X847年、ジンヤがこの世に生まれてから88年が経ち、その体は衰えと老いによりかなり弱っていた。時の流れは彼以外にも等しく訪れており、ギルドマスターの座もギルダーツの代から更に3回渡り、ビスカとアルザックの娘アスカがその座に就いている。普段仲良くしていた同期はナツとガジル、ウェンディ、ラクサスの滅竜魔導師組以外は全員が既にこの世を去っている。
「友もすっかり減っちまったな、ルーシィ。次は俺たちかねぇ」
「思えば、出会ってから60年以上が経ってたのね。私たちも年をとるわけね」
ナツ、ハッピー、ジンヤに連れられて
「あの頃の冒険の全てが懐かしいな。今でも良く思い出すよ…」
「私、その冒険があったから幸せだった。みんなに会えた、色んな事が出来た、それに貴方と一緒に過ごせたんだもの」
「そうか…」
いよいよその最期が近づき、意識も薄らいでいく。
「そういえばあの時に、言ってもらってなかったわね。最後に私からのお願い…愛してるって、言ってほしいな」
「…いつも、隣に居て…ありがとう。最期の最期まで…一緒に、いられて良かった……愛してるよ、ルーシィ」
「私もよ…ジンヤ。私の…」
X847年某日、子供のアンナや孫たちは仲良く静かに眠る2人を見送った。その時の2人は手を繋ぎ、そして安心したように笑っていたという。夫婦はどんな時でも決して喧嘩する事なく、最期のひと時まで仲睦まじく暮らし、そして亡くなってからも2人の墓地は隣り合わせで並べられている。そんな2人の仲の良さについては家族や友人、街の人たちにも良く知られており、誰もがその後ろ姿に憧れたという。その姿に魅了された人は彼らの死後も後を絶たず、種族間を超えた愛情に影響されて友好が生まれた。そんな存在になった2人の墓にはこう刻まれている。
『獣王』ジンヤ、X759〜X847年、享年88。獣王という肩書きを持ちながらも常に家族との絆を大事にし、街の人にも愛された男。その最期は妻と共にした。
『星霊との絆を説くもの』ルーシィX767〜x847年、享年80。星霊や仲間、そして最愛の男との絆や愛を忘れず、どんな時でも前を向くその強さは皆に希望を与えたという。最期のその時まで夫との愛を忘れず、共にした。
これが最後の最後です。結構テンプレになっちゃったかも…。
墓に書いてある文章も、93話の最後の文章もFE覚醒の『キャラのその後』的な部分を参考にしてます。
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