46番目の魔術使い   作:眞神零一郎

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後発三人組の登場です。



第九話 妹

 

 朝食準備も完了し、セインが食器を並べている中、珍しいことにドクターとウーノ姉が揃って現れた。

 

「あーれー? 珍しいっスね、ドクターにウーノ姉」

 

 セインの言葉に、揃っている姉たちが揃って頷いている。

 食堂に現れること自体が稀なのに、さらに今日は呼ぶ前に姿を見せてるし。

 今日はこれから雨か?

 

「うむ。今日はお披露目をしようかと思ってね」

 

 お披露目? またなんか作ったのか?

 でもわざわざ食事前にしなくてもいいと思うんだが。しかも朝食前。

 姉たちも何のことだか分からずに首をかしげている。

 あぁ、いや。

 トーレ姉とクア姉は訳知り顔だ。

 ていうかクア姉、何その楽しげな顔は。

 

「入ってきたまえ」

 

 ドクターが入り口に向かって声をかける。

 入ってきたのは三人の女の子。

 ピンクの髪にヘッドギアをつけた子。

 茶色の髪で一見男の子っぽく見える子。

 同じく茶色の髪でカチューシャをつけた子。

 三人とも、ところどころ違うものの、ほぼ俺たちと同じ戦闘服姿。

 首元にはそれぞれナンバーが刻印されている。

 あぁ、そうか。

 

「彼女たちがナンバーズ最後の三人。七番、八番、十二番だ」

 

「はじめまして姉様方。十二番ディードです」

 

 ドクターに促されて最初に名乗ったのは、最後に入ってきたカチューシャをつけた子。

 十二番、ディード。

 たしか二本のブレードを使って近接戦闘を得意とする、んだっけ。

 ISはツインブレード。

 

「七番、セッテだ」

 

 次に名乗ったのはピンクの髪の子。

 七番、セッテ。

 彼女も戦闘型。大きなブーメランを使った中距離タイプ。

 ISはスローターアームズ。

 二人とも、ISの名前がまんまだよな。

 他の姉たちは色々ひねってあったりするのに。

 

「僕は八番、オットー」

 

 最後が男の子っぽい子。

 俺も最初は男の子かと思ったけど、無意識に解析してみたら女の子だった。

 あ、いやっ。解析したからって別に服の下を見たとか、体つきを見たとかそんなんじゃなくてっ!

 って何言ってる、俺っ!?

 と、とにかくっ、女の子!

 えっと、八番、オットー。

 戦闘能力も持ってるけど、メインは後方指揮。

 ガジェットの操作とかも担当するらしい。

 ISはレイストーム。

 少し前に完成したとは聞いてたけど、紹介したってことは実戦に出しても大丈夫ってことなのかな?

 

「おぉ、やーっとあたしにも妹ができたっスね~」

 

 嬉しそうなウェン姉。

 ナンバーズ的にはウェン姉は11番。

 唯一ディードが妹だから、自分より下ができて嬉しいらしい。

 まぁ俺も弟なんだけど、やっぱり同性だと違うのか?

 

「つってもセッテはともかく、オットーは姉には見えねぇな」

 

 確かに。明らかにオットーのが年下に見えるね。

 でもまぁチンク姉の例もあるし。

 

「別に姉と呼ばなくてかまわない」

「僕も気にしないよ」

 

 ぶしつけなノーヴェ姉の言葉に、セッテとオットーが揃って答える。

 それにしても、セッテはなんか反応が、言いたくないけど機械的だな。

 同じような口調でも、トーレ姉はもっと表情が動くのに対して、セッテはほとんど無表情。

 オットーも、女の子なのに一人称僕って。

 

「あ、そっスか? じゃ、お言葉に甘えさせて貰うっスよ」

 

 ウェン姉も内心そう思っていたらしい。

 む。となると、俺はどうなるんだ?

 

「私はどうすればいいかね、ドクター。ナンバーズは基本、番号が若い方が姉だという認識だが、私は戦闘機人ではないのだが」

 

 皆のことを姉だと読んでるけど、厳密には俺は彼女たちの弟ってわけじゃないからな。

 あえて言うなら、従兄弟とか?

