ボスさんキャラ崩壊注意。
評価ありがとうございました。
10月31日。
日本においてはカボチャ祭り、ハロウィーンの日だった。
お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞーーという、世にも恐ろしい脅迫と共に少年少女がお化けや魔女、狼男のコスプレを嗜みつつ街を練り歩くという行事である。
なので、訳あって幼児の居候を大量に抱える沢田家でも当然お菓子を用意しているのだった。
勿論ダメツナに料理なんていう高等技術はないから母親が。
しかもハロウィーンに因みカボチャのクッキーやマフィン、パウンドケーキ。あとは近所のスーパーで売っていた子供用チョコを大量。
「よし……こんだけ用意しておけば問題ないよな……」
ほぼ母親がやったこととはいえ、沢田綱吉はお菓子の準備は万端だ、と意気込んでいた。
ランボもイーピンもフゥ太も一体どんな仮装してくるのかな。
……ランボとイーピンは普段からコスプレしてるようなものだけどさ。
ハロウィーン楽しみにしてたからなー。
何だかんだであの二人はやんちゃ盛り、更に下手にスキルが高い。
お菓子を貰えなかった時の応酬が怖そうだし、対策しておくに越したことはない!
と、張り切る姿は世界最大手マフィアの次期ドンにあるまじき姿だが14歳という年齢を考えれば普通こんなもんだ。
どっかのイタリア人×2の如くクーデター画策してたり利き手切り落としたりはしない、断じてしない。
ピンポーン、とインターホンが鳴る。
「はーい」
あっ、もう来たんだ。
思ったよっか早かったなー、と思いながら綱吉はドアを開けた。
「俺が欲しいのは菓子だけだ!! カスはオレを崇めてりゃいい!!オレを讃えてりゃいいんだ!!」
「……」
あまりの現実に
綱吉君は
ドアをそのままバタンと閉じた。
え? え? 何……?
今の……今のって……今のってアレだよね? アレだよね??
確か少し前にボンゴレファミリーX代目の座をかけてリングの奪い合いと言う名の殴り合いをしたXANXUSだよね?
何か今凄いこと言わなかった?
暗殺組織の悪戯とか考えたくもないレベルで怖いんだけどそんなことも言わず露骨にお菓子だけを要求してきたような気がするんですけどーー?!?!
と、脳内真っ白状態で玄関で凍り付く綱吉。
すると何処からか、バリィイイイン! と窓が割れる音が響き渡る。
「え、エェーーーーー!?」
「しっしっしっし……Trick or Treat!」
「ベルフェゴールぅうう!?」
白馬には乗らない王子様が、窓を破って突入してきた。
手にはナイフ。
恰好はヴァンパイアでも模したのだろう。口には牙が生えている。
流石外国人。肌の白さや天然金髪も相まって本物みたいだなぁ、などと、綱吉の内心はどこか遠くに浮遊しつつあった。
「って何しに来たんだよ!?」
「だから決まってんじゃん? 今日ハロウィンじゃん? お菓子貰いに来た以外に何すんだよ」
横からすいーーーっと、シーツをかぶっただけ、のお化けの格好をした赤ん坊が、シーツの下から紅葉のような手を差し出す。
「トリックオアトリート! 幻覚で精神崩壊させられたくなかったら山吹色のお菓子を頂戴」
「怖いよ!? 何その金銭要求!? 今日はそうゆう日じゃないから!!」
「……ドケチ」
綱吉は理解していた。
ボンゴレ所属、独立暗殺組織ヴァリアー。
コイツらノリノリだ。
確か2回クーデター起こしたから凍結されてなかったっけーー? 今処分中じゃなかったっけーー? どうなってんの九代目ーー???? とか何とか色々思いながらも現実についていくことを脳が拒否した。
頼みの綱の超直感すらログアウト。
「あらーー。皆さんいらっしゃーーい。紅茶入れたんだけど飲むーー?」
「か、母さん!」
こんな奴らに構わなくていいから! と叫ぼうとした綱吉は固まる。
母親の隣にはヴァリアーのオカン、ことオカマルッスーリアが既にスタンばっていたからだ。
頭の上にはとんがり帽子があるから多分魔女のコスプレのつもりだろう。
じゃない。
いつだ。
いつから潜入してやがった。
「喧嘩しないでゆっくり飲むのよーーーーー」
「あら~~悪いわね~~助かりますルッスーリアさん」
「いえいえ~~。イキナリ押しかけちゃってゴメンナサイね~~?」
「いいのよ~~お菓子は沢山作る気だったしねーー」
「やめてよ母さん!!」
その人は一見してもマトモそうに見えないネクロフィリアのオカマなんだよ!!
