『イタリアでは親が子供に予防接種をする』という習慣があるらしい
「時が来た」
「…」
「時が、ついに…この…時が…!」
「……」
「ワシがザンちゃんにお注射をしてあげる時じゃ~~!!」アヒィイイ
「や、やだ…やめろ爺…!」
「予防接種じゃ~~~!!」
「せ、せめてお医者を呼んで…!」
「それはお父さんの仕事じゃ~!」
「ひっ…!」
「さて、御曹司の予防接種は終わったかな」
「ザンザス! 腕を出しなさぁあああい!!」
「爺!」
「やめろよ爺!何しようとしてる!?」
「ザンザァアアス!」
「爺は母さんが居なくなっておかしくなったんだぁああ!」
「…子供は注射が嫌いだからな」ミテミヌフリ
君の左手は剣よりも彼の右手が似合っていた
左利きのコイツは左手でモノを持ちたがる。
だからいつも左は塞がっていた。
「なんだよ、御曹司」
「うるせぇよ、カス」
うるせぇカスを殴って黙らせる。痛ぇよ!と言う馬鹿は利き手で顎を抑えようとして、もうそんなものはないことを思い出した様だった。
結局繋げなかった。その手を。
おかえりなさい、死に損ない
王子から見りゃボスも先輩も両方耐久度ヤバいと思うんだよね。
先輩さ、剣帝とやり合って勝って生き残って、そんで鮫に食われるて生還して、挙句心臓ブチ抜かれて生きてるんだぜ?
ボスもボスで、氷の中で8年。解凍2回。
だから、一緒なんだ。
「ただいま死に損ない」
「お帰り、死に損ない」
『人目を忍んで 手首をつかむ。』 https://shindanmaker.com/200050
多くの慣例を無視して、日本で執り行われた継承式は異例中の異例だった。
古き良き伝統にそぐわないと眉を顰める者もいれば、新しい時代の幕開けだと目を輝かせる者もいた。
その中、ザンザスは最前列でただ一人、一瞬たりとも目を逸らさなかった。
ただ傍に立つ、その銀色の手を掴みながら。
『ふざけて アクセサリーをつけてやる。』 https://shindanmaker.com/200050
「白蘭様…俺からの気持ちを献上いたします。どうか受け取ってください」
「嫌だよ…幻チャン…それ…」
「給料三か月分の」
「……」
「GPS発信機です!!」
「嫌だぁあああああああああああ!!」
『幸せになれなくてもいい』 https://shindanmaker.com/375517
「ザンザス、もうやめた方がいい」
「……」
「良くないよ、こんなこと」
「……」
「スクアーロだって、お前の幸せを望んでるハズだ」
「……」
「お前だって、もう、幸せになっていいんだ…。だから…!」
「そんなもん望んじゃいねぇよ」
「…」
「ただ一緒に居てぇだけだ、アイツと」
「でも、ちゃんとお墓に入れてあげないと…スクアーロが可哀想だろ?」
『からかって 髪にキス。』 https://shindanmaker.com/200050
鋏が動く。ジョキ、ジョキ、ジョキ
「こんなもん、伸ばしてたらアイツが帰ってくると思ったのか?」
鋏が動く。ジョキ、ジョキ、ジョキ
「アイツの願いが叶うと思ったのか?」
ジョキ、ジョキ、ジョキ
「馬鹿だなぁ、本当に」
ジョキ、ジョキ、ジョキ。
「ほら、包帯全部取れたぜ?」
んー、綺麗には治らなかったか。
大丈夫さ、スクアーロ。あと何回か手術すれば綺麗に治るよ。
え?何?声が出ない?手が動かない?
……。
あぁ、後遺症だろ、アレだけ動いたんだから、しょうがないだろ?
髪を切られたのかと思った? 馬鹿だなぁ。
こんな綺麗なものを切る訳ないだろ。
幸福の温度
何もかも奪う温度を持っていた。
人間のタンパク質の限界が42度、溶け出すのが200度。
だとしたらこの炎は誰にも触れられないと諦めていた。
「間違いない、お前は私の息子だよ」
何もかも奪う温度を持っていた。
だから誰にも触れられなかった。
欲しかったのは36度、人の体温。
※ツイッター史上初のまともな九代目
ナルキッソス
スクアーロは非常に美しい少年だった。特に色素の薄い真っ白な彼は清廉な印象を与えた。だから女からも男からもモテた。女からモテるのは当然嬉しかったが、男からモテるのは冗談ではなかった。そんな趣味はなかった。
ある日スクアーロは夢をみた。
銀色の髪を長く伸ばした男が居た。年齢は30歳程だろう。
その美しい青年の傍らには派手な羽飾りの男が居た。褐色の肌に、濡れ烏色の髪、血のように赤い目の男だった。二人は寄り添っていた。スクアーロはその様子を水辺で眺めている。
そこで、いつも目が覚めるのだ。
あれはひょっとしたら未来の自分の姿なのかもしれない、と予感しながら。
だとしたら最高で最悪だ。スクアーロはベッドで一人でつぶやいた。
あんなモン、見せんじゃねぇよ。
もう一回……ボスに…会いてぇな。
スクアーロは今日も夢を見る。
愛しい最悪の悪夢を呪いながら、焦がれながら。
(ギリシア神話のナルキッソスはナルシストの語源だよね~)
寝言
「寝る前はシツジを数えると良く寝られんだよな」
「オルゲルトが1匹…オルゲルトが2匹…zzz…」
「……ジル様」
