コードギアス~私が目指すのんびりライフの為に~   作:チェリオ

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第74話 「帝都にて叔父上現る」

 パサリ、パサリとハサミの刃が交わるたびに長年蓄えられた髪が繋がりを断たれて重力に従って床へと落ちて行く。

 明るい色で統一された室内にゆったりとしたピアノメインのクラシックが流れ、待ち人が時間を寛げるテーブルスペースよりコーヒーの匂いが漂う。

 

 クラシックとパサリと床に髪が落ちる音を耳にしつつ、ソファに腰かけたオデュッセウス・ウ・ブリタニアは右手で小説を開き、空いた左手でコーヒーカップを口へと運ぶ。

 隣には腕を後ろで組んだまま微動だにしない日向 アキト少佐が付近の警戒に努めていた。

 

 「まだかかるのかい?」

 「はい、もう暫く掛かります。何かお持ち致しましょうか?」

 「いや、結構だよ」

 

 店内で一人っきりの客である少年が手早く、丁寧にカットしていく店長に退屈そうに言うと申し訳なさそうに答える。

 短い会話を耳にしたオデュッセウスは逆にこっちが申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

 

 小説をそっと閉じて視線を少年の周りに向ける。

 カットするのはこの美容室で一番の技量を持つ店長。

 その店長が最適にカットできるよう使い道が異なるハサミやくしを手渡して補助を行う副店長。

 数か月どころか数十年の年月を感じるずっしりとしながらもふんわりと癖のある大量の髪をかき集め、せっせと運んだり掃除したりする店員が三名。

 

 五人掛かりで対応されているのはギアス饗団に長年引き籠っている饗団トップであらせられる伯父上様である。

 

 小さく、本当に小さくため息を漏らす。

 

 きっかけはこの間のタレイランの翼がハレースタジアムで起こしたテロ事件。

 テロ自体はこちらの被害はかなり少なく済んだので良かったのだが、その後でたった一つ、されど大きな問題を含んだ事実を知ってしまったのだ。

 

 まずは私が怒りのあまり殴りつけて気絶させてしまったテロの首謀者アレクセイ・アーザル・アルハヌス。

 どうも【双貌のOZ】を完璧に思い出せてなかった私は彼が殴りつける直前にギアスにより自殺させられそうになっていたのに気付いてなかった。身柄を拘束したアレクセイが嫌がりながら自殺を試みた時には心底焦った。おかげで思い出せたのだがもう一度気絶させるために殴った拳が痛かったです。

 

 起きる前に身柄をギネヴィアではなく私の元に置いて、私のギアス状態回帰(ザ・リターン)でギアスを掛けられる前まで状態を戻しておいた。ついでに話を聞いてみるとなんと【双貌のOZ】ではなかったクララ・ランフランクの援助なんて事が行われていた事実に唖然とした。

 クララはオルフェウス関係の事になるとV.V.のいう事を聞かずに勝手な行動を行う場面があった。しかし、V.V.の意向に逆らわない、もしくはばれない・ばれても問題ない程度の事ばかり。

 

 ――で、今回の件ではオルドリンが関わったが、オルフェウス本人には何ら関係ない。彼女の勝手な行動の主な理由が関わってない以上、饗団の意向の可能性が高まった。

 つまり、伯父上様がマリーベルやカリーヌを危険に晒すような命令を下したことになる。

 

 私も危険な目に遭わせられたことはこの際どうでも良い。

 抗議の一つでも言わないと気が済まなかった私は早速携帯電話で事の次第を話して問い詰めた。

 相槌を打ちながら聞いていた伯父上様は聞き終えると同時に「ちょっと待ってくれるかな?」と言って答えを聞く前に電話を切った。

 そして二時間後、伯父上様からではなく父上様より呼び出しが掛かって宮殿に急ぐと、遺跡を使用して帝都に現れた伯父上様が…。

 

 「謝罪と弁明、そして久しぶりに君の顔を見に来たよ」

 

