神を喰らう日常   作:指切りの約束

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蛇足と言えば蛇足です。









第0話

 極東支部から輸送ヘリでひとっ飛び(12時間)、飛行系のアラガミとの交戦を何十回としてようやくフライアにたどり着いた。戦闘回数は多かったものの、極東支部から離れてからのものが多く、バレット一発で倒せるというのはなかなかに爽快だった。

 

 パイロットに一言言って、休む間もなく局長室に向かう。正装なんて物は持っていないのでF制式で誤魔化す。初期に渡されるものだから良いよね。

 

 きちんと四回ノックし、中から聞こえてくるでっぷりとした声で入ることを許されて中にはいる。いかにもゴッドイーターを使い捨てのコマとしか見てなさそうな奴がそこにはいた。

 

 ゴッドイーターを10何年もやっているため、人を見る目は養われており、出来ればこの人の下には長い間いたくない。どうせ無理なんだろうけど。榊支部長許すまじ。

 

 「与えられた仕事をやってくれればいい」と言われて挨拶は終わった。遊撃隊なんて言われてるけど、一人なんだよね。隊じゃないじゃん。適当に返事して部屋から退出する。

 

 

 

 

 部屋を出たところで一人の女の子と出会った。第一印象は猫のような子だった。この子も局長に用事かなと思いつつ、記憶を探ると。自分と同じく今日、フライア所属になるフラン=フランソワ=フランチェスカ・ド・ブルゴーニュだと分かった。

 

 ヘリに乗っている僅かな空き時間で見た資料に載っていた。名前が長いため何とか覚えようとしたので、すぐに思い出せた。

 

 名前や雰囲気から僕とは比べ物にならないくらい、裕福な家の出身であることは予想出来た。しかも14歳でフライアなんて言う普通とは違って安全な所に来るため、結構な家柄なのであろう。

 

 軽く会釈して立ち去ろうとしたのだが、彼女の着ているオペレーターの服のスカートがとても短い事に気が付いた。普段なら別に気にもとめないが、これから入っていく先が局長室なら気になってしまう。

 

 絶対局長はフランちゃんの脚を凝視するだろう。それでこれから一緒に働く事となる子が嫌な思いをするのは気にいらない。どうにかして、上手く脚を隠せる方法を探す為に頭を働かせる。

 

 そして思いついた。アラガミとの戦闘で鍛えられた思考スピードに感謝しつつも、F制式のジャケットを脱ぎフランちゃんに渡す。当然いきなりジャケットを渡されたフランちゃんはびっくりする。

 

 

「局長室の中、ここより寒いから脚を冷やさないようにこれを腰に巻いたほうが良いよ。もし局長に何か言われたら、レムに巻けと言われましたって答えていいからさ」

 

 

 返すのは次にあった時で良いからねと言い残してふらふらとフライア内を彷徨い歩く。流石沢山のお金が注ぎ込まれているだけあって、中の施設は豪華だ。食料を自給できるなんてまじ凄い。

 

 最後に庭園で休んでいたら携帯端末に連絡が入った。内容は初仕事があるのでロビーに来るとのこと。エレベーターを操作して、ロビーのに向かう。

 

 

「こちらが今回の作戦内容となります」

 

 

 フランちゃんから一枚の紙を貰う。ミッションの度にこの様に紙を渡されるのなんて凄く久々な気がする。ざっと読み内容を確認するが、初仕事は楽そうだ。神器を取り、ヘリで現場に向かう。

 

 極東とは違ってアラガミが乱入してくることはなく、初仕事はつつがなく終わった。しかしそれは僕だけに言えた事で、神器の受け渡しとかヘリでの移動などで何とかしなければならない点が見つけられた。だが、フライアで働いてる人は今のやり方で問題はないと思ってるらしい。外様の僕に言えたことではないので、この様に心の中にとどめておくのだが……。

 

 悶々とした気分でフライアに戻りそのまま部屋に行こうかと思った時だった、フランちゃんが声をかけてきた。

 

 

「どうしたの?」

 

 

「先ほど返すのを忘れていました」

 

 

 F制式の上衣が差し出されている。すっかり忘れていた。差し出された上衣を受け取り着る。

 

 

「それとですが……」

 

 

 何だろうか。下を向き、言葉を詰まらせたフランちゃんが自分から話すまで待つ。極東の同僚や成人を迎えた人になら催促するのだが、14歳には流石にしない。

 

