「伸びろ如意棒!」
「防!」
「隙ありペロ…ペペッ!?」
「よそ見してんじゃねぇよ!」
ルーシィたちを逃してから数分、両者手負いながらも、互いの道を切り開くために必死に戦っていた。
「いい加減しつけえな」
「そう簡単には倒れねぇか」
一進一退の硬直状態で、倒すまでには至っていない。バラム同盟の一角の先鋒を務めるだけあって実力は本物だ。
「ゼレフと共に大魔法世界を作るため、貴様らには死んでもらおう!」
「やらせねえよ…この世界の魔法は皆の為にあるんだ、誰かが独占して良いもんじゃねえ!」
たとえ敵が強大だろうと、志を強く持ち、未来を作るために先に進もうと覚悟を決めるナツに、ジンヤは内心である決意をした。
「(もし俺がゼレフに負けて死んだ時は、お前がルーシィを守ってやってくれ、ナツ)」
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天狼島の各地で悪魔と妖精が持てる力をぶつけ合い、均衡した状態を保っている。その一つの戦場では
「くらえ、ブレビー!」
「ぐはぁ!」
爆発をくらうが、その勢いを利用して木の根っこを蹴りながら鎧の換装を瞬時に行い、反撃していく。
「明星・
「ぐおお!」
二つの剣を前に向けて光線を放ち、アズマを勢いよく飛ばしていく。そこそこダメージをくらっているはずなのに顔には笑みを浮かべていた。
「何がおかしい?」
「俺はアンタのような強者を待っていた。その強者と戦えて楽しいね」
「楽しいだと?この戦いのどこが…」
戦闘狂とも取れる発言に苦虫を噛み潰したような顔をしたが、気にするそぶりも見せない。
「アンタの武勇はよく聞く。恐らくは俺と同じ人種、ただ強者を求めて戦う者の証」
「生憎、それには賛同できんな。私は強者を求めてなどいない」
「いいや、そうでなければそこまで強くなれはしない」
アズマの言葉を聞き、しかし確固たる信念を持つエルザは敵を見据えながら力強く言葉を返す。
「私は仲間を守る力があればいい。その力と引き換えなら、私は誰より弱くてもいい」
「ほう、フェアリーテイルらしい意見だ。だが、何を言っても結果は変わらんがね」
「どういうことだ?」
「時間切れだ。俺の魔法『大樹のアーク』は大地の魔力を支配できる。いささか不本意ではあるが、この島の魔力を時間をかけて支配させてもらったよ」
残念そうな顔をしているアズマと彼の言葉を信じられないエルザ。そんな2人をよそに島を震動が伝わる。
「これも命令だ。仕方ないことだ」
「貴様…私たちの聖地に何をしたのだ!?」
エルザの叫び声が響く中、島の象徴の天狼樹は徐々に傾き始めていた。まるで妖精をくらう悪魔が勝つと言わんばかりに。
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「なんだ!?天狼樹が倒れ始めたぞ!」
「おお、策が成ったか!」
「こいつらを早く倒さなきゃ…」
何が起きているのか分からず混乱するナツとジンヤは敵を叩き伏せようと踏み出したが、なぜか身体の力が抜けていく。
「身体に力が入らねえ。どういうことだ」
「魔法が使えねぇ…」
『なぜワシの仙法まで…くそっ!』
この現象は他のところでも起こっていた。
「んがっ!ど、どうなってやがる…こんな急に…」
「アズマめ、余計なことをしやがって…ジジィの指令か」
ギルダーツも例外ではなく、突然魔力が抜けたことに驚きを隠せない。また、逃げているルーシィたちも魔力が抜け、その場で倒れてしまう。
「なんで急に…」
「力が入らないよ…」
「急に立ちくらみが…」
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「マスター・ハデスはこの島をよく知っている。この天狼樹は不思議な力を持っていてね、
「(だからマスターはここを試験会場に…)」
アズマの説明に納得がいくと同時に彼の目的に気づいてしまった。その天狼樹を倒すことで
「だが、島の魔力をコントロールしてアンタの魔力はそのままにしておいた」
「なっ!?」
「いま島中の仲間が瀕死だ。救えるのはアンタだけだね」
エルザを見下ろし、戦いの続きを求めるように窮地へ追い込むアズマ。
「仲間を守るための力というのを、見せてもらおうか」
その言葉に睨み返すエルザは苦しむ仲間を救うために剣を取った。