コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~   作:チェリオ

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第23話 「ホテルジャック終了のお知らせ」

 河口湖のコンべーションセンターホテルをエリア11で最も力を持つ反ブリタニア組織『日本解放戦線』が占拠して数時間。エリア11の新総督として着任したコーネリア・リ・ブリタニアは忌々しく睨みつけていた。

 

 ブリタニア軍の動きとしては人質救出作戦を実施しているところであるが中々上手くいかない。コンべーションセンターホテルは湖のど真ん中に建てられた高級ホテルで、政治的にも利用する者もいて攻められ難い構造になっているのが仇となってしまっているのだ。

 

 ホテルに向かうルートは三つ。陸地から繋がる橋を渡るか、海中から接近するか、地下の物資輸送用のパイプラインを通るかの三つ。しかし橋は封鎖され、海中から接近した特殊部隊は狙撃され、パイプラインから侵入しようとしたサザーランドは対ナイトメア用の榴弾を放つ多脚砲台によって壊滅。よってブリタニア軍の兵装での突破は不可能だとされた。

 

 移動指揮所であるG-1ベース内の参謀の中には女子供だけでも助けるべく、政治犯の釈放を飲むべきではとの意見が出始めている。しかし総督として、ブリタニア皇族としてテロに屈する訳にはいかないコーネリアは頑なに拒む。

 

 本来なら人質救出する為に最善を尽くすのは正しい。正しいのだがこれを指揮しているのがコーネリアだというのはおかしな事だ。彼女の性格を知っている者なら救出作戦を行なうよりもそのまま攻勢に出てテロリスト殲滅に努める筈である。

 

 「あいつは…ゼロは何故分かったのだろうな」

 「は?」

 「いや、なんでもない」

 

 グロースターのコクピットより上半身を晒して呟いた言葉にギルフォードが反応したが、反応を期待したのではなく本当に独り言なので短く言葉を返すとグロースターのシートに体重を預けた。

 

 愚弟クロヴィスを殺害しようとした仮面と黒のマントで素性や性別を隠しているテロリスト『ゼロ』。メディアに出るのを控えていたユーフェミアの事を知っていたばかりか人質と一緒に助けると言った。何にせよゼロが日本解放戦線と接触するならば一時的とはいえ時間が稼げ、隙も生まれよう。

 

 「特派の状況はどうか?」

 『ハッ、じきに終わるかと』

 「そうか。突入部隊の用意はどうか?」

 「ご指示さえあれば何時でも」

 

 特別派遣嚮導技術部。通称『特派』と呼ばれるシュナイゼル兄上の部隊で、エリア11では世界で唯一の第七世代ナイトメアフレームの実戦によるデータ収集に来ていた。ブリタニアは至る所で戦争を行なっているが、データ収集においてはこのエリア11ほど高環境は望めない。部品や弾薬などの補給は完璧で、技術者が安全なデータ収集を行なえ、適度に戦闘が発生する地。指揮権はシュナイゼル兄上にあると言っても実戦の機会をなるべく与えて欲しいと頼まれている事から指揮下に入っていると言っても過言ではないだろう。第七世代ナイトメアフレームの『ランスロット』のスペックもサザーランドやグロースターなど現行のナイトメアを軽く凌駕していた。

 

 しかし、コーネリアは特派を使う事に難色を示していた。

 

 と、言うのもランスロットの専属騎士が名誉ブリタニア人である事が大きい。ナンバーズとはブリタニアに負けた敗者であり、それゆえに恨み辛みを抱えている者も多い。いつ牙を剥くか分からぬ者らにナイトメアを預けるなど危険を増やすだけだ。オデュッセウス兄上にもそれとなしに忠告したのだが聞いてくれなかったが。名誉ブリタニア人だけでも気に入らないのに特派の主任研究員であるロイド・アスプルンドが居ることも拍車をかけていた。伯爵の爵位を持った貴族でありながら自覚は無く、いつもへらへらと人を馬鹿にしたような笑み…兄上の友人というのも含めてすべてが気に入らない。