 そんな事でわざわざ出て来たんですかと驚きが顔に出てしまい伯父上様は軽く笑っていた。

 伯父上様が言うには今回の事件はクララの悪ふざけというかオルドリンにちょっかいを出したかったらしい。とりあえず罰として饗団内で雑事などに従事させるとの事。

 ちなみに私が怒り心頭でクララに命を持って償わせると言ったら償わせるけどと言われたが、丁重にお断りしました。私は謝ってほしいだけでそこまではいうつもりないですよ。

 

 謝罪と弁明を済ませた伯父上様は私の顔を見に来た以外にちょっとした買い物もするつもりだったらしい。

 

 ―――ナイトメアはちょっとした買い物の範囲には入りませんよ。

 

 父上様は任せたと一言で私にすべて投げるし、ギアス饗団である伯父上様に通常ルートでのナイトメア販売は不可能、あと地面を引き摺る超がつくほどの長い髪を何とかせねばならないなどの事情から私のサンフランシスコ機甲軍需工廠【ナウシカファクトリー】に案内した。

 

 グリンダ騎士団の強化訓練時にも使用したこの工廠には街に出なくとも暮らせるだけの設備が用意してある。

 飲食店は勿論の事、美容室、シアタールーム、エステ施設、スポーツクラブ、本屋などなど。逆に無い物を探す方が難しいほど充実させた。これに至っては従業員の事を考えてだったが途中からオデュッセウスが凝った結果である。

 おかげで外よりは目撃される人数をぐっと少ないここで散髪を出来るのだから良かったよ。もしも外で美容室に向かっているところを何かでオルフェウスやコーネリアに見つかってみろ…物理的にも精神的にも殺される。

 

 精神的っていうのはユフィの一件でギアス饗団に強い憎しみを持っているコーネリアから軽蔑や嫌悪感を向けられることである。そんなことになったら迷うことなく伯父上様や父上様の計画に加担する自信があるぐらいだよ。

 

 店員さん達と長い戦いの結果、ふんわりとしたショートヘアになった伯父上様は軽食がてらカフェエリアにて昼食を召し上がっている。ハチミツ、チョコソース、ホイップクリームをたっぷり乗せた三段重ねのパンケーキにアイスクリームを浮かべたクリームソーダを笑みを浮かべながら食べている。

 眺めてみると普通の少年なのだけれど中身60を超えたおじさんなんだと思うと今更ながら違和感しかない。

 私は色とりどりのプチケーキ八種セットにコスタリカより取り寄せたコーヒーで、アキト君はコーヒー一杯のみ。

 

 今日は出来るだけ護衛を外したかったのでレイラは非番だったのでクレマンに買い物にでも連れ出してもらい、担当だったクラウスは言い包めた。リョウ達が面白半分に付いてきそうだったが今日は予定があったらしく、私が出かけるよりも先に出かけていた。おかげで言い包める方法を考えなくて楽だった。

 アキトはギアスに関係しているし、口は軽くない。今回の護衛を付けるとしたら一番の適任だろう。たまに会話がないのが辛いのだけれどそこは今回は捨て置く。

 

 「――殿下。本当に知らせなくてよかったのですか?」

 

 と、思っていたら突然口を開いたよ。

 

 「あぁ…今回は事が事だからね。あまり関わり合いを持たない方が良い。アキト少佐もあまり踏み込まないようにしてくれると助かるよ」

 「了解した。で、今後の予定はどうなさるので」

 「そうだねぇ…ナイトメアフレームを見たいとの事だからそっちを周ろうかなと。それでよろしいですよね?」

 「助かるよ。どんな物があるのか楽しみだよ」

 

 にやりと悪い笑みを浮かべているところ申し訳ないですけれども頬にホイップクリーム付いてますよ伯父上様。

 言葉数が少ないアキトは口を閉じて、言ったとおりにあまり関わらないようにしている。賢明な判断だよと心の中で思いつつコーヒーを含む。

 

 「あれ、オデュじゃない?」

 「んぁ?ほんとだ。おーい、こんなことろで何やってんだよ」

 

 思わず吹き出しそうにながらリョウたちに見つかったことに頭を痛める。

 何故こんなところにとか色々口にしたい事は多いけれどもまず先に聞くべきことは…。

 

 「ちょ、ちょっとした用事でね。そ、それにしても珍しい組み合わせだね」

 「――ああ、ニーナが一緒とはな」

 

