アリスのおもちゃ箱   作:ノスタルジー

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タグにもつけましたが、原作既読をお勧めします。
というより、読まないと意味不明だと思われます…

早くもお気に入りや評価を頂けたようで。
ありがとうございます。


競う競売街

 「ええ~やだよ~これ以上増やしたらやめるって言ったでしょ~」

 「申し訳ございません…どちらも父君と懇意にされておられる方でして…」

 ヨークシンにあるホテルへ向かう車の群れ。その中心にあるものの中では、ネオンとダルツォルネが話をしていた。車の中には運転手とその隣、助手席にアリスの姿もある。

 

 ノストラード組。裏世界で急速にのし上がってきた注目株だが、その躍進は組長のライト=ノストラードの一人娘、ネオンによって成り立っているといっても過言ではない。

 「さっさと終わらしちゃおう!」

 【天使の自動書記≪ラブリーゴーストライター≫】

 ネオンの念能力。ノストラード組の宝。自動書記による占い。ノストラード組はこれを使って裏社会の重鎮と繋がりを得て、それを確かなものにしている。

 

 「便利な能力ですね。私も占ってほしかったです」

 ネオンの腕がスラスラと占いを記述しているのを見ながら、アリスはそう口にした。

 「……残念だったな」

 ダルツォルネはその言葉に対し、何と言うべきなのか迷った結果、そんな差しさわりのない返答をした。彼はネオンが書き上げた占いを受け取りながら、助手席に座ってバックミラー越しにくすくすと笑う少女を警戒している。

 ダルツォルネにはこの少女が金のために仕事をするなどという真っ当な人物には思えなかった。もちろん、裏社会にいる人物など真っ当な者であることのほうが珍しいのだが、彼にはあまりにもこの少女の心が読めなかったのだ。

 「ちっ」

 貴族のお嬢様と紹介されれば納得してしまいそうな雰囲気を醸し出してはいるが、その正体は全く不明。これまでに全く問題を起こしていないというのも気持ちの悪いことだった。

 本来。ダルツォルネはこの少女を何か適当な理由をつけて試験を失格にしたかった。だが、初めはモニターとカメラ越しに見たこの少女がここまでの存在だったとは気づかなかったし、初の対面の際は、「暗殺者一家ゾルディック家がネオンを狙っている」という情報が入っていたので、何が何でも強い奴が欲しかったのだ。

 そのため仕方なくこの少女を雇うことにしたのだが、ネオンが無性にこの少女のことを気に入ってしまった。一番の重要人物の傍に一番の強者を置く、というのはダルツォルネにとって問題ではないが、その強者がここまで読めない人物だというのは彼にとって誤算だった。

 もちろん。ダルツォルネは彼女自身がゾルディックであるという可能性も考えたが、文字通り「真っ白な」経歴と行動の遅さからその可能性をすでに撤廃していた。自ら疑われるような経歴を用意する暗殺者はいないだろうし、アリスがその気になればすでにネオンは殺されているという考えだった。

 落ち着かない空気の中で、裏切りの可能性はしかと認識したダルツォルネの胃をキリキリと痛めながら、車はヨークシンへと進んでいった。

 

 

 

 「任務ご苦労。早速、次の任務を言い渡す」

 一行がヨークシンの高級ホテルに到着した日の夜。護衛団の面々はリーダーであるダルツォルネのもとに集合していた。

 「地下競売で品物を競り落とす。金に糸目はつけない」

 プロジェクターに品物が三つ映し出された。面々はその品々をしっかり頭の中に叩き込む。そんななか、アリスはプロジェクターを見つめていた。しかし、頭では全く護衛やオークションとは関係のないことを考えていた。

 