と、いう真実を綱吉は言う事はできなかった。
「ああああ! もう何しに来たんだよ!! 皆! っていうか今ヴァリアー動いちゃって大丈夫なの!? 暗殺組織幹部が勢ぞろいしててウチ狙われない!? 平気!?」
「シラネ。問題ないんじゃね? 王子関係ないし。つかジャッポーネのコミックやっぱ面白い」
「我が家のように寛がないでよベルフェゴール!! てかそれいつの間に!? どっから持ってきた!?」
「お前の部屋。あと説明は王子の仕事じゃないし」
そんな無責任な。
綱吉は何かもう頭を抱えたくなった。
横ではマーモンが子供の特権を駆使し、奈々に甘えている。コイン型のチョコが既に小さな掌の上に乗っていた。
「ゔぉおおおおおおおおおい!!」
ガッシャァアアアン、というガラスの割れる音が響き渡った。
「えええええ何で入口から入ってこないのーーーーーー!?!?」
ガラスの破片を纏いながらアラワレタのは、
どこか非現実的な銀色だった。
月光のように艶めく髪を靡かせながらも、その全身には純白の包帯を纏っている。
その白一色で染め上げられた姿が、どこか幻想的にすら見えた。
「……な、なんでミイラ……?」
「実用を兼ねた仮装だぁ。頑張ったらこうなったぁ」
「え!? それ実用!?」
「ゔぉおおおおい! 鮫に食われたケガがそんな簡単に治ると思うなぁ!!」
「何起きてんだよ重症患者ーーーー!!」
その酷く似合っていた包帯が、実はミイラの仮装なんて愉快なモノじゃなく未だ彼が重症であることを悟らせた。
何だ。
そんな体引きずって何しにきた。
綱吉は何だか背筋が零地点突破初代仕様になる気持ちだった。
「テメェが気にすることじゃねぇええ! いいからさっさとボスさんに菓子を寄越しやがれぇ!!」
「さっきも似たようなこと言われたーーーー?! 何だよ!
何で……何で……何でお前らは……!」
「うるせぇ! 老いぼれと同じことをほざくなぁ!!」
あ、九代目のところにも行ったんだ……と新事実発覚。
「早くしろぉ! ボスさんさっきから家の前で棒立ちして待ってんだぁ!!」
「嘘!? 律儀ーー!? XANXUSって意外と律儀!? もうとっくに投げて帰ったと思ってたのに……!」
「お前……ボスを何だと思ってる……
八年間冷凍されても懲りなかった奴だぁ!! 数時間粘る位ぇどうってことねぇに決まってんだろぉ!!」
「ご、ごめんXANXUS今開けるから!!」
ドアを開ける綱吉(2回目)
そこには
全身の痣(凍傷)をフルで浮き上がらせたガチギレモードのXANXUSの姿が。
「……え、えっと…………」
「テメェら全員……呪い殺してやる…………」
もう手がつけられないような状態であった。
こうなったらもう……お菓子をあげるしかない。
だが、このお菓子は今日と言う日を楽しみにしていたイーピンやランボにあげるためのものなのだ。
仮装衣装をつくったりカボチャランタンを用意したりとしていたあの子たちにあげるためのものなのだ。
断じて。
コイツらじゃない。
コイツらに食われるために用意したものじゃない。
だけどこのままにしておいたら(特にビビりなランボ)は怖がって来れないだろうなぁ、と思いながらも、だからと言ってお菓子を渡すわけにもいかない、というジレンマに陥ったツナは心の中で救いを求めた。
誰か。
誰でもいい何でもいい。
何とかして。
XANXUS何とかして。
「ちゃおっす。また面倒な奴らに絡まれちまったなツナ!」
「リボーン!!」
カボチャ頭を被った家庭教師ヒットマン、リボーンの登場にツナは思わず鼻水が溢れた。
