文章力が欲しい…
風と雨が激しくなり、厚く黒い雲で空が覆われる。嵐へと変わっていく天気の中、ゼレフとジンヤの距離は縮まらず、開いたままだ。
「(右手のアレが使えるまで時間がある。それまでは何とか生き延びねえと…)」
「そっちが仕掛けないならこちらから行かせてもらうよ!」
「(やばい!)」
邪気を纏った両手から放たれた黒い刃が、確実に死をもたらさんと襲いかかる。何度も放たれるその攻撃をかわすだけでも精一杯になってしまう。
「(魔力切れは期待できねぇな。攻めて弱らせる!)…仙法『唐獅子の舞』!」
体の動きを上げ、懐に入るチャンスを得ようと全身に仙法をかけて赤い蒸気を発生させる。対するゼレフの体からも黒い蒸気が溢れ出していた。
「ぶっ壊してやるよ、ゼレフ!」
「君の力、見させてもらうよ」
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「……」
「どうしたんだルーシィ?」
「なんか顔色悪いよ?」
グレイとエルザの2人と合流したナツたちだったが、ルーシィの顔は晴れていない。
「アイツと一緒に行けば良かったかな?なんだか心配で…」
「ジンヤなら大丈夫だ。必ず勝ってくれる」
「今までもそうしてきたはずだ、安心しろ」
最凶の男と戦う恋人の無事が気になるが、自分たちの役割を果たす為、前を向いて歩き出した。
「(生きて帰ってきて、お願い…)」
最愛の男の無事を願いながら…。
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血のように赤い蒸気を全身から出し、目の前の獲物を狩るために全力を出すジンヤ。その様子を見ているゼレフは狂気じみた笑みを浮かべていた。
「面白いね!僕を壊せそうな人間がここにいたなんて!」
「笑っていられるのは今のうちだぞ…ぬぅあああああ!!!」
大きな声を張り、衝撃波とともに更にパワーを上げていく。全身の筋肉が膨張し、目が充血しているその姿はまさしく猛獣だ。
「砕け、玄武『崩地渇水』!」
「くっ、地面が!?」
地面を強く踏みしめると、一気に砕けて不安定な足場へと変わっていく。急激な変化についていけないゼレフは、つい目線を下げてしまい、再び上にあげた時にはジンヤの姿を見失ってしまった。
「一体どこに…がはっ!?」
「遅い…」
「ぐっ、げふっ!」
速度を上げた状態からの連続切りはゼレフを傷つけ、翻弄する。
「貫け、『ジャイアント・ホーン』!」
「ぐぁああ!」
最後には左腕を捻れたツノへと変え、腹部に穴を開ける一撃を見舞い、岩に叩きつけた。
「これでしばらくは動けんだろ…」
腹部に穴が空き、内臓や肋骨が見えている。いくら最凶の黒魔導士と言えど動くのには難があると踏んでいた。しかし…
「これは…痛いね。でもまだ壊すほどじゃない。まだ足りないんだ…」
「くっ…悪魔め…」
普通なら死ぬような傷も痛い程度で済ませ、徐々に腹の傷も治っていく。まるで効いていないのだ。
「まだ終わらないよ、今の僕は不滅だ!」
「面倒な…(まだ完成まで数分はかかるってのに!)」
不滅の体を前に全身から冷や汗が溢れ、震えも感じる。ゼレフが両手を広げて構えを取ると、いくつもの魔法陣が2人を取り囲むように現れる。
「出でよ、我が眷属たち!」
「なっ…召喚術!?」
土塊から現れた異形の怪物たちは1つとっても2メートルは超えており、十数体もいるその景色はまるで地獄のようになっていた。
「これが、黒魔術の真髄か…なんて圧迫感だ…」
『屈するな、己を保て!もう少しじゃぞ!』
「そうは言うが…くっ!」
恐怖からか身体が思うように動かず、魔獣の一撃が直撃してしまった。更に他の個体から放たれる追撃の殆どが当たり、ダメージが積み重なる。
「(守りを固めてもこんなに痛むのか…内側まで響きやがる…)」
「まだまだ終わらないよ。もっと踊ろうじゃないか!」
「くっ、伸びろ如意棒!」
数の暴力を前に手も足も出ず、防戦一方となってしまう。守りの堅い獣の鎧を身につけても、できるだけ躱しても、それを無視するかのように重い一撃が当たっていき、僅かばかりの反撃も避けられてしまう。
「ぐはっ!」
「君の無謀な挑戦はここまでだ」
魔物の一撃で大木に叩きつけられて相棒を離してしまうジンヤを、冷たく見下ろすゼレフ。最後のトドメを刺そうと呼び出した異形の者どもを消し、全ての力を片手に集めていく。
「諦めて地獄で悔いろ、獣め」
「…へっ」
「何が可笑しい?」
「後ろは見るもんだぜ…」
その言葉を計りかねて振り向こうとした瞬間、そうすると分かっていたように悟空の剛拳が唸り、数十メートルも吹き飛ばした。そして立ち上がる意志を汲み取るように右腕の紋章は光り輝き、その完成を主張していた。ボロ雑巾のように傷ついた体で踏ん張り、腕を突き上げた。
「好機!滅呪の光、解放!」
「ぐっ!?(眩しい、なんだあの光は!)」
「顕現せよ、『
「なんだその槍は…」
ジンヤが手にしたのはあらゆる力を無に帰すことが出来る最強の力の1つ、『大神槍』。あらゆる呪いを断ち切る神々しいまでのその姿に、ゼレフは動くことさえも叶わない。
「ここで貴様の未来を消し去ってやる。覚悟!」
「なんなんだこれは!?」
「今日をもって貴様の命日にしてくれる!因果、呪い、全て捨ててゆくがいい!」
体を貫く白い牙は大きな呪いを容赦なくうち崩し、ゼレフの黒き力さえも容易く打ち砕いていく。
「僕の…呪いが、力が、消えて…まだ君のことが…ナツ…」
「逝け、この世に残る意味は無い」
遂にはその首を刎ね、傷も首も戻ることはなく、伝説の黒魔導士は1人の獣人によってその生涯を終えたのだった。
「黒魔導士の伝説、ここに潰えたり!」
魔法世界の夜明けへの一歩を踏み出した。
狼を大神と当てる時もあるみたいです。日本語面白い。