 ―ゴン君は来てるのでしょうか?今年のハンター試験に合格したって情報が入ったから、多分来るとは思うんですけど…もしかしたら来年とか?―

 アリスの頭の中には護衛の「ご」の字も落札の「ら」の字もなかった。

 「アリス!アリス!」

 ダルツォルネがイライラした様子でアリスを呼んだ。

 「はい?」

 「貴様…任務の内容は聞いていたのだろうな?」

 「ええ、ええ。もちろんです。リーダー。私の役目はネオン様の護衛です」

 ニコニコとした笑顔で抜け抜けと言い放つアリス。もちろん、彼女は任務の内容を全く聞いていないし、理解もしていない。どうせそうだろうという予想の下、適当に喋っているだけである。

 「…まぁいい。お前にはあと一つ大事な任務があるが…それは後で言おう」

 「何でしょうか?大事な任務、楽しみですね。それはそうと、リーダーはサプライズ好きなんでしょうか?それはそれはさぞかし女性にモテるでしょう。私はノーサンキューですが」

 センリツにはダルツォルネからイラッという擬音が聞こえたらしい。

 

 

 

 ネオンの部屋。高級ホテルのスイートルーム。いまでは物が散らかされ無残なことになっているが、元々はこれ以上なく整っていたのだろう。

 「ヤダー!!ゼッタイ行くのー!!」

 「あらあら、ネオン様。わがままはいけないですよ?」

 「オークション行くー!ていうかアリスは私の護衛なんだから、連れて行って守ってよ!!」

 「くすくす…こんなか弱い少女にそんなことができるわけないじゃないですか。私は懐中時計くらいしか持てませんよ?筋力的に」

 「ひ弱っ!?何でボディガードなんてやってるの!?」

 「お給金がよかったから、というのが主な理由です」

 「わかってた!わかってたけど!そんな答え聞きたくなかった!!」

 「ほらほら、ネオン様。トランプしませんか?楽しいですよ、トランプ」

 「嫌!だってアリス強いんだもん。アリスとやってもつまんない」

 「ではでは、なぞなぞでもどうです?私、大好きなんですよ、なぞなぞ」

 「なぞなぞ?そんなことより―」

 「さて問題です。私と9月には似ているところがあります。それは何でしょうか?」

 「え?え?アリスと9月?う~ん…」

 「さぁさぁ考えてみましょう。もし正解できたら私から素敵な景品を差し上げます」

 「景品!?何々!?」

 「それは秘密です。お楽しみ、というものですよ。ですが、その景品がネオン様のお眼鏡に適うことは確信しています」

 「うむむ…よし!絶対当てるよ!!」

 「はいはい、頑張ってください。せいぜい」

 「むきー!!」

 

 

 

 「…アリス…9月」

 うんうんと唸るネオンを置いて部屋を出るアリス。そこにはダルツォルネが待ち構えていた。

 「ご苦労だった」

 「いえいえ、随分と楽なお仕事でした。他の皆さんに悪い気もします」

 他の連中は絶対やりたがらないだろうがな、という心の声を封殺したダルツォルネ。同時に自分の悩みの種が減って少し嬉しくも思っていた。

 その時。

 プルルル、プルルルとダルツォルネの携帯が鳴った。

 「何!?至急お前たちはビルへ迎え!リンセンたちには俺が支持をだす!――ちっ」

 「何かあったのですか?」

 焦った様子のダルツォルネにアリスが声を掛けた。早口で答えながらダルツォルネは携帯でリンセン―護衛団の一人に電話をかけ始める。

 「オークション会場の内部で不審な動きが―俺だ。状況は確認しているか?よし!お前たちも中へ入れ!!」

 携帯がピッという音を鳴らすと、すぐさま再び携帯が音を鳴らした。

 

 

 

 オークションに参加していた者たちが消え、出品を予定されていた品々も消えた。競売品を盗んだ者を捕まえれば、莫大な褒賞が捕まえた者に与えられる。それは褒賞だけでなく、マフィアとしての面子や名声にも関わってくる大仕事と言えよう。