 佐山 リョウ、成瀬 ユキヤ、香坂 アヤノの親衛隊ナイトメアチームと一緒にいるのは帝都防衛システム【アイアスの盾】のエネルギー源確保を担当しているニーナ・アインシュタイン。

 元々日本人を怖がっている上に河口湖の事件で余計に良い感情を持っていない彼女が日本人の彼らと行動を共にするとはこの目にしても信じられない。……いや、アヤノの後ろに隠れてリョウやユキヤと距離を取っていることからアヤノに心を許していると見た。

 

 「それはこっちも同じだよ。アキトとオデュ、それと誰この子?」

 「あー…彼はV………」

 

 流れ的に名前を言いそうになった私は伯父上に視線を送る。

 まさかV.V.と紹介する訳にはいかないし、本名は知らない。

 何故こんな時の為に偽名を考えておかなかったのか。教える予定がなかったからでした。

 どうしようと本気で悩んでいるとV.V.は小さく笑みを浮かべてリョウ達に向き合った。

 

 「素性の詮索はしないで欲しいな。色々と事情があってね」

 「事情………あー、そういう事か。分かった分かった」

 

 なにが!?

 すまないが説明してくれないか。どういう意味と受け取ったんだい?そしてユキヤの含みを持った笑みはなに?

 納得した二人とこれで良いかいと昼食を続けるV.V.を除いたオデュとアヤノ、ニーナは疑問符を浮かべる。

 

 「ちょっと!なに二人だけで納得してんのよ」

 「察しろよアヤノ。いやぁ、そういうのは奥手だと思ってたんだがなぁ…で、相手は誰だよ?」

 「奥手?相手?…すまないが本当に何のことを――」

 「隠すなって。まぁ、十代中ごろっぽいからそのころに殿下に関わっていた女性を調べれば自ずと分かるわな」

 「・・・・・・―ッ!!ちがっ―――」

 「――え…殿下…お子さんが居たんですか?」

 「いや待って!どうt…作るための経験も無いのに出来るわけないでしょ!!って私は何を言っているんだ」

 

 リョウ達の勘違いにかなりの衝撃だったのかニーナの声色から力が消えていった。

 まさかの発言に大慌てで否定したが私は何を言っているのだろう。あまりの失言に頭を抱えてテーブルに突っ伏す。

 嘘を一度しかついていないV.V.の言葉に嘘はない。

 

 偽名で己を偽る事をせず、自分の素性を明かさないよう嘘で塗り固めた偽装を行うことなど一切せずに真実だけを口にした。

 さすが一度しか嘘をつかなかった人物。

 ――ただ誤解を招く言い回しをしたのは確かだろう。

 

 アキトが随時警戒しているので人は寄り付いていないのが幸いした。

 今の発言は出来るだけなら聞かれたくないから…。

 

 「そんな事より――」

 「そんな事って!?」

 「――リョウ達はどうしてここに?」

 「あー…シミュレーターでデータを取りたいんだと。ほら新型のドローンの」

 「ドローンというと無人機だね」

 「…見ますか…」

 

 興味津々といった感じの伯父上に突っ伏したまま聞く。

 気分を入れ替えて立ち上がらなければならないのだけれども………ちょっと立ち直れそうにない。

 

 「アキト少佐…あと任せていい?私は部屋で休むから」

 「了解した。リョウ、すまないが殿下の部屋までの護衛と警備隊への連絡を頼む」

 「おう。分かった」

 

 ふらふらとした足取りでほとんど使ってない工廠内にある私用の部屋へと向かって歩いて行く。

 この行為がさらに頭痛の種を増やすとは知らずに…。

 

 

 

 

 

 

 オデュッセウスと別れたV.V.は興味深くヒルダ・フェイガンより説明を聞く。

 新型のアレクサンダ・ドローンは今までのものとは性能が段違いのものとなっている。

 武装は基本のWAW-04 30mmリニアアサルトライフル【ジャッジメント】が主となっているが、ドローンにアレクサンダType-02をソフト面を改良、性能を向上させたアレクサンダ・ヴァリアントを使用。簡易的な命令しか行えなかったAIの大規模な強化を行った。

