46番目の魔術使い   作:眞神零一郎

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EX.シリーズです。
にじファンでは投稿していなかった新作となります。



EX.5 シロウの一日

 

 シロウの朝は早い。

 当然朝食の準備があるため、一番最初に起きる。

 起きて身支度を整えると、早速台所へ。

 手間が多いおかずのときは前日に軽く仕込みをしておくこともあるが、大抵はその日に行うため、大体食事の時間から二時間~三時間ほど早く起きるのが常である。

 そうして食事の準備をしていると、一人二人と姉妹たちが起きてくる。

 顔ぶれは決まっていて、トーレ、チンク、ディエチ、セッテの四人が早い。

 順不同だが、基本的にこの四人から起きだしてくる。

 次いでクアットロやセイン、そのあとにオットーとディードが続く。

 この八人は、シロウが朝食を作り終える前には揃っている。

 ほかの姉たちといえば、ウーノは恐らくトーレたちよりも早起きだろうが、すぐにスカリエッティの補佐に入り、朝ここに顔を出すことはほとんどない。

 ウェンディ、ノーヴェの二人は朝に弱い。

 大抵、食事の準備が佳境に入ってから、チンクかセインかディエチが起こしに行く。

 それと同時に、トーレがウーノに食事の支度が整った旨通信をいれるが、ほぼ八割の確立で『今は手が離せない』の一言で終わる。

 シロウにそう告げると、大きな溜息をついて二人分の食事を避けておく。

 そうでもしないと、出したものは食べてもいいものとして、彼女たちは全てを平らげてしまうのだ。

 毎度野菜の一切れすら残らない皿は、作り手であるシロウとしては嬉しい限りだが、放っておくと食事を忘れかねないスカリエッティにも食べさせなければならない。

 まぁウーノがいればその辺りの管理もしてくれるのだろうが、いかんせん、シロウが現れるまでスカリエッティ共々『食べている時間がもったいない』などと言い、携帯用の栄養補助食品だけで済ませていた人である。

 食に関してはあまり期待できないのだ。

 尤も最近では一概にそうとも言えなくなってきている。

 そうこうしている内に、ノーヴェとウェンディが寝癖だらけの頭で登場。

 

「だらしがない」

 

 とトーレに一喝されるも態度は改まる事無く、溜息交じりのシロウが二人の寝癖を治してやるのが日課だ。

 

「いただきます」

 

 お決まりとなった挨拶と共に食事が始まる。

 初めてシロウが食事を作って以来、欠かす事無く続けられていた。

 と言うのも、誰もがシロウの『言わないと食べさせない』という脅しに恐れをなしたからである。

 かつては出来合いの弁当を食べていたとは思えないほど、今の彼女たちは食に思い入れがあるのだ。

 無論それはシロウの作った食事限定であり、毎食彼の手料理を食べている彼女たちは、今更出来合いの弁当など食べる気にすらならない。

 三食の弁当と、一食のシロウの手料理ならば、全員が即答で一食だけのシロウの手料理を選ぶくらいに。

 まだ日が浅い後発三人組とて例外ではない。

 