 

 だが、現状を打破出来うる戦力は特派しかない。ユーフェミアを助ける為に人質救出作戦で突破可能なルートは地下のパイプラインのみ。すでに突入させたサザーランドのデータからサザーランドやグロースターでは突破は不可能。唯一可能性があるとしたら特派のランスロットだけであった。あると言っても机上の計算でもリニアカノンに対する回避率は47.8%と二発に一発は当たる計算だ。突破する前に撃破される可能性が高いがこの作戦こそが成功率のある作戦。ユーフェミアを助ける為には特派だろうが何だろうが使ってやる。

 

 『ところで姫様。ひとつお聞きしたい事が』

 「なんだダールトン?」

 『同じナンバーズを使っている部隊でしたら内部の情報提供をしてきた部隊ではなく、どうして特派を使われるのですか?』

 

 特派も指揮系統が面倒なのだがそれ以上に面倒な部隊が存在する。クロヴィスの元専属将軍であったバトレー直属の特殊部隊。『イレギュラーズ』と呼ばれる特殊名誉外人部隊である。騎士全員がナンバーズの部隊でそれぞれが特殊な技能を持っているとかいう話を聞いた。技能のほうは定かではないが全員がナンバーズであることは真実らしい。バトレーが失脚して以来は独立部隊として機能している。

 

 ホテルジャックの人質の中にはイレギュラーズの隊員が混じっていたらしく、内部情報を掴んだ後に日本解放戦線の兵士を挑発して外に出る算段をして、実際にホテル外への脱出を成功させたのだ。兵士が見せしめに誰かを落とす話を聞いてそれを利用しようと考えたらしいが、普通の人間ならあの高さから落ちたら大怪我どころか死亡するはず。なのに、報告に来た隊員である少女は怪我のひとつも負ってない状態で現れたのだ。湖を泳いで渡ってきたのでずぶ濡れであったが。

 

 「同じナンバーズの部隊ならシュナイゼル兄上の…そしてオデュッセウス兄上の友人である部隊を使うさ」

 『姫様はオデュッセウス殿下の事を好いていらっしゃいますからな』

 「―っ!?余計な事を言うな」

 『ハッ!申し訳ありません』

 

 まったく……この状況下で他の誰かが言えば不謹慎と斬り捨てるがダールトンの言葉からはこちらを安心、もしくは落ち着かせようとしている節がある。安心感や何者も受け入れる大きな器、どっしりと構えた姿に本来なら父親に向けるような感情を得てしまう。実際の父上にはそんな感情は抱いた事は無いが。

 

 コーネリアはシュナイゼルの肝いりであり、オデュッセウスに認められた二人の居る特派の動きをただ見守る。失敗の可能性もあるのだろうが今だけは何故か大丈夫だと確信してしまっている。無事にユーフェミアを助け出せると内心安心していた。

 

 ………ホテル内にオデュッセウスが居るとも知らずに。

 

 

 

 

 

 ランスロットが地下パイプラインに突入しようとしていた頃。河口湖のコンべーションセンターホテルの一室ではゼロと日本解放戦線の草壁と名乗る男がソファに腰掛けて話していた。

 

 ゼロであるルルーシュは話しながらも対面する草壁中佐を観察していた。肉体的な特徴や伸ばした髭など外部情報でなく、内面を見定めようとしているのだ。上からになってしまうが要は使えるかどうかの判断。少しは期待していたのだがホテルジャックをした理由が内外に自分達の存在アピールなど論外だった。これだけの戦力を浪費して得る物は民間人を無残に殺したテロリストの名ではメリットがないどころかデメリットしか存在しない。もしこれがブリタニア軍に有効な作戦の一部を行なう為の陽動やここを占拠する事で成果を出す作戦であったならば手を貸しても良かった。まぁ、無抵抗の民間人を殺した時点で無いとは思っていたがここまで無能とは…。

 

 「お前達は古い。もう救えない」

 

