コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~   作:チェリオ

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第30話 「日本解放戦線の最後……だと思います。多分」

 エリア11最大の反ブリタニア組織である日本解放戦線がナリタ連山で崩壊して一週間も経たない今日。その残りを壊滅させようとコーネリアは動いていた。

 

 日本解放戦線の総指揮官である片瀬が、大量の流体サクラダイトを抱えたタンカーで国外へ脱出しようとしているという情報を得て、それが真実である事を確認していた。ナリタでは使えなかった海中騎士団を投入した作戦で、現地にはコーネリアに騎士のギルフォード、将軍のダールトンが向かっている。

 

 スザクが所属している特派も向かい、他の武官は大きな損失が出た部隊の再編に本国への補充要請に勤しんでいた。この状況を見ていると第一期で黒の騎士団によく勝てたなと思ってしまう。本国にナリタでの損害を賄えるほどの兵員の要請もしたいところだが極僅かで抑えている。あまり本国を頼ってしまうとコーネリアの評価に関わってしまうからだ。だからこそ本国からの兵員は最小限にして各地で自由に動ける者に頼んでいる所である。

 

 一応戦力的には整う手筈になっている。まずはダールトン将軍の養子で騎士として腕も良いグラストンナイツにクロヴィスの親衛隊が二週間以内に到着する。クロヴィスの親衛隊はシンジュクで全滅してしまったから新しく再編したのだ。皇位継承権を剥奪され、指揮官として不得手なので将軍や軍を預かる事は出来なかった。しかし皇族である事は変わらないので自身を守る為の親衛隊は必須。

 

 あ!クロヴィス親衛隊の隊長はキューエル・ソレイシィ卿を推薦しておいた。あの時の表情は当分忘れない。口をポカーンって開けて数分間放心してたし。

 

 当のクロヴィスは副総督のユーフェミアと共に美術館に行っている。以前より準備していた絵のコンテストの準備だとかで。一応副総督補佐官としても仕事しているのによくやってくれている。というよりイベント系の仕事のほうが得意なんだよな。

 

 後は政庁の護りとしてユリシーズ騎士団を呼び寄せる事になったし、守りとしては十分だろう。本当ならノネットもいるから過剰のような気もするが、ナイト・オブ・ラウンズのノネットはいつまでも留まる事は出来ない。現在は政庁の守りについてもらっているがユリシーズ騎士団が到着したら本国に帰還する段取りになっている。

 

 で、この作品の主人公であり、憑依転生者のオデュッセウス・ウ・ブリタニアは自分の執務室で熱いお茶を飲んで一息入れていた。

 

 コーネリアに、ナリタで名乗ってしまい結果的に囮になって自身を危険に晒した行為に、その後の自由気まますぎる行動から、政庁での待機命令を出されたのだ。自身も副総督補佐官なのだがクロヴィスがやってくれているから仕事がない。つまり暇なのである。だからと言って苦痛ではなく、むしろありがたく幸福なのだ。

 

 目の前の長机には皿に乗せられた団子が置いてある。みっつの団子がこしあんに包まれ一本の串で束ねられている。見ているだけで頬が弛み、お茶を置いて三本ある串の一本を摘んで団子を口元へと運ぶ。満面の笑みで口に含むと上品な甘みと滑らかな舌触りに包まれ、最後にはモチっとした感触を味わう。ゆっくりと噛み締め熱めのお茶を啜る。

 

 「はぁ~。幸せだなぁ」

 

 大きく息を吐きながら今の幸せを実感する。もっと贅沢を言えば天気も良いからどこかの公園でレジャーシートでも敷いて皆と一緒に……なんて出来たらどれだけ幸せな事か。そう思いながら串に刺さっている二つ目を食べる。

 

 「本当に幸せそうですね。何処から取り寄せたので?」

 「ん~。本当は取り寄せたかったんだけど店舗販売しかしてなくて取り寄せ出来なかったんだよ」

 「皇族の名を出せば簡単だったでしょうに」

 「さすがにそれはしたくなかったんだ」

 「では何方に頼まれたのでしょうか?」

 「皆忙しいのに私のお茶菓子の為に労力を使わせるのもアレだから自分で行ってきたんだよ。しかし、早朝から並んだ甲斐はあったよ」

 「……それは何よりです」

 

