46番目の魔術使い   作:眞神零一郎

3 / 19
第二話です。
前話後書きで模擬戦編と書いたのですが、すみません。模擬戦編は次回となりました。
かなり短めです。


第二話 消された真実

 

 広い部屋だった。

 壁一面に巨大なパネル状のモニターが展開され、その周りに小さいモニターも多数展開されている。

 それらを見ながら、なにやら話し込んでいた人物は、入ってきた俺たちに気付いて声をかけてきた。

 

「おや、目覚めたようだね」

 

 彼が俺を作り出した人物、Dr.ジェイル・スカリエッティ。

 その横に秘書然として立っているのが、俺たちの一番上の姉、1番ウーノ姉。

 

「ふむ。その様子では、動作等に問題はなさそうだね」

「あぁ、特に問題はない」

「融合させたレリックの方はどうかな?」

「そちらも問題はない。おかげで身体能力やら魔力やらがかなり上がっている。身体能力は戦闘機人たる姉たちと大差なかろうし、魔力も魔導師換算でS以上だろう」

「それは良かった」

 

 彼は満足そうに微笑んだ。

 

「その赤い上着は? 用意したものにはなかったはずよ?」

 

 俺の格好を見たウーノ姉が、訝しげに眉を寄せる。

 

「あぁ、これか。これは概念武装といってな、私の魔術で作り出したものだ」

「魔術で?」

「あぁ。私の対魔力はかなり低くてね。簡単な射撃魔法でも致命傷になりかねん。私の魔術では、こちらの魔法のように簡単には防御障壁を作り出せんのだ。それを補うためのもの、と思っておいてくれ」

「素晴らしい。目覚めたてでもそれだけの魔術を行使できるとは。早速だが、君の魔術を見せてくれんかね?」

 

 ドクターの言葉に、俺は眉を寄せた。

 

「なに、確かに私は魔術も研究しているのだがね、君のそれは所謂一般的な魔術とはずいぶんと違うのだよ。こちらの魔法風に言えば、君だけが使える稀少技能〈レアスキル〉といった所だ」

「ふむ。まぁいいだろう。それで? 私は何をすればいいのだ?」

 

 ドクターはにやりと唇を歪めると、モニターを操作して、画面いっぱいに一本の槍を表示する。

 

「君の魔術は投影、見たもの触れたものの複製品を作り出せるものだ。この槍―ある人物の使うデバイスなのだが、これを投影してみてはくれんかね」

「それは少々語弊がある。確かに私の魔術は投影といって、複製品を作り出すことだがね。私のそれは少々勝手が違う。私の魔術は剣製に特化し過ぎているのだ。無論、他の武器や防具などもできなくはないがね、剣のそれと比べると、魔力の消費が大きい。それに剣とは違い、能力や強度も落ちる」

 

 俺の説明に、ドクターは納得したように頷くと、再びモニターを操作して、今度は剣を表示する。

 

「これならばどうかね。これもある人物の使うデバイスなのだが、君の要望通り、剣だよ」

「残念だがね、ドクター。私の魔術とこの世界の魔法は相容れないものだ。その剣を投影することは可能だが、デバイスとしての役割は何らはたせん外側だけのものになるぞ」

 

 まぁ、目の前に実物があって、触れられるなら、デバイス機能はともかく、内部機構くらいなら再現できるだろう。そもそも俺は、デバイスの構造自体、まったくわからん。

 

「ふむ。ではこの世界の武器は、君はほとんど投影できないということか。そうなると、君の武器となるものが何もないということになってしまうね」

「その点は心配いらん。私の元となった人物は、元の世界で随分多くの剣を見てきているらしい。向こうの世界のものだが、この世界においても十分通用しそうだ」

「ほう、それならば安心だ。そうだ、その威力とやらを見せてくれないか? 丁度いい、チンク、君が相手をしてあげなさい」

「了解した、ドクター。付いて来い、シロウ」

 

 チンク姉に促されて、俺はドクターたちのいる部屋から出た。

 

「チンク姉? これから何するんだ?」

「なに、戦闘訓練だ。お前がどれほどのものか、楽しみにしているぞ」

 

 

 

 シロウ達が後にした部屋の中では、スカリエッティとウーノがモニターを見ながら、なにやら話し込んでいた。

 モニターには、シロウのと思わしき身体データが映し出されている。

 その近くには、なにやら映像が映し出されていた。

 

「あの様子では、記憶の方も問題なさそうだね」

「そのようですね、ドクター」

「やはり彼は面白い素材だね。それに、あの能力はかなりの戦力になる」

「ですがよろしかったのですか?」

「ん? なにがかね?」

「戦力になるというのなら、彼のあの能力も封印しなかった方がよろしかったのでは?」

「あぁ、固有結界というヤツのことかね? なに、封印といっても『私が封印している』という記憶を植え付けているだけで、実際にしているわけではないからね。いざとなれば封印を解除したといって使ってもらえばいいさ」

「それはそうですが…」

「彼の記憶映像を見せてもらったが、あれはこの世界の魔導師には対抗不可能だ。そんな反則技を使ってしまっては面白くないだろう? さて、今はそれよりも彼の戦闘を見ようじゃないか。記憶映像で見たとはいえ、やはり実際に見る方が何倍もいいからね」

「そうですね。先程の彼の言葉からも分かりましたが、彼の記憶も完全に映像化できたわけではありませんし、魔術というものを知る、いい機会ですから」




次回は今回書けなかった模擬戦編です。次こそは模擬戦編です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。