リボーン短編集   作:ウンバボ族の強襲

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今回はザンスクじゃなくてスクザンです。

あとタイトルのイタリア語は毎回テキトーです。



mano

 スクアーロが義手を外す時がある。

 

 

 

 スクアーロの義手は高性能かつ高品質。金属製のもので、360度可動だったりする馬鹿高価なスグレモノだ。

 それでも、剣士として生きるならば失った生身の利き手を補うには遠い。

 

 だが、それでもスクアーロは後悔なんかちっともしていなかった。

 

 この利き手は主の為に切ったものなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その主、XANXUSは嘘や虚飾、隠しごとを酷く嫌う男だった。

 

 

 彼の逆鱗に触れて瀕死寸前まで殴られる人間の数は両手の指であっても数えきれない。

 実際灰になった奴も片手では足りない。

 そんな憤怒が服着て歩いているような男だったが、その生き様は分かり易い程単純明快なものだった。

 燃え尽きることのない炎のようなものだった。

 その確固たる強さと怒りに、銀色の少年はただ尊敬と崇拝の眼差しで彼を見上げた。

 

 

 スクアーロもスクアーロで、剣しかないような人間だったし、美しい銀色に縁どられた小さな頭には、嘘や隠し事をするだけの脳みそが詰まってなかったから一切の嘘も虚飾もなかった。

 隠すだけのこともないし、XANXUSに隠せることなんか何一つないのだ、と本気でそう思っていた。

 

 

 

 

 だけどそんな本気をXANXUSが信じる訳もなく。

 どうすりゃ信じてもらえるんだぁ? と思っても頭の悪い鮫が思いつくわけもなく。

 信じるに足る証拠を見せろ、と横柄にXANXUSは言うけど、基本的に言葉は足りず。

 訳わかんねぇぞぉ! と大声で鮫は大声で叫ぶだけだった。

 

 

 だから剣帝を倒した時。

 そして自ら切った腕を見せた時。

 言ってやったのだ。

 

 

「これがオレのお前とやっていくための覚悟だぁ!!」

 

 

 どうだぁ、これで分かっただろ。

 信じるに足る証拠になっただろぉ。

 

 スクアーロが悪い頭でそんなことを考えて居た時。XANXUSはいつも不機嫌そうに顰められている赤い目をめいっぱい見開いていた。

 その赤がやや陰りを帯びているものだと、有頂天になって浮かれているスクアーロはちっとも気が付かなかった。

 

 だからいつものように殴られて蹴られてバルコニーから突き落とされた。

 

 だがその行為もあまりにもいつも通りすぎてスクアーロは全く気にしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スクアーロがソレに気付いたのは数年後の話。

 

 あの後、ヴァリアーを乗っ取り、XANXUSはボンゴレ史上最悪とまで言われるクーデターを起こし。

 そして敗れ去り、九代目に氷漬けにされてしまった。

 残されたヴァリアーも活動停止処分を言い渡されできることはただ、生きているかどうかも分からないXANXUSを待ちつづけるだけの日々だった。

 

 あんまりにもやることがなかったので、スクアーロはXANXUSについて調べてみることにしたのだ。

 

 居ないXANXUSを必死で補う為、慣れない情報収集を始めた。

 

 

 そして、行き付いたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてクーデターを起こさねばならなかったのか。

 

 

 どうして彼が嘘や隠し事を嫌ったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの怒りは、一体なんだったのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スクアーロはやっと悟った。

 

 

 当たり前だった。

 XANXUSが嘘を嫌う理由なんか、あって当然のものだった。

 

 だってそのせいでアイツはX代目になれないのだから。

 

 怒って当然だった。

 

 アイツが嘘を嫌う理由は、自分がその犠牲者だったからなのだ。

 

 

 

 

 そして、

 

 

 

 

 

 自分の野望を成し遂げるためには――自らを『信じて』着いてくる部下たちに、自分の出生を『偽り』『隠し』続けなければならなかったのだ。

 

 

 

 だからいつも怒っていたのだ。

 

 だからいつも殴られていたのだ。

 

 

 自分が最も忌んでいたコトを――自分の人生を狂わせたハズのコトを。

 やり続けなければいけなかったのだから。

 一人で抱えていかなければならなかったのだから。

 

 

 

 

 

 その『嘘』を『本当』にするために。

 

 

 

 

 

 

 スクアーロはとうの昔に亡くした利き手の見た。

 

 剣士として生きるのに、失った生身の利き手見た。

 

 だが、それでもスクアーロは後悔なんかちっともしていなかった。

 

 この利き手は主の為に切ったものなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でも、その時ばかりは。

 

 

 

 

 後悔した。

 

 

 

 

 

 ただ信じてもらいたかった。

 

 信じて欲しくて、信じてもらいたくって、

 だけど馬鹿な俺の言葉なんか届かなくって。

 

 証拠を示せなんぞ言われてもどうしていいのか分からなくって、

 覚悟示せば分かってもらえるかなぁと安易に考えて。

 

 自分のことばっかで精一杯で。

 

 

 

 

 

 

 一体XANXUSが、『ソレ』をどんな気持ちで見ていたのか、なんてちっとも考えられなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 スクアーロが、本気で失った左手のことを後悔したのは、後にも先にもこの時だけだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スクアーロの義手は高性能かつ高品質。金属製のもので、360度可動だったりする馬鹿高価なスグレモノだ。

 

 基本的には実戦重視。使用用途は暗殺と戦闘。

 だけど、やっぱ形的にソコに手がないと格好がつかない場面もあって。

 そうゆう所には生身そっくりの装飾用の義手をつけていかなきゃいけない時もあって。

 

 コレも結局は嘘ってコトなんだよなぁ、と何だかやり切れない思いになって。

 思わずソレを口にしてボスに酒瓶で殴られて。

 

 似合って居ればなんでもいいじゃないの~~美しいは正義よーー! というルッスーリアに湿布されて

 つーかこの世界で舐められたら終わりじゃん? でもボスの前で言うとか先輩何考えてんの? と言うベルフェゴールに不器用に慰められて。

 

 

 

 

 

 

 大人になった今なら分かる。

 

 こんな薄暗い世界で生きていくためには、嘘や虚飾を纏わねばならない時もある。

 

 それをどれ程嫌っていようと。

 

 たとえ憎んで、憎悪すら抱いていようとも。

 

 

 

 

 あの日のように、まっすぐに真実だけを突き付けることができた時間は。

 

 

 もう、二度と戻ってこないのだ。

 

 

 

 

 切った手が二度と生えてはこない様に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが、そんな、スクアーロが義手を外す時がある。

 

 

 

 

 

 

 愛しい主に触れる時、スクアーロはいつも決まって義手を外す。

 

 何もない手の先。不格好に丸くなった腕の先で、傷だらけの主にそっと触れる。

 

 空気を掴むようにほんのわずかに触れるだけ。

 

 二人だけの時間。過ぎ去った遠い日のような、二人きりの時間にだけ。

 

 義手も刃も外すのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あの日の気持ちに嘘はない、と伝えるために。

 

 

 そして、それは今も、これからも――変わることが無いのだ、と示す為に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 









賛否あるだろうけどボスは嘘とかクソ嫌いだと思ってる。
けどそれを吐かなきゃ『ゆりかご』は出来なかった訳だからイライラしてカスを殴ってるんだと思う。
だけどカスは本当真っ直ぐに本音でぶつかってくるから更にムカついてもっと殴るんだと思いますよ素敵ですよね!!(白目)


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