 頬を弛ませたまま一本目の串に刺さっていた団子を食べ終えたオデュッセウスは、表情を一変させて固まった。この部屋には自分しか居ない筈なのに誰と会話していた?表情を強張らせ、ギギギと錆びた機械が擦れた音が出そうな動きで振り返るとそこには純白の強化歩兵スーツを着たロロが立っていた。仮面で顔は見えないのだが呆れ顔をしているのはわかる。

 

 「そうですか。僕達が知らない間に抜け出してそんな事をしていたんですか」

 「あ、あの…ロロ君…いつから?」

 「殿下が二つ目をお食べになった頃に。ノックをしたのですが返事がなかった為に入らせて頂きました」

 「そ、そっか…」

 

 青ざめた表情でお茶を啜って落ち着こうとするが一向に落ち着かない。もしこの事をコーネリアに知られたら絶対に怒られる…。いつもみたいに冷めた視線を浴びながら一時間前後怒られるぐらいなら良いが、今まで何度もやってきたことだから完全に嫌われたらどうしよう…。

 

 「そ、そうだロロ。これを」

 「何ですかこれ?」

 「君の分も買っておいたのさ」

 「ぼ、僕の分もですか!?―――ありがとうございます」

 

 取り出した包装された箱には今食べた団子が入っており、本当なら明日食べようと買った物であったが、これでロロの機嫌が直ってくれるなら良い。そして言わないように釘をさしておけば問題ないだろう。嬉しそうにしているロロに釘をさそうと口を開こうとすると何かを思い出したロロが先に口を開いた。

 

 「すみません殿下。殿下に謁見を求めている者がおりますがどう致しますか?」

 「私にかい?誰だい?」

 「確かヴィレッタ・ヌゥという名でした。純血派所属と言ってましたが」

 「えぇ!?―――あー…分かった。会おう」

 「どちらにお通しすれば?」

 「ここでいいよ。別段忙しくないし」

 「了解しました。では、連れて参ります」

 

 執務室より退室する白騎士を見送るとこんな事もあるんだなと感心しつつソファに身体を預ける。

 

 原作ではヴィレッタ・ヌゥはこの時にシャーリーと共にルルーシュを尾行し、ゼロ=ルルーシュという事実を知る。そしてシャーリーに撃たれて意識を失っていた所を扇 要に助けられた筈だが、彼女は今ここにいる。原因は間違いなく原作改変を行なった自身にある。そもそもヴィレッタがルルーシュが黒の騎士団の関係者と疑ったのは、シンジュク事変にて自身のサザーランドを奪われた際の記憶にぼんやりとアッシュフォード学園の学生服姿の少年が残っていた事からだ。その記憶があったヴィレッタはナリタ戦の後で亡くなった民間人の身元確認の仕事を与えられ、偶然にもシャーリーの父親を担当し、さらに偶然が重なってシャーリーのメモ帳よりルルーシュの写真を見て確信した。が、ナリタでオデュッセウスがシャーリーの父親を救った事で知りえなかった。さらにナリタでサザーランドを失ったのみならず、部隊長であるジェレミアが行方不明で純血派は事実上の解散状態。ナイトメアの補給は本隊が優先されてナイトメアを得られなかったヴィレッタは参加出来なかったのだ。

 

 いやぁ、これは今後の事を考えていい手だったのか?結果は扇に出会えなくなった―――だけか。なら良いか。だってシャーリーの父親を見捨ててルルーシュが悲しい想いをする方が私には堪える。

 

 堪えると言えばジェレミア卿の事も結構堪えたなぁ。ナリタ後にジェレミアの居場所に見当が付いていた為に少し間を開けてからバトレーの機関に接触を図ったのだ。すでにバトレーはシュナイゼル付きになっていて、シュナイゼルを通して話を聞いたから案外容易く見つける事は出来た。改造はさせずに前線復帰させようと考えていたのだけど甘かった。強制的に脱出させられるまでコクピットにしがみ付き、紅蓮弐式の輻射波動を受け続けて人体が無事なわけはなかった。すでに今まで通りの生活どころか意識すらはっきりしない植物状態に陥っており、ジェレミアを今まで通りに生かすとしたら改造しか手段がもうなかった。