 さて、食事が済むとティータイムが始まる。

 食事の片付けは当番制で、ウーノ以外の姉妹たちで毎回分担して行っている。

 食器を洗って棚に片付けるだけの単純作業であるものの、どうやらかなり得意不得意があるようだ。

 一番手際がいいのはディエチである。

 次いでセイン、ディード、意外な事にノーヴェも悪くない。

 反対に苦手としているのは、トーレとクアットロだ。

 どうやら彼女たちは家事には向いていないらしい。

 そうしてやっと朝食の諸々を全て終えると、二人分の食事を持ってスカリエッティの研究室へと向かう。

 スカリエッティとウーノに食事を取らせるためだ。

 日によってウーノにスカリエッティを任せて部屋を出ることもあれば、そのまま二人が食事しているのを見ていることもある。

 たまに見張っていないと、スカリエッティは嫌いなおかずをウーノに押し付けることがあるからだ。

 スカリエッティが、彼曰くテロリストやら侵略者やらと戦っているのを監視するのもシロウの役目である。

 そうして量の割には時間がかかるスカリエッティと、あっという間に平らげるウーノの食事が終わると、今度は掃除と洗濯が待っている。

 さすがに広いため、廊下やら訓練室やらあまり使っていない部分などの掃除は機械任せにしているが、食堂や風呂・トイレなどはシロウが行っている。

 ちなみにそれぞれの部屋は三日に一度、シロウが掃除をしている。

 たいてい朝食時に誰の部屋を掃除するかは伝えてあるため、その時間は皆部屋から出ておくのが暗黙のルールとなっている。

 それぞれの部屋といっても、リネン類を交換したり、床を掃いたり、ごみを片付けたりする程度だ。

 それが終われば洗濯である。

 とはいえ、洗濯から乾燥までやってくれるため、洗濯機のスイッチを押して洗剤を入れるだけだが。

 

 そうこうしている内に昼食の支度を始める時間となり台所へ向かう。

 出来上がると、再び昼食と言う名の戦争が始まる。

 戦争と言うか、要はおかずの取り合いなのだが、彼女たちにとってはまさしく戦争だ。

 朝昼晩共に言えることだが、おかずは殆どが大皿に山盛りという形をとっている。

 理由は簡単。

 個別に盛ると、先に平らげた者が他の姉妹の皿から略奪するのである。

 それを見越してかなり多めに盛り付けているのだが、全く効果はない。

 それで仕方なく今のスタイルと相成ったわけなのだ。

 さて、昼食も終わると、再び空き時間となるわけだが、これもまた朝食後と対して内容は変わらない。

 スカリエッティとウーノに食事を届けたり、訓練したり、調整したり。

 そして三時。

 彼は再び台所へやってきて、昼食と一緒に作っておいたおやつを用意する。

 ちなみに本日のおやつはプリン。

 しかしそのサイズがまた特別製である。

 なんと丼サイズなのだ。

 丼というか、子供が砂場などで遊ぶ小さなバケツ。

 所謂バケツプリンである。

 最初は一般的なカップサイズのプリンを作ったのだが、如何せん足りない。

 欠食児童もかくやといわんばかりの食欲を誇る彼女たちには、そんなサイズでは満足できなかったのである。

 以降試行錯誤を重ねて今のサイズに落ち着いたのだ。

 ただしスカリエッティのみ通常サイズだが。

 おやつの時間は、スカリエッティとウーノも揃っていることが比較的多い。

 この日は全員が揃ってのおやつの時間となった。

 プリンはきちんと皿に盛られ、ホイップクリームやら果物やらでデコレーションされた一品だ。

 おやつは基本的に一人分がきっちり決まっているため、食事時のような戦争状態にはならない。

 

 そうしておやつを終えると、洗濯物の続きだ。

 とはいえ、午前中に洗濯機に入れておいたものを畳んだり、アイロンをかけたりするくらいなので、たいした時間もかからない。

 その後は夕食の準備だ。

 夕食は、その日一日の食事の中でもっとも量が多い。

 訓練で動いたりが多いので、お腹の空き具合も半端ではない。

 朝昼を越える戦争となるのだ。

 そうして夕食が終われば、やはり朝昼同様ブレイクタイムとなる。

 スカリエッティとウーノに食事をさせることも忘れない。

 この後は各自風呂に入るなり自由時間となる。

 さすがにこの時間は皆のんびりしていることが多い。

 就寝時間などは決まっていないが、早いものは九時就寝のものもいる。

 大体十時から十一時就寝が多いようだ。

 ちなみにシロウは朝食の仕込をしてから、軽く訓練、のち入浴を済ませ、寝るのは大体十二時から一時くらいとなる。

 これが大体のシロウの一日の動きである。

 

 




家事を一手に引き受ける主夫・シロウの一日の流れをでした。
任務やらの特別なことがない限り、基本、毎日この流れです。
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