つなげてひとつにすればいいのかもしれませんが、EX.の方は三人称で書いてあるため分けてあります。
俺の初任務から数日後。
朝食の後、セイン姉が後片付けを終えてリビングに戻ってきた。
顔をしかめながら、なにやら右腕をぐるぐる回している。
「セイン姉? どうかした?」
「いや、なんか右腕に違和感があってさぁ」
「違和感?」
「別に動かしづらいとかってわけじゃないんだけど、なんか気になるんだよなぁ」
変わらず腕を動かしながら首を傾げた。
「ちょっといい?」
一言断ってから、セイン姉の右腕を取る。
「解析開始〈トレース・オン〉」
解析をかけた。
……
これかな?
「右腕の神経ケーブルの一本に小さい傷ができてる」
腕を放し、原因を告げた。
「小さい傷?」
「動きに支障が出るほどの物じゃないよ。まぁ戦闘とか激しい動きをすれば傷は大きくなるから、早めに治したほうがいいけど」
「へぇ。お前、そんなことも分かるのか?」
感心したようなセイン姉。
「魔術の一端だよ。物の本質を識るのは、俺の魔術の基本だからね」
すると後ろから、楽しげな笑い声が聞こえてきた。
楽しげ、と言うか、なんか企んでそうな? あれ? なんか嫌な予感が…。
「シ・ロ・ウ・ちゃん」
「な、なに?」
クア姉?
「故障箇所が分かるなら、もしかしてどうすれば治せるかもわかるのかしら?」
満面の笑顔が逆に恐いんですけど。
「まぁある程度は。ただ戦闘機人の内部構造なんて特殊なものは、知識がないから難しいけど」
「知識があれば大丈夫ってことね?」
やっぱり満面笑顔で聞いてくる。
「そう、なる。かな?」
たぶん。戦闘機人の神経ケーブルなんて、構成素材自体『俺が知ってるもの』じゃないから修復できない。
ちゃんと知識があれば、魔術で修復もできるだろう。
まぁ神経ケーブルなんて、簡単なものじゃないだろうし剣でもないから、俺じゃ魔術で修復できないと思うけど。
すると、満面笑顔から、なんというか悪魔の微笑み、みたいな?
「うふふふふ。シロウちゃん。教えてあげるから、貴方、私たちの調整しなさいな」
「なんでさ」
「ないとは思うけど、私たちが全員動けなくなるようなことがあったら、ドクター一人じゃ大変じゃない。なにより、違和感からでも故障が分かるなら、修理も調整もやりやすいでしょ?」
「まぁ、そりゃあ」
納得しきれないとこもあるけど、とりあえず頷く。
「じゃあ決まりね。セインちゃんの修理がてら、色々説明するわ」
「ってあたしは実験台かいっ」
セイン姉の突っ込みを軽く無視して、クア姉は俺を引っ張って部屋を出た。
無情に扉が閉まる。
「あっ」
「置いてくな〜!」
セイン姉の叫び声がこだました。