 

「今回のオペレーションは如何でしたでしょうか?」

 

 

「普通にミッションを成功できる程には良かったよ」

 

 

 可もなく不可もなく、言うならば中の中。と言うのが、オペレーターとしての訓練を受けただけの彼女への評価だ。

 

 

「まだまだ改善する点があるという事ですね」

 

 

「初仕事だったって事を除けば、ね」

 

 

「やっぱりですね……。もしよかったらでいいのですが、何処をどうすれば教えてもらってもよろしいでしょうか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここをこうやって。取り敢えず画面配置の初期化は終わったかな。ここから自分用にカスタマイズするんだけど、やり方は分かるかな?」

 

 

「はい。やってみます」

 

 

 フランちゃんはどうやら自分の持てる力の全てを出せなかったようだ。カウンターに設置されてあるオベーション用のディスブレイに映し出されていた内容が、前任の者の仕様のままでフランちゃんが元々教わった形式ではなかったのだ。挨拶が終わると同時に仕事だった為、変更する暇もなかったそうな。

 

 画面配置の初期化をした後、フランちゃんが自分の使いやすい様に配置するまでロビーのソファーに座る。フェンリルというのは殆どが腐りきった大人たちで構成されている為、フランちゃんの様な子はとても可愛らしい。見ていても、指導していても心が癒やされる。

 

 

「終わりました。確認してもらってもよろしいでしょうか?」

 

 

 再びカウンターの内側に入り、フランちゃんが自分用にしたディスブレイを見る。今は映しだされてはいないがミッションが行われる場所の地図が表示される為の場所を中心として、各人のバイタルやアラガミの情報を知る為に色々配置されている。

 

 

「一先ずはこれでいいと思うよ。ディスブレイが1個しかないから狭っ苦しいけど、ディスブレイが増えるだけで効率も上がるから機会を見て注文した方が良いかもね」

 

 

「今回はありがとうごさまいました」

 

 

「いいのいいの。ガンバる若者を応援するのも僕の役目だから」

 

 

「一つお聞きしたい事があるのですが、いいですか?」

 

 

「うんいいよ」

 

 

「ゴッドイーターのレムさんはどの様にオペレーターの技術を習得したのかを教えていただきたいのです」

 

 

「べつにいいよ」

 

 

 ぱーっと顔が明るくするフランちゃんを見て心を暖かくした。

 

 

 話をどこにしようかと話し合って、流石に会った初日にどちらかの部屋はまずいと思った僕は、ラウンジで話をする事を提案した。その事を遠回しで言ったのだがフランちゃんは気付かなかった。やっぱり、良い家の出身なんだろう。

 

 内容を保存している間に部屋まで戻り飲み物を持ってくる。片手にはフランちゃん様に甘い飲み物を、もう片方には甘いがゲロマズと評判の初恋ジュースを。在庫処分で僕持たせるなっての。僕は好きだからいいけど。

 

 

「どうして僕がゴッドイーターなのに、オペレーターの仕事が出来るかだよね?」

 

 

「はい、そうです」

 

 

「とこから話そうかな……」

 

 

 どうしようかと悩みつつフランちゃんの方に目を向けると、今かいまかと僕が話しだそうとするのを待っている。

 

 

「僕が極東出身ってのは資料で知ってるよね?」

 

 

「はい。こちらに来る前に拝見しました」

 

 

「なら話は少し早いかな。フライアは今の所僕が所属する遊撃部隊とこれから編成される部隊の2つしかないでしょ」

 

 

 コクリと頭を縦に振る。

 

 

「それはここフライアが居住区を持っていないからであって、本来ならば幾つもの部隊が存在してるんだ」

 

 

 極東支部にもいくつかあるのだが、やはり有名所は第一部隊や防衛班だろうか。

 

 

「そんな数が沢山ある中、極東支部にいた時も遊撃部隊に所属してたんだ」

 

 

「そうなのですか。しかしそれが、オペレーターの仕事とどのように関係が?」

 

 

「極東のアラガミは他の所のアラガミと違って頭が良い、と言うより生きる為に何をすべきかという本能が強いと思うんだよね。だから討伐任務や防衛任務は複数のアラガミが討伐対象になるんだけど、その時ほど連携が大切になるんだよ」

 

 

 特に防衛任務はそれが顕著に現れる。いかにしてアラガミによる被害を減らせるかは、連携によるのだ。

 