 そう告げると余裕綽々だった草壁の表情がみるみる険しいものへと変わっていった。手に持っていた日本刀を抜こうとするほどに。あまりの短気さに価値が一段と下がる。すでにマイナスであるが。

 

 「中佐の下に先ほど連絡した人質を連行しました。皇族の名を名乗っていますが…」

 

 ドアをノックする音の後に外から聞こえた言葉に注意が逸れる。皇族を名乗った者が居るとすれば十中八九ユーフェミアだろう。すでにテロリストが掌握したホテルに対して攻撃をしないコーネリアの様子から人質にユーフェミアが居る事は予想できたし、このホテルに入る前に出てきたコーネリアに『クロヴィスを撃った私を殺すか、中に居るユーフェミアを助けるか選べ』と言った時の反応で居る事は分かりきっている。それにあの優しいユフィの事だ。誰かを助ける為に人質を買って出るぐらいの事はするだろう。

 

 「ゼロ!もはや問答無用!!」

 

 あの一言だけで我慢の限界を超えたのか草壁は日本刀を鞘から抜き、間にあったテーブルを跳び越えて斬りかかって来る。焦る事無く仮面の仕掛けを作動させて左目の所を開ける。

 

 C.C.と名乗る女と契約した事で得た力。ギアスと言う能力を使用する為に左目に不死鳥をイメージした赤く輝く紋章が現れる。ルルーシュが持つギアスは絶対遵守のギアス。命じた言葉には絶対に従わせるという強力な命令権を持つが、目を見た相手でなくてはならず射程距離や同じ相手には一度しか効果は無いなどいろいろ条件が多いが問題はない。二度とこいつらにも会うことはないのだから。

 

 「死ね」

 

 短くそれだけギアスを使用して命じると振り下ろそうとしていた刃は動きを止めて、何の躊躇いもなく草壁の腹部に突き刺さる。それだけでは死ぬ事は出来なかったのかどんどん刃を腹部に押し込み、刀を捻って自らの臓器を切り裂き絶命した。恐怖や絶望の表情を浮かべることもなかった。周りの兵士達は中佐を心配して駆け寄る事はせずに腰のホルスターに収めてあった拳銃を自らの頭に押し当ててトリガーを引いた。渇いた発砲音と同時に血飛沫を撒き散らして命を絶つ。

 

 銃声を聞いたドアの前に居た兵士がドアを勢い良く開いて銃を構えてきた。そのまま発砲されても厄介なので素早く懐から抜いた拳銃のトリガーを引く。放たれた弾丸は狙った通りに銃を構えていた兵士の右肩に命中した。

 

 「落ち着け。中佐達は自決した。行動の無意味さを悟ったのだ」

 

 肩を押さえながら睨みつける者と後ろで内部の様子を見て動揺する者に短く状況を伝え、勝手に状況を判断して自分を撃たせない様にする。そして兵士の後ろに居るであろうユーフェミアに対して話しかける。

 

 「民衆の為に人質を買ってでたか。ユー……ふぁ!?」

 「や……やぁ」

 

 予想だにしない相手…現れたのはユーフェミアではなくオデュッセウスであったことに驚きすぎて変な声を上げてしまったが今はそれどころではない。何故この男がここにいると頭はフル稼働しており余裕は一切なくなっていた。

 

 「えーと…私はどうしたらいいのだろうか?」

 

 困ったような笑みを浮かべながら部屋に入ろうかどうかで悩んでいるオデュッセウスの言葉で、考えすぎている思考を一旦止めて部屋に入るように促す。

 

 ゆったりとした足並みで入ったオデュッセウスはゼロに背を向ける形で窓を向いて立ち止まる。窓はカーテンで締め切られており、カーテンとカーテンの隙間から外の様子を多少窺える。これは草壁が狙撃を警戒して閉めたのだろう。

 