 むしろ兄弟なのはゼストとかルーテシアだよな。まぁあっちも兄弟は兄弟でも異母兄弟って所だろうけど。

 

「ふむ。それもそうだね。……よし、シロウに関しては、稼動順ということにしよう」

 

 考えることしばし。ドクターは大きく頷いた。

 

「む。ということは彼女らは妹ということになるのか?」

「そういうことになるね。君たちもいいかい?」

 

 いや、俺まだいいとも悪いとも言ってないんだけど。

 俺、無視? まぁいいんだけどさ。

 俺から視線をはずすと、三人を眺めやる。

 

「かまわん」

「別にいいよ」

「では、シロウ兄様ですね」

 

 三者三様に同意してくれた。

 む。ちょっと嬉しいかもしれない。

 それにしても妹、か。

 今まで姉だけだったから、なんか新鮮だ、な? あれ?

 妹?

 俺に妹が出来るのははじめて、だよな?

 そりゃルーテシアからはお兄ちゃんなんて呼ばれてるけど、そうじゃなくて、もっと前に……?

 むぅ。なんだか変な感じがする。

 なんというか、痒いところに手が届かないような?

 もしかして、これも元になった奴の記憶か?

 

「そうだ。丁度いい。三人の面倒はシロウに任せよう」

 

 なんだって?

 考え込んでいる俺を尻目に、ドクターは一人納得したように頷いている。

 

「……今以上に私の仕事を増やす気か、ドクター」

 

 ジロリと睨む。

 家事やって姉たちの整備なんかもやらされて、さらには妹三人の面倒まで見ろと?

 あ、いや、妹たちの面倒を見るのが嫌なんじゃなくて、これ以上仕事増やされてもやりきれないぞ?

 

「い、いや。君も兄として妹の教育にだね」

 

 しどろもどろのドクターをもう一度きつく睨みつける。

 が、ドクターはどうやら意見を撤回するつもりはないらしい。

 ふーん。そっちがそうくるならこっちにも考えがあるからな。

 

「ふむ。つまりドクターは当分食事はいらない、と」

 

 まぁドクターの食事作る手間分まわしても何も変わらないんだけどな。

 十人分の食事作る中の一人分なんて微々たるもんだし。

 

「なっ!? それが親に対する態度かね!?」

「ドクターに育てられた記憶はないが? どちらかといえば、今は私が世話をしてやっているように見受けられるのだが」

 

 食事の世話だろ。

 洗濯に掃除。

 姉たちの整備も元はといえばドクターの仕事だし。

 心の中で指折り数えてみる。

 親云々言うなら子供たる俺や姉たちの世話くらいしてみろってんだ。

 

「うっ」

 

 俺からの指摘に、ドクターは呻きながらさっと視線を逸らした。

 

「まぁ生みの親という意味ではそのとおりだが」

「そ、そうだよ。私は君の創造主じゃないか」

 

 ちょっとだけ持ち上げてみて、

 

「彼女たちの教育に時間を割いて、料理が雑になったり、おかずが一品減っても構わないわけだな? そうか、ならば引き受けてやろう」

 

 落としてみる。

 途端、食堂内は静まり返った。

 

 …………

 

「ちょっ! それはあたしらが困るっスよ!」

「冗談じゃねぇぞっ!?」

「ドクター。撤回を要求します」

 

 一拍の後、姉たちから非難轟々。

 参加していないのは、いまいち状況が把握しきれていないだろう後発三人組だけだったり。

 それ以外の姉たちが一斉に声を荒げた。

 あ、ウーノ姉は参加してない。

 やっぱりドクターの意見には問答無用で賛成なのか?

 

「き、君たち! 私よりも食事のほうが大切なのかね!?」

 

 ドクターは、姉たちが自分よりも食事を優先したことに憤慨している。

 まぁ無理もないか。

 ちょっと前まで出来合いの弁当食べてた人たちだもんな。

 そりゃあ手作りの方がいいだろう。

 

「当然(です。だ。だろ。っスね。ね~)」

「そ、即答!?」

 

 ちなみに『です』はトーレ姉、チンク姉、ディエチ姉。

 『だ』はノーヴェ姉。

 『だろ』はセイン姉。

 残りは語尾が特徴的なので省略。

 問答無用とばかりの姉たちの返答に、ドクターは『信じられない』とばかりの驚愕顔。

 すると一人そこに参加していなかったウーノ姉がドクターの横に立つ。

 