 

 思い出すだけでもすまない気持ちでいっぱいになり、大きなため息を吐き出す。

 

 「殿下。連れて参りました」

 「ああ、入ってくれ」

 「失礼致します。純血派のヴィレッタ・ヌゥであります」

 

 四回のノック音と白騎士の声を確認して入室許可を出すと、ピンと背筋を伸ばして右手を左胸に当てたヴィレッタ・ヌゥが入ってきた。オデュッセウスは沈んだ表情からいつもの微笑を浮かべ、立ち上がりソファにかけるように言うと、予想外だったのか目をぱちくりしていた。

 

 「宜しいのですか?」

 「立ち話じゃ落ち着かないだろう。誰か彼女にコーヒーとお茶菓子を」

 

 殿下自らお客を対応しているかの様子に途惑いながら横に立っている白騎士に催促されてソファに腰を降ろす。入り口前で警備についていた兵士のうちのひとりが連絡をした給仕がコーヒーとモンブランをカートに乗っけて現れた。白騎士が一部を切り分けて兵士に毒味させているのが見えるがこの光景にオデュッセウスは苦笑いを浮かべた。前から見てきた事だがなれることはなかった。向かいにオデュッセウスが腰を下ろすとヴィレッタの緊張の段階が跳ね上がったのは誰の目にも明らかだった。

 

 「さてヴィレッタ卿。私を訪ねて来たのはどういった用件かな?ナイトメアの支給の催促と言う訳でもないだろう」

 「え、はい…。出来れば人払いをお願いしたいのですが…」

 「ふむ……白騎士。すまないが」

 「――かしこまりました。ではこれを」

 

 人払いを頼むと白騎士より手の平サイズのボールを手渡された。このボールはスイッチがあり、それを押すと中から催涙ガスが噴出される仕組みになっている。自身も喰らってしまうが危機的状況に陥るよりはマシだろう。催涙ガスが噴出されると同時に警報もなるので外で待機している者は突入してくる手筈になっている。

 

 白騎士も出て行った執務室でヴィレッタはゆっくりと口を開いた。

 

 「ゼロに関する情報を手に入れました」

 「―――ほう」

 

 やはりかという感情を押し殺して驚いたフリをする。そうではないかと予想はしていた。ならこのタイミングで話してくれた彼女には感謝だな。もし日にちが一日ずれただけでコーネリアの耳に入る……訳はなかったか。まずコーネリアなら大失態をしたジェレミアの純血派メンバーの言葉に耳を傾けることはなかっただろうから。ならジェレミア卿と親交のあった私に話すのは必然か。

 

 「実はシンジュク事変でサザーランドを奪われた際にある学生を目撃しているのです」

 「シンジュク事変?それは可笑しい。卿は奪われた際の記憶がないと報告を受けているが」

 「それは…それはそうなのですが…」

 「ふふ、すまない。今のは冗談だ。冗談にしても悪質だった」

 「い、いえ…記憶が曖昧だった事は事実ですので」

 「話を戻そう。学生というのはアッシュフォード学園の学生服かね?」

 「―ッ!!殿下はご存知だったのですか」

 「うん。まぁね…」

 

 ご存知でしたよ。だってルルーシュの事だもん。知っているどころかこれからどのような事が起きるのかさえ知っているさ。ただそれが露見する事態だけは避けなければならない。

 

 「彼の者はこちらで目をつけていたんだよ」

 「それは…出すぎた真似でした。申し訳ありません」

 「いや、感心しているんだよ。感服と言っていい。君は神聖ブリタニア帝国の皇子が極秘に目をつけていた者を単独で見つけたのだから。本来なら誇っても良いと言いたいのだが極秘事項ゆえにそれもままならないが」

 「買い被りが過ぎます殿下。私は偶然が重なっただけで…」

 

