全然書けない…!
何週間ぶりだよって話ですよねすいません…。
その上文才無し、文量無し…(文量って何だよ)。
いろいろすいません…。
まあ、そういう訳で…読んで下さるそこの貴方!
――ありがとうございます。
01
夕暮れ。
とぼとぼと弱々しく、僕は歩いていた。
足は殆ど上がっていない。
足の裏で砂を擦るようにして移動していた。
下から、ジャリジャリと音が聞こえてくる。
力なんか入っちゃいなかった。
項垂れながら、赤々と輝く太陽を背に歩く。
その眩しい太陽は、貧弱で細くて長い、僕の影を作っていた。
ゆらゆらと、たなびくその影は、僕のどうしようもないような質を表しているかのようだった。
――弱い。
僕には力が無かった。
他人から抵抗する力も。
他人に干渉する力も。
だから僕は誰にも抵抗しなかったし、干渉もしなかった。
ただひたすらに、誰かの反感を買っていないかと、ビクビクし、そのことばかりを考えて、毎日を過ごしていた。
日陰で。
お蔭で僕は、誰からも虐げられることは無かった。
――関わられることも無かった。
誰かに何かを言われれば、無理にでも笑顔を作って肯定した。
お蔭で僕は、誰からも笑われることは無かった。
――本気で笑うことも無かった。
そんな僕は今日、僕の人生最大級の危険を冒した。
というか、失態を冒した。
間違った。
失敗した。
僕はいつか、一つ上の先輩に、絶対に知られてはならない
しかしその秘密は同時に、
僕はそれを重々承知していた。
知られる筈ないとは、僕が最終的に、秘密に対して出した結論である。
しかし僕は、「僕の思考に穴があって、僕の秘密が露呈してしまう時が来るのではないか」と、内心ビクビクしてもいた。
僕の性格上、僕は僕を信じ切ることは出来なかったのだ。
しかし僕は、そのことも重々承知していた。
自分が自分のことを信じれないことなんて、自分が一番よく分かる。
だから、慎重に慎重を重ねたつもりだった。
ただ、その慎重は秘密を守るにあたって、何の意味も持たなかった。
慎重を期した意味は、皆無だった。
僕の秘密……、それは
所謂…読心。
…自分でも、おかしいことを言っているのは分かっていた。
幻聴の類いだと、思っていた。
ただ、例え幻聴だったとしても、僕はその幻聴のお蔭で、今までを平穏に生活することが出来ていたと言っても過言ではない。
だから、幻聴だろうと特殊能力だろうと、僕にとってはどうでも良かった。
僕にとって、この幻聴か特殊能力かという『これ』は、まさに救世主だったのだ。
この超能力は、使ったとしても、相手には気付かれない筈なのだ。
幻聴だとしたら尚更。
しかしその先輩は、僕の能力を看破したのだ。
御丁寧に、「出てきなさい」とまで言って。
この『声』が幻聴なのなら、先輩の声は無視しても構わない。
何せ僕の頭の中だけでのこと。
自分の世界で勝手に完結するのだから。
しかし、この『声』が万が一能力だったならば――。
先輩は、僕の能力を看破していることになり。
つまりそれは、何かしらの方法で僕の能力を看破したことになり。
つまりそれは、
つまりそれは、
――つまり、僕は僕を信用出来ない、ということである。
普通ならば。
心が成熟している大人ならば、恐らく幻聴として片付けたかもしれないが。
僕は違った。
能力だ――と思った。
能力だ――と期待した。
大体僕は、数え切れないくらい能力を頼ってきて、ここまで無事に生活してきたのだ。
これをただの幻聴と片付けるのには、些か百発百中過ぎた――。
だから僕は、この秘密がバレてしまっては困る、と思った。
こんな噂が広まってしまったら、僕が皆の好奇の目で見られてしまう羽目になる。
