ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~ 作:マーケン
山道を降りていくと途中で休憩スポットが設けられていたため、そこに設置されている落下防止柵に腰を落ち着かせて私は演奏を続けた。
夕日が穏やかな海を茜色に染め上げ、輝きに私は思わず目を細めた。きっと頂上からこの景色を見られたならばより綺麗に映るだろう。
音楽が好き、演奏が好き、それを誰かに聴いて貰うことが大好き。誰にも話していない私の本音だ。誰にも本音を話さない私が、ルビィにはその本音をもっと素直に出して欲しいと願うのは傲慢なのかもしれない。でもそれは私だけの願いではないのだ。だから今日は開き直りともなんと言われようとも届けたかった、この想いを。伝えたい、勇気を。だからこそ奏でているのはbrave heartなのだ。
「なんですの?こんな所に呼び出して」
一心不乱に演奏すること数分。曲が終わる頃を見計らっていたのだろう。いつの間にやら来ていた生徒会長こと黒澤ルビィの姉、黒澤ダイヤさんが声を掛けてきた。
呼んだのは他でもない私だ。とは言っても私にそうするよう以来したのは花丸ちゃんだが。まさか私がダイヤさんと対峙することになろうとは思ってもみなかった。
「生徒会長は、ダイヤさんは頑張る人、好きですか?」
「なんですの?薮から棒に」
「私は好きです。今の私にはもう無くなってしまったけれど、そうやって輝く人が好きです」
「何か悩みでも?相談ならいくらでものりますよ」
突然語り出す私に戸惑いながらもダイヤさんは私に手を差し伸べてくれる。
一見するとややつり目がちで口調もつっけんどんな印象だが、その言葉は相手を思いやる気持ちを感じる。Aqoursのファーストライブの時だってそうだ。何もその時に言わなくてもいいことを敢えて言ったのはそれがAqoursの事を本当に思っていたからこそだと私は思っている。
そんな人の良いダイヤさんに私は微笑みを返して続ける。
「ダイヤさんを呼び出したのは私ですけれど、本当に話したい人が後から来ます。だからもう少し待っていていただけますか?」
花丸ちゃんとルビィちゃんがどのような結末を迎えているのか分からない。だけど私は後を花丸ちゃんに託すことにした。
私はダイヤさんに頭を下げると再び山を下る。
高海先輩達に挨拶もなしになってしまうが、それはまた明日謝れば良い。屋上に居れば彼女達はまた来るだろうから。
私は山道を降りながらハーモニカを再び構える。
かつて大切な人と共に踊りながらハーモニカを演奏していた私には歩いての演奏など造作もない。
曲は流星。熊木杏里の曲だ。
この曲は非常に緩い。もちろん良い意味でだ。とにかく力まないのだ。まあいいからとにかくやっていこう、みたいな適度ないい加減さが心地良い曲だ。
花丸ちゃんが到着するまでの間、ダイヤさんを飽きさせないように、それでいて気張り過ぎないようにと私なりの配慮だ。
さて、朗報を期待して帰宅するとしますか。