神を喰らう日常 作:指切りの約束
「れむしゃーん、チューしてくらさいよ」
目の前には目をとろんとさせ、僕を上目遣いで見てくるフランがいる。僕はそれを見なかったことにして、コップの中身を飲もうとするが、それを阻止するかのようにフランが腕に引っ付いて来る。
「無視しないでくらさい!はい、ちゅー」
目を閉じて口を近づけるフランの頭を掴み、動かないようにする。「んーんー」とする姿は可愛いのだが、それは酔っていなきゃの話だ。周りにいるブラッド
ヒロとナナが入って来たあと、しばらくすると新人のシエルとグラスゴー支部からやって来たギルがブラッドに入った。ヒロとナナが入ってきた時と違ってブラッドのメンバー内で少しいざこざがあった様なのだが、今ではある程度仲良くなったらしい。
らしい、という曖昧な表現になってしまうのは僕があまりブラッドとのミッションをしなかったからである。ジュリウスとフライアの進行先にいるアラガミをぶっ倒したり、新人を連れて行くのには強すぎるアラガミを倒したり。他には、ラケル博士から紹介されたシエルと戦術の話をしたりしただけだった。
どちらかと言えば脳筋な極東支部出身のため僕自身も脳筋だと思われがちなのだが、バレットを自作したりだとか支部長に任命されるくらいには頭は使える方なのだ。スラム街出身だった為幼い頃にゴッドイーターになった頃から貪欲に知識を求めたせいなのだが。この事は、極東支部にいた時はよく驚かれたものだ。
話を戻そう。今日は偶然ブラッドの皆が休みのため、ヒロとナナ、シエル、ギルの歓迎会が行われることとなった。広いところと言ったら庭園のため、それぞれが配給チケットで食べ物や飲み物を持ってくることとなっていた。
その歓迎会はおそらくブラッドにやって来た事なのだろうが、こういったお祭り事に飢えているフライアの職員はフライアにやって来た事の歓迎と拡大解釈し、自分の仕事や研究の休憩時間を使って2.3時間だけだが顔を出していた。
僕も基本的には歓迎会に参加していた。前もって今回の歓迎会の事をジュリウスとロミオに相談されていた為、前日までに当日の書類仕事は終わらせているのだ。ちなみに僕が伝えた為フランも今日の分の書類仕事は無い。フランはオペレーターと言うのとでゴッドイーターと仲よくする事は大切だ、と昔僕が彼女に言ったことを理由に今回参加を決めたらしい。
僕とフランでフライア内で作っている食材を作って持って行ったらブラッド隊に喜ばれたので嬉しかった。本当はお酒も持って行きたかったのだが、僕はフライアの航路にアラガミが現れたら出撃しなきゃいけないわけでギル一人が飲むことになるので持っていくのをやめた。ジュリウスは二十歳だがあまり飲まない。また、極東出身のため二十歳になっていない者にお酒を勧めるのはどうも気が進まなかった。
朝から始めて話が止まることなく夕方まで続いた。その最中で僕は三回ほど出撃していた。そして四回目の出撃から戻った時、場面は冒頭へと戻る事になる……。
僕がミッションから帰ってくるとそこは殆ど地獄と変わりがなかった。ブラッドの年長組であり、苦労組であるジュリウスとギルが呂律がまわってない状態で話をしていた。シエルを除くブラッドの若者3人が話をしているのだが、何が面白いかは分からないが何を言っても大笑いをしている。
シエルは普通にジュースを飲みながら、お酒を飲んでいつもとは違う調子のフランに相槌をうっている。
唯一素面そうなシエルにこの原因を尋ねる。
「誰がお酒を持ってきたんだ?」
「レア博士です。私はもしもの時の為に飲みませんでしたが、他の方はレア博士に注がれお飲みになりました」
「はぁ」
何やってんだよ……。そんな風にシエルから事情を聞いていると、近くにいたフランが僕に抱きついてくる。
「シエルさんだけでなく私にもかまってよー」
最初のうちはまだフランさんだったが、最後はもうフランさんの原型が無いほど甘い声だった。そして、何かを悟ったようにシエルが僕らから離れる。
「シエルになにか言ったか?」
「私がレムさんとお付き合いしてると言いましたが、らめれしたか?」
ダメじゃない、と言ってしまいそうになる。あのいつも落ち着いているフランが呂律が回らなく、とろんとした目で見てくるのだ。
「れむしゃーん、チューしてくらさいよ」
周りに他の人が居なければしていたかもしれないが、流石にみんなの前では出来そうにない。
「はいはい。落ち着いてくださいねー」
「いやいや!!」
この状態のフランをどうしようかと悩んでいると、ブラッドのメンバー全員が「ひゅーひゅー」だとか「キース!キース!」と囃し立ててくる。
「五月蝿いよ。静かにして」
「いいから早くしてよー」
ナナが大きな声で言ってくる。仕方がないか。
「フラン目を閉じて」
「分かりました」
目を閉じて少し唇を窄めて、僕の方に顔を近づける。僕もそれにならってフランに顔を近づける
チュッ
後ろから「きゃー」などと悲鳴が聞こえるが、一先ず先にフランを部屋に戻さなくては。頬にキスをしただけで嬉しさのあまりか、恥ずかしさのあまりか気を失ってしまった。
何を言っても意味がないほど酔っているブラッドを無視して、フランを抱きかかえて部屋まで連れて行く。その途中で局員とあってここでもひゅーひゅーなんて言われたが、面倒なので無視無視。
フランの部屋に入るわけにもいかないので、僕の部屋に行きベッドにフランを寝かせる。僕の部屋は副局長室と兼用になっているため、来客用のソファーもあるので寝る場所には困らない。
僕も疲れたのでフランの頭を一撫でしたあとソファーに横になろうとすると、僕の右手が掴まれた。掴まれた先を見てみると、当然のようにフランが掴んでいたわけだが。本人はうまく騙せているようだが、寝たふりをしているのがバレバレである。
どうしようか。みんなの前で困らされたので、少しばかり意地悪してもバチは当たらないだろう。今度は先程とは違い唇をフランの唇に近づける。とは言っても舌を入れるなどの行為はせず、軽く当てるだけ。その後耳元で「フラン可愛いよ」と囁く。すると見る見るうちに顔を紅潮させる。
「バレバレだよフラン」
「ぐーぐー」
「えいっ」
もう寝ているふりを出来てる時点できっちり起きているはずなので、次は舌を入れて少し激しめにキスをする。「んっ」と嬌声を漏らす。
「……ぷはっ。レムさんは意地悪です。私がお願いしてもしてくれなかったのに、寝てる時にするなんて」
「悪かったな」
ベットの縁に座り、不貞腐れているフランの髪をなでる。
「その場のノリで後々恥ずかしい思いをするのはもう少し歳を取ってからの方が良いんだよ」
「むむむ……」
僕もそれでやらかしたし、もし極東支部に行ったりしたら僕がそうなりそうだけど。
「もう一回してください」
「目つぶって」
イチャイチャに重点をおいたら思った以上に字数が伸びませんでした……。
イチャイチャ加減はどうでしたでしょうか、もっと甘い方がお好みですか?
極東支部に行くのと過去話しかネタが無いのですが、活動報告でのアンケートが取れないのでどうしましょうかね。
次回の予告は
『グレム局長(出番がないが社会的には)死す』
なんて具合になりますかね。(更には描写もない模様)