 

「そこに連携の度合いが少ない僕が入ってもね。隊の連携を悪くしちゃうだけなんだ」

 

 

「そこで、という事ですね」

 

 

「うん。僕が出撃するよりも、一人で10近くの隊を指揮するオペレーターを手伝ったほうが効率や安全性が高まるからね」

 

 

 どうやら僕がオペレーターをする事になった事よりも、一人で頑張っているヒバリちゃんの事の方に驚いているっぽい。

 

 

「一回オペレーターやったらそれから先も数十回と任される事になってね。その分、オペレーターの子に休みをあげることが出来たから良いんだけど」

 

 

 昔の極東支部は休みなんて無かったからね。

 

 

「オペレーターの仕方ってのは、基礎はほぼ同じなんだけど、応用は神器並に人それぞれだから。基礎の所は教えるから、応用の方は僕の出撃の時に色々試してみてね」

 

 

「今日はお話をしていただきありがとうごさまいました」

 

 

「これくらいの事なら気にせず何時でもいいからね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 自室に戻った(フラン)はターミナルを覗いている。ゴッドイーターには与えられず、オペレーターだけに与えられる権限を用いてレムの事を調べています。

 

 初め資料で見た時は、これまで会った様な自称エリートの様ないけ好かない、若しくはただ単にチカラが足りなく極東から安全な所に飛ばされた金持ちの息子だと思っていましが、実際に会ってそれまでの想像は間違いだったと気付かされてしまいました。私とは10歳も歳が離れているはずなのに、威張る事なく物腰柔らかく接してもくれましたし。

 

 そうそう、彼と初めてあった局長室前で何故上衣を貸してくれたのかが分かりました。本当に最初はびっくりしました。だって、いきなり初対面で上衣を渡してくるんですよ?今では、グレム局長の目線から私を守る為だと分かりましたが。

 

 いけませんね。考え事をしてしまうと、作業が泊まってしまいます。改めてレムの事を見てみましょう。

 

 これまでの任務数や任務達成率、隊の生還率などもありますがそれは一先ずは別枠に保存して来歴を確認します。

 

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レム(24)

 

 2061年フェンリル極東支部入隊。それ以降、2072年までの11年間は他の支部からの勧誘を断わり続けてきた。そして2072年、榊支部長の後押しもあり極致化技術開発局への入局を決断。

 

 極東支部では同期の雨宮リンドウと互いに高め合い、極東にこの人ありと呼ばれるまでの人材となる。

 

 

 入隊当初は旧型遠距離式の定石を破壊する程の自己流の戦闘法を編み出し、旧型近接式の補助として認識されていた旧型遠距離式の有り方を変えた。

 

 

 また、同期の雨宮リンドウとの比較が良く行われる。その際、最も話題に挙げられるのは隊の生存率である。

 

 雨宮リンドウは隊の生還率90%超えという、隊長としても破格の生還率を誇っている。一方レムは20%を下回っている。

 

 しかしこれには理由があり、隊の生還率というのは二人以上での任務の際の生還率を表していることにある。遊撃隊という一人部隊に所属していたレムが二人以上と組む際は、極東支部第一部隊を除き、殆どすでに任務に向かい隊員が瀕死の状態である。故に、生還率は低いものとなっている。

 

 その為、雨宮リンドウとレムは比較すべきでないというのが本部の決定である。

 

 

 では、レムの秀でている点は何処であろうかと考えた際に挙げられるのは弟子の生還率である。

 

 都市伝説の様に『レムに指導されたゴッドイーターは死なない、若しくは死にづらい』と上層部で広まっている。

 

 特にそれが顕著なのは彼のホームの極東支部である。橘サクヤ、ジーナ・ディキンソン、台場カノン、藤木コウタなどの旧型遠距離式と神薙ユウ、アリサ・イリーニチナ・アミエーラなどの新型がその例である。

 

 また彼には―――

 

 

 

神器:神器のコアが遠距離式の3つに適合するため

   アサルト>ブラスター>スナイパーの頻度で使う

 

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 一通り彼の事を調べたが、私が知りたいと思っていた彼の性格やどんな人なのかという事は分からなかった。そんな事を頭の片隅で考えながら布団に入る。

 

 きっとこれがレムさんの事を気になるきっかけとなったと、今なら分かります。




馴れ初め話ですね。これから先の事は皆さんの想像にお任せします。私が書けるのはここまでですし。
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