「…寝てしまわれましたか」
「風邪を引きますよ、ジル様」
「毛布を…」
「…zzz」
「…ずっと一緒に居ろよ…オルゲルト…zzz」
「…」
「…仰せのままに」
「全部、夢ならいいのに」
俺は結局馬鹿のカスだから難しいことは分かんねえけどよぉ。
やったことの後悔もねぇし、やり直してぇ、なんて願ったりはしない。
第一。俺には分かんねーし。
どこからが間違ってたのか、どこからやり直せばいいのか。
だから、願うとしたら。
全部夢なら良かったのに。
良い悪夢だったのに。
言葉のドッジボール
「う゛ぉおおおい!ボス!来てやったぜぇ!」
「るせぇテメェ帰れカス」
「土産も持って来たんだぜぇ!」
「……」
「ほら、肉だぞぉ!」
「要らねえよ」
「ラム持って来たぜぇ!」
「気分じゃねえ」
「和牛のサーロインもあるんだぜぇ!」
「…テメェ…」
「酒もあるぜぇ!」
「…カス」
「なぁ、ボス」
「…なんだ」
「ボス」
「……もう帰れ、テメェ。そんで二度と来るんじゃねぇぞ」
「ボス…」
「……墓場に肉なんざ持ってくんな」
ザンスク童話パロ『ラプンツェル』
昔、クーデターに失敗したスクアーロは高い塔の上に閉じこもってしまいました。スクアーロには大好きなボスが居ましたが、悪い九代目によって凍らされてしまいました。スクアーロは待ちました、銀色の綺麗な髪の毛を伸ばしながら待ちました。窓から垂らせば梯子にならないかと馬鹿なことを考えて乍ら。
でも待てど暮らせどボスが来ることはなく、スクアーロの髪は伸び続けるだけでした。梯子になるぜぇ!と窓から垂らしてみても、ボスは現れませんでした。
8年経った、やっとボスが現れました。嬉しくなったスクアーロはさっそく髪の毛を窓から分投げてみました。
ところがボスは上ってきません。
あれ、おかしいな?ボス?とスクアーロは窓から顔を出しました。
するとボスがスクアーロの髪の毛を渾身の力で引っ張りました。当然軽いスクアーロは地面に叩き付けられます。「痛ぇ!」とスクアーロは叫びました。「うるせぇ!」とボスは叫び返しました。
「テメェが降りてこい、ドカス!」
渓流
「ユニちゃん、川遊びに誘ってくれるなんてうれしいな~」
「お前を合法的に消せる絶好の場所だからな」
「ん?何か言った?」
「白蘭、あそこで泳いでいるウミウシを取ってください」
「やだなーユニちゃん、川にウミウシは居ないよ!」
「いいから取れ」
「ウミウシが川に居る訳ないって~…」
「白蘭様ぁあああああああああ!!!!」ザッパーン!
「アイエェエエエエ!?!? ゲンチャン!? ゲンチャンナンデ!?!?」
「ここに来れば…白蘭様が…居ると…聞いて…!潜伏していた甲斐が…あったァ!」
「ひっ…!?」
「この気持ち…まさしく! 愛だッ!」
「愛…!?!?」
「気色の悪い無償の愛など、クソの役にも立つか!」
「本当だよ!!」
「俺は間違ったままでもいい!!」
「う゛ぉおい!ボス!そっちに幻騎士が居るから行くなぁ…遅かったかぁ!」
「ヴァリアーの剣士貴様…!」
「なんだぁ!?」
「デートか?」
「そ、そんなじゃねぇょ…」
「デートか…」
「ならば仕方なし!!渓流おデートを楽しむがいい!ヴァリアー!」
「ば、大声で言うなぁ!」
「てめーもな、カス」
「う゛ぉおおい…」
「ユニちゃん…何か色々増えたからこの隙に僕と一緒に逃げよう」
「…いいえ、白蘭。私は貴方とはいきません」
「え?なんで?」
「この流れ…来るぞ…」
「…見える!皆さん!上流から!!」
「…モスカが…!」
「「「「!?」」」」
「…ドカスが」
「来たかぁ…!」
「有り得ん…俺の幻術空間を破るなど…」
「みんな…気を付けて…!」
「…え?」(※白蘭様)
「ザンちゃん…どうしてワシを呼んでくれなかったのぢゃ…?」
爺 降 臨
「え?何?お爺さん誰?え?」
「…九代目だぁ」
「は?」
「どうやってこの場所を嗅ぎつけやがった爺!!」
「愛ぢゃよ!!!!」
「愛だぁ!?」
「……愛……?」
「愛です」
「……愛なら! 仕方ない!!」
「気色の悪い無償の愛など、クソの役にも立つかぁああああああ!!」
おまけ
巨神兵は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」、と。
本当の願いは、どうせ叶わないから。
https://shindanmaker.com/484159
「巨神兵!行かないでよ巨神兵!」
「ごめん…だけどもう、行かなくちゃ。『炎の7日間』は、やらなくちゃいけないんだ…世界を、焼かなくちゃ」
「そんなことしないでいいよ!なんで!なんで世界を焼いたりするの!?人類なんか放っておけばいいじゃん!勝手に滅ぶよ!」
「ありがとう…」
「でも僕は行かなくちゃ。その為に僕は生まれてきたんだから」
「嫌だよ…!もっと、もっと一緒に居ようよ!巨神兵!!」
「いいんだ。もう」
「欲しい物のは手に入れたから、もういいんだ」
巨神兵は、夢を見るような気持ちで最後の嘘をつきました。
それは歩き出すための嘘でした。
そして世界は…炎の七日間に…包まれた…。