ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~   作:マーケン

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なんとかファンミ前に更新完了。
現地四公演を満喫してきます。


第百五十七話

 どうせやるならば現時点での最高のクオリティを、と思うのは曲がりなりにもクリエイターならば誰でも思うことだろう。他でもない私がそうだ。

 だから今日は仮歌のレコーディングのためにAqoursの面々を自宅に招待したのだがーーーーー

 

「凄いよね。この楽器の数!」

 

「イエーイ!」

 

「鞠莉ちゃん凄くギター決まってるよ」

 

「全然弾けないんだけどね」

 

 ジャンクを二個一、三個一するなどして修理した楽器などがあるため、質は兎も楽器の種類は豊富でそれに目を輝かせるみんなは作業そっちのけで遊びだしたのだ。

 

「あら?このお琴全然調律が合ってませんわ。というより絃が決定的にダメになってますわね」

 

「そうなんですか?道理で幾ら弄っても治らない訳だ。ってそうじゃなくて!」

 

「ピギッ!?」

 

「今日は私の曲に歌入れに来て貰ったこと、忘れてません?」

 

「そうよ。星ちゃんが困ってるじゃない」

 

「とか言って難しそうな顔しながらずっとキーボード弄ってるのは誰ですか?」

 

「こうしてみんなで星ちゃんの家に来るなんて早々ないからさ」

 

「いつもは千歌ん家に集まってるもんね」

 

「千歌ちゃんの家は学校からも近いし、居心地良いからね」

 

 そう言われるとそうだ。

 個別で誰かが家に来るというのは時たまあったけれど、全員集合というのはなるほど。確かに次にいつ機会があるのか分からないことだ。テンションが上がるのも頷ける。

 

「卒業前にこうやってみんなで星の家に来れて良かったよ」

 

「卒業したら私達沼津から離れちゃうものね」

 

「・・・・・・」

 

 果南さんや鞠莉さんがそう口にすると、なんとなく気まずくなって思わず私含めみんな黙ってしまった。

 やはり避けられない話題ではあるけれど、別れはもうすぐそばまで来ている。

 今はラブライブ決勝に向けてや私の個人的事情に付き合って貰って一緒に過ごせているけれど、それが終わったらもうすぐに卒業式。その後は確か三年生の三人で卒業旅行に行くとかなんとか。いづれにせよ余り多くの時間は残されていないのは事実だ。だから私は聞きたい。

 

「三人にとってラブライブってなんですか?」

 

 スクールアイドルになって良かったか、とか、ラブライブ優勝したいか、ではない。三人にとっての象徴的なものについてどう捉えているのかが気になるのだ。私には穹との間にそう言う一つの形のある象徴が無かった気がするから。

 

「随分唐突ですわね。てすがそうですね・・・」

 

 ふむ、とダイヤさんは顎に手を当てて考え込む。いつも何かと自分のしていることに理由や意義を持っているダイヤさんにしては珍しい。

 

「ラブライブか。確かにそれありきで考えてる部分はあったかもね」

 

「三人でstartしたときでしょ。」

 

「そうそう。一気に知名度を上げて統廃合を阻止しようって」

 

「今思えば不純な動機ですね」

 

「あら?ダイヤは初めからスクールアイドル大好きだったじゃない」

 

「大好きでも動機がなかったらやってなかった?」

 

「さて。どうだったでしょうね?」

 

 もしも、もしも、と過去を振り返るのは必ずしも後悔だけではない。現に今、ダイヤさんはふふっ、と楽しそうに笑っている。もしも三年生の三人でスクールアイドルをやらなかったらSaint Snowのようにルビィちゃんと二人でユニットを組んでいたかもしれない、なんて考えているのかもしれない。

 

「スクールアイドルである以上、ラブライブに出るって決まってる訳でもないんだけどね」

 

「それでも惹かれるものはあった」

 

「先人達の活躍を目の当たりにしたら当然ですわ」

 

「ラブライブって不思議よね。甲子園、とかクリスマスボウル、みたいに施設名とか開催時期とも関係ない大会名だしね」

 

「単に全国大会、じゃ味気ないのは分かるけど・・・ラブライブ、ライブ大好き、みたいな?」

 

「まぁ好きなのは好きですけど、そうではない気がしますね」

 

「人生を愛する、じゃないかしら?」

 

「なら私達は十分過ぎるくらい愛してるんじゃないかな?」

 

「その名前の意味も分かってなかったのに?」

 

「分かってなくてもそう思える日々が送れる。ラブライブってそういうものなんじゃないかな」

 

 人生を愛する。どこか結論と言うにはフワッとした言い方だったけれど、なんとなくしっくりもくる響きだ。

 スクールアイドル活動を通じて手にしたもの、胸に抱いたものは多くある。もちろん失ったものはあれど、得たものは誇れるものであると胸を張って言える。少なくともこの一年彼女達の側にいた私がそうなのだから当事者がそうでないことはないだろう。

 

「人生を愛するためのラブライブ。なんか素敵じゃない?」

 

 その言葉に私達みんな納得した。

 

「よーし。それじゃあそろそろ歌おうか」

 

「一発録りで済むと思わないでくださいよ」

 

「分かってるよ」

 

 各歌詞毎にパート分けは既に調整済み。

 一人づつのレコーディングとなるため、各メンバーとそれぞれ一対一で部屋にいる事となる。

 

「星ちゃん。今日は呼んでくれてありがとう」

 

「依頼したのはこっちですよ?ありがとうは私のセリフですって」

 

「でも今日こうやって集まってなかったら多分漠然としてたと思う。ラブライブ、人生を愛する。μ’sと、ラブライブと出会ってない頃の私は物足りないってずっと感じてたから」

 

「・・・・・・」

 

「だからスクールアイドルになって、ラブライブを目指して、輝きたいって思って!こんな楽しいことはないって、そう思ってる・・・・・・星ちゃん」

 

「はい」

 

「星ちゃんも」

 

「そのためにも、バッチリ魂を吹き込んでくださいね」

 

 千歌先輩にそう言って私達はレコーディングを開始した。

 驚くべきことに、というか案の定、各メンバーともレコーディングは一発でOKだった。

 

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