 こうやって面と向かって見てみると今まで抱いていたイメージと違っていた。自分のイメージではもっとこう…ジェレミア卿のように忠誠心が高いのではなく、権威や権力を欲しているような感じを抱いていたのだが、目の前のヴィレッタは強張ったりもしたが素直に驚いたり、褒められたら照れたり、嬉しそうな表情をしたりとピュアなのだ。

 

 照れて若干頬を赤く染めたヴィレッタ卿に対して心から笑みを浮かべて締めにかかろうとする。何としても彼女をルルーシュに関わらせるわけにはいかない。シャーリーの父親を助けた事でここにヴィレッタが居るように原作を改変したという事は今後の展開は読めないという事。ルルーシュを見つけたときにシャーリーが居たから身元ばれしなかったが今回は止める要素がない可能性のほうが高い。

 

 「私は君の能力を高く評価しているよ。そこでだ――専属騎士になる気はないかな?」

 「・・・・・・はい?」

 

 オデュッセウスの一言でヴィレッタの思考は真っ白に染まった。

 

 現在のヴィレッタは一代限りの貴族の位を持つ腕の良い一般兵程度の立ち位置だ。ジェレミア卿やキューエル卿は領地を与えられた貴族の出でその立場は大きさによるが政治に介入する事さえ可能である。彼らでさえ専属騎士――皇族の騎士であるナイツ・オブ・ナイツに選ばれる事は可能性としては低い。ナイトメアを操縦する騎士としてはナイト・オブ・ラウンズに次ぐ名誉な役職。その専属騎士になれる機会をいきなり渡されれば誰だって思考が止まってしまうだろう。

 

 ハッと我に返ったヴィレッタは視線が定まらないまま何かを言おうと口を開いては閉じてを繰り返した。あまりの事に口は開けども言葉も出ずにパニック状態に近い状態になってしまっていた。

 

 「私の弟にキャスタールというのがいてね。彼は政はそこそこ出来るのだが戦闘に出ることは苦手なんだ。そこで騎士を付けてみてはという話が挙がっていたんだよ」

 「キャスタール殿下の騎士に……私が…」

 「君が迷惑でなかったらだが」

 「そんな迷惑だ何て!身に余る光栄でございます」

 「では、決まりだね。キャスには私から推薦しておく。……先のアッシュフォードの件はこちらに任せてくれ。勿論誰にも告げることはないように」

 「畏まりました」

 

 ルルーシュが疑われる事態は阻止したと判断してホッと安心したオデュッセウスは、白騎士を呼んで元の配置に戻して三人でお茶にする事に。ゼロの仮面の目の部位が開くように、白騎士の仮面は口元のみ開くようになっていて、仮面を被っていても食べる事に困る事はないのだ。

 

 …ただ、ヴィレッタは第一皇子と第一皇子専属騎士に囲まれ、終始緊張していたが…。

 

 

 

 

 

 

 日も落ちて闇夜に包まれた時刻に、エリア11のブリタニア政庁では多くの者が慌しく動いていた。ある者は政庁にて警備のレベルを上げたり、ある者は情報収集の為に勤しんだり、ある者は急いで付近の基地より兵力を掻き集めたりと大忙しだ。それは副総督補佐官になっているオデュッセウスも同様で、総督不在の政庁で一時的に指揮を執っている。本来ならば副総督であるユーフェミアが行なうべきだが心情的にそうもいかないだろう。

 

 つい先ほどコーネリア指揮の海兵騎士団が黒の騎士団の奇襲にあったとの報告が入ったのだ。海兵騎士団は日本解放戦線のタンカーが運んでいた流体サクラダイトの大爆発に巻き込まれて、大多数のポートマンが故障して救助待ちの状態。コーネリアが連れていた一部の騎士団は騎乗する間もなく黒の騎士団によって海に叩き落された。

 

 この一報を聞いてコーネリアを心配していたユフィにオデュッセウスが現地に行くように進言したのだ。名目上は海兵騎士団と被害を受けた騎士団の救出指揮を執る事になっている。副官として白騎士もつけておいた。クロヴィスも――と思ったがクロヴィスは報道を見たライラが怖がっている事を聞いて、そわそわしていたからライラの元へと向かわせた。

 