「ドクター」

「ウーノっ! 君は違うと思っていたよっ」

 

 なんというか、必死だな。ドクター。

 ドクターの言葉にウーノ姉は、小さく笑って溜息を吐いた。

 あ、れ? 何か今の笑み、『私がドクターを否定するわけがないでしょう。仕方がないですね』とかっていうよりは、どっちかって言うと『何言ってんだ、テメェ』的な鼻で笑っちゃうっぽいニュアンスが……。

 

「何を当たり前のことを言っているんです?」

 

 そういうと同時に、ドクターは『そうだろうとも』といった風に何度も頷いている。

 が。

 それを横目で見やると同時にすっと真顔になって一言。

 

「シロウのご飯のほうが重要ですわ」

 

 ドきっぱり。

 あぁ、やっぱり。

 いや、まぁ。嬉しいんだけどね。

 一瞬、ちょっとだけ、『勝った!』とか思っちゃったけどさ。

 

「と。まぁ冗談はこのくらいにしておいて」

 

 ちょっと脇においてみる。

 

「冗談!? 本当に冗談なのかねっ!?」

 

 裏切られて疑心暗鬼にとらわれているドクターに対して、俺はやや大仰に肩をすくめる。

 

「何だ。私が信用できないとでも言うのかね?」

「できるかぁぁぁっ!」

 

 む。今のはちょっと傷ついたぞ。

 いくらなんでも間発いれずに言うことないだろ。

 しかも絶叫って。

 

「ほぅ。ドクターは当分、食事におやつも抜き、と」

「のあぁぁぁぁぁっ!? おやつまでか!? おやつまでなのか!?」

 

 頭を抱えて大絶叫。

 もはや親の尊厳どころか、創造主の威厳すら絶無。

 自業自得だ。

 そんなに疑われなければ、おやつくらい出してやろうと思ってたのに。

 

「そもそも彼女らにも教育担当がいるだろう? そちらに任せればいいと思うが?」

 

 体が完成した時点で、彼女たちにも教育係みたいのがついてるはずだ。

 そう言うと堅苦しいけど、ようは外に出られるようになるまで、世界のこととか姉妹のこととか、そういうことを教える人。

 まぁある程度は造られている段階で記憶というより記録(あるいはプログラム)として入れるらしいから、それの応用編というか実践編かな。

 他の姉たちも、それぞれ教育担当がいる。

 例えばノーヴェ姉はチンク姉だったらしい。

 そのせいか、ノーヴェ姉はチンク姉にはデレ成分が高い。

 他の姉妹にはツン比率が高いけど。

 他にもウェン姉はセイン姉。

 性格的に似てるのはそのせいかな?

 俺の場合は……、チンク姉、なのかな?

 俺の元になった人間の記憶の一部が俺には移植されてる(魔術を使うのに必要だから。それ以外のことに関してはほとんど分からない。ただたまに、何か刺激されるようなことがあったりすると、情景とか人とかが浮かび上がったりする。まぁ記憶がない状態だから浮かび上がったそれも何なのか誰なのかわからないんだけど)から、姉たちみたいに教育担当はそう重要じゃなかった。

 一応慣れるまでチンク姉が世話というか面倒というか、ついててくれてたから、多分そうなんだろうと思う。

 

「ちなみに誰っスか?」

 

 どうやら皆も知らないらしい。

 

「私の教育担当はトーレだ」

 

 最初にセッテが答える。

 そっか。トーレ姉か。色々納得。

 他の姉たちもそうらしく、一様に頷いている。

 

「僕とディードはウーノとクアットロだね」

 

 それぞれじゃないのか?