 ドローンにブリタニア製のファクトスフィアなどの情報収集能力装置を取り付け、情報を処理し一括にするシステムの構築。目的に対する戦術シミュレーション、各状況に対応すべく集められたパイロットデータなどなど膨大な情報処理を可能で簡単な命令でかなり本格的な動きが可能である。

 騎士や歩兵戦力を持たぬギアス饗団としては防衛能力を得るには一番の品と見たが問題もある。

 

 それだけの情報処理を行う機器は一つ一つが大きく、かなりの量に及ぶ。その上担当する専門官も多く必要とし、現段階では試作段階でオデュッセウスの座乗艦であるアヴァロン級ペーネロペーにしか積み込む予定が無い。

 完成を待ってもその頃にはアーカーシャの剣を用いた神殺しも終えている頃だろう。

 

 魅力的ではあったが却下だ。

 

 「他には無いのかい?」

 「え?えっと…あとはアキト少佐用のアレクがありますがアレはまだロールアウト前なので。それにボス――クレマン少佐が居ないとその…」

 「分かったよ。説明ありがとう」

 

 微笑みを浮かべながら礼を口にするとヒルダは笑みを返し、元の仕事に戻った。

 新型のアレクサンダ・ドローンは親衛隊の戦力増強の要の為にオデュッセウスも多くの資金を流していた。

 アンナ・クレマン少佐を中心としたクロエ・ウィンケルにヒルダ・フェイガンなどのアレクサンダ開発チームとソフィ・ランドル博士の技術班が協力している。

 ランドル博士の旦那であるタケルは意識不明から脱したもののリハビリが必要で、ユーロピアに所属していた時と同様に博士が指揮を執っている。助手のジョウ・ワイズにケイト・ノヴァク、フェリッリ・バルトロウの姿もあり、親衛隊に付いたwZERO部隊のメンバーのほとんどがここに集まっている。

 今日はリョウ、ユキヤ、アヤノの足りなかった戦闘データを収集するためのシミュレーションで皆忙しく動いている。

 第一皇子の権限もあって元ワイバーン隊以外のデータ収集はかなり捗った。願えばラウンズの戦闘データですら手に入るのだから。ただラウンズは接近戦を好む者ばかりで接近戦までのプログラムを組みにくいドローンには向かないのだが…。

 

 AIを人間の脳に見立てていろんな状況を合わせ、独自で動けるシステムの構築。

 これが第一皇子直属の親衛隊技術部の最優先事項。

 資金もデータも機材も湯水のように消費できる現状は研究者にとって最高の環境だろう。

 おかげで試作機が短期間で出来上がろうとしているのだから大したものだ。勿論、それを可能とする人員がいてこそだ。

 

 ただ今回V.V.が求めていたものとは異なる。

 最近、ギアス饗団またはプルートーン関連施設を攻撃する者がいるらしく、それの対処を行えるだけの相手を圧倒できる性能を持ち、多数でなく単騎で行動できるナイトギガフォートレス――そんなものを望んでいた。

 ほかの工廠は浮遊艦かナイトメアのみに力を注いでいてナイトギガフォートレスには見向きもしていない。

 オデュッセウスの元にはサザーランド・イカロスというナイトギガフォートレスを作った技術者であるウェイバー・ミルビル博士もいたから期待していたが、現在は飛行型で性能の良い量産型ナイトメアの開発に力を注いでいるとの事。

 

 はずれかなとため息を吐きながら振り返る。

 そこにはオデュッセウスの姿はない。居るのは護衛として付けられた日向 アキト少佐と何故か一緒にいるニーナ・アインシュタインのみだ。

 

 「お気には召さなかったようですね」

 「まぁね。強力なナイトメア、ナイトギガフォートレスを見たかったのだけれど」

 

 オデュッセウスの対応の仕方から自分よりも上の立場と理解したアキトの一言に肩を竦ませながら頷いた。

 その会話に思い当たる節があったニーナがおずおずと手を挙げた。

 

 「…あの…心当たりありますけど…」

 「本当かい?」

 「はい。その…ロイドさんが制作している物があって。私、ロイドさんに聞きたいことがあってその途中で皆さんと会ったんで、これから向かうのですけど一緒に来ますか?」

 「案内を頼むよ」

 