 一時はパニックに近い慌しさに見舞われた執務室も忙しいといえば忙しいがそれでも落ち着きを取り戻しつつあった。出すべき指示はだいたい終えて、後は調整が主になっている。が、オデュッセウスの顔色は一向に晴れなかった。

 

 まさか自分が関係しなくとも原作改変が行なわれるとは…。

 

 今回の作戦は国外に脱出する片瀬少将率いる日本解放戦線のタンカーを、ブリタニア軍が包囲して確保すると言うもの。アニメ第一期を見た方は分かると思うが、包囲したブリタニア軍に混乱を起こす為にキョウトより救援を頼まれたゼロは、タンカーで引っ張っていた流体サクラダイト収納コンテナを爆破する。大量の流体サクラダイトの大爆発により海上は荒れに荒れ、見事ブリタニアの隙を作る事に成功。ついでに日本解放戦線の指揮官である片瀬を亡き者にして、日本解放戦線の残存戦力を黒の騎士団が回収しやすくする。これが原作のストーリーである。

 

 しかし、実際はタンカーは流体サクラダイトの爆発に巻き込まれず、片瀬少将は生き残った。報告によればタンカーを守っていた無頼の射撃により海上で爆発が起こったらしいのだ。これはゼロが仕掛けた爆弾と見て間違いない。流体サクラダイトに直撃しなかったとしても引火の可能性はあってコンテナごと投棄された。タンカーの護衛に無頼と無頼改が確認された事から『コードギアス ロストカラーズ』の日本解放戦線ルートであると判断できる。

 

 というかしたかったのだがここからが問題だ。

 

 機転を利かした無頼により投棄された流体サクラダイトは爆破され、無頼と無頼改の二機はタンカー撤退の時間を稼ぐ為にコーネリアの本隊を奇襲。黒の騎士団の紅蓮弐式とゼロの無頼の合計四機に狙われたコーネリアの救援に駆けつけたのは、スザク君のランスロットだけでなく、特殊名誉外人部隊の『GX01』と言われる特殊なナイトメアもだった。パイロットは速度を操る『ザ・スピード』のギアスユーザーであるアリス。

 

 コードギアス原作陣×コードギアス ロストカラーズ×ナイトメア・オブ・ナナリーとか……もうどうすれば良いの?

 

 原作知識さえあればと思っていたのに三つの作品が交じり合うなんて聞いてない。もう私の知識だけでは生き残るのは難しくなったように感じる。

 

 その後の戦闘だが原作以上に強くなっているルルーシュにコーネリアは足止めされ、スザクはカレンの相手で手一杯。ギアスを使用して圧倒出来る筈のアリスは、流体サクラダイトの爆風を喰らって機体が転倒、ギアス伝導回路が損傷した事に気付かないまま騎乗して来たので圧倒する事は出来ずに二機に圧される羽目に。ギルフォードと特殊名誉外人部隊のダルク機の到着が少しでも遅れていたらどうなっていた事か…。

 

 大きく息を吐きながら頭を痛めるオデュッセウスは連絡をつけようと受話器を取った。

 

 これがコードギアス ロストカラーズのストーリー通りなら、枢木政権時の官房長を務めた澤崎を担いだ中華連邦のキュウシュウ侵攻がこの世界の分岐点となる。

 

 例えロストカラーズの主人公であったライが藤堂と四聖剣と共に黒の騎士団と合流したとしても、片瀬率いる日本解放戦線のほとんどが澤崎と合流する。数だけの軍が激戦の中を生き抜いてきた日本解放戦線の力を得るとしたらこちらもただではすまない。特に途中から介入する黒の騎士団とかガウェイン一機では無理。紅蓮弐式を始めとしてかなりの部隊を投入した。澤崎達の侵攻は原作より早まり、多くの戦力を相手をした後に上陸作戦を決行したブリタニア軍に包囲殲滅でもされたら日本解放戦線だけでなく黒の騎士団もなくなりかねない。

 

 私ののんびりライフ達成の為にも黒の騎士団にはここで消えてもらっては困る。

 

 「あー…もしもし、私だ。シュナイゼルとキャスタールに連絡を取りたいのだが。出来れば大至急」

 

 


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