 あぁ、そういえばオットーとディードは同じ遺伝子を使ってるっていってたっけ。

 双子みたいなものか。

 だから一緒なのかな。

 

「セッテはそのまんまだね。トーレ姉にそっくりだ」

 

 セイン姉の言葉に再び皆が頷く。

 

「トーレ姉二号っスね。あだっ」

「やめんか馬鹿者」

 

 茶化すウェン姉に、トーレ姉が拳を縦に振り下ろす。

 

「何も殴ることないじゃないっスか~」

 

 骨の部分じゃないだけまだましだろうけど、まぁ痛いよな。

 ウェン姉は頭をさすりながらトーレ姉を睨んだ。

 

「自業自得だ」

 

 非難の言葉もどこ吹く風。

 腕を組んで鼻を鳴らす。

 

「何故わざわざ忙しい私に頼む? 彼女らで十分だと思うがね」

 

 じゃれている二人を横目に、溜息混じりに肩をすくめた。

 

「(いや、面白そうだったからなんだけどね。言えば本気で食事抜きにされそうだな)彼女らには経験が少ないだろう? 他のものはそれなりに経験をつんでから計画を迎えるわけだが、彼女たちにはそんな時間的余裕はないからね。少しでも経験をつむには、同じものがつくよりも、複数のものがついたほうがいいと思ったのだよ」

 

 それはまぁ、確かに一理あるけど。

 でも別に俺である必要、ないんじゃないか?

 それにこの間のノーヴェ姉とウェン姉との訓練の後に、ウーノ姉がその辺をどうにかするシステム作るとか言ってなかったっけ?

 あれはどうしたのさ。

 

「姉妹間の動作データ継承・蓄積システムとやらはまだ完成していないのかね? あれがあればそんなもの、必要なかろう?」

 

 指摘すると、ドクターはぴくりと反応するものの、表情は変えない。

 

「(しまった。それがあったか。計画発動前には完成できそうなのだが、少し作業を遅らせて……」

 

 顔には出さないものの、口にはしっかり出してるし。

 それにしても。

 

「ほぅ。わざと作業を遅らせて、それでどうするつもりかね?」

「決まってるじゃないか。そのほうが面白そうだか、ら……?」

 

 どうやら口に出してたことに気づいてないらしい。

 しかし、俺から返答があったことに違和感を感じているようだ。

 

「面白そう、ね。それはたいそうなことだな。ドクター?」

 

 我ながら冷たい声だと思いつつ、ドクターに問いかける。

 ドクターは見る見る顔色を変えると、恐る恐るといった風に俺を見やった。

 眼が合う。

 

「も、もしかして、口に出してた、かい?」

 

 分かっているだろうに。

 問われたならば答えねば。

 

「どうやらドクターは今日の朝食から要らないようだ。セイン。ドクターの食器は片付けてしまえ」

 

 本日の手伝い当番(後片付けとは別の、食事前の準備などを手伝ってくれる当番。食器だしたりとか)であるセインに声をかける。

 

「あいあいさ~」

 

 セイン姉はどこで覚えてきたのか敬礼をすると、楽しげに笑ってドクターの指定席、上座のいわゆるお誕生日席に置かれているドクターの分の食器を片付け始める。

 

「ちょっ! ま、待ちたまえっ!」

 

 なすすべもなく目の前で片付けられてゆく自分の食器。

 待ったをかけるもセイン姉が止まるわけもなく、当然俺も止めないし、他の姉たちも誰も止めないから、あっという間に全て片付けられてしまった。 

 空白地帯の出来上がった席を眺め、それを呆然と見やっているドクターを眺め、我知らずにやりと口が歪む。

 

「まだ何かあるのかね? ないようだな。では食事にしようか」

 

 問いかけておきながら、答える暇を与えずに言葉を続ける。

 

「一人分浮いたが、新たに三人増えてしまったからな。皆、今だけ少し控えめで頼む。代わりといっては何だが、おやつは期待してくれ」

 

 あうあうしているドクターをほっといて、皆に声をかける。

 三人がどれくらい食べるか分からないけど、まぁ仕方がない。流石に今から別に作ってたら他の料理が冷めちまう。

 

「んー。まぁ仕方がないっスね」

「その分おやつに期待しましょ」

 

 姉たちも納得してくれたらしい。

 これはおやつは腕を振るわねば。

 

「え、あ」

 

 何か聞こえた気もしたが、まぁ気のせい気のせい。

 するとウーノ姉がすすっと近づいてきた。

 

「悪いわね、シロウ。ドクターには予め言っておいた方がいいと言ったのだけれど、事前に言ったらつまらないと言われたものだから……」

 

「ふむ。まぁ今回は仕方がないということにしよう。だが次回からは何かする前に一言ほしいものだな」

「えぇ。次があるようならそうするわ」

 