 クレマン少佐の専用の仕事場になっている第二研究棟より第四研究棟に移動した三名を出迎えたのはロイド・アスプルントであった。

 一応使用許可が出ているとはいえ、第二王子所属の技術員が堂々と第一皇子の工廠を出入りしているのはどうなんだと疑問を抱く職員も居るが、深く突っ込む者はいない。

 

 触らぬ神に祟り無し。

 関わっていらぬ仕事を増やすよりも自身の趣味……コホン、仕事に集中する方が良いのは明白である。

 

 「いらっしゃ~い。ニーナ君にアキト君。それと――」

 「詮索は無しで頼む。彼に貴方が作っている機体を見せてあげて欲しい」

 「あー、あれだね。で、ニーナ君は例のシステムの事かな?」

 「はい。でも私は後で良いので」

 

 いちいちふらふらと身体を動かしながらニヤニヤと笑うロイドは上機嫌で使用している研究棟の奥深くへと案内して行く。 

 奥にはナイトメアを置いて改造や改修を行うスペースがあり、六機まで余裕で行えるだけの広さを設けられていた。

 

 第二研究棟だけはアレクサンダ専用になっているために研究棟そのものがクレマン少佐の研究室になっているという例外はあるが、ほかは一つの研究棟に研究室は四つまで設けられていて、ロイドが使っている研究室はその一つだ。

 

 そしてロイドの研究室の奥にあるそのスペースにも彼が開発…改造した物が配置されている。

 たった一機でほとんどを埋め尽くしていたが…。

 

 V.V.の目が怪しく輝いた。

 見た目は巨大な蜘蛛を模した造形となり、各部に高火力の武装を施されている。

 巨体を支える八本の脚には機動力を得る為に中型の、後体である肥大化した腹部には巨体を支える為の大型のランドスピナーが取り付けられ、前体である頭胸部に先端には触覚を模した部位のほかに一機のナイトメア―――ユーロピアでアシュレイ・アシュラが使用したアフラマズダが埋め込まれていた。

 

 「どうかな。僕が作った拠点制圧重武装型アフラマズダ―――プロトアラクネは」

 「プロトアラクネ…」

 「武装は頭胸部前方の3連装大型ガトリング砲にアフラマズダの肩を支えとして使用する高出力超電磁砲を二砲門、各足関節部に機銃、腹部には十六連装小型ミサイルポッドを装備しています」

 「拠点制圧どころか拠点そのものを消し飛ばしそうな感じがするんだが…」

 「でもロイドさん。あれだけの機体を支えるエネルギー量はかなりのものなのでは?」

 「だから腹部には大量のサクラダイトを積んでいるんだ。おかげで小型ミサイル48発と合せてかなりの危険物になっちゃったけど」

 「……歩く武器庫だな。脱出機能は付いているんだろう?」

 「アフラマズタのみが単騎で行動できるという意味ではあるけどコクピットが飛び出す脱出システムという意味では無いね。これ量産化に向けての試作機だし」

 「あはは、このまま生産は出来ませんよね。一騎作るだけでどれだけ掛かるんだろう」

 「殿下も良く許可を出しましたね。それより何で拠点制圧なんてものを殿下が指示したのでしょうか?」

 「うーん、とある機体の対戦相手(・・・・・・・・・・)に高火力の機体が欲しいって言ってたっけ。まだ原案だけって話だったけどいつか気付くでしょう」

 「えぇ!?話してなかったんですか!」

 

 アハハ~と怒られることも気にしていないロイドの笑いにニーナもアキトはあきれ顔を向ける。

 V.V.のみはプロトアラクネに危険な笑みを浮かべて微笑む。

 

 帰り際にV.V.からプロトアラクネを欲しいとの要請を聞き、ロイドが構想からすでに製造していたことを知ったオデュッセウスは頭を抱えたという。

 後に話を聞いたセシルが目だけは笑っていない笑みを浮かべてロイドに迫る所を特別派遣嚮導技術部のメンバーが目撃したそうな…。




 伯父上様に超危険物が渡った…。

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