「能力者だ」なんて荒唐無稽な話題ではないにしろ、僕が目立ってしまうのは避けられない。
それだけは、嫌だった。
折角今までひっそりと日陰で過ごしていたのに、陽の当たる場所になんて出てしまったら、干からびてしまう。
だから僕は、なけなしの勇気を振り絞り、先輩を呼び出し口封じをしようと手紙を出した。
幸運なことに、その先輩は文武両道の完璧美人として、学校中で有名な人物だった。
お蔭で、情報には事欠かなかった。
口封じのついでに、どうやって知ったかを聞き出して、これ以上気付かれないようにしなければと、焦り気味の頭で考えた。
勿論口封じでは、暴力なんて使わない。
使う暴力なんて、僕には無い。
なんとか説得して分かってもらうしかなかった。
他にどうしようもなかったから――。
思惑通り、その先輩を校舎裏に呼び出せたのまでは良かった。
そこで僕は、人生で最大の失態を晒して仕舞うことになる。
墓穴を掘った。
でも…これは仕方の無いことだったのではないか、とも思う。
沢山の偶然と、不運が奇跡的に重なり合って出来た、誰にも予想出来なかった出来事だったのでは、と。
僕なんかにはとても…予想できたものでは無かった。
だってその先輩が僕の能力なんかには気付いていなくって、僕なんかには気付いていなくって、ただただ偶然、「出てきなさい」って考えていただけだったなんて、誰が考えつく?
ていうか、そんなことを考えながら生活する阿呆なんていないだろう。
だからこれは、まるっきり僕の失敗という訳でもない。
しかし、僕の失敗が決定打になってしまったのだから、僕のミスではないとも言い切れない。
口が滑った。と言えばいいのだろうか。
余計なことを口走って、先輩に余計な勘繰りをさせてしまった。
流石文武両道と言うだけあって、頭の回転が早いようで、そんな小さなミスで、僕の秘密を見破られた。
よりにもよって、こんな勘が良い人間と
しかし先輩は、本当か嘘かは定かではないが、僕の秘密を守ってくれると言ってくれた。
その言葉が本心だとしたら、こんな優しい人と相対した僕は、本当に幸運だったと、言えるのだろうか。
02
次の日の放課後。
いつもの如く誰とも喋らなかった僕は、俯きながら、ひたすらに荷物を詰めていた。
この完全アウェーな空間から、いち早く抜け出したい一心だった。
来る時は入っていたのだから、今入らなくなったなんてことは無く、当然全部入った。
チャックを閉め、肩に掛ける。
意識を扉の方へ向けると、戸口で誰か、何かを話しているらしい。
身長…百八十位の大きい人が、扉の近くにいた女子生徒に話し掛けているようだ。
特に意識した訳でもないが、不意に聞き覚えのある声が聞こえた。
「なあ、このクラスの…なんか内気な感じの子、居ないか?」
声の主であろう大きい人は、右手を頭の後ろに回し、苦笑いを浮かべていた。
「『内気な感じの』…ですか?」
「うーん…。」
女子生徒は唸りながら、考え込んでいる。
すると、隣に居た別の女子生徒が、
「あ、もしかして『
と、言う。
「いや、名前知らないから分かんないんだけど…。」
「もう、何ですかそれー。」
一人が茶化すように言うと、小さな笑いが一斉に起こる。
「で…その『羽月君』ってどこに居るんだ?」
「帰っちゃっては…ないよな…。」
「多分居ると思いますけど…。」
「羽月くーん!居るー!?」
「あ、うん居るよ…。」
僕はいつも通り、笑みを浮かべる。
そして僕は呼ばれた方へ歩み寄る。
勿論、鞄は下ろして。
「彼で、合ってます?」
「ああ、合ってる。」
「わざわざ悪かったな。」
「どういたしまして。」