 それだけ言うと、ウーノ姉は自分の席へと戻っていった。

 まぁ出来れば次がないほうが嬉しいんだけどな。

 あのドクターが相手じゃ期待するだけ無駄だ。

 

「ちょっ」

 

 また何か聞こえた気もする。

 まぁ無視無視。

 

「セッテ、オットー、ディード。三人とも座りたまえ。少々足りないかもしれないが、君たちが来るとは知らなかったのでな」

 

 半ば呆然としたような三人に声をかける。

 

「いえ、それは構わないのですが……」

 

 言って、ちらりとドクターを見やる。

 

「いいの?」

 

 続いてオットーとディードもドクターを見やる。

 その視線を受けてぱっと顔を上げたドクターを見て、すぐに俺に視線を戻した。

 

「何を言っている。いいも悪いもあるか。あぁ違った。悪いのはドクターだったな。君たちが気にすることではないよ」

 

 三人は何も悪くない。

 そもそもウーノ姉が言っても聞かなかったドクターに、三人の言葉が届くとは思えない。

 

「そうそう。三人とも気にしちゃだめよ~。さぁそんなことより、ごはんよごはん」

 

 頷きながら同意するクア姉に、他の姉たちも一様に『そうそう』とばかりに頷いている。

 三人は一度顔を見合わせ、それから料理の載せられたテーブルを見、開いている席に腰を下ろした。

 よし。

 

「君たちっ! 私を無視して話をするなっ!!」

 

 皆に無視されていたドクターが、突然大声を上げた。

 

「おや、まだいたのかねドクター」

「酷っ! それはあまりにも酷いと思わないか、シロウ!」

 

 面白そうとか言って俺の仕事を増やそうとした癖に何言ってるのさ。

 

「何を抜かすか。元はといえばドクターがいけないのだろう? 酷いと思うなら反省しろ」

 

 自業自得だ。

 

「さて、皆席に着いたな。では」

 

 未だ喚いているドクターを放っておいて、皆が席に着いたことを確認する。

 俺の言葉を受けて、姉たちは一斉に両手を合わせた。

 

『いただきま~す』

 

 言うと同時にそれぞれ思い思いにおかずをつつく。

 

「って本当に私は朝食抜きなのかっ!?」

 

 ドクターを置いてきぼりに食事を始めた面々を見て叫ぶが、誰も聞いてない。

 

「そう言っているだろうが。どうしても食べたいなら昔食べていた弁当でも食べるといい。何、賞味期限なら心配要らない。真空パックされているし、期限は一年だ。まだまだ十分食べられるぞ」

 

 確か前の残りがキッチンの奥に放置されてるはずだ。

 流石に食べ物を処分するのは気が引けて、そのままにしてるものだけど、役に立つもんだな。

 

「それは嫌だ」

 

 きっぱりと断言。

 空腹だから食べたいんじゃなくて、俺の料理だから食べたいって言われているようで、ちょっと嬉しい。

 でもそれとこれとは別問題だ。

 でもまぁ流石に可哀相かな。

 よし、それなら……。

 

「納豆なら食べてもいいぞ」

 

 俺の料理じゃないし。

 

「誰が食べるかぁぁぁぁっ!!」

 

 まぁ、常々納豆は『テロリストだ』とか意味不明のことを言うくらい納豆が嫌いだから、当然の反応だな。

 というか、自分がテロリストの癖に何言ってんだか。

 自分がテロリストだからこそとか?

 なんにせよ、ドクターの頭の中は理解不能だ。

 姉たちを見渡してみても、誰もドクターに見向きもしてない。

 はぁ。

 何か俺も相手してるのが面倒になってきた。

 とりあえず今日一日くらい食事抜きにすれば少しは懲りるだろ。

 懲りなかったらまた食事抜きにしてやる。

 そう硬く決意して、俺も朝食に取り掛かった。

 

 




タイトル通り、後発三人組は妹ということになりました。
このあたりはかなり悩みました。
ただ後発三人組は情緒面でかなり未熟なので、ぶっちゃけ姉呼びはちょっと合わないかなと思いまして。
士郎だけ稼動順ということで落ち着きました。
作中士郎も言っていますが、そもそも戦闘機人と人造魔術師(実際は違いますが)なので、根本から違いますしね。
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