ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~ 作:マーケン
図書室から出て私は屋上に上がった。だが、津島さんは今日は来ていないようだったので、私も帰ることにした。
図書室を出るときにまだ図書委員の雑務をこなしていた花丸ちゃんがまだいるかと思い図書室に寄ると案の定、花丸ちゃんは本を読み耽っていた。
花丸ちゃんはルビィちゃんとは違い活字の本が好きだ。アイドルにはそれ程の関心が無いようである。強いて言えばルビィちゃんが好きだから知っているくらいなものだ。
何故花丸ちゃんとルビィちゃんは仲良くなったのだろう?
「星ちゃん戻ってきたの?」
「うん。野暮用があったんだけどすぐ終わったから戻ってきた」
「そっか。あと三十分は図書室開けてなくちゃいけないから先帰っててもいいよ」
「ううん。本読んで待ってるよ」
私は椅子に腰掛けるとハーモニーの続きを読む。
この本は既に二回読んだが、やはり飽きる事は無い。その優しすぎる世界観で主人公が感じている息苦しさはいつ読んでも感じることができる。物語に没頭できる。そうなったら三十分などあっという間だった。
「星ちゃん。時間だから図書室閉めるよ」
花丸ちゃんが声を掛けてくれなかったら読み終わるまで読み続けていただろう。
図書室を閉鎖して鍵を職員室に返すと私達はバスに乗った。どうやら花丸ちゃんは今日は本を買いに行くらしい。
「花丸ちゃんってみんなで居るときあまり本の話しないよね」
「マル、ルビィちゃんや高海先輩みたいに自分の好きを上手く伝えられないから」
だから自分の好きは好きとして自分の内にしまったおくのだという。
「確かにルビィちゃん達はスクールアイドルの話をすると本当に楽しそうに聞こえるもんね」
「だからルビィちゃんにはその好きをもっと出して欲しい。人に合わせるんじゃなくて、人を引き込むくらいに」
そう語る花丸ちゃんは夢を語るかのように輝いていた。なんだ、自分の好きを上手く伝えられないなんて嘘じゃないか。こんなにルビィちゃんを語るとこっちも力を貸したくなるような話し方をするのだから。
「花丸ちゃんはルビィちゃんが本当に好きなんだね」
「親友ずら。人付き合いの下手なオラとずっと一緒に居てくれた大切な親友」
だからか、と私は先のルビィちゃんの視線の意味を知った。ルビィちゃんはきっとお姉さんだけでなく花丸ちゃんとも合わせている。
「そこで、今日のやりとりで思いついたずら」
「ダチョウ的な倶楽部活動?」
「それずら。オラ明日ルビィちゃんにスクールアイドル部に一緒に体験入部しようって誘うずら」
「一緒に入ってルビィちゃんを本入部させると」
「ずら」
「じゃあ私は余計なことしないようにしなくちゃ。昨日の今日で私と花丸ちゃんがスクールアイドル部入ろうなんて胡散臭すぎるしね。明日は別行動しよう」
言ってしまえば罠に嵌める行為に少し気が引けるが親友の花丸ちゃんがそうすると言うのだから、これくらいの荒治療が必要なのだろう。
“私も音ノ木坂合格したよ”
私の時とは違う。そんな酷い結末にはならない。だが、これだけは言わせてもらおう。
「本当の事を伝えるタイミングを見誤らないでね」
頷く花丸ちゃんはとても嬉しそうだった。それを見て私の不安は少し和らいだ。きっと二人なら大丈夫だろう。だってこんなにもお互いに相手のことを想っているのだから。