 そんな事はどうでもいい。想定外の事に焦るルルーシュはここで我に返る。これはチャンスなのではないかと。自分には絶対遵守のギアスがあり、その命令はC.C.でもない限りは効果はある。ここで『俺の仲間になれ』と命じたらこれから宣言するであろう黒の騎士団の役に立つし、奴なら母であるマリアンヌ皇妃の死の原因も知っている可能性が高い。しかし、ある想いから使いたくない。ナナリーを政略結婚から救ってくれた事や母が亡くなった自分達兄妹の為に手を尽くしてくれたりと大き過ぎる恩がある。

 

 「君がクロヴィスを撃ったのかい?」

 

 沈黙が続いていた部屋で最初に口を開いたのはオデュッセウスのほうだった。殺せはしなかったが確かにクロヴィスを撃ったのは自分だ。シンジュクゲットーでクロヴィスを殺そうと銃口を向けた時に悲しむ兄上の顔が浮かんで寸前のところで躊躇ってしまったのだ。やったのは銃口を逸らして腹部…しかも急所を外しての発砲のみ。あそこまで自分が甘いとは思わなかった。

 

 「ええ、私が撃ちました」

 「そうか……ありがとう」

 「―え?」

 「大事な弟を殺さないでくれて……本当にありがとう」

 

 「どうして!?」とか「何故!?」と疑問をぶつけられると思っていたのにまたもや予想外な事を言ってくる。昔からこの男は有能なのだがどこかおかしな所がある。こうも調子を狂わされるとこちらとしてはどうしていいか判断がつかない。

 

 ため息混じりにオデュッセウスの背を見つめているとあることに気付いた。

 

 何故この男は部屋に入ってから目を合わせようとしない?

 

 仮面を付けている為に目は見えないだろうが、ルルーシュが知っているオデュッセウスという男は話をするときは相手の目を見て話す。例え自分に都合が悪い事でもだ。にも関わらず目線を合わさないように窓の方を向いているのは何故か。ひとつは外の様子が気になるからというのと、最も厄介なのが自分がギアスを使えることを知っているかだ。C.C.はクロヴィスの研究機関に捕まっていた。あの男は兄弟・姉妹に多大な信頼関係を築いており、クロヴィスからギアスの話を聞いていた可能性がある。あとはG-1ベースに侵入したり、理屈に合わない行動をして記憶が曖昧な者らが続出していることから推測されたのかも知れない。

 

 銃に手を伸ばすなど警戒心を強めて近付こうとしたとき、オデュッセウスが急に崩れて床に手を付いた。急に倒れかけた兄を素で心配して駆け寄る。

 

 「どうされましたか!?」

 

 あまりの驚きで昔のように敬語を使ってしまったが気にせずに近寄る。顔は青白く、手で口元を押さえて何かを堪えている。見るからに体調の悪そうなオデュッセウスは短く言葉を発した。

 

 「エ……エチケット袋はないかな…」

 

 

 

 

 

 

 オデュッセウス・ウ・ブリタニアは今回の自分を恥じていた。ホテルに潜入してユフィや人質達を助けようと計画したのに初手で躓いてあっさり捕まり、数年ぶりに再会した弟の前で嘔吐している自分を。

 

 人質と居た室内ではギアスにどう対処しようか考えていたが、この部屋に来る前になったらゼロの状態とは言えルルーシュに会える事を喜ぼうと思っていたのだ。思っていたのだがいざ室内に入ったら密集する血の臭い。初めて目の当たりにする人の死に気分が悪くなる。何とか会話をして耐えようとしたのだが限界はあまりにも早く、近くのゴミ箱を抱き締めた状態で胃の内容物を空にする勢いで吐いている。情けない姿を晒してしまった羞恥心の反面、背をさすって自分を心配してくれる弟の優しさに心が温かくなる。

 

 「…すまない…こういう場は初めてで……」

 「いや、こちらが気がつけば良かったのだが」

 

 よくよく考えるとこの場でゼロと対峙して話していたユフィの心がどれだけ強いかがよく分かった。慣れている訳もないユフィは人質を助けたい想いとクロヴィスを殺した(原作では)ゼロに対する感情で立っていたのだろう。