「よし!絶対に俺たちで盗人を捕える!!スクワラ、犬を3頭ほど残しておけ!アリスは―」

 本当なら連れて行きたいがネオンに危険が及んでは元も子もない、との判断からアリスには引き続きネオンの護衛の任が与えられるはずだった。

 「ああ。ゾルディックなら来ませんよ?」

 「な、何?」

 「あれは嘘です」

 のうのうと言い切るアリス。ゾルディックが動いているというのはノストラード組の危機感を煽り、自身を雇わざるを得ない状況を作りだすためのアリスの流した嘘情報だったのだ。そんな重要なことをこんな場面で告白するアリスを恐ろしい形相で睨みつけるダルツォルネ。

 「き、貴様…」

 嘘に踊らされるのが嫌いなダルツォルネは怒りに打ち震えたが、できる限り冷静に努めてみれば、これはゾルディックという強大な危険を考える必要がなくなったということを意味していることに気が付いた。

 「……スクワラ、お前は護衛に残れ。アリス、貴様は俺と来い」

 「…あ、ああ。了解した」

 「はい。わかりました」

 底冷えするような声で指示を伝えたダルツォルネだったが、全く関係のないスクワラがビクビクと怯えて、彼の怒りの原因のアリスがニコニコと笑っているという奇妙な構図ができていた。

 

 

 

 

 

 爆音と悲鳴。

 ヨークシンから数キロ離れた荒野。

 「うらぁぁぁぁぁぁ!!」

 一人の大男が百人はいるであろうマフィアを文字通りちぎっては投げ、ちぎっては投げている。

 「桁外れに強い……!!」

 双眼鏡で様子を観察していたクラピカが呟く。護衛団の面々もその光景を見て、怖気づく。大男を捕まえるのは不可能だと判断した彼らは、リーダーであるダルツォルネに撤退を進言するが

 「…だが、任務を全うするためには黙って―――はっ!?お、おい、アリス」

 何かに気付いた様子で、希望を見つけた様子でアリスを呼ぶダルツォルネ。そのアリスは悲惨な光景を目にしたとは思えない笑顔。それを見た面々は彼女を恐ろしく感じたが、その状況では頼もしさの方がそれを上回った。

 「奴を捕まえて来い。――出来るか?」

 無茶な要求だとそこにいた誰もが思ったが、命じられたアリスは笑みを深くした。

 「くすくす…いいですよ。ですが、これは護衛任務の契約外ですので報酬はいただきますが?」

 「…俺が話をつけよう」

 「ふふ、では行ってきますね」

 そう言ってアリスは惨劇の渦中へてくてくと足を進めた。

 

 

 「待ちな」

 その時、低い声が地面から響いた。同時に地面がもこもこと盛り上がり、一人の気持ちの悪い容姿の男が姿を現した。

 「俺は陰獣の蚯蚓。お前らはどこの組のモンだ?」

 「…ノストラードだ」

 蚯蚓と名乗った男は辺りを値踏みするように見回し、アリスに目を止めた。

 「なるほど…確かに嬢ちゃんはやるようだが―」

 「―あいつらは本物だ。ここは俺たちに任せときな」

 いつの間にか現れた三人の男たち。痩せぎすの犬のような男にジャージを着た小さな男、いかにも不健康そうな太った男。彼らはマフィアの元締め、コミュニティの精鋭実行部隊―陰獣。

 

 

 アリスを除いた護衛団の面々は男たちの突然の登場に驚いていた。アリスは依然変わらず笑顔のまま。

 そんななか。渋顔でダルツォルネは陰獣の登場にどうすればいいか悩んでいた。彼にはアリスという駒がある。もしかしたらあの大男を捕まえることが出来るかもしれない駒が。アリスがあの大男を捕まえれば、褒賞も手に入り、組としての株も上がる独り勝ち。もし陰獣が大男を捕まえれば、組には何のメリットもない。だが、アリスが本当に大男を捕まえることができるという保証もないし、ここで無闇にごねれば陰獣に殺される可能性だってある。

