ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~   作:マーケン

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更新が遅れまして申し訳ありません。連投しますので次話もどうぞ。


第八十四話

 学校の有志を集いラブライブ予選に挑む。それはともすれば風車に突撃するドン・キホーテのように蛮勇と称されるかもしれない。けれどその心意気を上手く表現できれば共感を呼ぶことができるかもしれない。けれど、私にはその方法が分からない。私はいつだって音楽で気持ちを伝えて来たから、それ以外の方法は分からない。だから私にできることはみんなの心意気を無駄にしないよう、ルール的に可能かどうか調べることだけだ。

 

「まだ返信なし、か」

 

 だが、ラブライブの運営に問い合わせをして数日、まだその返信は来ていない。

 私はスマホをポケットにしまうと生地を漁るルビィちゃんも曜先輩合流した。今日は衣装作成のため手芸用品店や雑貨屋などを梯子しているのだ。

 

「これ可愛いですよ、曜さん」

 

「いや、そうなんだけど、みんなとステージに経つなら私達だけフリフリのアイドル衣装じゃバランス悪いでしょ」

 

「じゃあ指揮者みたいな感じでどうかな?」

 

「シュッとして洗練された感じの衣装か。いいかもね」

 

 ラブライブ予選に向けての衣装デザインについてはルビィちゃんと曜先輩が担当している。故に実際の生地を見てイメージを膨らまそうとこうして沼津市内まで足を運んでいるのだ。

 

「制服に追加で装飾するってのはどう?」

 

「それだともし私達しかステージに立てない時に余りステージ映えしなくなっちゃう」

 

「規約を見る限り、予選はエントリー外の人は出られなそうなんですよ。だから追加エントリーではどうかと思って問い合わせはしてるんですが、まだ返答がないんですよ。だから両睨みで対応しないと間に合いませんよ」

 

 物理的な制約としても何人集まるか分からない生徒分のオプションパーツを作るよりAqoursメンバー分の衣装を新調した方がコストも手間も掛からないだろう。

 

「でも折角参加するならみんなお揃いでやりたいよね」

 

 学校のみんなで同じ衣装を身に纏いステージに立つ。そこには中心にAqoursがいて、その周りに私や先輩達のクラスメートがいる。そんな風景を想像して、壮観であるという感想を持つと共に、ちょっとした違和感を感じた。それはAqoursの面々と私や他の生徒は同じステージに居ながら、同じ場所に立ててないように思えたのだ。

 

「二人は他の子とステージに立つってこと、どう思う?」

 

「温かく応援してくれてたみんなと今度は一緒に歌えるってなんか本当にスクールアイドルになれた感じがする」

 

「それは今更でしょ、ルビィちゃん」

 

 ルビィちゃんの言葉に苦笑しつつ、私はルビィちゃんの言いたいことも分かる気がした。

 始めたころはただ楽しくて、けれどそれはルビィちゃんがダイヤさんとやっていたスクールアイドルごっこ遊びの延長線に過ぎなかった。それから色々な経験を重ね、ルビィちゃんなりにスクールアイドルとは何なのか?Aqoursとはどんなスクールアイドルなのかを考えるようになった。だから誰かに夢を、希望を、笑顔を与える存在になれた時、本当の意味で自分もアイドルの端くれになれたと、そう実感したのだろう。

 

「でも、それって同じステージに立つこととは違うんじゃないかな?」

 

「星ちゃんは反対なの?」

 

「そういう訳じゃ無いけどーーーーー」

 

 一番しっくりくる言葉は分かりやすい反面、それを言うことは適切ではないようにも思えて言い淀んでしまう。

 

「いいよ、言いなよ」

 

 けれど、そうやって思ったことを言えない仲ではもうない。曜先輩に促され、私は確かに感じた思いを形にした。

 

「Aqoursと他の子は同じステージに立っても対等じゃないと思う」

 

「どういうこと?」

 

「他の子達はスクールアイドルじゃない。みんなに惹かれたり、学校をなんとかしたいって思ったり、そういう色々な気持ちがこんがらがっていて、たぶんみんなに同調することでしか気持ちを表現できないんじゃないかと思う。それってなんか違うと思う」

 

「本当の想いは自分の意志で伝えないと嘘ってこと?」

 

「そこまでは言わないけど、ただ追随するだけじゃ多分魅力的には映らないと思う」

 

「手厳しいね」

 

「曜先輩は?」

 

「私はみんなの気持ちを汲めることが一番大切だと思う。星ちゃんが言ってたみたいに憬れとか、学校をなんとなしたいって気持ちとか、それを一番良い形にできればいいんじゃないかな。それこそ私達が指揮者みたいにみんなを引っ張ってさ。そうだ、ルビィちゃん!」

 

「はい。私もいい案が浮かびました」

 

「色は?」

 

「白」

 

 曜先輩はどんどんとアイデアをメモに纏め、絵心のあるルビィちゃんはラフ画を凄いスピードで描き上げる。

 どうやら衣装の件については解決したらしい。

 なら私も一つ、もしみんなでステージに立つとこになった時に困らないよう、ステージ映えするアイテムを押さえることにしようと思う。

 

「すみません。纏めての発注をしたいんですけど」

 

 雑貨屋に電話をし、サイリウムをざっと100本注文した。

 これならステージに立っても使えるし、もしステージに立てなくても観客として使える。

 お金は掛かるが時間も手間も掛からず、どう転んでも役に立つ、我ながらいいチョイスだと思う。

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