その女子生徒は、照れ隠しのような笑顔を向け、仲間の輪の中まで駆けて行った。
嬉しそうに、笑い合い始めた。
…………。
僕は、なんだかいたたまれない気分になって、視線を僕を呼んだ人に移す。
僕はその人の顔を見て、なるほど納得した。
どこかで聞いたような声だなと思っていたが、何だこの人だったか。
「
確か…あの碧海先輩と一緒にいた人だ。
僕は、この人は若干苦手だ。
大きいし…大きいし。
「何の用ですか…。」
と、つっけんどんに問う。
「いやな、名前聞くの忘れててさ。」
僕の突き放した態度に、苦笑いを浮かべる先輩。
「どうして…僕の名前なんて…。」
僕の拗ねたような声色に、先輩は何かを察したのか、苦笑いを消し、真面目顔になる。
「お前のその秘密…今まで誰にも言えてなかったんだろ?」
「…なんですか…突然。」
「いいから聞けって。」
「…碧海も同じなんだよ。」
「…?」
「打ち明けられないもんなんだよ、秘密ってさ。」
「なんでそれを打ち明けられないかってーとな?」
「まぁ単純で、『受け入れられないかも』っていう不安があるからだと思うんだよ。」
「でもさ、同じ境遇の人間となら、話は別だと思わないか?」
ニッコリ。
今まで他人から向けられたこともない程の純度で、先輩は微笑んだ。
「…つまり…?」
「…つまり」
「――助けてくれないかな…碧海をさ。」
「…は…?」
「『助け合おうぜ』じゃなくて…?」
「ああ」
「俺には…お前が困っているかいないかなんて分からないからな。」
「それで『助け合おう』なんて、図々し過ぎるかと…な…?」
「だから、『助けてくれ』なんだ。」
「俺は、お前が困っているかは分からないけど…碧海が困っているかは分かるんだ。」
「たった二人ぼっちじゃ…寂しい。」
「アイツにはもっと、味方が要るんだ。」
「だから…助けて欲しい。」
……。
めちゃくちゃだ。
言っていることの意味が分からない。
つまりそれは、僕には何の利も無いじゃないか。
「助け合おう」の方が、セールストークとして最適だったのは明確なのに。
何なんだこの人は。
馬鹿なのか?
阿呆なのか?
それとも、何かしら計算尽くで言っているのか?
分からない。
いつもの僕なら思考を読んでハイ終わりなのに…。
どうしてだろう。
分からない。
何故僕は――この人の考えを読もうとは思わない…?
「もし…もし僕が困っているんだとしたら…」
「貴方は…僕を助けてくれますか…?」
「そりゃ…求められたら手を貸すさ。」
先輩は、さも当然の様に断言した。
――ああ、なるほど分かった。
「羽月…
「宜しくお願いします…。」
この人は、読むまでもなく開けっぴろげなんだ…。
読んでもきっと意味が無い。
シンプルで単純で、ひたすらに真っ直ぐなんだ。
こんな絵に書いたような主人公が、現実にいるなんて思いもしなかったが、大概そういう人種は一辺倒の単純な人間ばかりなのだ。
…この人はきっと、僕なんかよりも自由で、日の当たる明るい場所に居るのだ。
羨ましい…とは思わない。
こんな人になれたら…とも思わない。
…ただ、この人なら信用できる…と思った。
単純に。
この人となら…僕の性格も生活も、少し…変えられるのだろうか…。
「宜しく。」
「相賀 直人だ。」
徐ろに差し延べられた右手を、僕は躊躇いながら取った。
僕の手よりも一回りも大きく、逞しい手だった。
「…僕…左利きなんですけどね…。」
「え」
「あ、ごめん…。」
さり気なく直人くんの苗字を出しちゃいました…。
……
相賀〔おおか〕君らしいですね、苗字。
まあ同じく碧海ちゃんの苗字もさらっと出してしまうんですよねこれが。
苗字に大して意味は無いんで、伏線とかそんなんじゃないです。