ラブライブ!サンシャイン!!~陽光に寄り添う二等星~   作:マーケン

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一期編の完結となります。

8/25かる番外編を更新開始。
番外編の更新については番外編のページを設けましたので興味のある方は作者のページから移動して頂ければと思います。



第九十二話

 ラブライブ予選大会の翌日、前日の疲れを感じさせないAqoursのみんなは新曲のPV撮影をしようと浜辺まで足を運んでいた。私はと言えば今日はカメラ小娘、所謂カメコだ。

 今日は快晴も快晴。夏雲は高く、海は穏やかに波を立てている。ざざー、ざざー、と寄せては返す波は見ているだけで気持ちよさそうだ。

 こんな天気の日だと耳を澄ませば船の汽笛が聞こえるかとも思ったが、残念ながら山沿いから聞こえる蝉の大合唱しか耳に入ってこなかった。

 

「改めまして、昨日はお疲れ様」

 

「ふ、一万人のリトルデーモンからエネルギーを集めた私に疲れなどーーーー」

 

「つん」

 

「いっーーー何するのよっ!?」

 

「やっぱり痩せ我慢ずら」

 

 相変わらずの漫才をする二人に私達は苦笑いした。善子ちゃんが筋肉痛になったように蓄積した日々の練習疲れや昨日の本番疲れはあるのだろう。けれども、各々セルフケアは怠っていないようで過度な疲れは残っていないらしい。

 

「今日の撮影はダンスパートは控えましょうか」

 

「そうだね。取り合えずジャケ写撮ろうよ」

 

 千歌先輩に促され、みんなは靴を脱いで波打ち際に集まる。今を写真という媒体に刻み込むために。

 思えば私がこの町に越してきた時、彼女達にはまだAqoursという名前すら無かった。千歌先輩と曜先輩の二人きり。そんな形のあやふやだった存在から、憬れを糧に、不安に立ち向かい、今を作った。そしてこれからという光を信じ歩み続けるのだろう。

 私はどうなのだろう?

 逃げて、諦めて、それでも抱き続けたものを千歌先輩達に拾い上げて貰って、立ち向かうことを決めたけれど、ここに来てから状況は余り変わっていないようにも思える。穹とはコンタクトを取れたけれど、それだけだ。Aqoursのみんなとくらべれば本当に微々たるもの。けれど、私はそれを恥ずべき事だとは思わないしそもそも比べることでもないのだろう。

 今は穹からの連絡待ちの状態だけど、私も彼女達と共にいい加減学んだ。待っているだけでは変わらないと。だから穹からの連絡待ちに期限を設定した。もしその期限内に連絡が無かったらまた私から連絡をしようと。

 

「ほら、準備できたよ」

 

 健康的な九人の生足は浜辺の白砂よりも輝いて見えた。そして思い思いにとるポーズは誰一人として同じものにはならない。みんな個性的で、でも向いている方向は同じだ。それがとても羨ましい。

 

「はーい、撮りますよー。せーのっ」

 

「君のこころは」

 

「「「輝いているかい?」」」

 

 その問い掛けは新曲のタイトルだ。抽象的であり、けれど始まりの切っ掛けとなる問い掛けだと思う。

 私の心は輝いているのか?そう問われたら今はまだ輝いていないと答えるだろう。けれど輝こうと磨いている最中だ。

 

「ほら、もう一枚撮ろう。今度は星ちゃんも入って」

 

「私はスクールアイドルではないですよ?」

 

「ただの記念撮影だって」

 

 訂正だ。少しくらいは輝いているかもしれない。だって私の近くにはこんなにも大きな光があるのだ。側に居る私も照らされれば光を返すだろう?だって私の名前は星なのだから。

 

「じゃあお言葉に甘えて」

 

 私はデジカメをセルフタイマーにセットして、みんなの列に加わろうと掛けだした。

 波打ち際に近寄るとより波の音が身近に感じられた。けれどやはり船の音は聞こえないし、蝉の大合唱も継続中。

 その中でふと聞き慣れないエンジン音が遠くから木霊しているのを感じた。きっとツーリングしているバイクか何かのエンジン音だろうと、私は意識をカメラに戻し、みんなの列に加わった。

 

「じゃ、せーのっ」

 

「「「ラブライブ!」」」

 

 この夏はまだ中盤に差し掛かったばかり。きっと、もっと暑くなる、そんな予感が私の胸を満たしていた。

 

 

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