ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~ 作:マーケン
二人は何の影も無く唯々楽しそうに音を掻き鳴らしていた。
私はハーモニカを吹きながらタップシューズで地を第二の楽器としてビートを刻み、彼女がギターで主旋律を奏でながら歌う。
私達は二人。μ’sみたいに人数かいないから少し物寂しいがその分一人あたりが使えるスペースは広い。私達は全身を使って画面一杯に全力でパフォーマンスをしていた。
彼女とパフォーマンスをする前にする掛け声を思い出す。
“太陽にはなれないかもしれない。でも一番星にならなれる。私達はーーーーー”
「まだ消してないんだ」
中学時代に相方と共に動画サイトに投稿した動画を私は見ていた。
音楽活動を活発化させるためにスクールアイドルのランキングに登録しようとも話していたが、スクールアイドルとして活動できるのは高校の三年間だけ。まだ中学生だった私達は大衆的な動画サイトに投稿していた。
ただ投稿するだけでは人目に止まらない。だから色々な有名曲をカバーして、まずは『歌ってみた』、『演奏してみた』のシリーズから始めある程度の視聴者が出来てからオリジナルの楽曲ををやっていた。
まだ音ノ木坂を目指していた頃、夢は報われるのだと信じていた時代の名残だ。
東京に行くことが決まった今、どうしても確認しておかなければならないと思ったのだ。
やはり予想通りだった。アカウントはお互いにパスワードを知っているため消そうと思えばお互いに消すことができる。だが、まだ残っていた。
もう無視して放置しているとも考えることもできるが彼女のことだ、それはないだろう。
きっと彼女も何かしらの決着を望んでいるに違いない。自意識過剰と思われるかもしれないがそれで彼女が悩んでいると思うと私は本当に罪悪感で涙が出そうだった。だが、泣く資格など私にはないのだ。そうすることができるとすればそれは私が彼女に彼女が納得する形で詫びを入れるしかないだろう。
東京で彼女と遭遇する可能性は低いと見ていい。だが、音ノ木坂に近づけばその確率は否が応でも上がる。そしてみんなの性格を考えると音ノ木坂に行きたがるに決まっている。
避けようがないことならそれを逆に良い方に考えることで私は自分の気持ちを整理することにしたのだ。
みんながいればきっと私は逃げない。一人では立ち向かえなくてもみんながきっと私に力をくれる。なら心配することはない。私は自分にそう言い聞かせてざわつく心をひたすらに落ち着かせようとした。
画面の中ではそんな私の気も知らず無邪気に楽しむ私が居た。そんな自分の姿を見ながらぼんやりと思ったことがある。もしも音ノ木坂に通っていたら私達は人を魅了するような活動を出来ていたのかと。Aqoursのように多くの視聴者を獲得していたのかと。
比較対象として考えた時、心に燻った対抗心に私は驚いた。まだそんな風に思う程に私は未練があることに、なによりAqoursに対してライバル心を持つほどに彼女達の存在が大きくなっていることに。
私は燻った心に戸惑いながらもこの問題は後に回そうとパソコンの電源を落とした。