 「そうですか。ではお願いしますね」

 ダルツォルネの葛藤をあざ笑うかのように少女の声が上がった。もちろん。その声はアリスのものだ。

 「なっ!?お、おい!ア―」

 「いやいや、助かりました。リーダーったら私一人であんな怪物を捕まえろなんて言うんですもん。ひどいと思いませんか?そうですよね。ひどいですよね。でもでも、助かりました。まさかあの陰獣のみなさんが来てくださるなんて。これで安心です」

 意図せず、抗議の声を上げようとしたダルツォルネだったが、アリスのマシンガントークによって封殺された。しめの「これで安心です」の際にはアリスの目に「黙ってろ」という意志が込められていたことに護衛団の面々は気づいた。

 

 

 

 「…どういうつもりだ?」

 ダルツォルネがアリスに尋ねた。

 「大丈夫ですよ。あの人たちじゃ彼には勝てません。絶対に」

 自信満々な様子で断言するアリス。

 「ですので、リーダーが心配しているような事態は起こりえませんよ」

 ダルツォルネの心を読んだかのような口ぶりで話す。

 「…では、何故彼らを行かせたんだ?」

 これでは見殺しにしたということだろう。とクラピカが尋ねれば、アリスは笑みを一層深くして答えた。

 「くすくす…彼らとの戦いで少しでも消耗してくれれば、楽になるじゃあないですか。私が」

 

 

 

 アリスの予想通り。陰獣の四人は少しの戦火を上げて、死んだ。

 「くすくす。では行きましょうか」

 そう言って大男の元へ向かおうとするアリスに声がかかる。

 「待て」

 様々な負の感情が入り混じった声でクラピカはアリスを呼び止めた。アリスは足を止め、長い金髪を翻して、クラピカの方へ向き直った。

 「私が行く」

 簡潔にそう言い切ったクラピカ。他の護衛団の面々はクラピカの無謀な行為を止めようと騒ぐが、止まる気配がない。アリスだけは勧めも止めもせずに、ただただ待っている。

 「聞いているのか!?命令だ!!ここはアリスにま―」

 ダルツォルネが苛立ったような強い口調でクラピカを止めようとしたとき、美しいフルートの旋律が荒野に響いた。

 「みなさん、落ち着いた?まずは冷静に作戦を立てましょう」

 フルートを持ったセンリツがそう進言した。クラピカもダルツォルネも先ほどまでとは打って変わって落ち着いた様子になっていた。

 「リーダー」

 いつもの冷静なクラピカがダルツォルネに話しかける。

 「勝算はある。やらせてくれ」

 

 

 

 

 「あのあの、何を食べたらそんなに大きくなるんですか?」

 車内。運転席にクラピカ、助手席にセンリツ、後部座席には鎖で縛られた大男とアリスが座っていた。

 アリスは自身の三倍の体積の大男に全く怯む様子を見せず、相も変わらずニコニコと大男に話しかけている。

 「あぁ?そりゃあ、肉だろ」

 鎖に囚われた大男―ウボォーギンはアリスの意味不明な質問にどんどん答えていく。

 「なるほどーあ、あとこれはいらないですよね?」

 不意にそう言ってアリスはウボォーギンの左足についていた針を取り、わざとらしく見せびらかすように掲げ、窓の外に捨てた。

 「けっ…そんなことより、さっさと殺さねーでいいのか?」

 「黙れ」

 運転席のクラピカが冷たい声で言い放つ。

 「こんな鎖で俺を捕まえたつも――がっ!?」

 鎖の持ち主であるクラピカを挑発するウボォーギンだったが、最後までその言葉を言うことなく、肥大化した鎖に体中を締め付けられて意識を失った。

 「おおーすごい鎖ですね」

 つんつんと鎖を突くアリス。

 「ふむふむ…おそらくかなり強い制約がかかってますね。命でも賭けました?」

 クラピカは軽い調子で尋ねてくるアリスをバックミラー越しに見て、視線を前に戻し、運転を続けた。

 

 

 

 

