物を心に残しながら日々を過ごしていた。
「大きくなったなカナ」
「あっ…うん」
「ギルダーツ!列車に遅れるぞー!」
「はいはい、じゃあまたな…」
「(また、言えなかった…)」
あの時に伝えられなかった一言は心の重しになり、本当のことを伝えるのさえ辛くなってしまう。そんな自分にも転機が訪れた。きっかけはS級試験だった。
「私が?」
「頑張れよ。お前なら合格できるさ」
「うん!私、頑張る!(これに合格すれば、私だって!)」
これに合格したら真実を伝えようと心に決めたが、結果は四年連続の不合格。自分より後に入ったエルザやミラが先を越して次々に合格してS級になっていく。
「私は落ちこぼれ…お父さんとは釣り合わない。だからこれで最後にする。もしダメだったらギルドを辞めて街を出ようと思うんだ」
ルーシィに語った諦めに近い宣言。これに受からなければギルダーツの娘である資格がないと感じた彼女なりの決意だ。
「あたしがカナのパートナーになる!絶対合格させる!ギルドを辞めさせたりなんかしない!!」
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「っ!!ルーシィ…」
思い出から呼び戻したのは1週間前にルーシィが涙ながらに言ってくれた言葉だ。腰にあるカードにはそのルーシィがピンチになった時に輝くカードが入っていた。
「何やってるんだ…私は…」
自分に手を差し伸べてくれた仲間を1人にして勝手に行動した事に、後悔のあまり泣き崩れてしまう。
「なんで私は…こんなことを!仲間を裏切るつもりはなかったのに!私はもうダメ…ううっ」
涙に濡れた顔を抱え、俯いてしまう。己の行動を恥じ、後悔の念に包まれる。しばらく泣いていたが、その手でまだ何かを掴もうという意思が体を前へと進ませた。
「……S級魔導師になれなくてもいい、お父さんに全てを伝えられなくてもいい。それ以上に私は…仲間を、みんなを守りたいんだ!」
あろうことか痛むのを承知の上でメイビスの墓の中心に手を伸ばし、光に思い切り手を突っ込んだ。
「もう何もいらない!みんなが無事ならそれでいい!フェアリーテイルにいられなくなってもいい!私がどこにいようと…心はいつも同じ場所にあるから!だからお願い、私にギルドを守る力を貸して!」
どんなに痛もうが、傷つこうが構わずに手を伸ばし続け、そう願うように叫ぶ。
「私は…このギルドが、みんなが大好きなんです」
涙を流しながらありったけの想いを紡ぎ出した。
『ならば何も怖れる事はない』
カナの強い意志に答えるように優しい声と言葉が頭に響く。
『過ちは人の歩みを止める枷にあらず、心を育てる糧である』
カナの右腕に光が伝わり、そして糸が巻き付くように力を与えて包み込む。
『初めから全てが出来るものはいない。しかし、そなたなら友を救えよう』
「(この声…マスター・メイビス、なんか安心する…)」
『さあ…行きなさい。仲間を想える美しき心を持つそなたに秘宝の
「はい…」
仲間を救う光を携え、皆を守る為に駆ける。その背を見守る二つの声が静かに響く。
『貴女の遺志をプレヒト、そしてマカロフが継ぎ、その次代が守り貫き通してるのね。それならあの力を正しく使えるわね』
『ええ、清く正しい心の持ち主で良かった』
『…さて、もう1人の後継者を待つか』
仲間を救うために森を駆け抜けるカナの瞳には自信で溢れており、力強いものだった。
「(私は一番大切なものの為に戦うんだ!これが私の最後の戦いになるかもしれないけど、12年分の借りは返すからね!フェアリーテイルのみんな!)」