 

 優しくも心の強いユフィに感心しながら吐き出すオデュッセウスはカーテンの隙間から水柱が立ったのが見えた。水柱から現れたランスロットの姿に原作を思い出して短く声をあげる。この後、ランスロットがホテルの基礎部分に射撃してホテルをゆっくりと崩壊させ、苛立ちながらルルーシュが用意した策を起動させる流れだったと記憶している。

 

 アニメでは見る側だから良かったものの策を使用した後の行動がまったく読めない。ゆっくりと崩壊させていたホテルを一気に倒壊させたと思ったら次のシーンには人質と共に脱出していた。

 

 どうすればと悩む間もなく、ランスロットが握っている銃から緑色の光弾が基礎に向かって放たれる。同時にホテルに振動が伝わりゆっくりと下へと崩れているのが分かる。

 

 「白カブトめ」

 

 隣のゼロより忌々しげな呟きが聞こえて振り返るとその手にはスイッチらしき物が。止める間もなく押されると先程より強い衝撃が伝わり、浮遊感に支配される。死んだかなと死を覚悟してしまったがどうやらゼロもスザク君と同じ事を計画していたらしく、崩壊したのは下の階のみで人質や自分が居るフロアは無事なように計算して爆破したようだった。

 

 「行きましょうか……行くぞ」

 

 短く言い直したルルーシュ…ではなくゼロの後に続いて移動するとその先では黒のバイザーで顔を隠し、同じ黒の団員服を着こなすコードギアスではお馴染みの黒の騎士団員がゴムボートに人質を移していた。そのまま誘導されてボートに乗る直前、別れを寂しく想って軽く手を振る。そっぽを向かれてしまったが今回はこれで良いと判断しよう。

 

 黒の騎士団が乗る白い船と共に崩壊したホテルより離れ、安堵感と寂しさを味わっていたオデュッセウスの耳に覚えのある台詞が飛び込んで来た。

 

 「ブリタニア人よ。動じる事はない。ホテルに捕らわれていた人質は全員救出した。貴方方の下へお返ししよう」

 

 船の上でテレビカメラを通じて付近だけでなく全国に言い放つゼロへ視線を向けた。

 

 「人々よ!我らを恐れ、求めるが良い!我らの名は黒の騎士団!!」

 

 用意していた照明が一気に照らしてゼロの斜め後ろに居た団員達の姿が現れる。アニメを見てカッコイイと思った光景を目の当たりにする事で興奮しつつ、テレビで録画する準備を整えてなかった事に後悔する。どうせ後で局から映像は取り寄せるが。

 

 ゼロであるルルーシュは宣言を続ける。自分達は人種で差別する事無く、強すぎる力を持って弱者を虐げる行為を許さないと。今回の日本解放戦線の行為を無意味と斬り捨て、自分たちが制裁を下した事など伝える。宣言の中でも「撃っていいのは撃たれる覚悟のある奴だけだ」と言った時には顔には出さないように喜びで身を焦がした。

 

 ふと視線を感じて振り返るとユフィと目が合った。しかもその方向にはミレイも居て二人の心配そうな視線を浴びることに…。視線から逃れる為に目を逸らしつつ耳はゼロへと傾ける。

 

 「力ある者よ、我を恐れよ。力無き者よ、我を求めよ。世界は!我々黒の騎士団が裁く!!」

 

 最後の言葉を耳にしながらオデュッセウスは視線をずらした事を後悔した。目線を逸らした先はホテルを包囲しているブリタニア軍…グロースターに騎乗している人と目が合っている気がする。こちらからだとぼやけて認識することは難しいが向こうはグロースターのモニターを見ればこちらを鮮明に捉える事が出来る。コクピットから乗り出している立ち姿に雰囲気、髪の感じからあれはコーネリアだと断定する。

 

 力ある者ですが助けてくれないでしょうかとゼロに願いを発しつつ、オデュッセウスは頭を抱えながらコーネリアに怒られる覚悟をするのであった。


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