 「私は失礼しますね」

 ヨークシンにあるノストラードが所有するビルに着くやいなや、アリスがそう言った。

 「おい、待て!どこへ行く気だ!?」

 ダルツォルネが焦って尋ねる。他の面々もアリスがあまりにも自然にそう言うものだから、一瞬アリスが何を言ったのかわからないという顔をしていた。

 「どこって…お花摘みにですよ。一緒に来ますか?リーダー?」

 くすくすと笑って、ビルから離れていくアリス。緊迫した状況下でのあまりの自由さにあっけにとられ、誰も何も言わなかった。

 「……はっ!?待て!アリス!!アリース!!」

 アリスが姿を消した後。夜のヨークシンにダルツォルネの叫び声が響き渡った。

 

 

 

 「私としたことが…すっかり忘れてました。ゴン君のこと」

 アリスはネオンに光らされたヨークシンの街を一人で歩いていた。その美貌と無防備な姿に好色な目を向ける男たちをよそに、考え事に没頭しながら。

 そもそもアリスがヨークシンに来たのはグリード・アイランドとゴン・フリークス、この二つが都合よく同時に集まる可能性の高いところだからだ。

 「う~ん…せめて来ているのかどうかだけでも知りたいところですね…」

 ノストラード組に頼んで探してもらおうかしら、とも考えたが、却下した。確実に今は動いてはくれまい。本来はこういうことに使うためのコネなのだが、完全に失敗していた。

 「仕方ありませんね。じゃあ…探してもらいましょうか。皆さんに」

 アリスがそう言った五分後。「ゴン・フリークスの情報(居場所)」が五億ジェニーで急募された。

 

 

 「ふむふむ」

 公園のベンチに座り、携帯と睨めっこをしているアリス。アリスが求めるゴン・フリークスの情報は瞬く間に増えていったが、どれもが報酬目当てなのがバレバレの誤情報ばかり。

 「あまり期待はできませんね…」

 そう言いながらもいまだ携帯を手放さないアリスのもとに着信が入った。

 「はいはい。こちらアリスです。センリツさんですか?どうかされました?今トイレにいます。え?はぁ…わかりました。すぐに向かいますね」

 すくっと立ち上がり、アリスは伝えられた集合場所へ、しっかりと向かった。

 

 

 

 

 「リーダーはおそらく死んだ」

 「それはそれは…ご愁傷様です」

 「……これからどうするんだ?」

 「私はカジノに行きたいです。稼ぎますよ、私。どうです?投資してみませんか?」

 「まずボスに報告すべきだろう」

 「ネオン様の占いって適当な誕生日と生年月日を書けばどうなるんでしょうかね?」

 「だが、ボスっつてもただのガキだぜ?」

 「ガキと言えば、私はある子を探していまして、つきましては皆様のお力添えを頂けたらと思うのですが…」

 「俺たちの本当の雇い主はあの子の父親、ライト=ノストラードだ。彼が本当のボスさ」

 「あぁ、ボスという言葉で思い出しましたが、私は幻影旅団のボスと友達なんですよ」

 「リーダー以外は彼の連絡先を知らないが、あの子なら……は?」

 

 

 

 時が止まった。チク、タクと時計の音だけが部屋に鳴る。

 「――それは本当か!?」

 まず最初に動き出したのはクラピカ。端正な顔を驚きと怒りで歪ませ、アリスに詰め寄る。残りのメンバーたちも驚きを隠せない様子だ。それもそうだろう。まさか自分たちの仲間が幻影旅団の知り合いだなどとは思うまい。このことがこの状況を打破できるカギになるかもしれないという希望さえ持って、笑う少女を見た。

 「ごめんなさい。嘘です」

 再び時が止まった。

 

 

 「だって皆さんがあまりにも私を無視するから…」

 異常なほどキレたクラピカを筆頭にメンバーたちに散々怒られ、めそめそと涙を流すアリス。無論、嘘泣きである。

 「やっぱ報告しよう」

 護衛団はスクワラのその一言でネオンの部屋を訪れた。眠るネオンを起し、ライト=ノストラードの連絡を取る。クラピカをリーダーとした護衛団は本当のボスに指示を仰ぎ、行動を開始した。

 


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