「だが心配すんな。もう手は打ってあるぞ。もうすぐ追加のお菓子が到着するハズだ」
「追加のお菓子……?」
「十代目!! 今リボーンさんから連絡があって!! ヴァリアーの奴らが押しかけてきたって……うっわぁ……」
「獄寺君!! ツッコミたいのは分かるけど空気読んで!!」
「…………はい……」
「スクアーロの匂いがするのな!! スクアーロが居るのな!!」
「山本! 盛るな!!」
来たのは特に役に立たない右腕と、戦闘狂な野球小僧だった。
お菓子の追加なんかなかったんだ……と絶望しようとしたときだった。
獄寺の背後から、艶やかな女性の声が。
「……リボーンに言われた。お菓子を持ってきたわ……」
姉を見た獄寺少年が死んだ。
そう、獄寺隼人の異母姉ビアンキは、『毒蠍』の名を持つ殺し屋だったりした。
「ま、まさか……!」
「……カボチャパイよ」
ビアンキの手には、人間が見たらいけないような色の『物体』が載っていた。
黒い。
地獄の様に、黒い。
それどころかどうやって発色しているのか紫の煙までもが出ている。
そして、本人はソレをカボチャパイと言い張っている。
「……食べなさい。ハロウィーンよ」
「ちゃおっすだな」
「無理だよ!!」
何で劇物持ってきたの!? 何しに来たの!?
こんなもんランボやイーピンに食わせられるかぁ!!
すると綱吉の中の何かが脳内でリンクし、繋がった。
「……XANXUS……………………お菓子だよ」
「……」
「……食べなさい」
「……」
XANXUSはカボチャパイ(劇物)を凝視している。
「……」
あ、やっぱダメかなぁ……と思った時だった。
「……食う」
「!?」
「……食べなさい」
「漢だな」
いつの間にか集まってきたヴァリアーの部下達(仮装)が目を丸くした。
「……マジ? …………か、かっけーー……」
「ボス……辞めときなよボス……流石に死ぬよ……僕分かるよ……幻覚見る類だよ『アレ』は……」
「……で、でもボスなら……何とかできるかもしれないでしょ……? ……胃袋強そうだし……」
「……ボス……」
「自分で言っといてアレだけど……や、やっぱ辞めない? ねぇやめよ? 辞めよう? コレで死なれたら流石の俺でも寝覚めが悪いよ!!」
「るせぇ」
「ひっ」
何のためらいもなく乱射される弾丸。
ソレが相当イライラしていることを示していた。
「……女の手料理だ。食わなきゃ恥かかせるだろうが……」
そう、XANXUSは腐ってもイタリア男だった。
XANXUSの手がカボチャパイ(毒)に伸びる。
未だ重症のハズのスクアーロは気が狂わんばかりに暴れていた。
「ボス! やめろぉおおおお! ボス食うんじゃねぇええ!! 離せぇ!! ボスの所に行かせろぉ!!」
「ははっ! 無理な相談なのな!!」
ソレを抑える山本は真っ黒い笑みを浮かべていた。
視線が完全に死ねXANXUS死ねXANXUS死ねXANXUSと告げていた。
「ボスーーーーーーーーーーーーー!!」
スクアーロの血を吐くような叫びも虚しく。
「ガハァアッ」
「と、吐血ーーーーーーーーーーーー!!」
血を吐いたのはXANXUSの方だった。
心なしか、痣全開のままで。
「……よし、コレで邪魔な奴は居なくなったな。さっさと入れ、ツナ。死ぬ気でハロウィーンパーティするぞ」
「鬼かリボーン!?!?」
その後、突如として現れたチェルベッロの二人がお疲れ様でした、とか言ってXANXUSを引きずって行ったのだった。
何書いてんだ自分……(賢者モード)